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星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

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【 汚染された故郷、再建できない生活、そして原発難民の帰還へ強まる政治的圧力 】〈後篇〉

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所要時間 約 8分

「安全な故郷」に向かうはずの道の脇に、延々と並ぶ放射性廃棄物の黒い袋
「原発被災者は元いた場所に帰れ」、そのために様々に『仕組まれる』補償制度
一度原発事故が起きてしまったら、満足な賠償・元通りの生活など望むべくもない

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 4月27日

2014年3月、安倍晋三首相が田村市を訪れた際、冨塚市長は原発被災者が充分な補償を得られるよう求める手紙を手渡しましたが、未だに回答はありません。

※写真
都路地区への帰還が開始されましたが、そこに続く道の両側には放射性物質に汚染された廃棄物を詰めた黒いビニール袋が大量に積み上げられています。
都路村住民03

住民同士の結びつきが強い日本の山間部や農漁村などでは、普段は訴訟などの係争ごとは敬遠されるにもかかわらず、都路地区では500人程の住民たちが東京電力に対し充分な補償を求める1~2の訴訟に、原告として加わっています。

多くの原発避難者、特に小さな子供たちがいる家族は放射線被ばくの懸念があり、かつての住居には戻りたくないと考えていますが、日本政府は都路地区は最早安全であると主張しています。

もともと都路地区は事故の際に、最も規模の大きな放射性物質の降下を免れており、付近と比較すれば汚染の程度がひどくない場所でした。
そこに1,300名の作業員が入り、土地の表面の土を削り取って新たに汚染されていない砂利を策など大規模な除染作業を行った結果、さらに放射線濃度を下げることができました。

最近の現地調査による放射線量は最高で毎時0.23マイクロシーベルトという値であり、これは事故以前の放射線量の3倍程度あり、避難区域に指定されている近隣の市町村と比較すれば低い値です。

しかしこの数値が人間にとって安全なものであるかどうかは、大いに議論のある問題です。

多くの専門家は、長期間被ばくを続けることが人間の健康にどう影響するか、経験も知識もほとんど無いことを認めました。

全域が避難区域となり住民が居なくなった市町村の中で、都路地区が再び人間が住めるようになったモデルケースになることを日本政府も福島県も期待していました。
現在のところ、帰還を果たした住民は全体の3分の1に留まっています。
その3分の1の人々の大半は、最早ガンの発症などそれほど気に病む必要が無いと語る年齢の高い人々です。

浪江06
2011年3月11日、地震と津波によって福島第一原発の冷却装置が機能しなくなり、都路地区の住民約3,000人は全員が次の日のうちに批難しました。
福島第一原発から20キロ以上離れた場所で暮らしていた大半の住民は、損害金として30万円を受け取り、半年後には自宅に戻っても良いとの通告を受けました

しかし大半の住民は戻りませんでした。
一部の人はその理由を店舗などの生活施設が再開していないことを理由に挙げましたが、多くの住民が放射線に対する懸念を主な理由に挙げ、未だに戻ろうとはしていません。

一方住んでいた場所が福島第一原発から20キロ以内にあった357人の住民については、事故発生から3年以上が経つ4月1日まで帰還が許されませんでした。
これらの人々は事故前の自宅の評価額の約半分に相当する、最も高い補償金を受け取りました。

その中に63歳の宗像国義さんがいます。
宗像さんは福島第一原発から南西15キロほどの場所にある農場で、壊れてしまった小屋を修理していました。
宗像さんは東京電力から受け取った補償額500万円では、祖父が建てた古い農家を修理するにはとても足りないと語りました。
板の間の床はひどく歪み、引き戸はもはや閉まりません。
しかし彼はここに戻ることも、去ることもできずにいます。

※宗像義邦さんが福島第一原発の事故発生以来、3年間打ち捨てられたままになっていた自宅の修理をしていました。(写真下)
都路村住民02
宗像さんは事故直後、最早この場所で生活することをあきらめ、北海道に渡りその場所でトラック・ドライバーとして人生をやり直そうとしました。
しかし蓄えも無く始めた再出発はたちまち金銭的に行き詰り、18か月後には断念せざるを得なくなり、被災者に対する月々の補償金を受け取るため、この場所に戻ってきました。

彼は3月に補償金が打ち切られてしまったら、その先生活して行けるかどうか自信が無いと語りました。
「結局、住民私は自宅を丸ごと捨てさせられた様なものでした。」
彼は引退前、福島第一原発で働いていたこともあり、放射線を特に恐れてはいないと語りました。
「補償金が欲しければここに戻って来るしかありません。しかしその金額は、この場所で生活を再建するためには、とても充電なものではないのです。」

キムさんと夫の水落聡さんは結局この場所に戻りませんでした。
2人は余生をこの場所で送るつもりで3,000万円をかけて自宅兼店舗を建てましたが、そのすべてが無駄になる事態が目の前にあります。

この建物の購入を前向きに検討してくれる人など現れそうにありません。
キムさんも水落さんも、この建物は実質的に無価値だと語りました。
しかし2人にはこのレストランを細々と経営する以外に生活手段は無く、借り上げ仮設住宅の家賃補償が打ち切られれば、この場所に戻る以外、選択の余地が無いだろうと語りました。

請戸09
「日本政府も電力会社も、事故以前と同じように原子力発電所を稼働させるため、すべてが元通りの状態に戻ったと言いたいのです。」

57歳の水落さんが、小さなレストランで妻の手伝いをしながらこう語りました。

「彼らは敢えて補償を充分に行わないことによって、被災者は元いた場所に戻るしかない、そのような選択をするように仕向けているのです。」

〈 完 〉


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この記事を読んでいて思い出したのが、パレスチナ住民に対するイスラエルの占領政策です。
私が本で読んだのは、パレスチナ住民の本来の権利・人権意識を奪うために、『政策として』理不尽な取り扱いを繰り返し、それに慣れさせることにより抵抗意識を徐々に奪っていくイスラエルの狡猾な手法でした。
記事を読み、原発難民の人々に対する現政権の対応もまた、同様の考えに則っているように感じました。

同時に「分割して統治せよ」という、英国の植民地政策で使われた手法も福島で用いられているようです。
すなわち体制に協力するなら可能な限り優遇し、そうでなければ冷酷に取り扱う、あるいは分母に含めずその存在が社会の目に触れないようにしてしまう。

そこには政権に協力する大手メディア、出版社などが加わって『権力カルテル』とも言うべき体制が構築されており、事実を次から次に闇に葬っている。
残念ながらそうした闇が広がり続けているのが、現在の日本であるように感じます。

【 汚染された故郷、再建できない生活、そして原発難民の帰還へ強まる政治的圧力 】〈前篇〉

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所要時間 約 8分

苦悩する地元住民は蚊帳の外、日本政府と『日本の大手メディア』による除染完了の安全宣言
「補償は打ち切る、原発被災者は元いた場所に帰れ」強まる安倍政権の冷酷な圧力
原子力ムラの強大な力を背景に、一部大手メディアと結託、日本の原子力発電の大復活を目論む
充分な賠償を行なえば、巨額の費用が表面化。そんな対応は原発に対する世論の反発を招くだけ

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 4月27日

都路村住民01
3年前に発生した福島第一原発の事故によって避難を強いられて以来、キム・ウンジャさんと彼女の夫は環境中に残る放射線の被害を避けるため、見事な山容を誇る自然の中にある村の丘の上にある自宅に戻ることを拒んできました。
しかし彼らは今、最早選択の自由は許されなくなるかもしれないと話しています。

2014年4月、日本政府は付近一帯を250億円の費用を投じて除染作業を行い、福島第一原発20キロ圏内の避難区域内では初めて、都路地区の安全宣言を行い住民の帰還を促しています。
この決定により事故の責任者である東京電力は、これまで負担していたキムさんたちが車で1時間ほど離れた場所のアパートの避難生活を可能にしていた、月々の給付金を打ち切ることが出来るようになります。

「日本政府と日本の大手報道機関は除染によって放射性物質がほとんど除去されたかのように伝えていますが、それはすべてうそです。」
と、韓国出身のキムさん(55)がこう語りました。
キムさんは日本人の夫と都路村の郊外で小さな韓国のレストランを経営しています。
「私はここから避難をしたいのですが、そうすることができません。私たちは今度の事で、お金をすっかり使い果たしてしまったのです。」

しかしそうした境遇にあるのは彼女だけではありません。
日本政府と国営放送、全国規模の報道機関が都路村の再開を、2011年3月の福島第一原発の事故が付近一帯を壊滅させて以来、初めての画期的な出来事として報道する一方で、地元の人々はその裏にある暗い現実について重い口を開きました。

彼らは、かつて住んでいた自宅は損傷がひどく、住むには危険過ぎる上、他の場所で生活を再開しようにも、未だに充分な賠償金を受け取れずにいると主張しています。

NBC25
ほとんどの家族にとって自宅は最大の財産ですが、元住民たちは東京電力がその家屋の補償すらきちんと行っていない点について、口をそろえて批判しました。

住民たちによれば、住んでいた場所によって最低でも事故前の評価金額の半額以上の補償が受けられるはずでしたが、実際には最高でも30万円程しか手にしておらず、受け取るべき金額の数パーセントに留まっています

多くの村民は補償金額そのものについても、未だに様々な形で放射性物質の漏出を続けている福島第一原子力発電所から充分に離れた場所で生活を再建するか、あるいは伝統的な農家の木造家屋を修理するには補償金額が低すぎると不満を露わにしています。
これらの家屋は地震によって損害を受けた後、福島第一原発の事故により住民たちが避難を余儀なくされたことにより放棄されたことにより、腐敗が進み、一部あるいは全部が倒壊してしまっています。

この結果避難を余儀なくされた多くの住民が不安定な状態のまま捨て置かれ、窮屈で劣悪な環境の仮設住宅で暮らし続けることを強いられるか、東京電力が費用負担していた都路村以外でのアパート生活を打ち切らざるを得ない状況に追い込まれています。
東京電力は日本政府から命令の下、各種の補償金の支払いを行っています。

元の住民たちは現在、望もうが望むまいが、かつて住んでいた場所に戻るよう求める圧力が強められつつあることを感じています。

日本政府は現在月額数万円から十万円を超える月々の補助金を、来年3までに打ち切ることを公表するとともに、仮設住宅についても順次閉鎖していくことを発表しました。

それ以前に帰還を果たした村民に対しては東京電力が90万円の一時金を支給することになっており、このことも帰還への圧力を強めています。

岡原10
「東京電力は、補償問題についてあまりにも不当な態度を取り続けています。」
都路地区が属する田村市の冨塚市長がこう語りました。
「私たちは被害者なのです。なのに充分な補償を求めるために、東京電力まで出向いてぺこぺこと頭を下げなければならないのでしょうか?」

150,000人の住民が避難・移住を強いられた福島第一原発の事故の被災地では、日本政府が3兆6,000億円をかけて行っている除染作業進んでいますが、専門家は都路地区が除染完了と住民帰還の先例と位置づけられていると語っています。
同時に専門家は、強大な力を持つ原子力産業に対する批判を抑え込み、日本の原子力発電事業全体について、可能な限り福島第一原発の事故以前の状態に戻すため、事故の被災者たちは日本政府の圧力が強まっていることを感じとっていると指摘しました。

「その態度はまさに冷酷で、無責任です。」
原発事故の被災者が充分な補償を受けられるよう、東京に拠点を置いて被災者のサポートを行う法律組織『原発被災者弁護団』( http://ghb-law.net/ )の弁護団長を務める丸山輝久弁護士がこう語りました。
「日本政府は充分な賠償を行なえば、巨額の資金が必要になり、そうなれば日本で原子力発電を続けることに対する一般国民の疑念を呼び覚ましてしまう、その事が解っているのです。」

東京電力はこれまで支払った様々な形の補償・賠償金の総額が3兆6,000億円に上っている以外のことについては、コメントを拒否しました。
東京電力の広報を担当する山岸氏は、次のように語りました。
「わが社はそれぞれのお申し出について、心を傾けてお話をうかがっています。」

NBC22
補償について基準作りを進めている文部科学省のスポークスマンは、ひとり一人の被災者の要求に出来るだけ対応するようにしているが、すべての要求に応ずることは難しいと語りました。

補償関連の係争問題を解決するために設立された政府の委員会は、これまで不満を持つ避難者から10,000通以上の請願書を受け取ったと述べました。

〈 後篇につづく 〉


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何度か書きましたが、仙台市で暮らしている私たちは3.11を体験することにより、住む場所や家を奪われるという事がどういう事なのか、その『臨死体験』をしたように思います。
そして原発難民になってしまわれた方々は、実際にそれまでの人生を奪われるという苛烈な体験を強いられることになってしまいました。

福島、宮城、岩手の3県の被災地の中にあって、原発難民の方々の境遇だけは想像を絶するもののようです。
しかしそこにある『理不尽さ』が相当に大きなものである事だけは、容易に想像できます。

ではなぜその理不尽さは、そのまま放置されているのか?
その理由については、後篇をご覧ください。

【 時を超え、場所を変え、作られ続ける原子力クライシス 】〈3〉

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所要時間 約 8分

子供たちが甲状腺がんを発症しても、事故との因果関係を否定する内外の『専門家』たち
権力にすり寄る『専門家』の心ない行動は、これまで幾度となく繰り返されてきた
政治と経済、そこにつきまとう権力欲と金、社会正義と対立するこれらが世界を支配し、世界を血と泥で汚し続けてきた
現実を直視し、勇気を奮って真実の議論を行い、正しい認識を求める人々を敵視する現在の日本の体制

金子 千穂 / フェアウィンズ 4月10日

現在国際原子力機関(IAEA)と福島医科大学は、福島県住民の健康データを収集・照合する作業を一緒に行っています。
多くの住民が恐れているのは、この取り組みが単に住民等を安心させるために行われているのではないか、あるいはさらに悪い事には真実を隠すための作業なのではないかという事です。

多くの人々はこの作業の先には、すでに結論が用意されているのではないかと恐れています。
すなわち福島県の人々が様々な病気を発症しても、福島第一原子力発電所の事故との直接の因果関係は証明できないという結論です。

昨年12月には福島第一原発の事故発生当時18歳以下であった254,280人の青少年に対する健康調査が行われ、このうち74名が甲状腺がんを発症、あるいはがんの疑いがある事が確認されました。
このうち34人の子供たちは手術が必要とされ、すでにその手術は終わっています。

NBC福島03
この甲状腺がんの発症率は、まだ福島第一原発の事故が発生していない時点での発症率とは異なっています。
専門家の意見では100万人あたり、1人から17人の間で発症率の増加が認められます。
数値がいずれに近くても、現在の福島県内の甲状腺がんの発症率の増加は見過ごして良いものではありません。

しかし日本と世界の放射線の専門家の態度は、慨嘆に堪えないものです。
彼らはこうした事実が隠された現在も尚、福島第一原発の事故と子供たちの間の甲状腺がんの発症率の増加は『無関係である』という態度を変えていません。
権力にすり寄る『専門家』のこのような不見識な行動は、これまで幾度となく繰り返されてきました。
一体いつまで私たちは、このような不正義に耐え続けなければならないのでしょうか?

多くの日本人が今来る日も来る日も、どちらを選ぶべきかという望まぬ判断を強いられています。

今日はマスクをつける必要があるだろうか?

子供たちを連れて、もっと安全な場所に移住すべきではないのか?

女の子02
今買おうとしているほうれん草は、放射性セシウムに汚染されてはいないのだろうか?

福島第一原発が太平洋に大量のストロンチウム90を漏出している事実が判明した今、魚を買って食べても大丈夫なのだろうか?

しかし私たちにとって最も大切な選択については、だれもその権利を認めてもらう事は出来ませんでした。

地中に眠るウラニウムをわざわざ掘り出し、濫用した結果放射性物質が放出され、私たちが暮らす世界を汚染してしまっても良いのだろうか?

福島第一原発で発生し、今なお続く危機は日本国内にだけ留まる問題ではありませんでした。
それは時を超え、場所を変え、作られ続けてきたのです。

何か私たちに出来る事はあるのでしょうか?

私自身の心の中では、この世の中に再び正義を打ち立てるにはもはや手遅れではないのか、そんなあきらめにも似た思いがともすれば大きくなりがちです。
政治と経済、そこにつきまとう権力欲と金、社会正義と対立するこれらが世界を支配し、世界を血と泥で汚し続けてきました。

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可能な限りの重装備を施し、欲と二人三脚で弱い者・力ない者を蹴散らしながらばく進を続ける彼らの行く手を、祈りだけでさえぎる事など出来るはずが無いのです。

それを承知の上で、あえて私は言わなければなりません。

命、たとえそのひとつひとつはちっぽけであろうと、命、それは例えようも無く神聖なものです。

改めて人間の命が大切だと考えるなら、少なくとも私たちは放射性物質による環境汚染のペースを送らせるための手だてを考えなければなりません。

そして放射線の問題は、いわゆる『専門家』だけに任せておいて良い問題ではないのです。
彼らの正体はすでにお話した通りのものです。
放射線がこの地球で暮らしている人間、動物たちや鳥類、そして命を持つすべてのものに影響を及ぼすものである以上、私たち自身がしっかりとこの問題を見据え、取り組んでいく必要があります。
私たち一人一人の人間の生存を支えている空気、水、家庭、地域社会、もしそうしたものをいったん失ってしまったら、いくらお金を積んでも元通りに回復することなど決して出来ない、それが事実であり、真実なのです。

16日抗議集会02
最後に、福島第一原発の事故が引き起こした日本の悲劇について、この3年間、関心を持ち続け懸念を表明して来られたことについて、あらためて私からお礼を申し上げます。
そうしたあなたの思いやりこそが、私の取り組みの支えとなっています。

私は日本国内で、勇気をもって献身的な取り組みを続けておられる人々にも感謝を申し上げます。
子どもたちを守るため、倦むことなく地方自治体や学校などに対する働きかけを続けておられる20代、30代、40代の母親のみなさん。

自らの自発的な取り組みにより土壌や食物の検査を行い、その情報を公開しておられる市民科学者の方。
そして自らの命や健康を刻一刻危険にさらしながら、事故収束のため福島第一原発で働く作業員の問題に光を当て、彼らを守るため活動を続けておられる労働者の権利の擁護団体の皆さん。

首都圏で子供たちの健康に異常を認め、その症例が増え続けている現状について警告を発する取り組みをされている医師の皆さん。

現政権や政府の政策を批判する人々を、現在の日本の体制はますます敵視するようになってしまいました。
そうした環境にもかかわらず、それぞれの場で真実を追求し、それを明らかにしようとしている人々こそが本当のヒーローです。

113005
事実から目をそらし、真実の答えを求める作業を止める、そんなことをすべきではありません。
私はこの地球上のすべての命のために、そのことを祈り続けます。

〈 完 〉

http://fairewinds.org/bringing-focus-back-life/
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この国では先進民主主義社会では当然の権利、いや義務とも言うべき、正当な主張を行って事実を正そうとする行為を疎み、毛嫌いする傾向が見られます。
この場合用いられるのが「波風を立てる」という表現です。

しかし波風が立たなければ社会は進歩しません。
英国ピューリタン革命、フランス革命、アメリカ独立戦争…
私たち日本人は昭和初期、権力や軍部に対しずっと「波風が立たないよう」息をひそめていたおかげで、とんでも無い災厄に見舞われました。
様々な自由を奪われた挙句、広島や長崎には原爆が投下され、その他の大都市には焼夷弾が降り注ぎ、南太平洋では殺到する近代兵器に向かって生身をさらすよう命じられ、200万人以上が殺されてしまいました。

「波風を立てる」ことばかりを恐れていれば、またあの災いが降り注ぐことになる。
歴史は何よりその事を教えているのではないでしょうか?

【 時を超え、場所を変え、作られ続ける原子力クライシス 】〈2〉

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所要時間 約 8分

私たちの知らない場所で被爆し、発病し、そして命を落としてしまった人々
世界中で繰り返し否定され続ける、放射線被ばくと健康被害の関係
奇形のヘチマ、巨大化するインゲン豆、そして恐ろしい姿をしたカエル

金子 千穂 / フェアウィンズ 4月10日

1955年に、アメリカ側の提案を受けるため日本で原子力基本法が成立しました。
そして1960年代半ばには日本で最初の商業用原子炉が完成したのです。
これは原子力発電がどのようにして日本の人々、そして世界中の人々に押しつけられていったのか、その実例の一端を示す一つの出来事でしかありません。

この稿の〈1〉で、第五福竜丸の乗組員であった大石又七さんについて言及しました。
しかしアメリカがビキニ環礁で行った水爆実験により放射能に被爆しながら、その名前も実態も解らずにいる多くの人々がいるはずです。
彼らは私たちの知らない場所で被爆し、発病し、そして命を落としてしまったものと思われます。

マーシャル諸島の住民たちは、アメリカ軍の水爆実験による避難を強制されました。
そのわずか2年後には汚染されてしまっている故郷への帰還を許されましたが、待っていたのは汚染された土地で収穫された食料、そして飲料水によるさらなる放射性物質による被ばくでした。

汚染水07
第五福竜丸の乗組員であった大石さんは、アメリカ政府から補償金として当時のお金で200万円を受け取りました。
※1955年の大卒男子の初任給は12,907円。( www.777money.com/torivia/daisotu_syoninkyu.htm )訳者注。

しかしこの補償金を受け取ったことで、大石さんは一部の人びとからあらゆる種類の厳しい批判を浴びせられることになりました。
そして『被ばく者』となった大石さんは、差別を経験させられることになりました。
かつて広島や長崎の被爆者がつらい目に遭わされ、今また福島の一部の人々が経験させられていることを…
結局大石さんは移住を余儀なくされ、何年もの間本当はどういう人間であるかを隠し続ける生活を強いられることになりました。

そして彼のこどもが死産であった時も、彼自身が肝臓がんを発症した時も、アメリカ政府からの補償金を受け取ってしまった大石さんは、いかなる疑問を持つことも、不平不満を口にすることも、永遠にその権利を剥奪されてしまったのです。
これまでの数十年間、私たち人間は環境中に放射性物質が放出される事態を受け入れることを、途切れることなく強いられ続けてきました。

スリーマイル島とチェルノブイリを含む原子力発電所の事故、あらゆる種類の核兵器実験、そしてイラクやその他の場所では実際に劣化ウラン弾が使われました。
さらにはアメリカ大陸の中西部、ロッキー山脈の東側とプレーリーの間を南北に広がる台地状の大平原であるグレートプレーンズでは、資源の枯渇したウラン採掘鉱山跡が付近の河川や土地を汚染し続けています。
ここから漏れ出した放射性物質は付近で収穫される農作物などを汚染し、それを口にするすべての人々の健康の脅威となっています。
そしてここで採掘された石炭にはもとからウラニウムが混じっており、それを燃やせば煙と一緒に放射性物質が大気中に向け拡散されることになります。

放射線被ばくは、定量化することが困難です。

広島05
放射線の人体に対する影響についてのデータは第2次大戦以来収集が続けられてきましたが、核兵器開発と原子力発電を続けようとする各国政府と原子力産業界によりすべて隠ぺいされてしまいました。

核=原子力に関わる事故や災害のデータは、事業の推進に障害となるものとそうでないものに分類され、場合によっては各国の政府によって改ざんされてしまった疑いがあります。

第五福竜丸の乗組員であった大石さんの1954年の体験は、核=原子力の恐ろしさを示す最もはっきりした例でした。
しかし大石さんですら、後に発症した様々な問題と放射線被ばくの関係は否定され続けたのです。

同じような理不尽な出来事は世界中で起きています。

2014年4月末は、スリーマイル島事故が発生してから35周年に当たります。
この事故の発生以来、地元では数々の疾病、そして障害を負って生まれてくる子供たちの報告が相次いでいます。
ノースカロライナ大学のスティーヴ・ウィング博士の疫学研究は、こうした障害の発生と放射線との因果関係を立証しています。
にもかかわらずアメリカ政府は、事故による影響を受けた居住者と疾病や障害との直接の因果関係を公式に認めることを拒否したのです。

そして今、私は日本で現実に起きていることに思いをはせています。
何か重大なことが起きつつある、それが私の正直な感想です。

私は福島に住んでいる人々の、個人としての多数の実例を耳にしました。
それは家族や友人の突然死が数多く発生しているというものでした。
中には赤ちゃんが突然死したケースもありました。
こうした事実が確認されているのは、福島県内だけではありません。
東京では人口に占める疾病率が上昇しているはずです。
体調を崩しているのは、もともと病弱であった人ばかりではありません。

私は福島第一原発から50キロほど離れた場所で暮らしている、花木の栽培と管理を職業にしている女性に会いました。
彼女は浴用スポンジにするためヘチマを栽培していますが、昨年、その前年に採取した種から育てたヘチマを見て戦慄を覚えました。
そのヘチマは実に直接花芽がついていました。
そして、彼女が育てたインゲンマメのいくつかは、異常に巨大になってしまいました。

福島市の近くでもう一人の別の人は、始めそれがカエルであるという事が解らない程、変わった形をした生き物を見つけました。
それはひどく奇形したカエルであり、この生き物の特徴である跳躍などとてもできない形をしていました。

これらは私が直接面接をした人々の口から直接聴いた、現実の出来事です。
かれらはこの自然の生態系の中には存在しない出来事について、記録し、写真を撮影していました。

そして私自身も説明不能の体験を強いられることになったのです。
私が日本に滞在していたのは12月から1月にかけて、約一カ月ほどでしたが、皮膚に湿疹ができた後、それが治らなくなってしまいました。
さらに福島に滞在していた時は、咽喉と目にひっかくような痛みを覚えました。

何かが起きています…
しかし私たちは今、それが何であるかを証明する手立てがないのです。

〈 第3回につづく 〉

http://fairewinds.org/bringing-focus-back-life/

【 時を超え、場所を変え、作られ続ける原子力クライシス 】〈1〉

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所要時間 約 8分

原子力の平和利用、そのプロパガンダが日本で作りだした数々の悲劇
日本には数多くの原子力の危険が、時間と場所を超えて存在している
全身をすっぽりと包みこんだ死の灰、その次に起きたこととは?

金子千穂 / フェアウィンズ 4月10日

福島第一原発の事故が明らかにしたもの、それはフクシマだけが日本に存在する危機ではないのだという事を明らかにしました。
日本の危機、それは時間と場所を超えて存在しているのです。

私はその根本原因を日本の二つの過去に求めることが出来ると考えています。
ひとつは日本漁船の第5福竜丸、もう一つは原子力発電を日本に強引に売り込もうとしたアメリカの政策です。

私は金子千穂、フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションの役員を務めています。

私が日本から戻ると、アメリカの友人たちは決まって私にこう尋ねます。
「日本は今、本当はどうなっているの?」

福島第一原発の事故が明らかにしたもの、それはフクシマだけが日本に存在する危機ではないのだという事を明らかにしました。
日本の危機、それは時間と場所を超えて存在しているのです。

福島第一原子力発電所では相変わらず予断を許さない状況が続いています。
私たちの耳には度々こんなニュースが飛び込んできます。
「これまで計測された中で、最高度の放射線量が観測用の井戸で検出された」
「汚染水を貯蔵しているタンクで、またも別の漏出箇所が確認された」

水爆実験01
しかし、平均的日本人はこうしたニュースに段々と注意を向けなくなってきているようです。
福島第一原発で発生している事が極めて異常な事態であっても、日本の人々は鈍感になってしまっています。

私は福島第一原発の事故が発生して3年の月日が経つのにあたり、60年前のある出来事についてお話しようと思います。

そのアメリカの極秘実験の作戦名は『キャッスル・ブラボー』、1954年3月1日マーシャル群島にあるビキニ環礁で水素爆弾(水爆)の爆発実験を行うというものでした。
爆発の威力はアメリカ陸軍の事前の計算をはるかに上回るものとなってしまいました。
その結果、風下にあたる場所の住民も含め、この実験の影響を受けた人々は思わぬ惨禍に巻き込まれることになってしまったのです。

実験場所から160キロの場所にいた日本のマグロ漁船の23名の乗組員にも、予想もしない結末が待ち受けていたのです。

当時20歳の漁師だった乗組員の一人、大石又七さんのインタビュー記録が残されています。
大石さんは1954年3月1日朝早く、水平線上にまばゆく輝く光を目撃しました。やがてしばらくして、海全体を揺るがすような深い振動音がやってきました。
そして大石さんの目に、水平線に巨大なキノコ雲がみるみる盛り上がっていく光景が飛び込んできたのです。
しかし船上にいた誰も、それがいったい何であるのかの知識はありませんでした。

水爆実験02
2時間ほどして、そのきのこ雲が第5福竜丸に猛スピードで襲いかかってきました。
そして純白の灰が大石さんと他の乗組員の全身を包み込みました。
今自分たちが浴びているものがいったい何であるのか、誰も知りませんでした。
その灰は熱くも無く、冷たくもありませんでした。

まもなく漁師たちは吐き気、そしてめまいに襲われました。
そして2、3日後、白い灰(その正体は水素爆弾の爆発によって吹き飛ばされたサンゴ礁のかけらでした)にさらされたすべての皮膚が赤くただれ、火傷の症状を現しました。
さらに10日後には、髪の毛が抜け始めたのです。

恐怖と肉体的苦痛にあえぎながらも、第5福竜丸はなんとか日本にたどり着くことが出来ました。
彼らは途中、アメリカ軍によって撃沈させられてしまうことを恐れ、あえて救難を送らなかったものと見られています。

アメリカ政府は希釈作用によって海洋汚染はとるにたらないものであると主張しましたが、日本政府は独自に調査を行い、マグロが放射性物質によって汚染されているという事実を突き止めました。
1955年末までに、3,000万人以上の日本人が核兵器禁止を求める嘆願書に署名しました。

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高まる反核感情、反米感情こそは第二次成果大戦後の世界において、アメリカ政府が最も望まぬものでした。
すぐさまアメリカ政府はこうした懸念を払しょくするための工作を開始しました。

1953年にアイゼンハワー大統領によって作られた執行委員会である作戦連絡会議(OCB – 米国の利益を守るため各国家機関をまたがって組織され、国家安全保障会議に対して報告を行う - http://en.wikipedia.org/wiki/Operations_Coordinating_Board )は1954年4月、次のようなタイトルがつけられた内部文書を配布しました。
『水素爆弾および関連する情勢に対する日本の好ましからぬ態度を封じ込めるための、米国の対応行動一覧』

同時にこのOCBの報告書は、日本に対し実験的な原子炉の建造を勧奨すべきであると提言したのです。

こうしてアイゼンハワー大統領は日本国民に対し、核(原子力)開発技術のイメージを戦争における大量殺人技術から、経済の安定と繁栄をもたらす象徴へと変えるため、『原子力の平和利用計画』を立ち上げたのです。

そしてこの目標達成のため、第二次大戦後事実上アメリカの属国常態であった日本に、原子力産業の成長とともに経済的利益、戦略的利益を日米両国が共有する機会を提供したのです。

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日本政府は内に秘めた野心から、アメリカ側のこの提案を喜んで受け入れました。
そして間もなく日本は政財界を挙げて、原子力発電事業推進の道を驀進し始めたのです。

〈 第2回につづく 〉

http://fairewinds.org/bringing-focus-back-life/
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今日から3回に分け、この稿をご紹介致します。
執筆者の金子千穂さんについては、原文が英語表記のため、私が付した漢字が誤っているかもしれません。
誤りがあった場合はお詫び申し上げます。

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【 血塗られた場所、至る所に残る弾痕、ホムスを去った反乱軍 】

アメリカNBCニュース 5月9日
(掲載されている写真をクリックして大きな画像をご覧ください)

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2014年5月8日、長い間反乱軍の制御下にあったシリアのホムスが、バシャル・アル・アサド大統領率いる政府軍に奪還されました。
しかし市内はがれきの山と化してしまいました。

5月7日、8日の両日に渡り、約1,200人の反乱軍の兵士がバスに分乗し、約2年に渡り占拠を続けてきた『革命の首都』を去っていきました。
バシャル・アル・アサド大統領に忠誠を誓う政府軍と反乱軍の間で停戦協定が成立し、ホムス郊外の反乱軍が実質的支配する地区に車で向かいました。

政府軍はホムスを完全に管理下に置いたと語っています。
ホムスはかつて民主主義寄りの人々でにぎわっていた商業都市でしたが、今はシリア内戦の残忍な記録が刻まれた廃墟となってしまいました。

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【 原子力発電にさよならを!人間も、地球も、もうこれ以上耐えるのは無理 】〈4〉

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所要時間 約 6分

何万年もの間『この場所を人類から完全に隔離する必要がある』- 核廃棄物の最終処分場
原子力設備を計画する度、膨大な数の住民の避難計画を作る必要に迫られる
いつまでたっても見えてこない、チェルノブイリの事故の『最終的な解決』
原子力発電の廃止に後ろ向きでいることの方を、私たちは疑問視するべきである

アダム・チメンティ / ル・モンド・ディプロマティーク

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▽安全な核廃棄物の処理、その完全な欠如

原子力発電への批判においてしばしば強調されるもう一つの重大な懸念が、核廃棄物を安全に処理する方法が完全に欠如していることです。
見たものに背筋が凍るような恐怖を与えたドキュメンタリー『地下深く永遠に – 核廃棄物10万年の危険』は、フィンランドの世界で唯一の高レベル放射性廃棄物の最終処分場を取り上げ、他とは比較にならないこの問題の深刻さを暴いた番組ですが、原子力発電が文明どころか永遠に解決できない問題を作りだしてしまった事を明らかにしました。

この事業は莫大な量の核廃棄物を地中に埋めることになっていますが、何万年もにわたる将来の世代に対し、この場所が致命的に危険であることをどう伝えていけばよいのか、あらゆる面から慎重に検討することを求めています。
オンカロの現場で働く技術者は、何らかの方法により、この場所を人類から完全に隔離する必要があると語りました。

事ここに到れば、原子力発電を推進する人間が存在する限り、そこに反対する人々がいたことは当然のことであったと言わなければなりません。
原子力発電が理想の未来社会への架け橋であると主張する人間が現れると同時に、人類は原子力発電、すなわち核エネルギーは他にはない深刻な危険を孕んでおり、安易な実用化は将来に禍根を残すことになると警告する人間をこの世に送り出し、自然にバランスを取ることになったのです。

STOP!
筆者はニューヨークで生まれ育ちました。
アメリカ政府は地元の電力会社とともにロングアイランド地区に、11基の原子炉を備えた一大原子力発電拠点を建設する計画を打ち出しました。
そこにはニューヨーク市内のクイーンズ、そしてブルックリンが含まれていました。
しかしこの計画を実行に移せば、数千万人の住民の避難計画をつくる必要性がありました。

そして結局アメリカ政府も地元自治体も、始めからこの計画に反対を表明してきた住民団体同様、そんな計画は実行不可能だと悟ったのです。
結局、この計画は1980年代後半、放棄されました。

2012年10月に、ハリケーン・サンディは、この11基の原子炉が建設されるはずだった場所に甚大な被害を与え、大規模停電を発生させました。
アメリカはこの国の心臓部分とも言うべき場所で、大規模な原子力災害の発生をかろうじて避けることが出来たのです。

長い間原子力発電に反対の立場をとって来た日本の作家広瀬隆氏はその著書の中で、原子力発電所がそれ程安全であるというのなら、長距離の送電によって大きなエネルギー・ロスが発生すると解っていながら、なぜ東京のど真ん中に原子力発電所を建設しないのか、そう問いかけました。

CBS 再稼働反対
ところがひどいことに、この地球上では大都市のそばに数多くの原子力発電所が建設されてしまっています。
インディアン・ポイント原子力発電所はニューヨーの中心部から、北にわずか40キロの場所にあるのです。

こうした事実は私たちが一日も早く、原子力発電に代わって再生可能エネルギーなどのクリーンな発電手段に置き換えることを考えるよう、改めて求めているのではないでしょうか?

チェルノブイリ原子力発電所事故の28回目の記念日が、やがて訪れようとしています。
残念ながらチェルノブイリの事故の教訓は、私たちにとって一層重いものとなりつつあります。
欧州復興開発銀行は石棺などの老朽化に伴って増加しつつある脅威に対処するため、ウクライナ政府との間の長年にわたる約款の実現に向け動いています。
しかしそれが実現しても、チェルノブイリにおける安全確保は完全とは程遠い状況が続きます。

アルバート・アインシュタインは現代における最も明晰な頭脳の持ち主であり、原子物理学の進歩にも大きく貢献した人物でした。
そんな彼が1946年に行った人類と原子力の関わり合いについて行った発言は、21世紀の今日に対し先見の明があったというべきでしょう。

「我々の世界は、これまで想像されたことのなかった危機に直面している… 解放された原子の力は、私たちの日常的な思考方法以外のあらゆるものを変えてしまい、わたしたちはかつて経験した事の無い規模の大惨事へと押し流されつつある…」

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アメリカ、フランス、イギリスなどが宿命的に大きな危険をはらんでいるにも関わらず、原子力発電を継続しようとしていますが、ドイツは原子力発電を段階的に配すると決定した方針を堅持し、取り組みを続けています。
こうした姿勢に対し度々問いかけを受けることについて、ドイツ連邦政府環境省のヨッヒェン・フラスバス長官は、原子力発電の廃止に後ろ向きでいることの方が疑問視されるべきであると語っています。

核分裂に関する数多くの天才を生み出したドイツ、スイス、そしてイタリアは、原子力発電の廃止に向けいち早く動き出しました。

私たち人類はこう問いかけるべきなのです。
どうすれば世界は、これらの国々に続く方針を採ることが出来るようになるのでしょうか?

〈 完 〉

http://mondediplo.com/blogs/time-for-a-nuclear-phase-out

【 原子力発電にさよならを!人間も、地球も、もうこれ以上耐えるのは無理 】〈3〉

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所要時間 約 7分

国の電力の主要な部分を原子力発電によって賄おうとする計画は、不当に危険性が高すぎる
原子力発電所固有の弱点と異常気象、世界中で原子力発電に対する懸念が高まり続けていることは当然
自国の経済をこの危険過ぎる発電手段に依存し続けることに、正当性は見いだせない

アダム・チメンティ / ル・モンド・ディプロマティーク

第三世界05
▽一層事態は悪化の様相

東アジアの他の場所では事態が悪化する様相を見せています。
2013年、台湾では福島第一原発の事故発生から2周年となった日、国内各所で200,000人以上に上る人々がデモや抗議集会を行い、台湾で計画されている龍門原子力発電建設への反対を強く訴えました。

台湾で4カ所目となる龍門原子力発電所は北東部地区にあり、2016年までに稼働を開始する予定です。
しかしその建設については安全に対する深刻な懸念から、何十年もの間論議を呼んでいました。
台湾の環境問題に取り組む多くの活動家は、同国が人口ちゅう密な狭い島国で、全電力の17%を原子力発電によって賄おうとする計画は、不当に危険性が高すぎると指摘しています。

台湾の馬政権は龍門原子力発電建設の推進を標榜していますが、世界原子力発電協会の調査結果によれば、燃料棒がまだ装置されていないものの、この原子力発電所に対しては世界で14番目に危険な原子力発電所であるとの評価がくだされているのです。

しかし地震学者や津波専門の研究者は、台湾南部の原子力発電所の方をより問題視しています。
日本を三重災害(巨大地震、巨大津波、福島第一原子力発電所事故)が襲った直後、ミネソタ大学の地球科学部のデイヴィッド・ユアン教授を始めとする世界の科学者は、世界で最も地震と津波の被害が懸念される場所は台湾南部であるとの見解を示しました。

第三世界03
科学者たちはマニラ海峡に大きなエネルギーが蓄積されている点を指摘しました。
この場所ではこの数百年間大きな地震が発生していないため、今後発生する危険性が高いとみなされています。
もしこの場所で巨大地震が発生すれば、中国本土南部にある4か所を含め、5か所の原子力発電所が津波にのみこまれる危険性があり、理論的に2011年に福島第一原発と同じ事態に見舞われる可能性があります。
この辺一帯はシンセン経済特区、香港、広州など沿岸部に数千万人の人口と産業が密集する場所であり、先例のない規模の原子力災害が発生する危険性があります。

原子力発電が抱える逆説的な矛盾は、原子炉の冷却を行うため水資源の豊富な場所に立地する必要性があるにもかかわらず、いったん水害が発生すれば施設全体で深刻な危機が発生する危険性があるという点にあります。
この問題は原子力発電所が海の近くに立地している場合その危険性が最も高いように思われがちですが、実は湖や川の近くに立地している場合でも同様の危険を考えなければなりません。

アメリカ合衆国の例では、ネブラスカの原子力発電所が、大雨とそれに伴う河川の氾濫により水没の危険に見舞われました。
この時この原子力発電所では事前に原子炉を冷温亭状態にしていましたが、水没すれば緊急電源が失われるとともに、冷却装置も稼働しなくなる可能性がありました。
その同じ年には強力な一連の竜巻がアラバマ州とヴァージニア州を襲い、原子力発電所で一時的に電源が失われる事態が起きています。

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このような原子力発電所固有の弱点と異常気象が増え続けている状況を考え合わせれば、世界中で原子力発電に対する懸念が高まり続けていることは当然と言わなければなりません。
様々な問題を指摘されている年数の経った原子力発電所をこれ以上稼働させるようなことをすれば、これから先チェルノブイリやフクシマを超える最悪の原子力発電所事故が発生する危険性があります。

原子力発電に反対の立場をとる人々は、フランス、日本、アメリカなどの政府が必要充分な対応を採っていないと指摘しています。

たまたま運よく今後数十年間は原子力発電所の事故は起きないかもしれません。
しかしおそらく私たちが見習うべきはドイツ、スイス、イタリアなどの決断です。
そして自国の経済をこの危険過ぎる発電手段に依存し続けることに終止符を打てるようにするため、いち早く準備に取り掛かる必要があります。

イギリスのガーディアンに寄稿しているジョージ・モンビオットは、原子力発電の危険性について正反対の主張を行っています。
彼は福島第一原子力発電所の事故を見て、その環境被害は大したことは無く、原子力発電に対する信頼性が増したとすら書きました。
彼は原子力発電を停止した場合、多くの場所で代替の発電手段として用いられる火力発電の方がはるかに害は大きいと主張しています。

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しかし大部分の専門家、そして科学者は次のように指摘しています。
モンビオットの主張はメルトダウンの事故発生から10日後の状況だけを主張の根拠としていましたが、原子力発電所の事故についてはその長期的影響こそが深刻なのであり、その結果については誰もまだはっきりした答えを出せずにいるのだと…

〈 第4回につづく 〉

http://mondediplo.com/blogs/time-for-a-nuclear-phase-out
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現在、過去の掲載についてさほど重要ではないという写真と、そして時事ニュース、スポーツニュース、トピックス的な写真記事の削除を進めています。
掲載ページ数が増え続ける中、重要と思える写真を自分でも探せなくなってしまっているためです。
ご不便をおかけしますが、よろしくご了解の程お願いいたします。

【 原子力発電にさよならを!人間も、地球も、もうこれ以上耐える事は無理 】〈2〉

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所要時間 約 7分

福島第一原発の事故のタイミング、それはまさに『原子力ルネッサンス』が本格的に幕を開けようとしていた時
国内電力の総需要の35%を再生可能エネルギーによってまかなう事は、充分に可能
安倍晋三首相が率いる保守政権は、国民の願いを受けた原子力発電の段階的廃止の政策を無視

アダム・チメンティ / ル・モンド・ディプロマティーク

福島第一原発全景
福島第一原発の事故のタイミング、それはまさに『原子力ルネッサンス』が本格的に幕を開けようとしていた時でした。
世界中で何十機のもの原子炉の建設計画が作られ、福島においてもさらなる原子炉の増設が行われようとしていました。
化石燃料を燃やす変わり、小型原子炉を使って電力を生み出すエネルギー戦略は革命的なものであるとの評価を得ていました。

アメリカのオバマ政権は、福島第一原発の事故後もこの方針の転換を表明してはいません。
アメリカの大手メディアの『顔』の一人であるジャーナリストのダン・ラザーは、人気の高いメディアであるハフィントン・ポストの取材に対し、彼が会ったアメリカ人すべてが、原子力発電はグリーン・エネルギーの最良の選択であるという意見に賛同したと語りました。

こうした発言の背景にあるのは、強力な政治力を持つ原子力ムラに対する抵抗が続いている事、そして民間の保険会社や保証会社が原子力発電は危険性があまりに高い事から契約をしたがらない現状に対し、政府自らが打開に動き出さなければならなくなっている状況です。
これに対しドイツ政府は、多国間での莫大な額の貿易によって成立している最先端の世界経済は、再生可能エネルギーへの大規模投資、そして再生可能エネルギー産業の保護によって成長が可能になるという事を、断固たる決意をもって証明しようとしています。

ドイツ政府の思い切った政策転換については各国政府が容易ならない展開を予想しましたが、結果はそれを裏切る好調なすべり出しを見せています。
多くの評論家などはヨーロッパ最大の経済規模を有するドイツは国内の原子力発電を全廃する変わり、チェコ共和国など原子力発電を行っている近隣諸国から電気を買うはめに陥るだろうと論難しています。

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しかしドイツ発電・水力事業協会の統計、および応用エコロジー研究所が行った別の研究によれば、昨年ドイツの電力会社は役150億キロワットの発電を行いました。

この実績を受け、今年始め、ドイツの環境大臣ピーター・アルトマイヤーは、ドイツが原子力発電の段階的廃止を進めても電力不足に陥る危険性は無いと繰り返し強調しました。
この発言については、メルケル政権による再生可能エネルギーの推進政策を『今世紀最大のプロジェクト』と讃えたシーメンスの最高経営責任者のベーター・レシェルも、早くから同趣旨の主張を行ってきました。
彼は国内電力の総需要の35%を再生可能エネルギーによってまかなう事は、充分に可能であると語っています。

イタリアもまたエネルギー手段として原子力発電に二度と回帰する事は無いと明快に宣言しました。
これは当時のベルルスコーニ政権が原子力発電の再開を行おうとした際、国民投票により反対が94%に達した事が決定的な要因となったものです。。

スイスもまた福島第一原発の事故を受け、エネルギー手段としての原子力発電を放棄しました。
政党の垣根を越えた新しいエネルギー政策を実現するための、広い範囲に渡る政策協議や新しい組織の成立が国民の総意の下にもうすぐ実現するかもしれません。
現在スイス国内の5基の原子炉は国内総需要の40%をまかなっていますが、政府の計画では2035年までに全廃する事になっています。
しかしこの政策協議の実現により、全原子炉の停止が2029年にまで繰り上げられる見通しとなっています。

第一大破壊
では世界にこうした動きを促す事になった福島第一原発の事故、3基の原子炉が同時にメルトダウンするという前代未聞の事故を引き起こした日本はどうでしょうか?

2012年の2ヵ月間、日本は国内にある54基の原子炉すべてが完全に停止していたにもかかわらず、電力が不足する事はありませんでした。
昨年夏の大飯原発を再稼働させるという決定は、日本では珍しい一般市民による大規模な反対運動に火をつける結果となりました。

しかし安倍晋三首相が率いる新たな保守政権は、前任者である民主党政権が決定した原子力発電の段階的廃止の政策を無視する態度を明らかにしました。

2011年3月11日の巨大地震と津波から始った日本の危機、そのとき首相を務めていた 菅直人氏は首相官邸を去った後、原子力発電に対する態度を180度転換しました。
彼は原子力発電との決別を宣言しました。
「ソビエト連邦崩壊当時大統領を務めたゴルバチョフ氏はその回顧録の中で、チェルノブイリの事故がソビエト連邦の病弊を一気に表面化させた、そう語っています。」
菅前首相はこう語り、次のように続けました。
「福島第一原発の事故は日本にとって、同様の働きをしたのです。」

〈 第3回につづく 〉

http://mondediplo.com/blogs/time-for-a-nuclear-phase-out
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この記事はフランスのル・モンド・ディプロマティークに掲載されたものですが、こうした記事を翻訳する度に思い出すのが2011年8月の[ドイチェ・ベレ]に掲載された以下の一文です。

「日本の原子力ムラは、いまだに強大な政治力を持っています。」
「日本の原子力ムラの政治力が強大なため、日本には再生可能エネルギー資源が豊富にあるにもかかわらず、利用されてはいません。
日本の電力業界は福島第一原発の事故について、それをさほど大きな失敗としては認めていません。そのために、彼らが福島第一原発の事故から学んだものなど、基本的にはゼロなのです。」
( http://kobajun.biz/?p=845 )

こうした状況が現在の安倍政権や各電力会社幹部の発言を聴く限り、何ら改善されていない事を痛感します。
この国のエネルギー問題については、彼らのしたい放題にさせていたためにこの国に54基もの原子炉が建設され、福島第一原発の事故が発生しました。
そこから導きだされる答えは、これ以上原子力ムラのしたい放題を許してはならない、という事のはずです。

【 原子力発電にさよならを!人間も、地球も、もうこれ以上耐えるのは無理 】〈1〉

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所要時間 約 8分

原子力発電は人類最大の失敗のひとつであり、100年かけてもその状況を好転させる事はできない
真実を隠蔽し偽りを公表する事は、原子力産業にとって必要欠くべからざる事であった
原子力発電の歴史、それは公表が不可能な事実、隠蔽、そして過小報告に集約される

アダム・チメンティ / ル・モンド・ディプロマティーク

4号機建屋
『原子物理学の父』と呼ばれるアーネスト・ラザフォードが1917年に原子を最初に分裂させて以来、人類は原子エネルギーを自らの手に収めようと争って解明に務めてきました。
しかし原子エネルギーの持つ恐るべき力が解明されていくにつれ、今度は先進各国はこの技術の濫用や不正使用に対し、あらゆる手段を講じてその懸念を回避する作業に追われる事になったのです。
しかし国際社会にとって危険な存在である独裁政権や一部の組織が、世界を屈服させるためにこの莫大なパワーを乱用する事に対する懸念は拡大する一方だったのです。
しかし核、すなわち原子力エネルギーに関するその他の問題については、各国政府や国民はこれまではそれほど強い関心を持つ事はありせんでした。

広島と長崎に対する原爆投下、そして2,000階以上繰りかえされた核兵器実験の後、原子力エネルギーについてはいわゆる 『核の平和利用』の時代がやってきました。

1953年、国連においてアメリカのドワイト・アイゼンハワー米大統領は、原子力エネルギーの平和利用により、新たな時代がやってくると演説しました。
「かつてない程巨大な破壊的を持つ原子力エネルギーは、これからすべての人類のために、大きな利益をもたらす手段へと進化していく事になるのです。これから先は、鯨油や木材に頼る時代ではないのです。石油・石炭に対する需要も減少していき、ガソリンに代わって原子力が日常生活のエネルギー源として社会を支えていく事になるでしょう。」
1955年のLOOK誌は記事中でこう伝えました。

EDF
共感を込めてこの記事を書いたD.O.ウッドベリは、原子力飛行機、原子力船が現実のものとなり、ガンと大部分の病気の治療すら可能になると考えていました。
彼は読者にこう問いかけたのです。
「原子力エネルギーとその研究開発が、この分野の先駆者たちが私たちに約束した夢のような未来と幸福な生活をもたらすということに、疑問を挟む余地などあるだろうか?」

しかし夢のような未来も、幸せに満ちた生活も、人類はそのどちらもほとんど手にする事は無かったのです。

その代わりに得たものは、スリーマイル島(1979年のアメリカ、ペンシルバニア州)、チェルノブイリ(1986年のソ連、ウクライナ)、ハンフォード(1944年以降放射性物質の漏出を続けていたアメリカ・ワシントン州の原子力複合施設)、そして2011年のフクシマ…。
人類は繰り返された事故、そして放射性物質の漏出事故に絶え続けなければなりませんでした。

ある評論家はこう語りました。
原子力発電は人類最大の失敗のひとつであり、100年かけてもその状況を好転させる事はできない、と。

▽『未来を創り出す平和利用』の成れの果て

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各国政府と原子力産業の癒着は、これまで人間の健康と安全な地球環境に対する侮れない脅威を作り続けてきた可能性があります。
原子力産業は現実には不可能な技術の宣伝を行い、不正や失敗の隠蔽を謀ってきた事が明らかにされました。

アメリカ国務省の文書によれば、東京電力も福島第一原子力発電所も巨大地震の襲来に対し有効な対策をとっていない事が、2011年の事故以前にすでに明らかになっていました。これは事故後に東京電力も認めていることです。

しかしこの重要な認識は、東京電力と当時の通産省(現在の経済産業省)との間の癒着・共謀により実際の危険性を過小に報告し
、結局は正しい対策をとる事の必要性を無視するという結果につながってしまいました。
2011年3月の事故が発生するわずか数年前の事でした。
日本の原子力ムラは福島第一原発でメルトダウンが発生する直前まで、福島第一原発が抱える本当の危険性について検証・警告する専門家などを人々の視界から追い払うために、ありとあらゆる手段を使ったのです。
そして日本政府も、巨大地震に耐えるだけの安全性を確保する事は不可能であるという判断から、日本海側の金沢にある原子力発電所を閉鎖せよという裁判所の判決をひっくり返すという挙に出ました。

※スティーブン・スウィンフォード、クリストファー・ホープ「巨大地震: 日本の原子力発電所に対する警告」(ザ・テレグラフ2011年3月15日))、ウィキリークス、 「日本の原子力産業の広告戦略が生んだ現実」原子力工学インターナショナル / 2007年9月14日号。

原子力政策

ヘレン・カルディコット博士

ヘレン・カルディコット博士

研究所を設立したヘレン・カルディコット博士などは、こうした真実を隠蔽し偽りを公表する事は、原子力産業にとって必要欠くべからざる事であったと批判しています。

この問題について一般市民に間違った認識を植えつけるという点においては、資本主義や社会主義、政治体制の違いは関係ありませんでした。
組織としてノーベル平和賞を受賞した『社会的責任を全うする物理学者連盟』は核兵器・原子力発電と人間の健康、地球環境の安全をテーマに活動を行っていますが、彼らはこう語っています。
「原子力産業の歴史、それは公表が不可能な事実、隠蔽、そして過小報告に集約される。そうした体質は現在も一切変わる事は無く、深刻な脅威であり続けている。」

〈 第2回につづく 〉

http://mondediplo.com/blogs/time-for-a-nuclear-phase-out
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連休とあって今日は居間でブルーノ・ワルターが指揮するモーツァルトを聴きながらこの原稿の翻訳をしていました。
重要なのはワルターやモーツァルトでは無く、原子力発電と人間、そして地球との関係です。
この記事の秀逸なところは、原子力発電だけではなく、原子力産業もまた「人類と地球に対する深刻な脅威であり続けている」という点ではないでしょうか。
ワルターが指揮するモーツァルトはヒューマニズムの美しさの結晶だと私は思いますが、原子力ムラ、そして何かと言えば「成長」を口にして金を見て人間を見ようとはせず、原子力ムラの後押しをしてはばからない現在の日本の政権などはその対極にあるものでしょう。

【 フクシマ : 強い比放射能を放つ粒子状物質、ホット・パーティクルがもたらす脅威 】〈4〉

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所要時間 約 8分

ホット・パーティクルによる被ばくは極めて危険、絶対に口に入れてはならない
事故を起こした原子炉内で生成され、外部に漏出してしまった疑いがある
福島第一原発の本当の健康被害を明らかにするため、ホット・パーティクルの実態を解明する必要がある

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 4月3日

さて私はこの検体に等級をつけなければなりません。
日本では放射線量をベクレルという単位で表します。
ベクレルというのは放射線の発見者であり、この功績により1903年にノーベル物理学賞を受賞したアンリ・ベクレルの名前にちなんだものです。
1ベクレルというのは、具体的に1秒間に1回の放射性崩壊が起きることを表します。

現在、日本においては1キログラム当たり100ベクレル以上の食品が、食べては危険であるとされています。
これはアメリカ合衆国の安全基準よりいくらか緩いものですが、とりあえずこの基準を基にホット・パーティクルについて考えてみましょう。
私たちのもとに送られてきたサンプルはペタベクレルという単位で汚染されており、当然のことながら絶対に口に入れてはならない程危険なものです。
ペタなどという単位が日常使われることはまずありません、ゼロが19個並ぶほどの莫大な単位です。
原子炉の炉心でなければ存在しないような、非常に高い量の放射線を放っている物質なのです。

ホット・パーティクルはきわめて小さな塵状の物質ですが、その小ささを証拠立てるような、こんな出来事がありました。
実際に送られてきたあるサンプルについて分析を行った時の事ですが、まずはじめに全体の放射線量を測ったところ、310ベクレルという数値がでました。

120125
送られてきたサンプルは掃除機の使用済みのカートリッジでしたが、測ったところ線量計の針は310ベクレル前後でカタカタ触れる程度であり、その値は福島県全域の掃除機の使用済みのカートリッジの放射線量の平均をわずかに上回っている程度だったのです。
そのため私たちはこのサンプルに、それ以上の注意を払う事はありませんでした。

ところで私たちはホット・パーティクルの存在を確認する作業の第一歩として、ゴム手袋のついた密閉容器や覆いのついたケースの中でサンプルを切り分ける作業を行います。
この半分に切り分けたサンプルの放射線量を計測した場合、質量が半減したのだから放射線量も半分の155ベクレルになるものとお考えかもしれません。
正しいでしょうか?
半分になった一方を実際に計測したところ、私たちは周囲の空間線量以外、何も計測できなかったのです。
実質的にゼロです。
残り半分の方に放射性物質はかたまって存在していたのでしょうか?
そこでもう片方も計測しました。
ところがこちらもゼロだったのです。
いったい放射性物質はどこに行ってしまったのでしょうか?
そこで私たちはこのサンプルをもう一度一つにまとめ、計測を行いました。
結果は310ベクレルです。
なぜなのでしょう?
ちょっとしたミステリーでした。

120915
そして私たちはホット・パーティクルがこのサンプルのちょうど真ん中に存在し、ナイフを使って切り分けた際、それがナイフの刃に付着してしまったことを突き止めたのです。
そこで私たちはナイフの刃先を顕微鏡で確認しながら、慎重にそこにあったホット・パーティクルを回収し、その放射線量を計測したのです。
結果はぴったり310ベクレルでした。

そこで私たちはすぐに、正確にホット・パーティクルの位置を特定し分析を行うため、手順を少し改めることにしました。
高い放射線を放つホット・パーティクルを見つけ出すまで、私たちはサンプルを2つに切り分ける作業を続けます。

今回私たちは福島県浪江町、飯舘村、そして北日本の2つの市町村から検査用のサンプルを受け取りました。
このサンプルは普段見かける黒い砂粒に非常によく似ています。
コンクリートの小片を顕微鏡に乗せて見た場合を想像してみてください。
コンクリートというのは、砂とセメント、そして砕石片の混合物です。

私たちは今、黒い粒子が最悪の場合何であるかについてお話しています。
それはこの黒い粒子がホット・パーティクルである場合です。

汚染水プール
ホット・パーティクルを構成する物質は事故の際、福島第一原発の事故により気化して環境中に放出され、やがてそれらが寄り集まり、凝固して、その存在を確認できる1個の物体と化しました。
それは風によって運ばれ、やがて何かにぶつかり、そこに付着したのです。

名古屋のケースでは風に乗って飛んできたホット・パーティクルが屋内に入り込み、カーペットまたは床材、あるいは屋内の何かに付着したものと考えられます。
そしてそれが掃除機によって吸引され、ごみの詰まった紙パックの中に入り込んだと考えられます。
幸いなのは他にもサンプルの分析を行いましたが、名古屋ではこれ以外にホット・パーティクルが検出されなかったという点です。
この家庭以外の場所ではホット・パーティクルの存在を確認するサンプルは見つけられず、この家庭でもこの掃除機の紙パック以外からはホット・パーティクルは検出されませんでした。
従って私たちの調査結果は、この家庭で発見された以外のホット・パーティクルはその存在を確認できなかったということになります。
実際、そうしたサンプルはありませんでした。

しかしそれた逆の言い方をすれば、ある特定の場所には強い放射能を放つホット・パーティクルの存在が存在する可能性があり、調査をする価値があるという事になります。
なぜならホット・パーティクルによって被ばくをすれば、人間の健康が大きく損なわれる危険性があるからです。

NBC02
現在まで福島と東京から送られてきた様々な形のサンプルのうちの25%から、計測が可能なホット・パーティクルが平均して2~3個検出されています。

その中でこれ程強い放射能を持つものは、名古屋で発見されたこの一個だけでした。
しかしそれは最悪のケースでした。
このホット・パーティクルはいかなる平均でもありませんが、可能性としてどのような問題が考えられるか、その事実を証明しています。

ここが肝心な点です。
私には送られてきた全てのサンプルについて調査・分析を行い、全体の傾向を見た上でそれぞれのホット・パーティクルについて等級をつけて分類しました。
そしてそのデータをワーチェスター工芸研究所の研究員たち全員が、閲覧・検証できるようにしました。
同時に現在は、このデータを出版できるように準備を進めているところです。
そこまで実現すれば、従来の平均的空間線量による外部被ばくに加え、ホット・パーティクルの存在によって人々がどの程度の被ばくをしてしまったのか、研究者が結論を出せるようになるはずです。
そうすれば、福島第一原発の事故による健康被害の実態を、一層明らかにすることが可能になります。

アーニー・ガンダーセン
このような物質科学的な話は、これまでの一般的な報道や、東京電力の発表、あるいはIAEAのコメントなどでは決して触れることはありませんでした。

フェアウィンズは福島第一原子力発電所の事故により、日本国内でガンの発症割合が著しく上昇する危険性がある事を繰り返し警告してきました。
今回ご紹介したホット・パーティクルに関するビデオは、まさにその最悪の危険性について証明するものであるのです。

〈 完 〉

http://fairewinds.org/hottest-particle/

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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