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【 核燃料の取り出し、そこにはどれほどの危険が潜んでいるのか?! 】〈前篇〉

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福島の原子炉4号機からの核燃料の取り出し、広島型原爆14,000発分の放射性物質の脅威
これまで人類が経験した中で、最も危険で最も高度な技術、最も高度な管理が必要な作業

アンドレア・ジャーマノス / コモン・ドリームス / フェアウィンズ 10月24日

4号機建屋
早ければ11月にも、巨大事故を引き起こした福島第一原子力発電所を管理する東京電力は、作業中に事故が起きれば今度こそ日本に『壊滅的』被害をもたらすことになる、原子炉4号機の使用済み核燃料プールからの燃料とし出し作業に着手することになります。

取りださなければならない核燃料棒の数は1,300本、破壊された原子炉建屋の上層階にあり、その放射性物質の量は広島型原爆14,000発分に相当します。
原子炉4号機はメルトダウンこそ起こしませんでしたが、水素爆発による破壊により傾き、一方が沈み込んだ状態にあり、大型の地震に見舞われた際の耐震性はゼロという状態です。

ジャパン・タイムズは、状況について、以下のように解説しています。
燃料棒の取り出しを行うため、東京電力は荷重273トンの稼働式クレーンを建設、操作は離れた場所の別の部屋で、リモートコントロールによって行います。
[中略]
燃料棒は挿入されているラックから一本ずつ抜き取る作業を行い、重い鋼鉄製の容器に移し替えることになっています。
これらの作業はすべて水中に沈めたままの状態で行います。

4号基構造物
次に燃料棒の入った容器をプールから取り出して地上に降ろし、損傷を受けていない共用の核燃料プールの中に再び沈められることになります。
正常な状態なら3カ月ほどで終了する作業ですが、東京電力は2014会計年度の終了(2015年3月)までの1年と5カ月でこの作業を終わらせたいとしています。

しかしこれ程の事業を東京電力が行うということに対しては、各方面から疑問と懸念の声が上がっています。
福島第一原発の事故収束・廃炉作業を前に進める責任があるはずの東京電力は、実際の作業においては事故やトラブルを繰り返すばかりで、進行中の危機を収束させるには程遠い状況にあります。
その会社が400トンもの使用済み核燃料を、人間の手で無事に進めることが出来るのかどうか、その疑念には深刻なものがあります。

この点について、ベテランの原子力技術者で、フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションの責任者であるアーニー・ガンダーセン氏が、この夏以下のように警告しました。
「かなりの数の燃料棒が、取り出し困難な状況に陥ることになる可能性があります。」
「この作業が順調に進むだろうと考えるのは、事実を軽視することであり、論理的にかなりの飛躍があります。」

IND 福島第一原発
原子炉監視プロジェクトのポール・ガンター博士は、ビヨンド・ニュークリアー(原子力)のタコマ・パーク博士とともに10月下旬、コモン・ドリームスに以下のような声明文を寄せ、事態について警告しました。

「全体の状況が安定していない中で、数百トンに上る高い放射性物質を含む核燃料の取り出しに着手することは、今日の事態を一層危険なものにする恐れがあります。」

ガンダーセン氏は核燃料を取り出す作業の危険性について、以下のたとえを用いました。
「核燃料棒をタバコに、燃料棒が挿入されたラックをタバコのパッケージに見立てて考えてみましょう。
たばこのパッケージが新しいままなら、タバコは一本ずつ簡単に引き抜くことが可能です。
しかし、4号機の核燃料ラックは変形していると考えなければなりません。
ひしゃげたパッケージから乱暴に引き抜けば、タバコは引きちぎられてしまうでしょう。
同じようなことが、4号機の核燃料プール内で発生する可能性があるのです。

111006
核燃料の収納ユニットはすでに変形しており、万が一にも核燃料を力任せに引き抜くようなことをすれば、核燃料が破損してしまう恐れがあり、そうなればセシウムやその他の放射性物質、キセノンやクリプトンが環境中に放出されてしまいます。」
「11月、12月、あるいは1月、作業中に核燃料棒が損傷する事態が発生し、作業員が緊急避難を強いられる事態の発生を、私は恐れています。
私は燃料棒を引き抜く際の事故により、さらなる放射性物質が環境中に放出される事態を恐れているのです。燃料棒は一度オーバーヒートしたのではないでしょうか?核燃料プールは一度沸騰して、水がほとんど無くなったのではありませんでしたか?そうしたことを考え合わせると、最早取り出すことが不可能になっている燃料棒が存在する可能性があるのです。」
(詳しくは『進行中の福島の危機』、本当は何が起きているのか《第4回》http://kobajun.biz/?p=14455 をご参照ください)。

ジャパン・タイムズは以下のように付け加えました。
正常な状態で行われる燃料棒の取り出し作業は、燃料棒の位置をミリメートルの単位で正確に記録しているコンピュータを使いながら行われます。

111002
しかし放射線量がきわめて高い環境で盲目に近い状態で作業を行なえば、クレーンから燃料棒を落下させたり損傷させたりといった事故が発生する可能性があります。
そんなことになれば、3.11によって厳しい状況に追い込まれた東北地方が受けるダメージは、言葉などでは表現できない程悲惨なものになります。

〈 後篇に続く 〉

http://www.commondreams.org/headline/2013/10/24-3
http://fairewinds.org/media/in-the-news/fuel-removal-potential-apocalyptic-scenario-says-commondreams-org
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ひとつ気がかりなのは、世界が注視しているこの危険な作業が始まるという事を、いったいどれだけの『日本国民』が認識しているか、という事です。
例によって日本国内の報道では、4号機の使用済み核燃料の取り出し作業は、廃炉作業の中の一段階に過ぎないかのように扱われています。

万が一東京電力が作業中に事故を起こしたら、これまで翻訳してきた海外の報道を見る限り、少なくとも100キロ圏内にいる人々は直ちに避難しなければならないはずなのに。
『その場合』考えられる状況について、海外の報道は『カタストロフィ』や『黙示録』といった表現を使っています。
ところが、国も県も市町村も、この問題については沈黙したまま。

さらにはこの記事にあるように、これまで事故収束・廃炉作業についてはほとんど前進させることが出来なかった東京電力に、まかり間違えば東北、北関東という単位で国土を滅ぼす可能性のある作業をやらせるのか?
という疑問を、憤りとともに感じます。

この国では原子力災害については、やはり自分の身は自分で守るしかないのでしょうか?
この有り様だからこそ、日本国内での原子力発電は許してはならない。
違いますか?

【 闇が支配する場所 : 福島第一原子力発電所 】《第5回・最終回》

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特別報道 : 福島が上げている悲鳴 : 低賃金、深刻な危険、そして暴力団
信じられないほどに劣悪な、作業員の待遇 - どんぶり飯1杯とイワシの缶詰が半分、それが夕食…
他の場所では職を得ることが出来ない、だからと言ってこの扱いは許されるのか

アントニー・スロドコウスキー、斎藤まり、ケヴィン・クロリッキ、ソフィー・ナイト、クリス・メイヤー、長田よしゆき / ロイター通信 / アメリカNBCニュース
10月23日

▽ 除染・廃炉作業に募る不満

120913
福島第一原発周辺の市町村では、避難している住民たちの帰還がかなうよう、線量計を身に着けた何千人もの作業員が、産業用のホースを何本もつなぎ、掘削機械を操作し、民家の屋根や壁、道路などをこすり洗いし、地面の表面を削り取り、木の葉をかき集め、木の表皮をはぐなどの作業をして、環境中の放射線量を下げるための努力を続けています。

数百社に上る零細企業が、この除染作業を行うための契約を得ました。

7月の厚生労働省の報告によると、2013年上期、これらの企業の70%が労働関連法規に関する違反を行いました。
厚生労働省の福島県事務所は、除染作業に関連する567件の告発を受理し、10件について悪質であるとして警告を行いました。
しかし、処分を受けた会社はありませんでした。

警告を受けた会社のひとつがデンコー警備という会社です。
福島第一原発の事故の前、この会社は工事現場に警備員を派遣することを主な業務としていました。
デンコー警備は福島第一原発近くの田村町で、35人の労働者を管理していました。

ロイター通信が傍聴した5月の調停の席上、労働者は小さな宿舎の1部屋に5人が詰め込まれ、寝起きさせられたと不満を訴えました。
夕食はほとんどの場合、どんぶり飯一杯と少量の野菜、あるいは缶詰のイワシだけだと彼らは訴えました。

除染01
昨年12月には、凍結した道の上でスリップ事故を起こしけがをした作業員を病院に運ぼうとした運転手に、現場の監督がけがをした作業員のユニフォームを脱がせ、遠い場所にある病院に連れて行くよう命じました。
デンコー警備は労災保険に未加入で、事故の報告をしなくていいように、隠ぺいを謀ったのだと訴えました。

「私たちはすぐに現場に入り、ただちに作業行うように依頼されていたため、各種の手続きが後回しになってしまったのです。」
デンコー警備の役員はこう語って、作業員に謝罪しました。
後に作業員はそれぞれ60万円の補償金を受け取りました。
「結果論になりますが、作業現場に全くの素人を送り込んだために起きたという事故ではありません。」

ロイター通信が傍聴した調停の席上で、デンコー警備は労働環境に問題があったことは認めましたが、12月の事故については未だ調査中であると答えています。

この問題の解決にあたった労働組合の関係者は、デンコー警備のケースのような多数の労働者が関わる事例が解決を見たのは、珍しいと語っています。
多くの作業員は雇用主に借金をしていることになっており、雇用を打ち切られ、借金が返済不能になることを何よりも恐れており、そのため何事にも口を閉ざそうとする傾向があるのです。

NBC 4
「ブラックリストに自分の名前が載ることを恐れ、彼らは告発すること尻込みしているのです。」
かつては自身が福島第一原発で作業員として働き、いまは福島の作業員を守るための組合を運営している相沢みつお氏がこう話してくれました。
「彼らが他ではほとんど職を得る可能性を持っていないことを、忘れてはなりません。」

福島第一原発での体験は、林さんを活動家に変身させました。

2012年後半の福島第一原発における体験を記録したビデオをインターネットに投稿した後、彼は2度目の雇い主によって東京郊外の建設現場に配置換えになりました。
週刊誌が林さんに関する記事を掲載すると、会社の上司は彼に辞職するよう頼み込みました。
彼は東京に住まいを移し、労働基準監督署に告発を行いました。

その上で林さんは元俳優で、国会議員に選出された山本太郎氏の下で、ボランティアとして働きました。

NBC 3
「多数の下請け業者を使っている大手企業は、現場の作業員が職を失うことを恐れて、口をつぐみ続けるだろうと考えています。」
林さんがこう語りました。
「しかし、日本は永遠にこの問題を無視し続けることはできません。」

〈 完 〉

http://www.nbcnews.com/id/53370391/ns/business-oil_and_energy/t/special-report-help-wanted-fukushima-low-pay-high-risks-gangsters/#.Unhaq1NDFnU
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福島の作業員の方々に対する扱い、
「これが人間に対する扱いか?」と思うと同時に、「それが人間のする事か?」とも思います。

思い出すのは、第二次世界大戦(太平洋戦争)当時、前線、特に南太平洋諸島の日本軍の前線で起きていたことです。
飽くまで私が読んだ範囲の記録などを基にお話します。

玉砕という言葉が多用されますが、南太平洋の島々では数百、数千の日本軍の全滅が繰り返されました。
その中には、武器も弾薬も不足し、食糧も満足に確保できない中、
「生存者がいたのでは部隊のメンツが立たないから、お前ら全員死んでくれ。」
と言われた例もあったようです。
そのような死を強要される理不尽さ、それと似た状況が福島の現場にはある、そう感じました。

第二次世界大戦(太平洋戦争)について言えば、亡くなられて70年も経ってから『英霊』などという単なる美辞麗句を贈られるより、生きていた当時、無意味な死を強要されない状況を国を挙げて作る事の方が大切だったはずです。

同じ頃、1944年12月~1945年1月、ヨーロッパではドイツ軍の最後の反攻が開始され、英米を中心とする連合軍が窮地に陥ります。
混乱の中、アメリカ軍の101空挺師団がベルギー・ルクセンブルグにまたがるアルデンヌの森に孤立してしまいました。

当初大混乱に陥った連合軍は態勢を何とか建て直し、まず行なったのが、徹底した兵士の救出、救援、そして補給でした。
ベルギーの南方でドイツ国内への突入を準備していたパットン将軍率いる第3軍は、その成功を目前に控えていました。
しかし北部戦線の危機を見てドイツ国内侵攻目前の作戦を断念、悪天候の中各所で戦闘を繰り返しながら北上、友軍の救出に向かい、包囲されていた101師団を解放したのは有名なエピソードです。

私は徹底した非戦論者です。
特に日本という国の。
それは前線の兵士一人一人の命を、物と同じように扱った歴史を持っているからです。
兵士は故郷に戻れば父であり、夫であり、兄であり、弟であり、大切な家族です。
戦争といえどそれを無視してはならない、その考えを、米軍も、英軍も、ドイツ軍であってもプロの軍人たちは共通して持っていました。
組織を挙げて人間兵器を作り出し、玉砕の名の下に全滅作戦を繰り返したのは、日本だけです。
今それを、再び福島の現場で繰り返しているように思えてなりません。

福島第一原発の現場に今必要なのは、いったい何なのでしょうか?

【 闇が支配する場所 : 福島第一原子力発電所 】《第4回》

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特別報道 : 福島が上げている悲鳴 : 低賃金、深刻な危険、そして暴力団
作業員の銀行口座を『管理する』手配師たち
福島のヤミの人材派遣は、暴力団にとって格好の資金源
暴力団に関係しているとして地元で公共事業から締め出された会社、福島に現る

アントニー・スロドコウスキー、斎藤まり、ケヴィン・クロリッキ、ソフィー・ナイト、クリス・メイヤー、長田よしゆき / ロイター通信 / アメリカNBCニュース
10月23日

03 Spiegel
2012年9月、林さんは日本の最大規模の建設会社である鹿島の系列の下請けで、別の仕事を見つけました。
彼は得るものが何もないまま故郷に戻る気にはなれなかった、そして最初にひどい目に遭ったのも単に運が悪かっただけなのかもしれないと思った、そう語りました。

しかし彼は運が悪かった訳では無かったのです。
それが福島第一原子力発電所の現実だった、それだけのことでした。

今度は何人もの労働者を下請けに送り込んだ手配師が、林さんの銀行口座は自分が管理すると宣告しました。
林さんは一日あたり16,000円前後の報酬の3分の1を、この手配師にピンハネされてしまったものと考えています。

この手配師は、自分は林さんと同じ長野県の、元暴力団員であったと語りました。

同じく長野県出身の五島遼さんも、この手配師のあっせんにより福島第一原発の廃炉を行う作業員して働いた際、報酬の半分をピンハネされたと語りました。

五島さんと林さんは福島の同じ下請けで働いていた際、友人になりました。

汚染水タンク05
五島さんは横行するピンハネについて抗議したところ、昨年12月にクビにされたと語りました。
五島さんを雇っていた下請け会社の『テック』は、五島さんの報酬をピンハネしていた別の従業員1名をすでにクビにしたと語りました。
『テック』の記録では、五島さんは一身上の都合により退社したことになっています。
同社が五島さんに未払いの賃金を支払ったことについて、双方がその事実を認めました。
五島さんによると、支払総額は90万円ほどでした。

鹿島のスポークスマンである藤野氏は、林さんとも藤野さんとも契約を交わしたという事実は無く、そのためコメントする立場にはないと語りました。
「我々は協力会社(下請け)に対し支払を行う際、作業員の方々に危険手当もきちんと支払うように、指導をおこなっています。」
鹿島のスポークスマンは声明でこう述べていました。

▽ ヤクザと福島第一原発

福島の多重下請構造の仕組みの複雑さは、日本のヤクザ社会を利することになりました。
日本のヤクザ = 暴力団は何代にも渡り労働者の闇のあっせんを生業(なりわい)としてきました。

警察によれば、1,050人の福島第一原発の作業員が、日本の主要な3つの暴力団組織である山口組、住吉会、稲川会の50人の暴力団員によって管理されています。

汚染水01
関係省庁、警察、そして除染作業、廃炉作業を行う企業は福島の現場から組織犯罪を締め出すための特別委員会を立ち上げました。
警察関係者は、被害を受けた本人から告発が無い限り、暴力団関係者を取り締まることはできないと語りました。
警察も大手下請け企業からの情報が頼りというのが現状です。

住吉会系暴力団の幹部が派遣労働法違反の疑いで逮捕され、有罪判決を受けましたが、これなどは稀な例です。
裁判で被告の暴力団関係者は、被災地で働いていた作業員の報酬の3分の1をピンハネし、2年間で約600万円を着服していたことを認めました。
今年3月に言い渡された判決では、被告はすでに暴力団から脱会し、改悛の情が認められるとして8カ月の執行猶予つきの判決を受けました。
この暴力団の元幹部は、日本の大手建設会社である大林組が福島県北部の伊達市で行っていた除染作業に、違法に作業員を派遣していた件について、有罪判決を受けました。
伊達市は福島第一原発の事故後、放出された放射性物質の通過地点となり、除染の必要性が生じていました。

今回の事件の捜査にあたった警察関係者は、今回の摘発は福島で暴力団が関わっている様々な問題の中、その氷山の一角に過ぎないと語りました。
大林組のスポークスマンは、下請け企業の内の一社が暴力団から労働者の派遣を受けていた事実については把握していなかったと語りました。

Jビレッジへのバス待ちの列
「下請け各社と契約する際、私たちは犯罪組織と一切関わりを持つことの無いよう、約款で定めています。」
大林組のスポークスマンがこう語り、こうした事例が二度と発生しないよう、警察とも連携を強めていると付け加えました。

今年4月、厚生労働省は福島に違法に労働者を派遣していた企業3社の認可を行いました。

この中の1社、長崎に本社を置くヤマト・エンジニアリングという会社は、手配師を締め出すための法律に違反して、福島第一原発の現場で配管を行うための作業員、510名を送り込みました。

しかし記録によれば、これら3社とも労働管理当局より、その商習慣を改善するよう命じられました。
2009年、国土交通省・長崎支所の文書による公示では、ヤマト・エンジニアリングについては、警察が「事実上犯罪組織の管理下にある」と判定し、公共事業に参加することを禁止されました。
大和Engineeringは、即時のコメントをしませんでした。
この点について、ヤマト・エンジニアリングは回答をしていません。

自身の証言によると、五島さんは14歳の時から山口組傘下の地方組織の下で働き、金銭の拠出を強要され、借金がかさんでいました。

110807
五島さんは刑務所での刑期を終えた後、組織を抜けました。
彼は脱退を認めてもらうため、数カ月間に渡り毎月20万円支払うよう要求され、高利貸しから借金せざるを得なくなりました。
「私の両親は暴力団と一切関わり合う事を拒否し、私に家を出て、二度と戻らないよう言い渡しました。」
結局五島さんはてっとり早く現金を手に入れるために福島に向かいました。
そこで彼は抜けたはずの出身地の暴力団の構成員の下で働くことになったのです。

※オリジナルの記事では逮捕された暴力団の元幹部について実名が記載されていますが、翻訳記事のため漢字表記に正確を期すことが出来ず、三人称の表現に留めました。

《第5回に続く》

http://www.nbcnews.com/id/53370391/ns/business-oil_and_energy/t/special-report-help-wanted-fukushima-low-pay-high-risks-gangsters/#.Unhaq1NDFnU
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電力会社も大手建設会社も、暴力団とのかかわりを否定しています。
でも、私個人としては、釈然としません。
これまでに読んだ原発関連書籍には、原発建設、処分場建設問題が持ち上がると、決まったように現れて反対派を脅す右翼の街宣車について書かれています。

彼らが反対派を脅すのは、原発や処分場を建設する側から資金提供を受けているからなのではないでしょうか?
飽くまで私個人の認識ですが、右翼の街宣車は暴力団とつながっています。

街宣車という『改造車両』を作るだけでも、相当金がかかるはずです。
原発建設、処分場建設現場に彼らを『派遣』するにはさらに金がかかるはずです。
その金は誰が負担しているのでしょうか?

さらに言えば、原発継続を訴える政治家諸氏は、自分は地球温暖化に取り組む世界の知識層の一員であると考えているかもしれません。
しかし、私のような政治的利害などにはまるで無関係な一庶民の目には、『脅す側』の頂点に立っている存在こそ、原発継続を訴える政治家諸氏なのではないのか?そう映っているのです。

【 闇が支配する場所 : 福島第一原子力発電所 】《第3回》

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特別報道 : 福島が上げている悲鳴 : 低賃金、深刻な危険、そして暴力団
過酷な労働、違法な労働を敢えて取り締まらず
改ざんされた放射線管理手帳、下請け全社がコメントを拒否

アントニー・スロドコウスキー、斎藤まり、ケヴィン・クロリッキ、ソフィー・ナイト、クリス・メイヤー、長田よしゆき / ロイター通信 / アメリカNBCニュース
10月23日

汚染水配管
福島第一原発内での作業は、周辺の除染以上に危険なものであるはずです。
10月には作業員の1人が誤って違う配管を取り外し、作業員6名が高濃度汚染水を全身に浴びる事故が発生しました。
これに先立つ8月には、破壊された原子炉周辺でがれきの撤去作業を行っていた作業員12名が、高線量の被ばくをしてしまう事故が発生しました。
連続して発生する事故やトラブルは日本の原子力規制委員会をして、東京電力が作業員に対し、過重な負担を強いているのではないかという疑いを抱かせることになりました。

「適切な管理監督は、不注意なによる間違いを防ぐために大切な要件です。現状、東京電力は万事下請任せにしている可能性があります。」
終わらない事故やトラブルを受け、原子力規制委員会の田中俊一委員長がこう語りました。

これに対し東京電力はこうした事故を繰り返さないよう、着実に対策を進めると語っています。
東京電力は作業を下請け会社に割り振る際、立ち入り検査を行って作業員の安全確保がきちんとなされているかどうかの確認を行っていると語っています。

原子力規制委員会は原子炉の安全確保を第一の任務とする機関ですが、福島第一原発の事故収束・廃炉作業を監督する政府機関のひとつとしても機能しています。
さらには地元自治体、警察に加え、厚生労働省、環境省、そして経済産業省も福島第一原発の事故収束・廃炉作業が規則通りに実行されるよう、管理・監督する立場にあります。

汚染水タンク05
福島第一原発の作業員の代理人を務める弁護士の水口洋介氏は、作業員が搾取を受けている状況について、日本政府が見て見ぬふりを続けていると指摘しました。

「公の場では政府は、作業員が受けている扱いについて違法だと発言しています。 しかし本音では、彼らは何もしたくないのです。誰に対しても罰則など適用しないことにより、彼らは安い賃金で数多くの労働者を利用し続けることができるのです。」

日本のエネルギー政策と福島第一原発の問題を直接所管する立場の茂木経済産業大臣は、東京電力に対し作業員宿舎の居住環境を改善するよう指示を行いました。
茂木大臣は福島第一原発の作業員の労働環境を改善するためには、さらなる対策の実施が必要だと語りました。
「福島第一原発における事故収束・廃炉作業を前に進めるためには、数多くの企業と協力していかなければなりません。」
ロイター通信の取材に、茂木大臣はこう語りました。
「関係会社間の協力がうまくいき、事故収束・廃炉作業を前に進めることが出来るよう、私たちは日々取り組みを続けていく必要があります。」

▽ 改ざんされた放射線管理手帳、下請け全社がコメントを拒否

CB06
林さんは故郷の長野を出て、福島に向かう気になった理由をいくつか挙げました。
長野県はスキーのメッカとして国内有数の場所であり、林さんはこの場所でスケートボーダーとしての腕を磨きました。

林さんは福島第一原発の事故収束・廃炉作業が順調に進み、状況はコントロールされているという政府発表に疑問を抱き、自分の目で確かめて見たかったのだと語りました。
林さんは建設業界で働いた経験があり、溶接の技術も持っており、自分も福島で何か貢献できることがあると考えたと語りました。

林さんは他の多くの作業員同様、始めは手配師により福島第一原発の現場に送り込まれました。
林さんが所属させられたのは東京電力から6段階下の下請け、RH興業でした。

福島に到着したとき、林さんは手配師とRH興業に加え、他の5つの会社から雇用に関する説明を受けました。
その中、6段階上のABL社から、林さんは放射線量が高い場所で働くことになると告げられたのです。

ABL社は東京エネルギー・システム株式会社の下請けです。
そして報告しました。そして、東京エネルギー・システム株式会社は福島の現場で、東京電力と直接契約を取り交わし、約200人の労働者を管理しています。

110624
林さんは現場に入る前にテレビ・ジャーナリストと面接し、カメラと、そしてビデオ・カメラを持ち込みました。
そして労働記録のコピーも携帯し続けることにしました。

ある場所で林さんはRH興業の上司から、こう言われました。
「心配するには及ばないよ。被ばくした放射線量は、累積しないようになっているから…」

「1週間過ぎてから被ばく線量を測定すれば、計測値は半分になるんだ。」
彼が録画したビデオに映っていた男性がこう語っていました。
林さんの元上司は、この件に関しコメントすることを拒否しました。

今回明らかにされた声明は、福島第一原発の現場において、放射線安全基準が濫用されている実態を訴えています。
そもそも、放射線を浴びても人体には無害だなどと言う事実は存在しない、そうした考えに立脚しています。

労働者は、5年間累積被ばく線量の限度を100ミリシーベルトと定められています。
国際原子力機関は、100ミリシーベルトを境に、ガンの発症割合が明らかに上昇すると報告しています。

福島第一原発における林さんの最初の2週間の勤務が終わった後、彼は自分の放射線管理手帳(作業時の累積被ばく線量を記録する)の記録が偽造されていることに気がつきました。
手帳には、林さんがRH興業では無く、下請け回想がもっと上の企業に直接雇用されたと記されていたのです。

Jビレッジへのバス待ちの列
ロイター通信社が放射線管理手帳を確かめたところ、林さんは2012年5月から6月までスズシ工業によって雇用されたと記録されていました。
放射線管理手帳には林さんが6月に10日間だけ福島第一原発で働いたと記されていました。
一方、林さんはRH工業と1年間の契約を取り交わしたはずであり、記録は改ざんされたものであると語っています。
「私が実際に行った仕事を下請けに回したという事実を隠ぺいするため、私の勤務記録を改ざんした疑いがあります。」

ABL社は林さんが同社の管理の下で作業を行ったことは認めたものの、コメントすることは拒否しました。

東京電力も、ABL社も、東京エネルギー・システム株式会社も、スズシ工業も、そしてRH興業もこの件に関し、コメントすることを拒否しました。
林さんの福島第一原発における最初の勤務については、いかなるコメントも引き出すことはできませんでした。

《第4回に続く》

http://www.nbcnews.com/id/53370391/ns/business-oil_and_energy/t/special-report-help-wanted-fukushima-low-pay-high-risks-gangsters/#.Unhaq1NDFnU
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【 ロンドンの下層階級と最初期の街頭写真集 】

立花ゆか / アメリカNBCニュース 11月7日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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ビクトリア朝の英国ロンドンで、厳しい生活を強いられていた貧困層の人々の様子を撮影した写真集が、7日木曜日、競売にかけられることになっています。
「この写真が撮影された1877年(日本では明治10年)頃は、写真というものは主に美しい風景や富裕階層の肖像写真を撮影するためのものでした。
しかしこの写真集『カメラマンのジョン』は、ビクトリア朝時代、ロンドンで暮らす下層階級の人々の日常を描き出そうとした、当時としては画期的なものだったのです。」
ジョン・トレヴァー社の競売人のドミニク・ウィンター氏がこう語りました。

「絶望的貧困の中でその日暮らしを強いられていた人々を、ロンドンの通りで撮影した、最初の写真集なのです。」
「社会的なドキュメンテーションとして、その草分けとなる作品が出来上がったのです。」

当時はきわめて稀であった街頭での写真撮影のパイオニア、スコットランドのカメラマン、ジョン・トムソンは、1870年代のロンドンの労働者階級の写真撮影を行いました。
写真は、当初1876~1877年に月刊誌『ストリート・ライフ in ロンドン』で発表されました。

この作品集が発表された時、おそらく相当の反響があっただろうとトレヴァー社の関係者が語りました。
「当時のロンドンの中流以上の階層の人々は、下層階級の人々がどのような暮らしをしているかについて、興味も知識もありませんでした。トムソンの写真を通してその実態を見た彼らは、かなりのショックを受けたようです。」

オリジナルの雑誌がどれだけ現存しているかはわかっていません。
この作品集は当初60万円から90万円の落札価格が予想されていましたが、約170万円で落札されました。

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【 闇が支配する場所 : 福島第一原子力発電所 】《第2回》

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特別報道 : 福島が上げている悲鳴 : 低賃金、深刻な危険、そして暴力団
2015年までの事故収束・廃炉作業に必要な人員を確保できない現状
原発ジプシー、金銭にまつわるトラブル、雇用者とは別の手配師の暗躍、適切な健康保険の欠如、こうした問題が何十年もの間続いてきた

アントニー・スロドコウスキー、斎藤まり、ケヴィン・クロリッキ、ソフィー・ナイト、クリス・メイヤー、長田よしゆき / ロイター通信 / アメリカNBCニュース
10月23日

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アジア地区の電力会社として最大の規模を誇る東京電力は、これまで監視機関となれ合いの関係を続け、東京電力に対する政府の監視も有るか無いかといういい加減なものでした。
しかし2011年3月にマグニチュード9.0の地震と巨大な津波が福島第一原発を襲い、原子力発電所で巨大事故が発生すると、そうした不適切な関係は厳しい調査の対象となりました。
事故は3基の原子炉がメルトダウンするという世界でも前例のない事態を引き起こし、周辺住民150,000人が自宅を捨てて避難しなければなりませんでした。

以後の東京電力の、福島第一原発の状況を安定させるためのその場しのぎの対応の繰り返しについて所管する茂木経済産業大臣は、まるで『もぐら叩き』ゲームをやっているようだと批判しました。

▽『原発ジプシー』

福島第一原発の事故収束・廃炉作業と周辺市町村の除染のため、これまで約50,000人が雇用されたと見られていますが、林さんはその中のひとりです。
今後の作業を継続するためには、さらに数千人数万人の作業員が必要です。

汚染水タンク02
まず必要なのが、事故を起こした原子炉から溶け落ちた核燃料の冷却を続けるため、毎日数千トンの水を送りこんでいる、そのシステムを維持するための要員です。
冷却のため使われた水は高濃度に汚染されるため、1,000基以上並んでいる貯蔵タンクで保管します。
これらのタンクの容量は、合算すればオリンピックで使われるプール、130杯分以上に相当します。

東京電力の計画に基づけば、2015年までの作業を維持するためだけでも、少なくとも12,000人の作業員をプールしておく必要がありますが、現在までに確保できているのは8,000人に留まっています。
ここ数か月、福島第一原発の現場で作業を行っているのは、6,000人程になります。

日本政府は320億円の事業費を投じ、汚染水の流入を防ぐための『凍土壁』計画を行いますが、上記の東京電力の人員計画にはこのための要員は含まれていません。

この問題について、独立行政法人日本原子力研究開発機構の中山俊一氏がこう語りました。
「現場の作業員の安全を確実なものにした上で、この作業が実行可能なのかどうか、その点を私たちは問うべきだと思います。」

1970年代、福島第一原発を含む初期の原子力発電所の開設以来、日本の原子力産業は低賃金労働に頼ってきました。

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長い間日本の原子力産業界は、東京の山谷、大阪の釜ヶ崎などで決まった自宅を持たない『原発ジプシー』と呼ばれる季節労働者をかき集め、原子力発電所の現場に投入してきました。

「原発の現場における労働条件は、常に劣悪であり続けました。」
こう語るのは、大阪の阪南中央病院の村田三郎部次長です。

「金銭にまつわるトラブル、雇用者とは別の手配師の暗躍、適切な健康保険の欠如、こうした問題が何十年もの間続いてきたのです。」

福島第一原発における事故収束・廃炉作業は、こうした問題を一層悪化させたのです。

2011年8月、福島の除染作業関連予算が議会の承認を得たとき、その執行については建設業の関連法規の『適用外』としました。
その結果、除染作業を行う業者は、経営管理に関する情報を明らかにする必要も無く、いかなる審査も受ける必要が無くなりました。

それが意味するものは、いつでも誰もが除染作業を請け負える、その状態が実現したということでした。
現場の企業や労働者の証言によれば、経験の無い小規模の会社が殺到し、契約を取るため手配師を使って作業員をかき集める会社もありました。

NBC15
こうした労働者が大量に流入した結果、福島第一原発から50キロメートルほどの場所にあるいわき市のような町は、労働者のための騒々しい中継地に変貌しました。
手配師がその人間の負債を清算してやり、作業員として『買い取る』という極端な例も現れました。

実際に現場で働かされた作業員や彼らの支援を行っている関係者の証言によれば、送り込まれた作業員たちは、極端なピンハネと不平不満を口にすることが出来ない現場で、借金を清算するまで働かされることになるのです。

かつてアメリカ原子力規制委員会の委員を務め、現在は東京電力のアドバイザーを務めるレイク・バレット氏は、ロイター通信の取材に対し、こうした仕組みが解消されるまでには、相当の時間がかかるだろうと語りました。
「大企業が実務を下請けにやらせるというのは、日本で100年間続いてきたやり方なのです。それがフクシマでもまた、現実になっているのです。」
「その現実が一晩のうちに変わるはずがありません。下請けがいるから、ここには仕事がある。仕事につきたければ、自分の方を変えるしかないのです。」

2012年に東京電力が行った調査の結果、福島第一原発の現場で働いていた作業員のうち、約半数が下請け会社と契約を交わしたものの、実際には別の会社の下で働いていたことが明らかになりました。
本来の日本の法律では、手配師などが労働者の賃金のピンハネを防ぐため、そうした行為は禁じられています。

街頭抗議
東京電力は福島第一原発の現場から不当労働行為を排除するための第一段階として、この調査を行ったと語りました。
「私たちは下請け企業による不当労働行為は、大変深刻な問題だと認識しています。」
東京電力はロイター通信に対し、このような声明文を寄せ、下請け企業に対し労働法規の順守を強く求めると約束しました。
東京電力は現場の作業員のためにホットラインを開設し、下請け企業に対し労働法規を順守させるためのセミナー等を実施した事を明らかにしました。
6月には新たに雇用された作業員に対し、法律に沿った雇用体制を構築するための講習を受講することを義務付けました。

東京電力は福島第一原発の現場における作業員の報酬を明らかにしていません。
ロイター通信が作業員から直接聞き取り調査を行ったところ、時給平均で1,200円前後になりましたが、ひどい場合には時給600円程度のケースもあることが解りました。これは日本の建設業の平均時給の3分の1程度という安さです。

福島第一原発の周辺で除染作業を行っている作業員には、日本政府から1日あたり約10,000円の危険手当が支給されているはずですが、実際には作業員には支払われていないケースが数多く確認されています。

《第3回に続く》

http://www.nbcnews.com/id/53370391/ns/business-oil_and_energy/t/special-report-help-wanted-fukushima-low-pay-high-risks-gangsters/#.Unhaq1NDFnU

【 闇が支配する場所 : 福島第一原子力発電所 】《第1回》

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特別報道 : 福島が上げている悲鳴 : 低賃金、深刻な危険、そして暴力団
告発を受けても、実態解明に乗り出そうとしない労働基準監督署

アントニー・スロドコウスキー、斎藤まり、ケヴィン・クロリッキ、ソフィー・ナイト、クリス・メイヤー、長田よしゆき / ロイター通信 / アメリカNBCニュース
10月23日

jビレッジ内に作られた作業員宿舎の夜

jビレッジ内に作られた作業員宿舎の夜

林哲也さんは、チェルノブイリ以降最悪の原子力発電所事故の爆心地で仕事をするため、福島に赴きました。

彼には2週間我慢することは無理でした。

41歳の林さんは2012年、福島第一原発の現場を離れた作業員の被ばく線量を計測・記録する業務に携わるという条件で福島にやってきました。
福島に着いた林さんは、彼を直接雇用する東京電力の下請け会社に、細かな字でびっしりと約定文が書かれた契約書に署名させられました。

驚いたことに、林さんが実際に割り当てられたのは最も放射線量が高い場所での事故収束・廃炉作業でした。
彼は現場では、2重構造になった放射線防護服と酸素ボンベを着用しなければならないと告げられました。
そして下請け会社の説明担当者が次のように語ったのです。
それだけの防備をしても、この場所の放射線量は異常なほど高く、彼のは一時間以内に年間被ばく線量の限度をこえてしまうだろう、と…

「私は、だまされ、そして罠にかけられたと思いました。」
林さんがこう語りました。
「ここに来る前、そんな話は一度もされたことがありませんでした。」

林さんは下請け段階がひとつ上の会社に抗議しました。
そして解雇されたのです。

林さんは労働基準監署に告発を行いました。
しかし1年以上たった現在も、この行政機関からは何の返答も得ていません。

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このケースの林さんの雇用には、合計で8社もの会社が関わっていましたが、頂点に立つ東京電力を始め、この件については一切のコメントを拒否するか、担当部署と連絡を取ることもできませんでした。

林さんは福島で別の仕事を見つけました。
今度は使用済み核燃料プールを支えるための、コンクリート製の支えを建設する仕事でした。

林さんの話では、新しい雇い主である下請け会社は彼の一か月分の賃金である約150,000円から3分の1を抜き取り、残りを茶封筒に入れて彼に手渡しました。
ロイター通信は、給料袋や振り込み明細書など、林さんの告発に関連する文書を再検証しました。

ロイター通信社が行った調査によれば、林さんが受けたような理不尽としか言いようのない処遇は、最低でも15兆円かかると見られている福島第一原発の事故収束・廃炉作業並びに周辺地区の除染作業の現場において、珍しいことではありません。

この前例のない巨大な規模の現場の実態を解明するため、ロイター通信社は80名を超える現場の労働者、関連する企業、そして関係当局にインタビューを行いました。

そこには共通する問題点が見えてきました。

NRC Barett
何重にも複雑に重なり合う下請け構造の中、福島第一原発の現場は、出入りするすべての関係者の身元が明らかではないという環境に依存しています。
原子力発電所の現場は初めてという会社も少なくありません。
中には警察当局も指摘するように、暴力組織とつながりがある企業も紛れ込んでいるのです。

7~8社によって構成される下請け構造、頂点に立つのは東京電力ですが、『元請』といわれる次の階層には鹿島建設(株)や(株)大林組のような大手ゼネコンが座っています。

様々な問題を抱える東京電力がまず最初に取り組まなければならないのは、福島第一原発の事故収束・廃炉作業であり、政府の助成金も交付されているこの作業は最低でも30年を要すると見られています。

福島第一原発の外側では『ビッグ4(フォー)』と呼ばれている日本の大手ゼネコンの4社 - 鹿島、大林、清水、大成建設 – が、避難者が故郷に帰還できるようにするため、政府が資金を拠出して行っている除染を実際に行っている数百社に上る中小の下請け企業を動かしています。

東京電力はした憂げの実態を完全に解明している訳では無いが、少なくとも作業員に対する虐待や組織犯罪が現場に関与することを防ぐための措置は取っていると主張しています。
「私たちは実際に作業を行うために必要な費用を算定した上で、各社と契約を結んでいます。」
東京電力、原子力・立地本部長代理の尾野昌之氏氏がロイター通信の取材にこう返答しました。
「下請け各社は私たちの発注要件に基づいて、必要な人員の手配を行います。私たちがその契約内容までチェックして、監視の目を光らせることは非常に困難なことなのです。」

2011年6月18日

2011年6月18日

福島における前例のない事故収束・廃炉作業と除染作業において、今、労働者不足の問題が深刻化し続けています。
政府の調査によれば、福島では応募者数に対し、求人数が約25%上回っています。

報酬を引き上げることより労働力の確保は容易になる、しかし実際にはそうはならなかったことを、政府のデータは証明しました。

東京電力は大手銀行からの新たな借り入れと借り換えのため、2014年3月までに財政の再建計画を明らかにするよう求められています。
2011年に発生した福島第一原発の事故により、東京電力は社員の報酬の20%をカットしました。

目減りする賃金と作業員不足は、手配師の暗躍を許すことになりました。
ブローカーたちは、生活に行き詰った人々、あるいは様々なトラブルにより福島第一原発の現場以外では仕事を見つけられない人々を連れてきました。
この結果、多くは未登録の零細企業が福島第一原発の現場に群れ集まることになりました。

東京電力が公表した資料とロイター通信の独自の調査により、以下の事実が明らかになりました。
福島第一原発の現場内には、800に上る下請け会社がひしめき、門を出た周辺地区では、さらに数百社を加えた下請け企業が除染作業を行っていたのです。

《第2回に続く》

http://www.nbcnews.com/id/53370391/ns/business-oil_and_energy/t/special-report-help-wanted-fukushima-low-pay-high-risks-gangsters/#.Unhaq1NDFnU
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いよいよ4号機の使用済み核燃料プールから、燃料棒の取り出し作業が始まることが、地元紙の河北新報で報じられました( http://www.kahoku.co.jp/news/2013/11/20131107t63011.htm )。
しかし今日から5回に分けてご紹介する、福島第一原発の作業員の方々が置かれている状況をドキュメントするこの記事を読むと、果たして作業の安全が確保されるのか、疑問は膨らむ一方です。

私が暮らす仙台では、ところどころで巨大化した雑草を見かけます。
今日見つけたのは建物の影になった場所にある排水路の中から生えたブタクサか何かで、人間の背丈以上の高さがあり、茎の太さは通常の5倍ほどもありました。
「いかにも残留放射線量が高そうな場所に生えているよ…」
「大丈夫、もうすぐ4号機で核燃料を叩き落とす事故が起きるから、こんなことは気にもならなくなるよ。」
冗談とも、あきらめともつかぬ会話が交わされていました。

あなたはこうした会話を『不謹慎』だと非難しますか?
福島第一原発の事故が起きた直後も、民主党の閣僚がゴーストタウンになった町をゴーストタウンと表現し、辞任に追い込まれました。
第二次世界大戦当時も、日本では戦争の批判をすると『非国民』とののしられ、場合によっては犯罪者として拷問された挙句、殺されたケースすらありました。
事故も戦争も、引き起こした方が責任を問われるべきなのに、日常的感覚からの発言をした方が攻撃されるのです。
こうした悪弊も正していかなければならないはずです。

【 汚染水の中に溺れて行く、東京電力福島第一原子力発電所 】

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事故発生から2年半が過ぎた今も、東京電力も日本政府も汚染水の問題を解決できずにいる

アルジャジーラ 10月21日

福島第一専用港02
福島第一原発を管理しなければならない東京電力は、台風による降雨量を過少評価したためポンプを使った排水作業が追い付かず、放射性物質に汚染された汚染水が擁壁を乗り越え、敷地内に溢れ出しました。

福島第一原発では2011年3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、3基の原子炉がメルトダウンと水素爆発を引き起こしましたが、東京電力は事故発生以来、増え続ける高濃度の汚染水の保管と処理に苦闘を強いられています。

福島第一原発では破壊された原子炉の地下部分に、毎日数百トンの地下水が流れ込んで汚染される事態が続いており、事故発生から2年半が過ぎた今も、東京電力も日本政府もこの問題を解決できずにいます。
にもかかわらず安倍晋三首相が「状況は完全にコントロールされている。」と発言したことについて、国内外から疑問の声が上がっています。

東京電力によれば10月20日日曜日の豪雨の後、高濃度の放射性ストロンチウムを含んだ汚染水が、約1,000基の高濃度汚染水の貯蔵タンクを取り囲む擁壁からあふれ出し、敷地内に流れ出しました。

この高濃度の放射能汚染水は、メルトダウンによって溶け落ちてしまった核燃料が再び過熱して再び深刻な事故を起こさないよう、応急的に作られた冷却装置から副産物として生み出されるものです。

汚染水06
東京電力は溜まった雨水についてはポンプでこれを汲み上げ、放射性物質の量を測定した後、基準以上に汚染されていた場合には貯蔵タンクへ、基準以下の場合はそのまま海に流しだす予定であったと語っています。

しかし結果は予想を超える降雨量が大量の汚染水を作り出し、東京電力に『計画通りの』処理を許しませんでした。
「私たちが用意したポンプの処理能力を、降雨量が上回ってしまいました。結果的に数か所で汚染水が溢れだしてしまいました。」
東京電力の広報担当の永井義一氏がこう語りました。

東京電力は20日の予想降雨量を30mm~40mmとして準備を進めましたが、実際には100mm以上に達したと、永井が語りました。

東京の北約220kmの場所にある福島第一原子力発電所で、現在も進行中の深刻な危機。
事故収束作業と汚染水を安全に処理すること、そして最終目標である数十年はかかると見られている廃炉作業、そのいずれも『コントロールする』ことがいかに困難な事業であるか、そのことを改めて浮き彫りにしました。

福島第一原発におけるその対応と管理に対して膨れ上がる内外の懸念をよそに、燃料費を削減して財政状態を改善するため、東京電力は今、唯一稼働可能な世界最大規模の原子力発電所、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の許可を強く求めています。

http://www.aljazeera.com/news/asia-pacific/2013/10/fukushima-overwhelmed-with-radioactive-water-2013102131015957598.html

【 すでに数年の遅れが発生 – 福島第一原発の除染作業 】
帰還を待ちわびる住民に、数年間の先延ばしが告げられる

アルジャジーラ 10月22日

CBS03
巨大災害を引き起こした福島第一原発の周辺市町村の住民は、除染作業が予定より遅れているため、自宅への帰還が認められる時期が数年間遅れる見通しであることを告げられました。

3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こした福島第一原発の周辺に設置された避難区域に含まれる11市町村では、住民が避難生活を強いられています。
環境省官僚は10月21日月曜日、このうちのこのうち6市町村の除染作業が予定通り進まず、このために住民の帰還が予定より数年遅れることを明らかにしました。
本来の予定では、2014年3月にこれらの市町村の除染作業が完了することになっていました。

避難区域内で生活することは許されていませんが、第一回目の除染が済んだ中には一定時間、住民と事業主等が戻ることが許されている場所も許されています。
環境省で政府の除染事業を担当する佐藤重義氏は次のように語りました。
「我々は最低でも1年、場合によっては2年から3年、除染事業を継続しなければなりませんが、はっきりした年数は未だ決まっていません。」

佐藤氏は遅れの原因について、除染によって出た放射性廃棄物の保管場所が不足しているなど、いくつかの理由を挙げました。
日本の代表紙のひとつ、朝日新聞は日本政府が最高3年の遅れを予定していると報じました。

120915
『進展がみられる』
同じ21日公表された報告書の中で、国際原子力機関は除染が済んだ福島県内の若干の地域で放射線量が下がり、政府が定めた基準値を下回る値の放射性物質しか含まない食品の生産が可能になった事を強調しました。
国際的な専門家とIAEAスタッフからなる16人のチームは、避難命令が解除された後、全住民の40パーセントに当たる3,000人が帰還した川内村を視察していました。

http://www.aljazeera.com/news/asia-pacific/2013/10/fukushima-clean-up-years-behind-schedule-201310221320247132.html
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どうも最近、原子力発電を追及する側の、政治的な計算不足が気になります。
社民党と小泉元首相の『会談』などは、その典型例ではなかったでしょうか?

小泉元首相がその『本気度』をマスコミを通して一般に印象付けたのに対し、社民党の方は自らの影響力不足、推進力不足を露わにしただけで、どんな戦略性も感じることはできませんでした。

政治は計算だけでは打算に堕し、理念だけでは空想に終わります。
民主党も社民党も、自分たちの組織の中の実力者を『順当に』党首に選んだのでしょうが、その人こそは現在の日本に、現政権に疑問を持つ日本人が待望する人材だったのでしょうか?
国民の目にはどう映っているのか、その点こそを考えるべきだと思います。
そうでなければ、脱原発を願う国民の受け皿など作りようがない、謙虚にそう考えるべきだと思います。

7年後の短期滞在者の事より、これからずっと日本国内で暮らす人々の健康について、もっと心配しなければならない

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【 2020年・東京オリンピックと福島第一原子力発電所 】《後篇》
これからさらにどのようなトラブルが発生するかもわからない現在、今後日本がどのような影響を受けるかなど、予測のしようもない

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 9月12日

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サイトに寄せられた質問 : 7年後の東京の状態を予測することが難しいことは解りました。
では、2020年の東京オリンピック開催について、すぐにでもコメントしなければならない立場のアスリート、ジャーナリスト、商業関係者などに対し、もしガンダーセン氏がアドバイスするとしたら、どんなことがありますか?

ガンダーセン : 誰に対しても、何もアドバイスすることはできません。7年後の未来を予測することは難しい、そうとしか言えません。
福島第一原発周辺を中心に、これからの7年間も汚染は進行していくことになるでしょうが、7年後、たった2週間日本に滞在する人がその影響を受けるのか、受けるとしたらどれ程になるのか、そのことに今結論を出すのは不可能です。

言えるとしたら、私が2012年東京に滞在した時、南太平洋諸国やオーストラリア産のものだけを口にするよう注意を払いました。そんなことしかありません。
しかしそれは事故後1年の話で、2020年の話ではありません。

これからの7年間、純粋に科学的な手順を踏むことが出来るか、その事がキーポイントになります。

そしてもちろん、7年後に2週間東京に滞在することと、これからずっと住み続けることの間には大きな違いがあります。
日本の人々は福島第一原発の事故発生からずっと、明けても暮れても有害なレベルの放射線を浴び続けることになるのです。

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7年後に短期滞在する人々の事より、これからずっと日本で暮らさなければならない人々の健康について、もっと心配しなければならないはずです。

質問 : フェアウィンズのフェイスブックのコメント欄には、
「まさか東京での開催が実現するとは、思っていなかった。」
という意見が多数を占めました。
中には「2020年には、東京はゴーストタウンになっている。」というコメントすらありました。
どう思われますか?

ガンダーセン : 福島第一原発の事故は数限りない問題を作り出し、しかもそれが終わったという話を聞きません。
これからさらにどのようなトラブルが発生するかもわからない現在、今後の日本にどのような影響を及ぼすかなど予測のしようもありません。

福島第一原発における3基の原子炉のメルトダウンは、世界の産業災害の中で最も大規模なもののひとつであり、放射性物質の放出は現在でも続いています。

現在のところ、この放出量を減少させるために有効な技術は実用化されていません。
さらには2年以上先にならなければ実現しない『凍土壁』も、確実な効果が実証されている訳でもありません。

120911
サイトに寄せられた質問 :福島第一原発から放出された各種の放射性物質の半減期、あるいは放射性崩壊の速度を考えた場合、ホット・パーティクル、あるいは放射性物質の塵を吸入してしまった場合の危険性についてお聞かせください。
そして運動選手がこうした環境の中で激しい運動をした場合、どの程度内部被ばくの危険性が増すかについても教えてください。

ガンダーセン : 放射性セシウムの半減期は30年ですが、その事はこの放射性物質が300年間環境中に留まり続けるという事を意味します。
大切なことは、どれだけの放射性セシウムが東京湾に流れ込んだかを突き止めることです。
政治的な思惑などを排除した、『正しい科学』によって実態を明らかにしなければなりません。

サイトに寄せられた質問 :東京の空気は、ロンドンの空気より危険なのでしょうか?
特に放射性物質は環境中に留まり続ける – 汚染された花粉( http://kobajun.biz/?p=1944 )、黒い塵( http://kobajun.biz/?p=13069 ) - という特性を考えた場合、どうでしょうか?

ガンダーセン : まさかとお考えでしょうが、このロンドンと東京との比較 – どちらがより安全に生活できる場所なのかという事については、私たちもたびたび質問を受けます。
フェアウィンズのサイト、Q&Aのコーナーで一度お答えしているのですが、再度お答えしましょう。

私たちは法的な根拠も含め、どの場所が生活するのに安全なのか、あるいは旅行しても大丈夫か、といった類いのアドバイスはできません。
それぞれの場所が、健康や治安に関して特有の問題を抱えています。
核兵器その他の存在も無視できません。

NYT03
そして、フェアウィンズには、地質学的にその土地の危険性を評価する部門はありません。
この問題の詳細については、2011年4月に地理学的な危険と移転に伴うリスクについて検証するため、フェアウィンズがスティーヴ・ウィング博士にインタビューした際の記事をご覧ください(【星の金貨】未翻訳 : http://fairewinds.org/media/fairewinds-videos/epidemiologist-dr-steven-wing-discusses-global-radiation-exposures-and-consequences-with-gundersen )。
あるいはフェアウィンズの推薦書籍のコーナー( http://fairewinds.org/book-list/ )もご参考になさってください。
特に推薦するのは以下の2つの著作です。

◇ J・グールド著『内なる敵』 - 原子炉近くでの生活がもたらす、高額な生活費 -
◇ サンドラ・シュタイングレーバー著『下流の生活』 - ガンと環境の関係に関するある科学者の個人的所見 -

〈 完 〉

http://fairewinds.org/demystifying/tokyo-2020-qa-arnie-gundersen

日本の政治家たちには福島第一原発の現実から目をそらすことなく、誠実に事故処理を進めようという気持ちがあるでしょうか?

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【 2020年・東京オリンピックと福島第一原子力発電所 】《前篇》
政治的な圧力を排除した上で、純粋に科学的な調査を進めていく必要がある

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 9月12日

NBC 7
9月7日土曜日、東京が2020年の夏のオリンピック開催地に選ばれたとの報に接し、私たちはフェイスブックのページで、東京の放射線量に関するビデオをご紹介する良い機会だと考えました。

2012年2月、フェアウィンズは日本への調査旅行を行い、その結果をまとめたビデオをフェアウィンズのサイトでご紹介しました。
この中で東京の地面の土からは、アメリカでは放射性廃棄物として扱われなければならない程、高い放射線量が検出されたことをお伝えしました。

東京オリンピックの開催が発表された直後の9月9日月曜日、あらためてこのビデオをフェイスブックに掲載したところ、10,000回の再生を記録、200以上のシェアが行われ、以来活発な議論が巻き起こりました。
それとともに、いくつか重要な質問もいただきました。
さこで私たちはフェアウィンズのチーフ・エンジニアのアーニー・ガンダーセンとともに、ここ数日の間にサイトの視聴者、あるいはフェイスブックのフォロワーからいただいたご質問に答えていきたいと思います。
いずれにしても、2020年のオリンピック開催地が東京に決まったことは、福島第一原発に関する公式の議論を一変させることになりました。

NBC 4
質問 : 福島第一原発で3基の原子炉がメルトダウンしたのは2011年の事でした。
フェアウィンズが東京の土壌サンプルを収集したのは2012年。
現在の東京は未だ安全とは言えないのでしょうか?
そして2020年、東京の状況はどう変化しているのでしょうか?

ガンダーセン : 私にとって、そして多くの科学者にとって、福島第一原発の事故が発生してから数か月の間に、東京、そして日本中の人々が高い値の放射線被ばくをしてしまったことは、あまりにも明らかな事実です。
そしてこのビデオをご覧いただいてわかるように、事故から丸1年が過ぎて全体の放射線量が下がる一方で、東京都内で予想もしない場所で高い放射線量が確認されています。
時の経過とともに、東京都内の放射性物質は雨に洗い流され、東京湾に直接流れ込みました。
このため都内の放射線量の減少と反比例して、東京湾の放射能汚染が進むことになりました。

現在の大気中の放射線量調査の結果を見てもわかる事ですが、福島第一原発では現在でも放射性物質の放出は続いているため、基準値を超える放射線量が計測されています。
この状態が2020年、すなわち7年後にどうなっているか、予測することは簡単なことではありません。

質問 : 2020年のオリンピックを日本で開催するという今回の決定は、福島第一原発の事故収束・廃炉作業にとって、そして日本にとって喜ぶべき事でしょうか?

NBC 6
これまで日本政府は、福島第一原発の事故による放射線の危険性について過少評価を続け、福島第一原発の事故収束・廃炉作業がきわめて困難な作業であるという事実を軽視し続けてきました。
オリンピック開催が決まった今、日本の政治家たちには福島第一原発の現実から目をそらすことなく、誠実に事故処理を進めようという気持ちがあるでしょうか?

ガンダーセン : 私自身は、東京オリンピックの開催は、人々の関心を別のものに変えようとする試みだと考えています。
私は2020年までに福島第一原発の事故収束・廃炉作業がどのように進行するか、世界中の人々が関心を持ち続けるとは思えません。
しかし、これから7年間に東京がどう変化していくかについては世界中が関心を持ち続けるという事を、日本の政治家は強く意識しなければならなくなります。

国内的には、日本政府は福島第一事故後の日本の人々の士気を改善するために、オリンピックの主催を望んだのだと思います。
残念なことに、今回の決定により福島第一原発の事故が、国民に対し、どれだけの経済的負担を強いるのか、どれだけ健康を危険にさらすのか、その本当のコストを見えにくくしてしまいました。

DW03
安倍政権は東京、そして日本各地への放射性物質の拡散の実態を、政治権力によって抑え込んでしまいました。
この結果良心をもった科学者といえども、日本国内では放射能汚染の実態について真実を語れば、その身が脅かされるありさまです。

アート・ケラー氏が、日本の子の実態を告発して記事をお読みになってください。
(【星の金貨】掲載 : アメリカの除染の専門家が明らかにする、本当の汚染状況【 人の手によって作られ、人の手により悪化していく福島の危機 】http://kobajun.biz/?p=11924 )
ケラー氏のこの記事では、誤った手法による事故収束・廃炉作業、実際よりも低い放射線量を表示するように改造された日本の計測機器、そして福島第一原発の事故現場はもちろん、周辺環境の調査を行う際にも必要な訓練と技術を持った人材が極端の不足している実態について述べています。

大切なことは東京に留まらず、日本全国について『正しい科学』によって実態を明らかにしなければならないという事です。
政治的な圧力を排除した上で、純粋に科学的な調査を進めていく必要があるのです。

〈 後篇に続く 〉

http://fairewinds.org/demystifying/tokyo-2020-qa-arnie-gundersen
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【 スペース・シャトル、30年の旅 】

アメリカNBCニュース 10月28日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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スペース・シャトルの時代は幕を閉じました。
しかしグラフィック・アーティストのルーク・ウェズレー・プライスは、シャトルの記憶が薄れないようにする、そう決心しました。

プライスの新しい作品『スペース・シャトル30年間の歴史の中、一番息をのむ、迫力満点のNASA写真集』がそれです。

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正式なタイトルは『スペース・シャトル : 写真での旅 1981 – 2011』、NASAが制作し、繰り返し宇宙と地上の間を行き来した5機のシャトルへのトリビュートです。

コロンビア、チャレンジャー、ディスカバリー、アトランティスとエンデヴァー。
この本はプライスが4年をかけ損得抜きで行った作業の集大成です。
少年時代、1986年に起きたチャレンジャーの爆発の瞬間を生中継で見て以来、プライスはスペース・シャトルに魅了され続けてきました。
「誰が何と言おうと、これまで作られた中で、最も技術的に進んだ乗り物」
彼の言葉です。

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【 終わるはずの無い環境破壊 – 止まっていない!大気中・海洋中への放射性物質の漏出 : 福島第一原発 】《後篇》

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所要時間 約 7分

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海洋中のホットスポット、その存在は今後の海洋環境にどう影響するのか
一時間当たり1,000万ベクレルの放射性物質の放出は、現在も続いている

マーティン・ファクラー、田淵ひろ子 / ニューヨークタイムズ 10月24日

福島第一原発全景
直近の福島第一原発の問題は、今年6月、東京電力が事故を起こした原子炉のうちの2基付近の地下水から、ストロンチウム90を含む高濃度の放射性物質を検出したことから始まりました。
この事実について東京電力は、事故発生当時、原子炉に付属する配管に閉じ込められた高濃度の汚染水が、徐々に周囲にしみ出した結果であろうとしています。

現在計画が進んでいる凍土壁は、このもともとある汚染水が周囲に漏れ出さないようにするとともに、西側にある丘陵地帯から福島第一原発の敷地内に流れ込む地下水が原子炉建屋付近に到達するのをブロックし、汚染されて海に流れ込む状態を解消しようとするものです。
(現在メルトダウンして原子炉建屋の基礎部分に広がる溶けた核燃料により汚染された地下水は、敷地内の膨大な数のタンクの中に収容されています。)

今回の放射線の放出規模、そして地下水に含まれる放射性物質の量について、海洋の放射能汚染問題の権威で政府の気象研究所の主任研究官を務める海洋科学者の青山道夫氏は、現在1日あたり300億ベクレルの放射性セシウム137が太平洋に流れ込んでおり、その量は昨年の3倍に達しているとしています。
青山氏はストロンチウム90の流入規模も、ほぼ同程度であろうと見積もっています。

現地の視察を行う安倍首相

現地の視察を行う安倍首相


青山博士は事故発生当初太平洋に流れ込んだセシウム137の量を18,000兆ベクレルと見積もっており、その量と比較すれば、現在の流入量は際立って少ないと語りました。

しかし別の科学者は、新たに判明した汚染水の流出は、専用港の外にも影響が及んでいると考えています。
東京大学・海洋工学研究センターのブレア・ソーントン准教授は、ホットスポットを見つけ出す作業に参加しましたが、対象を福島第一原発の沖合い380平方キロにまで広げて海底の調査を行いました。

ソーントン准教授はセシウムとストロンチウムのように水より重い放射性物質が、海溝のような他よりも深い場所に集積することによって、ホットスポットが形成されていたようだったと語りました。
ソーントン准教授によれば、海流が新しい沈殿物をこれら有害な放射性物質の上に堆積させるため、時間の経過とともにホットスポットの放射線量も徐々に低下して行きます。

しかし現実にはこれらのホットスポットの放射線量は他の場所と比べ、数百倍、あるいは数千倍という高さであり、福島第一原発から放出され続けている放射性物質が、その場所に次々と堆積している可能性があるのです。

03 Spiegel
ソーントン博士によれば、もう一つ考えられるのは、最初の事故で放出され、その場所に集まって泥の中に沈殿した放射性物質が、期待したほど早くは減少していない、という可能性です。

海洋科学の研究者によれば、いずれの場合であってもエビや小さな魚などは自分の身を守るため、こうした深みに身を隠す習性がある事から、ホットスポットの存在は気がかりなところです。
前述した放射性物質がこれらの小さな海洋生物の体内に入り込めば、食物連鎖によって魚介類への放射能汚染が広がることになり、地元の漁師が切望する漁の再開は一層先のことになってしまいます。

一部の科学者は海底のホットスポットの存在こそが、なぜ未だに放射線量の高い汚染された魚が獲れるのか、その理由を説明するものだとしています。
これら汚染された魚の放射線量は、下がることは下がってはいるものの、期待された程の早さではありません。

「現在でもセシウム137の放出を続けている汚染源があることは明らかである、そう考えるべきです。」
東京海洋大学の海洋科学者である神田穣太教授が、こう語りました。
「現在何が起きているのか、その事をはっきりさせることはできません。しかし私たちの予測を上回る規模で、環境に対し悪影響が及んでいるものと考えなければなりません。」

FR24 破壊された福島第一原発
これまではあまり懸念されることがありませんでしたが、福島第一原発は未だに放射性セシウムを大気中に放出し続けています。
これらを食い止めるべきフィルター設備が事故により損傷、あるいは破壊されているためです。
東京電力によれば、福島第一原発からは一時間当たり1,000万ベクレルの放射性物質が、大気中に放出され続けています。
事故直後、東日本の広域で放射線量が著しく上昇しましたが、その後は低下を続け、2012年2月以降は安定して低い状態が続いていると、東京電力側は語っています。

東京電力は放射性物質の大気中への放出を止めるため、破壊された原子炉を覆うカバーを建造するなどの対策を採ってきました。
しかし放射性物質はこのカバーの微細な隙間や換気設備の配管の裂け目、あるいは破壊された原子炉建屋などから漏出し続けており、東京電力もその事実を把握しています。

しかし複数の専門家がこう警告しています。
大気中と海洋中への放射性物質の放出が止まらない限り、福島周辺の環境破壊は着実に進み、決して終わることは無い、と。

汚染水02
最近日本政府が行った海洋調査に参加した研究機関の研究員である日下部正志氏が、次のように語りました。
「現在起きている汚染水の流出のレベルは、直接人間に被害を及ぼす程のものではありません。」

「だからといって、この流出をこのまま放置してよいという訳ではありません。」
日下部が続けました。

「現在起きているようなことは、人類は未だ経験したことが無いのです。これから何が起きるのか、その本当の答えは誰にもわからないのです。」

< 完 >

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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