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星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

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【 問題は無くならない!5年が経ったフクシマ 】

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高濃度の汚染水で制御もままならない、世界史上2番目に最悪の原子力発電所事故の現場
345億円をかけた凍土遮水壁計画はすでに失敗に終わっている?

 

ジュリアン・ライオール / ドイチェ・ヴェレ(ドイツ国際放送) 2016年8月29日

福島IAEA
3月11日に襲った巨大地震によって引き起こされた巨大津波が重要な設備である原子炉冷却システムを破壊し、福島第一原発の3基の原子炉でメルトダウンが発生したことが日本の人々の記憶に刻まれてから5年5ヵ月の歳月が経過しました。
現場では大気中に放出された放射性物質を取り除き、原子炉の制御を取り戻そうとする作業が続けられています。

東京電力のプレス・リリースは、事故発生以来続けられてきた収束作業により、ゆっくりとではあるが確実に効果が現れていると主張しています。
しかし福島第一原発の事故以降停止している日本全国の原子力発電所を再稼働に対する支持を得るため、現場の回復が進んでいるという東京電力、そして原子力産業界の保証を日本の国民の誰もが受け入れたという訳ではありません。

「福島第一原発の現場には相互に関連する膨大な数の問題が存在します。中でも私たち日本人が直面する最も大きなものの一つに、敷地いっぱいに並べられた巨大な鋼鉄製のタンクにため込まれている高濃度汚染水の問題があります。」
京都に拠点を置く日本の反原発団体、グリーン・アクション・ジャパンのアイリーン・ミオコ-スミス氏がドイチェ・ヴェレの取材にこう答えました。
「福島第一原発の敷地内ではこれ以上の汚染水タンクのための敷地が無くなりつつありますが、高濃度汚染水が毎日増え続けている以上、東京電力はさらに多くの汚染水タンクを作り続けなければなりません。そして一部の溶接されていないタンクには、汚染水漏れ事故を繰り返してきたという記録が残されています。

凍土壁パイプ
▽『時を刻み続ける時限爆弾』

「福島第一原発の高濃度汚染水の実態は、カチカチ音を立てている時限爆弾のようなものです。しかし東京電力には今のところ、汚染水タンクをひたすら増設し続ける以外の選択肢は無い、そう見えます。」

環境グループは東京電力と日本の原子力事業を監督する立場にある原子力規制委員会に対し、このまま汚染水タンクの増設を続ければいつか福島第一原発の敷地がいっぱいになってしまった時点で、汚染水を太平洋に投棄せざるを得なくなることから、問題解決のための具体的方法を明らかにするよう求めています。
東京電力は8月初旬、それまでに福島第一原発の原子炉1、2、3、4号機のそれぞれの地下トレンチ(溝)から回収した汚染水が10,000トンに達したことを確認しました。
東京電力の担当者によれば、この他に各原子炉建屋とタービン建屋の地下からあふれ出した汚染水が約60,000トンあります。

「1号機と2号機、そして3号機の原子炉を冷却し続ける為に、毎日約100トンの水を注入しなければならず、汚染水が増え続けるのです。」
東京電力の担当者はドイチェ・ヴェレの取材にこう答えました。
「さらに一日あたり約150トンの地下水が、同じ場所に流れ込んでいることも確認しています。」

一部の汚染水については浄化装置を使って放射性物質を取り除く作業が行なわれていますが、発生する量があまりにも多いため、浄化処理作業はまったく追いつくことがてきないため、汚染水タンクの増設を続けなければならない状況にあります。

原子力規制委員会に助言を行っている専門家たちは、これ以上の地下水の流れ込みを遮断するため1~4号機の周囲の地下に凍土壁を作る計画を発表しましたが、これすら現在うまくいっていません。

http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/landwardwall/index-j.htmlより

http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/landwardwall/index-j.htmlより

▽ 凍土壁計画の『挫折』

橘髙義典(きつたかよしのり)「地中に凍土壁を築いて地下水の流れ込みを遮断する計画は、すでに失敗しています。」
首都大学東京の建築材料学が専門研究分野である橘髙義典(きつたかよしのり)教授は報告書の中でこう述べています。

東電スポークスマンは、345億円をかけた凍土遮水壁計画が失敗に終わったという見解に反発しました。
「私たちは現在、計画されている凍土壁全体を凍結させるプロセスの途上にあります。私たちが最初に着手したのは、海に最も近い部分です。そこから順次陸地に近い周辺部分に移動していますが、水位を一定に保ちながら、原子炉建屋周辺の一定の範囲内から汚染水が他の場所に漏れ出さないように確認しながら作業を進めなければなりません。現在未だ凍結していない場所が7か所ありますが、凍土壁が完成すれば、この対策が有効であったことを確認できると思います。」

このような状況の進展については、日本のメディアも、そして2011年以降原発事故の影響に何らかの形で苦しんできた一般国民もほとんど関心を示していません。
これに対し別のニュースが注目されることになりました。

8月20日、厚生労働省は、福島第一原発の事故発生直後に現場で事故処理作業に従事し、白血病を発症した男性に補償を行うことになったことを認めました。
この男性は50代、氏名は公表されていませんが、2011年4月から2015年1月まで福島第一原発の事故現場で働き、この間放射線に被曝したことによりガンを発症しました。
昨年10月にも福島第一原発の元作業員が白血病を発症して補償を受けましたが、これとは別に5人が健康被害による補償を請求しており、厚生労働省は現在その内容を精査しています。

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▽『最善を尽くす』

東京電力のスポークスマンは、同社が事故収束・廃炉作業の最終プロセスである原子炉内にあるメルトダウンした核燃料デブリの取り出し作業に着手できるよう、最善の努力を続けていると語りました。
実際にこれまでこうした作業には手が付けられておらず、どれ程困難な作業になるか、どれ程長い時間がかかるのか、問題の規模はきわめて大きなままです。
「私たちは溶け落ちた核燃料、すなわち核燃料デブリを取り除くための技術の完成と、すべての事故収束・廃炉作業の完了とが同時に可能になるまで30年から40年の歳月が必要だろうと予測しています。」
東京電力の担当者がこう語りました。

こうした状況にもかかわらず、日本政府は現在、福島第一原発近くで暮らしていた住民たちに対し、環境中の放射線量は許容限度内に収まっているとした上で、避難している間の住宅手当並びに働くことが出来ないことに対する補償金も近々打ち切ることになると伝え、
実質的に帰還を強制する措置に出ています。

2015oct01
「もう安全だなどと言われても、住民たち、特に子供たちを持つ家族の多くが元住んでいた場所にはもう戻りたくないと考えています。」
グリーン・アクション・ジャパンのアイリーン・ミオコ-スミス氏がこう語り、もうひとつの原因として日本の原子力行政に対する信頼性が欠如していることを指摘しました。
「住民たちはすべての筋書きが、2020年のオリンピック開催のために動いていると感じています。そして日本政府は東京オリンピックが開催される2020年までにすべてを正常な状態に戻すという国際的な公約を何としても果たさなければならない、その事をすべてに優先させていることはお見通しなのです。」

http://www.dw.com/en/problems-persist-at-japans-crippled-fukushima-nuclear-reactors/a-19510555

【『中国の脅威』と日本の記録的金額の防衛予算 】

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防衛省、中国の海洋活動と北朝鮮の核兵器開発計画に対抗、5兆1,700億円の年度予算を要求
安部首相の下、日本の軍事費は5年連続で増加 - ステルス6機で950億円ほか

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2016年8月31日

自衛隊海兵
日本の防衛省は、東シナ海で領有権を巡る紛争の原因となっている尖閣諸島の周囲で中国が軍事活動を活発化させている状況に対応するためとして、記録的金額の予算を要求しました。

防衛省は2017年の年度予算として5兆1,700億円を要求しました。
前年度の予算と比較して2.3%の増加、日本の安倍晋三首相が中国の海軍活動と北朝鮮の核兵器開発に対処するため日本の軍事力を強化すると誓って2012年末に権力を握って以来、日本の軍事費は5年連続で増加を続けています。

最新の概算要求は、防衛政策の焦点がロシアに接する北海道の北にある海上の国境から離れ、九州から台湾へと約1,400キロにわたってつながる南西諸島へと移される政策が継続して行われた結果です。
かつての冷戦時代、日本にとっての最大の脅威はソビエト連邦の軍隊だとされていました。

防衛省の今回の予算の購入弊社品目リストの中で多くを占めるのが、東シナ海で日本が実効支配するものの中国も領有権を主張している尖閣列島を含め、中国の潜在的脅威が大きくなっている東シナ海での軍事衝突を想定した装備です。

自衛隊行進
戦略の中心にあるのが、アメリカ海兵隊に倣った水陸両用戦闘部隊の創設です。
これは尖閣諸島(中国側名称釣魚列島)に対する侵略にいち早く対応することを目的としています。
もうひとつ多額の予算を必要とするのが、1兆円を超える経費を投入するアメリカ製の地対空ミサイル・パトリオットを改良したPAC-3ミサイルシステムのアップグレードです。
北朝鮮による核攻撃や通常兵器による攻撃、いずれにも最後の防衛線として設定されています。

ミサイル防衛システムについて日本政府の危機感が大きくなっている背景には、潜水艦発射型も含めた北朝鮮の弾道ミサイル技術が確実に進化し、日本の国土に着弾させることが可能になっているという認識があります。

アップグレードは領空内に入ってくるミサイルを目標とする補足範囲とPAC-3の能力を劇的に強化します。
尖閣諸島を囲む海域は豊かな漁業資源、そして海底には巨大な油田と天然ガス田があるとされています。
尖閣諸島は現在日本が実効排していますが、ここ数か月領海につながる接続水域に対し、中国籍の船舶の侵入が繰り返されています。
防衛省の幹部はこの尖閣諸島の防衛・哨戒能力を高めるため、950億円をかけて6機のロッキード・マーティンF-35ステルス戦闘機を、そして900億円をかけ4機のベル-ボーイングV-22オスプレイ垂直離着陸機と6機のボーイング・チヌーク・ツインローター・ヘリコプターを購入したいと考えています。

核ミサイル
尖閣諸島の領有権について話し合いの場を設けるよう要求する中国に対し、日本側は交渉の余地は無いと拒否を続けていますが、この間の2016年4月~6月までの間、中国機による領空侵犯に対する自衛隊の戦闘機による緊急出動は記録的な回数に上りました。
8月には日本の岸田外務大臣が在日中国大使を呼び出し、尖閣諸島周辺での中国船舶の領海侵犯の活発化が日中関係を「著しく悪化」させていると抗議しました。

一方同じ8月末、岸田外務大臣と中国の王外務大臣が会談し、尖閣諸島周辺での衝突が偶発的戦闘に急発展する事故を誘発しないよう、常にコミュニケーションできる通信手段を確保しなければならないという認識で一致しました。
「我々は両国が努力し、海上での偶発的衝突を避けるため、状況をしっかりと制御下に置かなければならないという認識で一致しました。」
中国の王外相は、東京で開催された日中韓外相会談の席上、記者団にこう語りました。

戦後日本の軍事行動に対して課された制約が不当で時代遅れだと考えている一団の保守的タカ派の政治家を代表する存在として、安倍首相は海外紛争の現場など日本の自衛隊が参加できる場所で国際的に大きな役割を演ずることを望んでいます。
2015年の夏、安倍首相が率いる与党連合は、日本が集団的自衛権を行使し、自衛隊がアメリカを始めとする同盟国の軍隊を援護する軍事行動を可能にする安全保障関連法案を可決成立させました。
これは国際紛争の解決手段として戦争を放棄している現在の憲法を解釈変更に基づくものであり、第二次世界大戦(太平洋戦争)以降初めてのことであり、国内が二分するほどの論争の的となりました。

憲法解釈変更 7
この法律によって自衛隊は幅広い軍事行動が可能になったにもかかわらず、安倍首相の最終目的は飽くまで憲法第9条の廃止にあるとする見方が有力です。
第二次世界大戦(太平洋戦争)直後、アメリカの占領下で制定された憲法第9条は、日本の軍隊の役割を専守防衛に限定しています。

https://www.theguardian.com/world/2016/aug/31/japan-defence-ministry-record-budget-counter-chinese-north-korea-nuclear-threat
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日本が何か差し迫った状況にある訳でもないのに、安倍首相はなぜ海外の紛争地に自衛隊を送りたがっているのでしょうか?
あえて現場の部隊を危機的状況に置くことにより、『もっと装備を充実させることが必要だ!』と主張するためだと私は考えています。
ではなぜ国内の福祉予算等を抑えてまで、公共事業と軍備への支出を増やし続けるのでしょうか?
かつて田中角栄首相が『日本列島改造論』を大鼓吹した結果、日本国内の建設業者の数が異常に多くなり、改造論が潰えた後も仕事を求めて圧力団体化し、高額な公共工事が次々と作りださざるを得ない状況にあると指摘した識者がいました。
その軍事版の圧力団体が軍産複合体です。
キューバ危機を平和裏に収束『させてしまった』ケネディ大統領に、当時のアメリカの軍産複合体が激怒したというのは有名な話です。
真相は不明のままですが、その後に起きたのがケネディ大統領の暗殺事件でした。

イスラム世界の紛争に他宗教社会は決して手を出してはならない、すなわち軍事介入すべきでないという指摘をした識者がいました。
現地の状況を徹底的に解析すれば、軍事介入以外に手段がないという解答は稀なのではないでしょうか?

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【 ロンドンの大火350周年 】

アメリカNBCニュース 9月5日

ロンドンの大火01
テムズ川の川面に浮かべられた17世紀当時のロンドンの街並みを再現する長さ約120メートルの模型に、2016年9月4日火がつけられました。
この模型は1666年に発生したロンドンの大火を記念するためにロンドン市内の若い失業者たちが雇用され、アメリカのアーティスト・デイビッド・ベストの設計に基づき数か月かけて制作されたものです。
火がつけられた木製の模型は当時の大火さながらに、完全に燃え落ちました。

ロンドンの大火02
大火事は1666年9月2日未明、リン・レーンのパン屋の店から出火し瞬く間に旧市街の木造建築物に燃え広がりました。
火事は遠くローマ時代に建設された壁の内側の旧市街を荒れ狂いましたが、驚くべきことに死者の数は6名に留まったと記録されています。
古い時代の中世紀のセントポール大聖堂はこの火災によって完全に破壊され、現在残っているのは建築家クリストファー・レンがデザインし、再建された建物です。


http://www.nbcnews.com/news/photo/anniversary-great-fire-london-marked-n642901

【 福島第一・巨額の税金をつぎ込んだ賭けの結果は 】《3》

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永続的な解決手段が求められているのに、なぜ複雑な分脆弱性が高い方法がとられるのか?
福島第一原発の敷地を埋め尽くす程溜まってしまった汚染水は、どうやって処分するのか?

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2016年8月27日

汚染水タンク2016
凍土遮水壁が汚染水を逆流させる恐れがあることについて原子力規制委員会は鹿島に対し、原子炉建屋の山側に6カ所の『水門』を設け、原子炉建屋内の汚染水がほとんど無くなるまで開けたままにしておくよう指示しました。

8月東京電力は原子力発電に対し、海側に計画していた凍土遮水壁が99%完成したと報告しました。
残り1%を凍結できなかったことについて、半世紀前原子力発電所を建設した際に地中に残されたがれきや砂を含む数か所を凍結させることが出来ず、その部分で地下水が急流となってしまい凍結が出来ない状況にあると説明しました。
この数か所の凍土壁の『穴』について、東京電力の山岸広報担当官は速乾性のセメントを使って埋める作業を試みたと語りました。
「徐々に温度が下がり始めたことが確認できました。」

02 Spiegel
たとえセメントによって遮水性能が向上したとしても、計画そのものの有効性を疑っている人々はどれだけの期間凍結を維持できるか疑問を持っています。
そしてこうした凍土策は、建設現場などでは通常一時的なものと用いられているだけだと指摘します。
パイプを冷却するために使われる冷媒塩液(ブライン)は腐食性が強く、いずれ配管系統の破壊や漏出事故が発生する可能性があるとも危惧しています。

大きな地震に襲われた場合には再び電源喪失の事態に見舞われる可能性があり、さらには非常に放射線量の高いという悪条件の下で正常な機能を維持し続けることが出来るかどうかは現時点で不明です。

 

http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/landwardwall/index-j.htmlより

http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/landwardwall/index-j.htmlより

「永続的な解決手段が求められているのに、なぜ複雑な分脆弱性が高い方法で壁を作らなければならないのでしょうか?」
民主党政権下で建設大臣を務めた馬淵澄夫氏がこう語りました。
彼は汚染水問題について、スラリーウォール(9.11テロ攻撃の際破壊されずに残った)の建造とトレンチ内には液体コンクリートを充填する一般的工法の採用を求めてきました。

これに対し凍土壁建設の現場で指揮を執る鹿島のエンジニアである阿部勲氏は、パイプが腐食したことが解ればその交換を簡単にできる方法を採用しており、それによって耐久性を高めることが可能だと語りました。
さらに阿部氏は埋め込まれたパイプはノーパンクタイヤと同じ自動修復方式を採用しており、地震によって損傷した場合にはそこに流れ込んだ水を直ちに凍結させることにより、遮水壁の密閉性が保たれることになっていると語りました。
そして電源が喪失する事態に陥っても遮水壁が溶け出すまでには何ヵ月も時間がかかり、技術者が対応策をとるための充分な時間が確保されるはずだと語りました。

調査・原子力規制委員会
安部首相は凍土壁の機能が完全になるのは2021年を予定していると語り、原子炉建屋の損傷と修理のため東京電力にさらに5年間の時間的猶予を与えました。
しかしこの見解に対しては疑問を持つ人々も多く、とてもその時間内での実現は不可能だと考えています。
安部首相自身も凍土遮水壁の建造は、莫大な規模になってしまった汚染水問題を解決するために必要ないくつもの対策の中のひとつの方法に過ぎないことを認めています。

鹿島も凍土遮水壁を建造する前に、昨年太平洋側に従来型工法により福島第一原発の敷地を囲う鋼鉄製の壁を地中に建設しました。
東京電力はこの鋼鉄製の壁の建造により、すでにかなりの量の汚染水の漏出を止めることが出来たと語っています。

しかし複数の科学者は、福島第一原発から漏れ出した汚染水はすでに地層の奥深くまで浸透し、太平洋の沖合で海洋に噴出している可能性があると語っています。
科学者たちはすべての汚染水の漏出を断ち切る唯一の方法は、原子炉建屋すべてを徹底的に修理することだと指摘しました。

110802
そして遮水凍土壁が設計通りの機能を発揮しても、東京電力にはこれまで福島第一原発の敷地内にたまった膨大な量の汚染水をどう処分するのかという問題が残ります。
東京電力はこの汚染水から1種類を別にしてすべての放射性物質を取り除くことが出来るフィルタ・システムを設備しました。
除去できないのは放射性水素、いわゆるトリチウムです。

日本政府も東京電力もこの処分方法について具体的なプランはまだありません。
希釈した上で太平洋に直接投棄するというプランは地元の漁業関係者が反対しており、国際社会からも批判を浴びる危険性があります。

今のところ、地中の凍結が始まったらしいという事を目で実際に確認できるのは、地中まで伸びているパイプの地上部分の表面に氷の粒が出来始めている事だけです。
そして1か所では、4号機の新たな原子炉建屋が姿を現しました。
津波が残した巨大な爪あとが確認できる6階建ての巨大な立方体の建物です。

4号機01
「水は私の足の下の地下3メートルほどの場所を流れています。」
白い防護服とマスク、そしてゴーグルで身を護る東電原子力・立地本部の岡村祐一本部長代理がパイプのそばに立ち、こう語りました。
「目には見えませんが、水は止まることなく流れ込み続けているのです。」

 

〈 完 〉

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【 2016年8月の宇宙写真 】《2》

アメリカNBCニュース 2016年8月31日

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8月19日NASAの宇宙飛行士ジェフ・ウイリアムスとケイト・ロビンスは5時間58分間の宇宙空間での作業をこなし、国際宇宙ステーションに新しいドッキング・アダプターを設置することに成功しました。このアダプターは、将来ボーイング社とスペースX社の宇宙船から乗員を乗り組ませるために使用されます。(写真上)

8月19日NASAの宇宙飛行士ジェフ・ウイリアムスがツィートに添付して公開した満月の写真。(写真下・以下同じ)
space06
8月25日ジェフ・ウイリアムスがツィートに添付して公開したユタのグレンキャニオン国立レクリエーション・エリアの写真。
space07
8月13日にイタリアのアルプス山脈にあるバグヌール・アルペン避難小屋の背景の空に広がるペルセウス座流星群の星の軌跡。長時間露出撮影。
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http://www.nbcnews.com/slideshow/month-space-august-2016-n640836

【 福島第一・巨額の税金をつぎ込んだ賭けの結果は 】《2》

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福島第一原発の敷地内に延々と汚染水タンクを作り続ける悪循環から抜け出せない東京電力
2020年開催の東京オリンピックが汚染水問題の解決を急がせ、凍土遮水壁が採用された

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2016年8月27日

汚染水タンク2016
つい最近取材のため福島第一原子力発電所を訪れた際には、事故直後に慌ただしく建造され何度も漏出事故を起こしたタンクに代わり、耐久性に優れ溶接によって密閉性を高めたタンクを忙しく建設する作業員の姿を見かけました。
福島第一原発の空いているスペースは、これら高さが約30メートルのタンクですべて埋め尽くされているように見えます。
福島第一原子力発電所の現場の案内にあたった東京電力の東電原子力・立地本部の岡村祐一本部長代理は次のように語りました。
「私たちは、福島第一原発の敷地内に延々と汚染水タンクを作り続ける悪循環から抜け出さなければなりません。」
福島第一原発の事故収束・廃炉作業現場では現在7,000名が立ち働いています。

凍土壁はこの悪循環を断ち切るために、最新技術を持って世界最大の冷凍装置を作り上げる取り組みです。
長さが約30メートルの冷却用パイプを約1メートル間隔で地中に埋め込み、その中を摂氏マイナス30度にまで下がる冷却用冷媒で満たします。
それぞれのパイプの周囲には半径約50センチの大きさの凍土が形成され、これによって継ぎ目のない遮水壁が出来上がるよう設計されています。

03 Spiegel
この凍土壁の建造にあたるのはゼネコン最大手の鹿島建設(株)ですが、同社のエンジニアはパイプの周囲の土壌が完全に凍結するまでには約2ヵ月を要すると見積もっています。
凍土壁すべてを完成させるのに使われるパイプの数は1,568本ですが、凍土壁の建造と維持には30基の巨大な冷凍装置を必要とし、1年間に13,000軒以上の一般家庭が消費するのと同じ量の電力を消費することになります。

巨大地震と巨大津波が東日本に壊滅的被害を与えてから5年が経ちますが、日本はまだ完全に立ち直った訳ではありません。

地中を凍結させ地下水の流入を遮る技術は世界中のトンネル工事や鉱山で使われていますが、これ程の規模で地中を凍らせた例は未だかつてありません。
しかもそこは想像を絶する規模の原子力発電所の事故現場なのです。

凍土壁パイプ
この凍土壁プランはそもそも計画段階から、多くの専門家から疑問を突きつけられてきました。
何人かは原子力発電所の敷地の地下に埋設されている設備が障害物になる可能性があると指摘しました。
そのひとつが原子炉建屋と各種設備をつないでいる地中の各種のパイプで、結果的にこれらは凍土壁に開いた穴のようになり、結果的に何本ものパイプを通って汚染水が漏れ出す可能性があります。
別の批判は鋼材やコンクリートを使った従来工法の方が確実に流れ込みを止められるはずなのに、なぜ敢えて通常とは異なる方法を採用する必要があったのか、という疑問を突きつけています。

何人かは日本政府と東京電力が当初汚染水問題について後手に回り続けたことを念頭に、凍土遮水壁計画は印象だけは派手なものの、内実は事故処理の序盤からイチかバチかの危険な賭けに出るようなものだと批判しました。

喫緊の課題として解決が急がれる理由は2020年に開催される東京オリンピックです。
3年前、安倍首相は国際オリンピック委員会に対し、福島第一原発の汚染水問題は解決に向けた作業が順調に進んでいると保証することにより、東京の開催権獲得に動きました。

汚染水06
「福島第一原発の凍土壁はヘイルメアリー(ゲーム終盤で苦戦を強いられているチームが最後の賭けとして得点を狙うために投げるロングパスのこと - http://eow.alc.co.jp/ より)です。」
日本に拠点を置く独立した放射線監視グループのセイフキャストの研究者、アズビー・ブラウン氏がこう語りました。
「東京電力は当初、地下水問題を過小評価していました。その挙句日本は非常に高くつく方法で、不足していた解決手段を手に入れようとしているのです。」

凍土壁計画を支持する人々も疑問を突きつけている人々も、間もなくこの計画がうまくいくかどうか、結果を確認することになりそうです。
2年に渡る作業を続け、鹿島は今年2月に地中を凍らせるためのパイプと冷蔵庫装置の設備工事を完了しました。
そして3月末、初めて一部のスイッチが入れられました。
建ち並ぶ原子炉建屋と太平洋の間を遮水する約0.8キロの区間です。
そしてさらに大きな部分を占める山側の遮水壁については、6月中旬にスイッチが入りました。

CB02
凍土壁建設主体の鹿島は日本の原子力発電所監視機関である原子力規制委員会の指示の下、段階的に地中の凍結を始めています。
同委員会は地下水の流れを突然遮断した場合、汚染水が逆流することを懸念しています。
特に原子炉建屋内の汚染水の行き場がなくなってあふれ出すようなことになれば、汚染水は周囲の敷地を再度汚染し、結果的には太平洋に流出することになります。

<3に続く >

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【 2016年8月の宇宙写真 】

アメリカNBCニュース 2016年8月31日

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8月23日スウェーデンのエリクスルント村で観測されたオーロラ。(写真上)
8月24日仏領ギアナ、ヨーロッパ宇宙ステーションから発射されるアリアン5ロケット。この後地球の周回軌道に2基の通信衛星、インテルサット33eと36を載せることに成功しました。(写真下・以下同じ)
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8月12日、年に一度のペルセウス座流星群の撮影を行うため、ウェスト・ヴァージニアのスプルース・ノブを登る車のライトを30秒露出で撮影した写真。
space03
8月27日NASAのジュノー宇宙船が木星に最接近した際、437,000マイルの距離から撮影した写真。
1995年に開始されたNASAのガリレオ・プロジェクトは開始以来5年の歳月をかけ、7月4日ロボット惑星探査衛星が史上初めて太陽系の最大の惑星である木星の周回軌道に入ることに成功しました。
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http://www.nbcnews.com/slideshow/month-space-august-2016-n640836

【 福島第一・巨額の税金をつぎ込んだ賭けの結果は 】《1》

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事故当初と比べれば減少した汚染水漏出、しかし現在も止まることなく続いている可能性が高い
稼働開始2ヵ月で完成するはずだった凍土壁、4ヵ月経過しても尚未完成
未だに増え続ける高濃度汚染水、福島第一原発の現場は汚染水タンクだらけ

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2016年8月27日

汚染水タンク2016
福島第一原子力発電所 — この問題については地上にはそれ程の設備が目立つわけではありません。
地上にあるのは2、3本のまっすぐに伸びた金色のパイプだけで、それよりは近くにあるはるかに大きな傷ついた原子炉建屋の方が圧倒的に大きな存在感を持っています。

強烈な印象を与えるはずのものは目に見えない地下で形を作っているのです。
それは深さは約30メートル、長さ約1,600メートルに及ぶ地下凍土壁、目的は現在も進行中し福島第一原子力発電所の状況を危機的なものにし続けている放射能汚染水の問題の解決することです。
公式名称は『凍土方式による陸側遮水壁』、しかし凍土壁の名の方が一般的なこの計画は、サイエンスフィクションかジェームズ・ボンドが活躍する映画の中の空想の産物のようにも受け取れます。

しかし5年前に地震と津波が引き金となって発生した福島第一原発の事故により3基の原子炉がメルトダウンし、その原子炉建屋の中に容赦なく流れ込む大量の地下水の流れ込みを遮断することを目的としたこの野心的である一方、批判も多いこの計画は、今現実になろうとしています。

日本政府が350億円の費用を負担して築かれる人工永久凍土壁は、メルトダウンした3基の原子炉を含む原子炉建屋がある場所一帯を巨大な長方形のバリアを作って隔離することを目的とします。

http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/landwardwall/index-j.htmlより

http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/landwardwall/index-j.htmlより

作業が順調に進めばこの秋にも実用化される永久凍土壁は、原子炉建屋の地下部分へのこれ以上の地下水の流れ込みを遮断するダムの働きをすることになります。
これにより毎日放射能汚染水が作り続けられている現在の状況を改善し、その漏出を改善する効果が期待されています。
汚染水の漏出は災害発生当初と比べれば著しく減少はしましたが、現在も止まることなく続いている可能性があります。

しかし凍土壁は費用が莫大な上に、非常に手間のかかる方法であり、その挙句効果が無い可能性もあると大きな批判を浴びてきました。
凍結のための電源を入れたにもかかわらず、4カ月経過しても尚完全に凍結していない部分がある事実を東京電力が公表した8月、その懸念は再び大きなものになりました。

批判の中には電源を供給されることによって凍結状態を維持するこの装置は、高さ約15メートルの津波によって電源を喪失し原子炉の冷却が出来なくなってメルトダウン事故を起こした福島第一原子力発電所と同じように、天災に弱い可能性があると指摘するものもあります。

http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/landwardwall/index-j.htmlより

http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/landwardwall/index-j.htmlより

福島第一原発を建設した東京電力は1960年代、海面に近い場所に原子炉を設置するため山を削り取る方法を採用しました。
このため、地下水をポンプでくみ上げることがより容易になりましたが、結果的に原子炉を地下水を大量に含む浸透性の高い地下の岩石層に近づけることになりました。
この地下水は主に隣接する阿武隈山脈に降った雨や融雪によって地下に流れ込み、そのまま太平洋に流れ込んでいます。

福島第一原発の原子炉建屋は2011年3月11日に事故を起こすまでは、何とかこうした地下水の流れ込みを防いできました。
ところが天災である東日本大震災の巨大地震、あるいは3基の原子炉が爆発・メルトダウンを起こしたことにより、原子炉を支える基礎部分に亀裂が生じ、地下水がより流れ込みやすい状況が作られました。
それ以降1日あたり約15,00リットルの地下水が原子炉建屋の地下に流れ込むという状況が作られたのです。

いったん原子炉建屋内に入り込めば、地下水はそのまま高濃度の放射能汚染水に変わり、存在そのものが福島第一原発の事故収束・廃炉作業の障害になってしまいます。
メルトダウンが進行していた当時、高温になって溶けだしたウラン核燃料は原子炉の鋼鉄製の床を溶かしてさらに下に向かい、基礎部分にも浸透して行ったと見られていますが、正確な状態も場所もほとんど解っていません。

汚染水排水設備01
溶け落ちた核燃料に直接触れることにより、高濃度に汚染された放射能汚染水が絶えず溢れだしている状況では、技術者もメルトダウンした燃料の状況を確認しようがないのです。

事故発生以来、原子炉建屋に5台のロボットが送り込まれましたが、きわめて高い放射線量と散乱するがれきが障害物となり、いずれも回収することはできませんでした。

冷却剤を満たしたパイプによって作られる凍土壁は、高濃度の汚染水の漏出を止めることも目的のひとつです。
この汚染水は核廃棄物の保管管理に関するきわめて厄介な問題も作りだしています。
東京電力は原子炉建屋に流れ込んだ地下水が太平洋に漏れ出さないようにいち早く回収し、敷地内に大量に並べられた専用のタンクに保管しなければなりません。
東京電力によれば福島第一原発の敷地内にはすでに1,000基以上の汚染水タンクが建造され、保管されている800,000トン以上の汚染水は、オリンピックプール320杯分の量に達しています。

< 2に続く >

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【 アレッポの子供たち : シリア内戦の戦場での生活 】《4・最終回》

アメリカNBCニュース 8月22日

aleppo16
現在、アレッポ市内の子どもたちの3分の1が2011年から始まった内戦発生後に生まれました。
日々繰り返される戦闘だけが、この子供たちが知っている『日常』なのです。
2016年8月20日、アレッポ市内の反政府勢力の支配地区で、破裂した水道管で出来た水たまりで水浴びをする男の子。(写真上)

2016年8月19日、破壊された家の外で遊ぶ幼い子供。(写真下・以下同じ)
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2016年8月9日、路上でサッカーに興じる少年たち。
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シリアのバシャル・アル・アサド大統領の政府軍によって破壊された自宅から身の回りの品を運び出す少年。
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2016年6月9日、看護婦から授乳される新生児。
この赤ちゃんはシリア政府軍がこども病院を破壊する前日、医療スタッフによって別の建物の地下に避難していました。
aleppo20
2016年7月24日、こども病院の入口に積み上げられた土嚢。
aleppo21
www.nbcnews.com/slideshow/aleppo-s-children-endure-life-syrian-war-zone-n636011

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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