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星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

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【 脱原発の実現、そして成功 】《前篇》

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「誰も、もう原子力発電については話をしようとしません、する必要もなくなりました」
ドイツは再生可能エネルギー革命を成し遂げ、他国が真似できない成功を手にした

イェンス・スラウ / ドイツ国際放送 3月10日

フクシマ 1
福島の事故発生から5年、いわゆる『脱原発』はドイツにおいてはもう議論のテーマではありません。
ドイツがこうした状況に到ったことについて、海外のせいもんかたち専門家の反応は賞賛と驚きが交錯するものであったとイェンス・スラウ氏が語りました。

つい最近ベルリンである日の夕刻に、エネルギー移行に関する議論が行なわれました。
その中にいたのは、キリスト教民主同盟(CDU)の前環境大臣、実業界の代表、環境保護団体の代表者などです。
議題にされたのは風力発電タービンとその設置に反対する意見について、そして石炭火力発電所への過剰な依存と放出される温室効果ガスの問題でした。

時折原子力発電に話が及ぶこともありましたが、それは将来のエネルギー計画の参考にするため過去を検証するためのものでした。

誰も、もう原子力発電については話をしようともしません。

EDF
現在未だ8基の原子炉がドイツ国内の送電網に電気を送っています。
かつては約20基の原子炉が稼働していました。

そしてこれから6年の間に残る8基の原子炉も順次停止、廃炉にされる予定になっています。
原発の廃止の是非についてはもはや議会で議論されることも無く、国民の間で議論になることもありません。

この事実を前にこれから国内に残されることになる原子炉の解体と廃炉に誰が取り組み、一体どれだけの時間と費用がかかるのか、ドイツの原子力発電には最も大きな課題が残されています。
この問題については未だに機論が続いており、結論は出ていません。

電力会社が支払うのでしょうか?
あるいは国民に新たな納税義務が課されることになるのでしょうか?
この問題については、関係者がこれからも議論を続けなければなりません。

▽ 首相たちの決断

FR24 破壊された福島第一原発
5年前、状況は全く異なっていました。
メルケル首相がドイツ国内の原子炉の稼働可能な枠を拡大した直後、福島第一原子力発電所の事故が発生しました。
これを受けメルケル首相が行った政策転換は周囲をアッと言わせるものでした。
ドイツは近い将来、原子力発電を全廃すると宣言したのです。

この時、キリスト教民主同盟(CDU)はこの決定のための協議には与かりませんでした。
原子力発電の全面廃止については未だに党内に不満がくすぶっていますが、最近では幾分弱いものになってきました。

当時を振り返るとキリスト教民主同盟にとって、メルケル首相がこのような明確な決断を行う人間であるということを認識させられたのは初めてのことでした。
最近はメルケル首相は難民危機の問題で、再びその決断力を発揮しました。

anti02
エネルギー政策の転換は福島の事故以前にも行われていましたが、事故発生以降はエネルギー政策の転換は加速していいます。
ドイツは今や、全電力の3分の1を再生可能エネルギーによってまかなっています。
国土の北部で発電された電力を南部の工業地帯に送るため、国中に送電線網が築かれています。

しかし風力発電と太陽光発電への助成金は、電気料金の高止まりの一因となっており、納税者にとっては頭の痛い問題です。
しかしながらこうした取り組みそのものを脅かす程、国民の反対が大きいわけではありません。
悲観的にものを見る人は、再生の電力供給能力について不安を口にしています。

しかし実際には、再生可能エネルギーによってこれほど安定した電力供給を行っている国は他には無いのです。
すべてがうまくいっていると言っても過言ではありません。

http://www.dw.com/en/opinion-fukushima-5-years-on-the-germans-are-crazy/a-19109743
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【 5年目の追悼 : 東日本大震災 】

マーク・ウォルウェンダー / ガーディアン 3月12日

東日本大震災01
墓碑銘に映る祈りを捧げる男性の姿。宮城県仙台市。(写真上)

避難先で修了証を受け取る福島第一原発から4キロの場所にあった大熊中学校の卒業生。(写真下・以下同じ)
東日本大震災02
指定避難区域内の霊園内の墓石に捧げられた花。
東日本大震災03
津波が襲来した時刻に合わせて、犠牲者に黙とうを捧げる福島第一原発の事故収束の作業員。
東日本大震災04
請戸地区で津波の犠牲になった娘に祈りを捧げる両親。
東日本大震災05
仙台市深沼の海岸で、海に向かって花束を投げる女性。
東日本大震災06
グラスに入ったキャンドルを並べ、東日本大震災の犠牲者のために祈る人々。名古屋市。
東日本大震災07
http://www.theguardian.com/environment/gallery/2016/mar/12/japan-commemorates-victims-of-2011-tsunami-disaster-in-pictures

【 日本から米国へのプルトニウム移送、2隻の武装英国船で 】

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日本が行なっている核燃料再処理事業は、核拡散問題における世界の脅威
たとえ六ヶ所村再処理施設が稼働を開始しても、日本の核廃棄物問題の状況は改善されない

 

山口まり / AP通信 3月21日

プルトニウム輸送01
2隻の英国船籍の輸送船の内の1隻『パシフィック・イーグレット』が3月21日月曜日、東京の北東にある東海村に着碇しました。
この船は日米両政府の相互協約に基づき、秘匿されていた数十発の核爆弾が製造可能な量のプルトニウムを日本から米国の核貯蔵施設に移送します。
日本の共同通信社はパシフィック(太平洋)核輸送株式会社が運営する2隻の装甲船が、国立研究開発法人である日本原子力研究開発機構の本拠地がある東海村の沿岸に3月21日未明に到着したと伝えました。
日本の市民グループもその事実を確認しました。

プルトニウムが充填された特別なキャスク樽を輸送船に積みこむ作業は数時間かかります。
輸送船は2隻とも砲その他の防御武器を備えています。

『パシフィック・イーグレット、パシフィック・ヘロン』(イーグレットもヘロンもともに鷺を表す単語)の両船ともパシフィック(太平洋)核輸送株式会社が運営するものですが、2014年に日本政府が行なった誓約に基づき、日本国内にあったプルトニウムの331キログラムをアメリカ、サウスキャロライナ州にあるサバンナ川核貯蔵施設に移送します。

川内原発議会
このプルトニウムは大部分は英国から、そして少量を少し米国とフランスから提供されたものであり、これまで日本国内における研究のために使われました。

日本の報道各社と国内の国際的反核団体によると、パシフィック・ヘロンが沖合で待機中、パシフィック・イーグレットがまず着岸し、プルトニウムの積み込みを行っていたようだと語りました。
日本の当局は警備上の理由から詳細の確認を

発電用の燃料としてプルトニウムを使うという再処理事業への日本の取り組みと、そのための備蓄は、安全保障上の理由すら、国際社会の懸念の的になってきました。

11メートルトンに加え36トンのプルトニウムが英国とフランスでの再処理を終え、建材日本に返還・移送するための準備が進められていますが、この量は核爆弾6,000発が製造可能な量です。

今回の移送は3月下旬にワシントンで開催される核セキュリティ・サミットの直前のタイミングで行われ、日米両国の核拡散防止努力に対する取り組みを世界に向けてアピールする目的もあるものと見られます。

don't need it
原子力発電の過程でプルトニウムを生み出し続ける核燃料再処理計画については、日本と中国が実際に行い、韓国もまた強い関心を寄せています。
しかしアメリカ政府はこれまでも度々、核燃料再処理計画は安全管理と核拡散の上で危険が大きいとして懸念を表明してきました。

アメリカの環境保護団体であるサバンナ川核貯蔵施設監視団は、プルトニウムを安全に保管する必要性は認めるものの、外国で作りだされたプルトニウムまでアメリカの国土に建設された施設に運び込まなければならないのか、疑問を感じるという声明を発表しました。

月曜日に発表されたこの声明の中で、監視団の責任者であるトム・クレメンス氏はアメリカ政府に対し、
「核セキュリティ・サミットにおいて、核問題においてアメリカが本来取るべき立場を確認するとともに、日本が行なっている再処理事業が核拡散問題において世界の脅威となっている現実を指摘し、日本に再処理事業を中止するよう厳しく迫るよう」求めました。

anti02
日本は1990年代初頭、フランスの国有企業アレバ社とともに大規模な再処理施設の建設に着手しました。 しかし技術開発は思うように進まず、繰り返されたトラブルによりこのプロジェクトはその都度大幅に遅れることになりました。
昨年11月、安全基準とより詳細な点検を行うため、再処理施設の操業開始は2018年まで延期されました。

専門家は次のように指摘しています。
日本が使用済み核燃料のリサイクル事業を完成させる望みはほとんどなく、たとえ六ヶ所村再処理施設が稼働を開始しても、使用済み核燃料や備蓄プルトニウムの処理問題の状況改善にはつながらないと。

プルトニウムを核燃料として使用する高速増殖炉『もんじゅ』の計画は20年以上計画に遅れが生じ、公平に見てその実現は不可能との大勢の見方によりその事業は廃棄寸前にまで来ており、従来の原子炉でウランとプルトニウム混合物であるMOX燃料を燃やす別の計画も福島第一原発の事故以降休止状態が続いています。
日本の国内の稼働可能な43基の原子炉のうち、現在稼働しているのは2基だけです。

 

http://bigstory.ap.org/article/d01e23d54d3a41888470399b086cb58f/2-british-ships-arrive-japan-carry-plutonium-us

【 フクシマ : 私たちが学びそこねた教訓 】《後篇》

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核燃料は鉱山のある場所一帯を放射性物質で汚染した後、生産国から危険を海外に輸出し、放射性廃棄物と化してその地域一帯にそれまでなかった危険を作り出す
原発事故は他とは比較にならない程深刻に環境を汚染し、経済と人間生活を徹底的に破壊、今なおその後遺症は日本国内にとどまらず、遥か離れた場所にまで及んでいる

デイブ・スウィーニー / ガーディアン 3月10日

2016
世界のウラン鉱物資源の約35%が埋蔵されているオーストラリアは、これまで長期間世界の核燃料取引の舞台の主役であり続けました。

1980年代以降、オーストラリアのウラン採掘は、2つの巨大事業によってほぼ独占されてきました。
いずれも南オーストラリア州の北辺に位置するカカドゥ・レンジャー・ウラン鉱山とオリンピック・ダムウラン鉱山です。

2011年以降も世界各国の巨大企業は、両方の事業に出資をすることにより、核燃料事業に対する考えを明らかにしてきました。

カカドゥ・レンジャー・ウラン鉱山における採掘事業はすでに終わりましたが、これまでに採掘され備蓄されている鉱石の処理始業は継続しています。
そしてはカカドゥ・レンジャー・ウラン鉱山のオーナーであるリオ・ティント社は、高額な費用を要ししかも複雑な構成を持つこの施設の復旧作業に取りかかる準備を進めています。

核廃棄物01
オリンピック・ダムでは世界最大のウラン鉱山会社であるBHPビリトン社が、2012年承認を受けた数十億ドルを投資した長期間に渡る拡張計画を棚上げにし、南オーストラリア州政府を唖然とさせました。
同じ南オーストラリア州のハネームーン社のような比較的小規模な鉱山会社は事業の見直しと再編、そして設備のメンテナンスなどを行っている状況にあります。
採掘事業などの現業から撤退し、受注取次や営業事務など普通の企業と変わらない業態への転換を行い、『再び良い時代が巡ってくることを』待っています。

歴史的に見てウラン採掘業は政治家との癒着に対する不信、鉱山の数に対する規制、当然課されるべき許認可についての数多くの不備、そして先住民族アボリジニと地域社会の反発といった問題を抱えたまま今日に至っています。

近年これらの問題のうち、政治的制約は低下する傾向にありますが、福島第一原子力発電所の事故以降、原子力発電に対する反発と拡大と、それに伴うウラン燃料価格の低下が、いずれも劇的なほど大きなものになっています。

waste02
10年前世界市場で18%のシェアを持っていたオーストラリアのウラン生産量は、現在約11%ほどになりました。
2014年のオーストラリアのウラン生産量は5,000トンでしたが、この量はこの16年間で最低となりました。
ウラン鉱業はオーストラリアの輸出総額の0.2%未満、雇用面では0.02%の割合を占めています。
ウラン関連産業で働いている総人数は1,000人未満です。

ウラン産業の継続と安定した業績の確保に関する熱意を秘めるオーストラリア政府は、思い切った手を打とうとしています。

彼らは求められているウラン採掘業という業態そのものに対する再評価を行おうとはせず、その代わりに最も最近の例ではまだ規制基準の整っていないインド向けに、大量のウランを無責任に売りつける商売を急速に拡大しつつあります。
こうした事業に対する許認可は極めて迅速に行われ、原子力規制機関もあえて問題にせようとはせず、地域社会の懸念などは真剣に取り上げられないままうやむやにされています。

01ドイツ・反原発
さして儲かるあてもなく、将来性もないウラン採掘業はこうして続けられています。
要するに大きな危険を伴う割には配当の少ないのが、オーストラリアのウラン核燃料事業なのです。

それは鉱山のある場所一帯を放射性物質で汚染した後、生産国からと核燃料の危険を海外に輸出し、その挙句に放射性廃棄物と化してその地域一帯にそれまでなかった危険を作り出すのです。

このサイクルこそは福島第一原発の事故の原因のひとつを作り出しました。

他とは比較にならない程深刻な環境汚染をもたらし、経済、人間の生活を徹底的に破壊し、今なおその後遺症は日本国内にとどまらず、遥か離れた場所にまで及んでいます。

アルジャジーラ抗議集会
「福島で起きたことを、私たちは絶対に忘れないようにすることが必要です。」
福島第一原発の事故発生から5年という節目を迎え、長谷川健一さんが語ったこの言葉こそ、オーストラリアのウラン核燃料事業の本当の価値を、利害から離れた立場で表現した、まさに正しい評価だということを、私たちは胸に刻み込む必要があります。

〈 完 〉
http://www.theguardian.com/commentisfree/2016/mar/11/fukushima-five-years-on-and-the-lessons-we-failed-to-learn
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【 東京のサクラの名所、満開に 】

アメリカNBCニュース 4月4日

桜01
3月21日、靖国神社。東京のサクラの開花。(写真上)

4月4日、満開になった皇居のお濠のサクラ。(写真下・以下同じ)
桜02
4月4日、皇居のお濠から東京タワー方向を望む。
桜03
3月22日、桜の花の蜜を吸うオカメインコ。
桜04
4月5日、横浜。
桜05
4月2日、東京。
桜06
http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-march-23-n544581

【 フクシマ : 私たちが学びそこねた教訓 】《前篇》

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フクシマ、それは原子力発電所事故の犠牲の大きさ・放射能汚染の深刻さを一言で表現する世界共通語、
福島第一原発の事故は私たち世代の進路を変えた、決定的かつ世界的出来事のひとつ

デイブ・スウィーニー / ガーディアン 3月10日

2016
ちょうど今から5年前、世界は息を殺しせわしなく指を組んだり離したりしながら、ひとつの新しい言葉を学びました。

フクシマ。

本来日本の県のひとつ、あるいは地方都市の名前に過ぎないこの言葉は、原子力発電所事故の犠牲の大きさと汚染の深刻さを一言で表現する世界共通語になったのです。

福島という日本語の意味は「幸福に満ちた島」というものですが、福島の運は2011年3月11日、原子炉の中でメルトダウンしてしまいました。

津波によって重要な冷却システムを破壊されてしまった3基の原子炉がメルトダウンを起こした福島第一原発は制御不能に陥り、大量の放射性物質を環境中に放出、こうして福島第一原発の事故は私たちの世代における、決定的、そして世界的出来事のひとつとなったのです。

この事故はひとつの分野において、その方向性を決定的に変える必要があるという事実について、世界に警鐘を鳴らす出来事となりました。
この事故の原因を作りだしたのは複数の国々であるというべきですが、福島第一原発でメルトダウンした核燃料を供給し、現在も世界に原子力発電の燃料を供給しているオーストラリアも、深く潜行する関連性を認識しないわけにはいきません。

4号機建屋
3月11日に発生した東日本大震災の巨大地震と津波は、東北地方の太平洋沿岸部のほとんどに、壊滅的な打撃を与えました。
そして東京電力が経営する福島第一原発の安全装置とバックアップシステムを完全に破壊し音発生した事故は人命の喪失につながり、大量の住民避難、何兆円規模の経済損失、そして大気、土地、海洋の大規模汚染へと拡大して行きました。

危機は現在も続いています。

日本政府の原子力規制当局は、今後40年以上続くとされる事故収束・廃炉作業の中で、現在も続いている放射性物質の放出、増え続ける高濃度汚染水と放射性廃棄物をどう管理するかの問題について、今後積極的に関わっていかなければならないだろうことを確認しています。
さらには東京電力の事故当時経営に携わっていた役員に対する「業務上過失致死、同傷害」の訴訟についても監視していかなければなりません。

2012年8月、私は事故の査察を目的とした国際的な公衆衛生専門家の派遣代表団に加わり、福島第一原発の事故現場に入りました。
私たちは事故によって祝福が不可能な程、人生と生活を破壊されてしまった人々と会い、話を直接聞くことができました。
そして人々も、将来の希望も、ともに消えてしまったいくつもの町や村を車で走り抜けました。
仮設住宅では、もう二度と生まれ故郷には戻ることができないという初老の原発難民と会いました。

NBC03
私たちは個人としての勇敢さに縁どられながらも、多くの人間の無関心さにさらされているゲンパツ難民たちの話を幾度となく聴きましたが、その脇ではいつもガイガーカウンターの不気味な音が鳴り続けていました。

一項の中にいた酪農家であり、もはや生産した牛乳を売ることが出来なくなった長谷川健一氏は、
「福島で起きたことを、私たちは絶対に忘れないようにすることが必要です。」
と語りました。

長谷川さんの生活と生計を取り返しのつかぬまで破壊してしまった事故の背後には、黄色地に黒でマークをつけられた大量の核燃料の存在があり、オーストラリアはその生産国として関わり合いを否定するわけにはいきません。

2011年10月、オーストラリア議会はその手抜きと怠慢によって世界に悪名をとどろかせた東京電力に核燃料を提供しているのがオーストラリアであること、そして事故発生当時、福島第一原発内に大量に保管されていたのは正真正銘オーストラリア産の核燃料であったことを確認しました。
福島第一原発周辺に大量に放出された放射性物質の源は、オーストラリア産のウラン鉱石だったのです。

FR24 破壊された福島第一原発
福島第一原発の3基の原子炉の中で溶け落ちた核燃料がオーストラリア産であることが確認され、果然、オーストラリアは世界の核燃料取引の中における自国の役割について再考を促され、かつ取引形態についても見直しが行なわれることになるものと思われました。

国連も同様の見解を持ちました。
国連事務局長は2011年9月オーストラリアに対し、
「ウラン鉱石の採掘に関し、地元の地域社会と生態系に与える影響の大きさについて徹底分析と評価を行うこと」を依頼したのです。

こうしたことはかつてなかった事です。
しかし今やその事を明確に求められることになりました。
そしてオーストラリアのウラン鉱石産業は、いくつかの分野で延び延びになって来た詳細な調査の実施と報告を求められることになります。

オーストラリアのウラン産業の最も最近の調査は、2003年10月の上院の質問に基づくものでした。
この時明らかになったのは環境汚染や環境破壊問題についての過小評価と客観的調査データと基準の欠落、企業コンプライアンスの欠如という産業界の特徴、そして近視眼的経営姿勢でした。

〈 後篇に続く 〉
http://www.theguardian.com/commentisfree/2016/mar/11/fukushima-five-years-on-and-the-lessons-we-failed-to-learn
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この稿は本来4月4日月曜日に公開の予定でしたが、掲載記録を確認すると3日日曜日に公開されていたようです。私の手違いによるものです。
後篇については6日水曜日に公開いたします。よろしくお願いいたします。
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【 つかの間の春の宴 : ワシントンDCの桜 】

アメリカNBCニュース 4月1日

cherry01
アメリカ国立公園局によれば、首都ワシントンの桜は3月25日に満開になりました。

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http://www.nbcnews.com/slideshow/farewell-cherry-blossoms-d-c-says-goodbye-brief-bloom-n549286

【 日本政府、1,600キロ沖合の小さな島に130億円を投入 】

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「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない」国連海洋法
東シナ海において軍事的活動を活発化させ圧力を強め続ける中国を、軍事的経済的にけん制するための前線拠点

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2月3日

沖ノ鳥島
沖ノ鳥島に7,500万ポンド(約130億円)の予算をかけて整備を行うという日本政府の発表は、中国政府との間の長年の紛争を再燃させる可能性があります。
中国側から見る限り、沖ノ鳥島はおよそ人間が暮らすことなど不可能な岩礁の集まりに過ぎません。

しかし日本側から見れば、『はるか沖合の鳥たちが羽を休めるための島々』として知られる広大な太平洋に散らばるこの小さな岩礁群は、東シナ海において軍事的活動を活発化させ圧力を強め続ける中国を軍事的にも経済的にもけん制するための、前線拠点として利用可能です。

日本政府は2月第一週、東京から約1,600キロ南方にある沖ノ鳥島の監視施設を再整備するため130億円を予算化すると発表しました。
しかしこの措置は中国政府との間で長年懸案となってきた海事問題を紛糾させる可能性があります。

近年、北東アジアのライバル同士が東シナ海の尖閣諸島の主権をめぐって外交的に衝突する間、沖ノ鳥島は見落とされてきました。

沖ノ鳥島01
これまで中国が沖ノ鳥島に関する領有権を主張したことはありませんが、日本政府がちっぽけな非常に小さい岩礁に多額の投資を行うことについて静観するつもりは無いと考えられます。
周囲には豊かな漁業資源があり、潜在的には大規模な海底油田などのエネルギー資源に加え、豊富なレアメタル資源なども存在しています。

この環礁は台湾と米国が領有するグアムのざっと中間に位置し、東西4.5km、南北1.7km程の大きさを持っていますが、東シナ海の尖閣諸島を巡る領有権争いに加え、南シナ海で同様の施設の建設を進める中国との間で緊張が高まる中、戦略的な重要性が増しています。

これまでこの付近での中国艦船の活動は対日本というよりは、台湾を巡って紛争が発生して米国艦船がこの海域内に入ってきた場合、潜水艦などの海底での作戦実施の際に必要になる海図作成のための調査であったと見られています。

中国政府は沖ノ鳥島の定義については人間が居住可能な島ではなく単なる岩礁であり、したがって周辺200海里に日本が排他的経済水域を設定することはできないとの主張を長年繰り返してきました。
海洋法に関する国際連合条約は、その第121条で島について次のように定義しています。
「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。」
そしてその第3項に次のように記されています。
「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」

こうした理由からこれまで日本は、中国が南シナ海において行っているような、大量の土砂とコンクリートを使って人工島を建設するような取り組みは行わず、代わりに現存する珊瑚層が海面下で消滅するのを防ぐ対策を行い、その周囲に排他的経済水域を設定してきました。

沖ノ鳥島02
1980年代後半から日本は干潮時に海面に現れる2つの岩礁を浸食から守るため、金属性の防波堤とコンクリート製の護岸設備を作るのに約700億円を投じてきました。
そして第3の岩礁については、波が運んでくるがれきなどからの保護のため、チタン製のネットがかけられています。
そして付近を航行する艦船をモニターし、国土交通省に情報を送るために地上3階建てに相当する監視硝を建設しました。
国土交通省の担当者は朝日新聞の取材に対し、恒常的な浸食に台風の接近による損傷が加わり、倒壊を防ぐため緊急修理が必要になったと答えました。
「これらの施設一式の保全のため、再整備を行う必要があります。」
氏名は明らかではありませんが、同省の担当者はこう語りました。
「できるだけ早く建設に着手したいと考えています。」

http://www.theguardian.com/world/2016/feb/03/japan-spend-billions-yen-tiny-okinotori-islands-1000-miles-south-of-tokyo
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【 今週3月20日~26日の傑作報道写真ベスト20から 】

グレッグ・ホワイトモア / ザ・ガーディアン 3月26日

week01
ブリュッセル市内の建物の壁に、テロの犠牲者へのメッセージを書く2人の男性。(写真上)

ユダヤのプリム祭(エステル記に記された古代ペルシャでの大量虐殺からユダヤ人が逃れ得たことを祝う祭り)の休日、ネタニアのシナゴーグへ向かって歩く女の子。(写真下・以下同じ)
week02
ニュージャージー州の住宅火災の現場の消防士。
week03
マケドニアとの国境の町、ギリシア、イドメネイ村の畑の中にたたずむ難民の子供。
week04
インド、スリナガルから約75キロの場所にあるカンガン村でブランコで遊ぶカシミール地方の女の子。
week05
キューバの首都ハバナで演説するテレビの中のオバマ大統領を見つめる男性。
week07
インドネシアのスマトラ島で、子どもを抱きかかえるオランウータンの母親。
week08
今週亡くなったオランダの伝説的サッカープレーヤー、ヨハン・クライフの自宅前に置かれた写真を濡らす雨の滴。
week09
http://www.theguardian.com/artanddesign/gallery/2016/mar/26/the-20-photographs-of-the-week

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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