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日本に対する厳しい姿勢があからさま、「対日貿易赤字の全額を取り戻す!」
米国への自動車・自動車部品輸出はアメリカ車の日本市場への参入の実績に比例させる
ニューヨークタイムズ 2018年12月21日
12月21日金曜日、アメリカ政府は早ければ1月20日に開始される日本政府との貿易交渉における基本方針を明らかにしました。
日本は世界第3位の経済規模を持っていますが、アメリカ政府は690億ドル(約7兆5,600億円)の対日貿易赤字を一掃したいというものです。
アメリカ政府が公表した文書によれば、米国の工業製品が関税なしで日本市場に参入できるようにすること、そしてアメリカ産の農産物に対する関税を引き下げるか、撤廃することを目指しています。
段階を踏んだ交渉過程で実現でも構わないとしています。
さらに米国政府は自動車の輸出入分野でもっと公平な貿易を求めており、「日本が国際収支のバランスが均衡に向かうことを妨げ、不当に競争力を強化するため現在行っている為替レートの操作をやめさせることを必ず実現させる。」としています。
10月、アメリカのスティーブン・ムニューシン財務長官が暗に言及し、以後日本政府が外国為替市場への介入を行えば、それらすべてが通貨操作として認識されかねないという懸念が日本側に生じることになりました。
2018年12月、米国側が日米貿易交渉の基本方針の作成するにあたり、米国自動車労働組合はトランプ政権に対し、日本が米国に自動車や自動車部品を輸出する場合は、アメリカ車の日本への輸出実績に応じた厳しい割り当てを適用するよう要求しました。
民主党のロン・ワイデン党上院議員は声明の中で、彼が米国製品のために市場開放を進めることを支持すると表明する一方で、トランプ政権の貿易交渉の基本方針は詳細を欠いている上、米国の貿易力強化のために「全く不適当な」アプローチが含まれていると批判しました。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、貿易戦争に中国を巻き込み、カナダとメキシコに北米自由貿易協定の見直しを余儀なくさせ、そして2017年初めには米国を環太平洋パートナーシップから一方的に脱退させることにより、国際市場をかき回し続けてきました。
(リポーター : アレクサンドラ・アルパー、編集 : ジェームズ・ダルグレイシュ)
https://www.nytimes.com/reuters/2018/12/21/business/21reuters-usa-japan-trade.html
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西日本の巨大災害が進行する中、安倍自民党が強行採決した最重要法案・年間2兆円~1兆7,000億円という巨額の収益をアメリカのギャンブル業者に献上【 日本のカジノ(IR関連)法案、ギャンブル依存症の人々を泥沼へと追いやる 】ガーディアン( https://kobajun.biz/?p=34177 )
という記事をご紹介しました。
アメリカのギャンブル業者に大きな恩恵を与えて、アメリカの対日貿易条件の変更要求の矛先は鈍るのでしょうか?
そして今回ご紹介した衝撃的な事実を予見させるドイツ国際放送の記事が昨年、2018年9月18日付ですでに掲載されていました。
[誰のための何のためのアベ外交]トランプ「日本がこれまで貯め込んだ貿易黒字を吐き出させてやる…」【 トランプの貿易戦争・次のターゲットは?日本 】ドイチェ・ヴェレ( https://kobajun.biz/?p=34479 )
同じドイツ国際放送の記事には
韓国やEU諸国はすでに手にしている鉄鋼・アルミへの懲罰的関税の免除、安倍訪米はそれすら解決できなかった【 イチかバチかの訪米とトランプとの会談、見事にしくじった安倍首相 】ドイチェ・ヴェレ ( https://kobajun.biz/?p=33700 )
という記事もありました。(2018年4月17日)
そしてここのところの日本株の下落。
実は2016年6月の時点でロイターが今日のこの状態を予測するような記事を掲載していました。
米国の代表的株価指標は昨年と同水準、欧州市場はマイナス6%代、日経平均株価のみ13%下落【 「アベノミクスはもうダメ…」– 日本の株式市場から『脱出』する海外の投資機関 】ロイター( https://kobajun.biz/?p=28180 )
その他アベノミクスなるものが、日本経済の実態の引き上げにほとんど効果がなかったという記事は何本翻訳したかわかりません。
これらを総合して見えてくるものとは何でしょうか?
それは日本政府やNHKなどのテレビが伝える『日本の好景気』などというものの実態がどこにあるのか?
ということではないでしょうか?
私は小学校から中学校、高校の半ばまで日本の『高度成長期』を肌身で体験しながら成長しました。
『好景気』というのは、安倍政権下のこのような経済を表現する言葉ではありません。
街には子供達の声があふれ、子供や青年が旺盛な食欲や消費意欲を発揮していました。
そして何より、国民全員の暮らしが日々良くなっていきました。
田中角栄氏はオイルショックによって高度成長が頓挫する、まさにその時の首相であり、列島改造論の弊害は明らかですが、それでも『国民全員の生活向上』に熱意を持っていました。
今日の富の偏在化を助長するようなアベ政治とは根本的に違っていたのです。
本当は脆弱な日本経済にトランプの強烈な一撃が再び加えられたらどうなるのでしょう?
子供を産むよう奨励する安倍政権の取り組みは不成功、一連のデータが証明
人口減少に歯止めをかけようとする取り組みは極めて困難な状況にある
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年12月27日
日本の出生率は1.43人に低下し、現在の人口を安定的に維持するために必要な2.08人をはるかに下回りました。
最新の統計によると日本は2018年に記録が残っている中で最低の出生率を記録し、人口減少に歯止めをかけようとする取り組みが極めて困難な状況にあることを明らかにしました。
厚生労働省は100年以上前に記録が開始されて以来、出生数が最も少なくなったと述べ、その直後日本の国会はこの数十年間で最悪の労働力不足対処するべく、数十万人のブルーカラー労働者の受け入れに道を開く移民法案を可決しました。
厚生労働省は2018年末までに921,000人の赤ちゃんが生まれると予測していますが、この数は昨年よりの25,000人減少し、1899年に比較可能な記録が始まって以来最低になると推定しています。
結局出生数は3年連続で100万人を下回りました。
推定分を合わせた2018年の死亡者数は約137万人で、ここから出生数を引いた人口減少数は44万8000人となり、日本の一年間の人口減少数としては史上最大になりました。
一連のデータが示しているのは、出生数を引き上げるという安倍政権の取り組みがうまくいっていないという事実です。
安倍政権は2026年4月までに出生率 - 女性が一生の間に持つ子供の平均人数 - を1.8人に引き上げるという目標を掲げています。
現在の出生率は1.43人で、人口が増減なしの安定した状態になるためには2.07という出生率が必要です。
安倍晋三首相は日本の人口減少を国家的危機と表現し、保育所を増やすなど夫婦やカップルがより多くの子供を産むことを奨励するため、さらに多くの政策の実現を公約しました。
しかし国営の保育所の待機リストに載っている子供たちの数は、昨年まで3年連続で増加し、2020年4月までにすべての子供たちに適切な保育場所を提供するという安倍首相の計画が果たして実現できるのかどうか疑問を突きつけました。
日本人の平均寿命は、女性で87.2歳、男性で81.01歳です。
これについて専門家は定期健康診断が普及していること、国民のほぼ全員が医療保険に加入していること、そして日本の伝統的な低脂肪食が普及しているためだとしています。
しかし増加し続ける高齢者人口は今後数十年の間に、公共の保険・福祉サービスに前例のない負担をかけると予想されます。
これらの費用の一部は来年10月に消費税(売上税)が8%から10%に引き上げられることによってまかなわれる計画ですが、やり方については物議を醸しています。
今年初め、日本政府は総人口1億2,670万人、そのうちの20%超、2,610万人が70歳以上であることを公表しました。
さらに今年9月の時点で、100歳以上の人の数は69,785人に増え、そのうち女性の割合はの88%です。
日本は世界で65歳以上の高齢者の人口が最も多い国であり、次に続くのはイタリア、ポルトガル、そしてドイツです。
東京にある国立社会保障・人口問題研究所は、2040年までに日本人の35%以上が65歳以上になると推定しています。
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縮小していく社会はつまらない…
個人的な感想として最も強く思うことです。
社会の中には従来の価値観を守る人、変えていく人、その両方がいます。
唐突ですがベートーヴェンはそれまでの音楽の価値観をことごとく変えていきました。
その変革力の強さと大きさは後に続くシューベルトをして「これでは自分がやるべきことがなくなってしまう」と嘆かせたほどのものでした。
もしベートーヴェンが生まれなかったら、200年以上経った今日、ベートーヴェンだけでなくモーツァルトやハイドンの音楽をこれほど多くの人々が愛し、繰り返し再現することはあっただろうか?と思います。
新しい命が次々と誕生することによって新しい価値観が次々創造されていきます。そこには驚きがあり新しい喜びがあります。
日本はこれから縮小し、高齢化していく人口動態に上手に対処していかなければなりませんが、やはりその一方で次々と新しい命が誕生する機会が自然と増えるための対策に全力で取り組んでいくべきだと思います。
誠実に平和を希求し、深く国民を思いやり、弱者に寄り添い続けた人生
第二次世界大戦当時の日本の行動に対し、正しい認識を広めるため多くの努力をかさねてきた明仁天皇
英国BBC 2018年12月23日
4月の生前退位を控えた明仁天皇が、12月23日誕生日の挨拶を行い、皇居を訪れた80,000人以上の人々は改めて敬愛の念を表していました。
85歳の誕生日を迎えた明仁天皇は、自らの在位期間中日本が再び戦争に関わることなく平和に過ごすことができたことについて「心から安堵しています」と語られました。
スピーチが日本の人々と彼の妻美智子妃がともに支えになってくれたという部分に差し掛かると、明仁天皇の言葉には感情が溢れ出しました。
明仁天皇はこの200年近くの歴史の中で初めて生前退位をする天皇になる予定です。
前立腺癌と心臓の手術と治療を受けたこともある明仁天皇ですが、2019年4月には長男である成仁皇太子に天皇の座を譲ることになっています。
彼の30年の在位期間には「平成」という元号が用いられましたが、これは日本語で「平和を成し遂げる」という意味です。
明仁天皇はその短い演説の中で、家族を失った人々と被害を受けた国民に哀悼の意といたわりの思いを示されました。
これは、2018年1年間に日本を襲った地震、大型台風や熱波について言及したものです。
日本の天皇の立場は儀礼的なもので政治的権力はありませんが、明仁天皇は制約の多い立場にありながら父親である裕仁天皇が国家元首であった第二次世界大戦当時の日本の行動に対し、正しい認識を広めるため多くの努力をかさねてきました。
特に中国大陸と朝鮮半島の両方における日本の軍事行動に対しては悔悟の気持ちを表明するとともに、そしてまた死者を追悼するため太平洋の数々の戦場を訪問しました。
こうした明仁天皇の行動に対し、日本国内の右翼グループは神経をとがらせてきました。
85歳の誕生日を迎え、明仁天皇は記者団にこう語りました。
「先の大戦で多くの人命が失われ、また、我が国の戦後の平和と繁栄が、このような多くの犠牲と国民のたゆみない努力によって築かれたものであることを忘れず、戦後生まれの人々にもこのことを正しく伝えていくことが大切であると思ってきました。」
今年10月にはこれまで度々物議をかもしている靖国神社の神主が、明仁天皇は参拝を行わないことによって同神社を潰そうとしていると批判した後、辞職しました。
靖国神社は250万人もの戦死者を祀っていますが、後に第二次世界大戦後の戦争裁判で有罪判決を受けた人間たちを合祀しました。
安倍首相を含む数名の首相が靖国神社を参拝しましたが、その都度中国を含む内外から怒りを込めた反応を引き出すことになったのです。
明仁天皇はスピーチの中で、高齢化による労働力不足を緩和するため、日本が新しい法律の下でより多くの外国人労働者を受け入れ、彼らを温かく迎えいれれることができるようにというご自身の希望についても触れました。
日本はこれまで厳しい入国管理政策の下、外国からの労働者をほとんど受け入れていません。
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【 写真集 : 明仁天皇の歩み 】
英国BBC 2018年8月8日
生前の退位を望んでいることを婉曲な表現で明らかにした明仁天皇。
近代の天皇制において前例のない出来事でした。(写真上・以下同じ)明仁天皇は年齢による体力の限界と体調不良に苦しみ、天皇を続けることの困難について国民に訴えかけました。
明仁天皇は前年、父親である裕仁天皇の死後、1990年に正式に天皇の座に就きました。
明仁天皇は1959年に一般市民である美智子妃殿下と結婚しました。彼らはテニスを通して出会いを果たしたため、「テニスコートのロマンス」ともてはやされることになりました。
明仁天皇は就任以降現代的なスタイルを取り入れ、皇室を一般市民により近い存在にするための努力を重ねてきました。
第二次世界大戦に敗北するまで日本の天皇は神格化されていましたが、敗戦をきっかけに連合軍の統治の下公布された新しい日本国憲法において天皇は「国家の象徴」として再定義されることになったのです。
明仁天皇は第二次世界大戦での日本の行動に対する反省を繰り返し表明し、日本国内で数を増やしつつある歴史を書き換えようとする政治家などと、はっきりと距離を置くことになりました。
2011年、明仁天皇と美智子妃は巨大地震と巨大津波により壊滅的被害を受けた被災地の人々への慰問を行い、世界中のメディアの賞賛の的となりました。
また天皇は初めての試みとして、動画を使ったスピーチを公開しました。