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「ここは私たち国民の民主主義社会のはず。でもそれが今、本当に危なくなってきている。」
アメリカNBCニュース 2012年9月17日
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『ウォール街を占拠せよ!』の運動が始まってからちょうど一年、ニューヨークの繁華街が再び抗議者の群れで一杯になりました。
この運動の象徴となったウォール街のニューヨーク証券取引市場前では、様々ないでたちをした人々が座り込みやアメリカ国旗を打ち振るなどして、抗議を行いました。
警察側の発表で180人が逮捕されましたが、逮捕理由の大半は公務執行妨害です。
デモに参加した一人、マイケル・アーロンは一部の宗教指導者と数自由人の人々が大通りとそのわきの歩道で座り込みを行い、交通妨害を行った後、逮捕されたと語りました。
「この抗議運動が始まってちょうど1年になります。この運動は大きく盛り上がりました。しかし、人々の手に権利を取り戻すため、この運動を続けます。」
オバマ大統領のお面をかぶった37歳のキム・フラクツェックがこう語りました。
彼女は共和党大統領候補ロムニーのお面をつけた44歳のエリック・マクレガーと一緒にいました。
彼らはオバマ、ロムニーともに金によって支配されていることを訴えるため、デモに参加したと語っていました。
「このアメリカを支配している超党派的システムが、一般の人々には背を向け、銀行や企業の前にひざまづいて何でもするつもりでいる以上、大統領選でどちらが勝っても、戦争マシーンとして機能することに変わりないのです。」
ハンドバッグとアクセサリーのデザイナーであるフラクツェックが語りました。
抗議行動は早朝から始まり、華やかなお祝いムードの中、人々は紙吹雪やキラキラしたものを辺りに撒きながら、『ハッピー・バースデイ!』と描かれた風船を手に持ちながら更新していました。
しかし参加者の中には、所得格差・貧困、企業による社会支配、そして金による政治支配の解消を訴えてニューヨーク市内のズコッティ・パークを2カ月あまり占拠した後、実力で排除された事件の苦い思い出をかみしめる人々もいました。
「今日はあの事件を思い出す日でもあります。そして抵抗運動の一周年を祝う日であり、私たちの権利と力を示すべき日でもあります。そして自分たちと世界の現状について、改めて考える日でもあるのです…。昨年一年間、具体的に社会が改善したという証しはありません。むしろ、悪くなる兆候の方が目立っていました。」
こう語るのは、ニューヨークにあるハンター・カレッジで社会福祉の勉強をしている27歳の大学院生、イアン・ウィリアムズです。
「私たちが行っている抵抗運動には、これから長く取り組んでいく必要があります。」
数か所で抗議者たちが交通を妨害し、また警察との衝突が起きているのをNBCの取材スタッフが目撃しました。
多くの抗議者が工夫を凝らした衣装を身に着けていました。
あるグループはホッキョクグマの着ぐるみを着てバンク・オブ・アメリカの中に入っていった後、外に出て他の人々と一緒に円座を作り、瞑想を行いました。
中の一人が掲げていたプラカードには、こう書かれていました。
『ウォール街、消滅すべきビジネス』
別のグループは黒衣に身を包み、墓石を模したプラカードに様々なメッセージを書き込んでいました。
『(ウォール街は)ヤクザ者の巣窟』
『嘘つきの集まり』
グループを率いる女性が掲げるプラカードには、こう書かれていました。
『(ウォール街は)いったいいくら掠め取れば気が済むの?』
「たった1パーセントの人間が、私たちを支配しているんだよ。どうしたら私たち普通の市民は、充実した人生を送れるっていうんだい?」
マサチューセッツ州のケンブリッジからやって来た59歳の訪問介護ヘルパーのウェス・ニッカーソンはビートルズの「バースデイ」の歌詞を口ずみながら行進していましたが、インタビューに対しこう答えました。
「もはや問題切迫したものになっており、どうしてもここに来なければならないと思ったのです。」
ブルックリンの引退した教師で、抗議行動の指導者の一人であるリンダ・ブラウンはニューヨーク証券取引所から数ブロック離れた場所で、集まって来た約100名の抗議者と一緒に大規模な座り込みを行う準備に余念がありませんでした。
「私が思うに、私たちが学んだことは、いま世界が直面している世界的経済危機を作り出したのは神さまじゃない、ってこと。資本家によるたくさんの犯罪的行為が、この混乱を引き起こしたのよ。」
66歳になるブラウンは昨年10月からこの運動に参加しています。
「ここは私たち国民の民主主義社会のはずなの。でもそれが今、本当に危なくなってきているのよ。」
彼女はこう語り、最後にこう付け加えました。
「私たちは、こうやって社会から不平等を無くすよう訴えているの。」
抗議をする人々が『1パーセント』と呼んでいる、限られた人間たちが権力をほしいままにしていることに対し、『ウォール街を占拠せよ!』運動の参加者は昨年、アメリカ全土で抗議活動を展開しましたが、その後内部の分裂、指導者の資質に対する疑問と資金不足、そして批評家が方向性の欠如と呼んだ状態により、次第にその数は減少していきました。
しかし17日月曜日の一周年を記念する抗議活動により、始めに掲げた問題に再び光があてられるよう、彼らは願っています。
すなわち企業の貪欲な活動、収入の不公平、そして金が支配する政治。
「どうして私たちは再びここに集まったのでしょうか?それは相変わらず『1パーセント』の人々が利益を独り占めしようと図るからであり、私たちが抗議を強めない限り、自らやめるつもりは無いからです。人々にとって不安定な状態は続いているのです。」
『ウォール街を占拠せよ!』運動の広報を担当しているビル・ドブスがこう語りました。
17日月曜日に始まった抗議運動は始まりから一周年を祝い、発祥の地となったニューヨークで抗議集会、デモ行進、お祭り広場など、各種催しが3日間続けられる予定です。
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17日月曜日、山田洋二監督の新作の撮影の様子を伝えるドキュメンタリーをテレビで見ました。
その中で主人公にこう言わせるシーンがあります。
「日本はどこかで、大切な何かを間違った…。」
私はそれは、国民を経済発展の道具にしてしまったことだと考えています。
核家族社会
晩婚社会
少子化社会
いずれも、国民を経済活動のために『利用する』のに、都合の良い社会だとお思いになりませんか?
確かに経済発展は私たち日本人に、経済的に本当に豊かにしてくれました。
私自身も実はその豊かさを享受している一人に、間違いありません。
しかし私が暮らす仙台郊外の住宅団地は、仙台市内で最も高齢化が進んでいます。
裏のお宅も、その隣も、そのまた隣も、つまるところ高齢者がご夫婦で、あるいは単身で暮らすお宅が5軒並んでいるのです。
どの家の後継ぎの方々も、『仕事の都合』で家を出て一家を構えておられるようです。
たった一人で春夏秋冬をお暮しの家が3軒もあります。
誰とも口をきかない一日、そんな日もあるに違いありません。
歴史にもしもが無い以上、日本人が必要以上に「経済、経済」と言い騒がなかったなら、今頃日本社会はどうなっていたでしょうか?
折しも日本の二大政党の党首選、何人かはそんな疑問など持ったことの無い人のようです。
ここにご紹介した記事に現れた『意見』に、彼らが耳を貸すことはあるのでしょうか?
ここでも、従来通りの平和な暮らしを続けたいという、力無き人々の願いが踏みにじられている
S.ムラリ / ロイター通信 / アメリカNBCニュース 9月10日
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インド・チェンナイ
インド南部で10日、国内最大規模の原子力発電所建設に反対するため、高速道路の封鎖を行っていたデモ隊に対して警官隊が発砲し、デモに参加していた漁師一名が死亡しました。
この発電所建設に対しては数カ月間反対運動が続いていますが、数週間のうちには稼働が開始される予定です。
デモ隊は警官隊の列に投石を繰り返し、鉄道線路の封鎖も行っていたと、警察関係者がロイター通信に語りました。
警官隊は空に向けて威嚇射撃を行いましたが、参加者一名が射殺されました。
また、デモ隊の一部は地元自治体の事務所に放火しました。
当初警官隊はタミル地方のクダンクラム原子力発電所付近の海岸にいた、数千人のデモ隊に対しては催涙ガスを使っていました。
女性と子供を中心にした約4,000人のデモ隊は付近の漁村からやってきて、原子力発電所から約1.5キロほどの海岸で、放射能汚染の脅威に対し抗議していました。
しかし警官隊が迫ってくると、数百人の人々は海の中に入ったり、漁船に乗って逃げようとしました。
海岸に残ったデモ隊は警官隊に対し石などを投げつけ、双方に負傷者が出ました。
クダンクラム原子力発電所は数週間のうちに稼働開始の予定ですが、2ギガワットの電力を供給する予定です。この電力は数百万戸の家庭の需要を満たし、電力不足が続いているタミル地方の状況を緩和することになるでしょう。
インド国内ではさらに原子力発電所の建設が予定されています。
先月インドの原子力規制当局はクダンクラム原子力発電所の2基の原子炉のうちの1基に燃料の装填を許可しました。これでいつでも発電を開始できる状態になりました。
インドでは増え続ける需要に電力の供給が追い付かず、ピーク時には12%の電力不足が発生し、経済に悪影響が出ていました。
この夏には送電網の問題から2日間連続で、世界最大規模の停電が発生してしまいました。
1988年に建設が始まったロシア製のクダンクラム原子力発電所は昨年操業を開始する予定でしたが、3月に巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、3基の原子炉がメルトダウンを引き起こし、大量の放射性物質が環境中に放出され、数万人が避難に追い込まれた日本の福島第一原発の事故を見た反対派の人々が施設の包囲を続けてきました。
反対派の人々はこの場所が2004年のインド洋の大津波に襲われていることから、福島と同様の事故が発生することを恐れているのです。
インドの内務大臣は、複数の外国のNGOグループが反対派の後押しをしているとして非難しました。
「我々は一部の国々のNGO団体が、この問題に干渉していることを懸念しています。国名を名指しすることはしませんが、内容はすでに把握済みです。」
インドのスシルクマール・シンデ内務大臣は記者団に対し、こう語りました。
今年始め発行されたサイエンス・マガジンに掲載されたインタビューの中で、マンモハン・シン首相も、反対派に対して資金提供を行っているとしてNGOを非難しました。
インドは、2032年までに30台の原子炉を建設し、63ギガワットの原子力発電を行う予定です。
しかしその割合は、国内電力需要の3%未満です。
インドが発電手段の開発の中心に据えているのは石炭による超臨界発電で、すでに国内需要の60%を占めています。
環境問題と誤った対応により、この分野においても進展が遅れ、経済の成長に悪影響を与えました。
インドの中央部にある石炭資源がある場所でも、ヒマラヤの水力発電開発でも、地元の種族の抵抗がありました。
(追補 : ニューデリーのアニー・バナージ、編集 : フランク・ジャック・ダニエル、ニック・マックフィー、ジェーン・メリマン)
【飢えによる凄惨な争い、それは避けられない未来】
マイケル・T・クレア / アメリカCBSニュース 8月8日
今回の大不作が一回限りのもので、しかも一国内に留まるものならば、世界は安心して数々の困難がやがては克服され、来たるべき年に回復することを待てばよいことになります。
しかし残念ながら2012年の大干ばつは、隔絶された一つの大国の中だけの出来事ではありません。
状況的に悪化が続く地球温暖化がもたらす、回避不能な結果の一つなのです。
ならば結論は?
干ばつをもたらした夏場の高温状態は数年に渡り悪化を続け、より高温化し、より頻度高く発生し、アメリカ国内にとどまらず、世界のどこでも干ばつが発生し得る不測の時代がやって来ます。
今の今まで多くの科学者が、巨大なハリケーンや台風、あるいは干ばつの原因を地球温暖化に求めることを避けてきました。
しかし今となっては、いくつかの異常気象が地球温暖化の一端であることを、認めざるを得ないとする科学者が着実に増加しています。
たとえば2011年の異常気象についての研究結果の一つにおいて、アメリカ海洋大気局(NOAA)と英国の国立気象観測所の気象の専門家たちは、ともに2011年にテキサスで起きた干ばつのような維持世気象の原因は、明らかに人間が作り出したものであると結論を出しました。
アメリカ気象協会が発行した月報の中で、この研究は、1960年と比較して、テキサス州で熱波が発生する確率は20倍に上昇した、と報告しています。
そして2011年11月に英国で発生したような異常な高温状態に至っては、その発生割合は地球温暖化により62倍になってしまったのです。
2012年の大干ばつを見て、地球温暖化の影響について計算を行ってきた科学者たちは、その到来があまりに早く、またあまりに極端であることに驚きました。
しかし私たちは温暖化がもたらす影響が、思っていたよりずっと深刻であることを認めざるを得なくなりました。
そして将来起きることが、おおよそわかってきました。
でも対処するための猶予は、あるのでしょうか?
地球温暖化がもたらすものを、すべて列挙してみましょう。
主なものは気温の上昇、執拗に続く干ばつ、巨大化するハリケーンや台風、地獄の業火と化す山火事(野火)、そして海面上昇です。
他の条件にもよりますが、これらは社会の基盤となる設備に損害を与えると同時に、結果的に食糧の供給量を減少させることになります。
これはもちろん、気候変動が物理的に現した兆候であって、私たちが日常を快適に過ごしたり、生命を安全に保ちつつ暮らしている、人間社会に現れた社会現象ではありません。
気候変動による純粋に物理的な影響は、疑いなく破滅的なものになるでしょう。
そしてその中に社会現象が含まれることになります。
食糧暴動、大規模な飢餓、国家の崩壊、民族の大移動、そしてあらゆる種類の地域紛争、場合によっては全面戦争へと発展する可能性があり、その先にあるのは一層の荒廃と人間の大量死です。
スザンヌ・コリンズの著作『ハンガー・ゲーム(飢えているが故の闘争)』は大ヒット作となり数百万の読者をくぎ付けにし、映画化もされることになりました。
筋書きはまさに『黙示録』を暗示させる世界です。
荒廃が進んだ未来の北アメリカに誕生した国家『パネム』では、かつて体制に従わなかったとの烙印を押された地区から、テレビ放送される剣闘士の試合に、毎年二人ずつ10代の少年を送り出すことを強制されています。
この試合では最後の勝者たった一人だけが生き残ることが許され、他はすべて殺されてしまいます。
彼女は小説の中で未来をユートピアとは程遠い、何もかもが不足する社会として描きました。
この『ハンガー・ゲーム』に最終的に勝利すれば、勝者を送り出した地区は名誉を回復され、以後優遇されることになります。
コリンズは地球温暖化に特に言及することはしませんでしたが、将来のいつの時代か、気候変動により北アメリカが飢える大陸になってしまったことを明らかにします。
話が展開する中、代表となる剣闘士を選び出す場面で、『パネム』の主だった12の地区の首長がこう語ります。
「打ち続く災害、すなわち繰り返し襲った干ばつ、嵐、山火事、海面上昇が国土の大半を襲い、わずかに残された豊かな土地を巡り、凄惨な戦いが行われた。」
暴力が日常化してしまうような未来は作り物であるとしても、こうした世界を描き出したコリンズには先見の明があります。
彼女が『ハンガー・ゲーム』の中で描いたような未来がそのまま訪れることは無くとも、そのいくつかが現実になるのは疑いの無いことです。
そう、『飢えているが故の闘争』は、私たちの未来社会に蔓延することになります。
この闘争の中には2008年にハイチの政権を崩壊に追い込んだような、暴動が各地で一斉に発生したり、連鎖的に続いていく状況も含まれます。
『アラブの春』が進展していくにつれ、エジプトのカイロ市内の一部は抗議する市民と治安部隊の激しい闘争の場と化しました。スーダンにおける耕作地と水源を巡る民族紛争は、ダルフールでの大規模な虐殺と村落の破壊につながりました。
インドのナクサラトでは土地を持たない零細農民が、毛沢東主義者の指導の下、大地主の農地を力ずくで奪い取り、警官隊と衝突した後、武装闘争を開始しました。
こうした紛争と、これから起きることを併せて考えてみてください。
執拗に続く干ばつは大規模な飢餓を生み、何百万という飢えた農民は土地を捨て、不潔極まりない大都市のスラムへと流入し、その結果都市をぐるりと取り囲むようにしてスラム街が巨大化していきます。
もとからスラムで暮らしていた住人の中に不満が鬱積し、一触即発の危機的状況が生まれます。
それがどんな悲惨な結果を生むか、2008年南アフリカのヨハネスバーグのスラム街で現実になりました。
マラウイとジンバブエから流れ込んできた極めて傷しい、慢性的に飢えた難民が、元からスラムで暮らしていた南アフリカの貧困層に襲われました。暴行を受け、中には焼き殺された人々もいたのです。
警察署の中で、暴徒の襲撃から逃れた一人のジンバブエ人女性が、故国を捨てた理由について震えながらこう語りました。
「職も無ければ、食べるものも無かったのです。」
付け足さなければならないことがあります。
これからの数十年間、さらに数百万人の人々が干ばつや洪水、海面上昇による災害に追い立てられ、今いる場所から逃げ出そうとするでしょう。
そして逃げ込んだ先で、深刻な敵意を煽ることになります。
私たちの未来にある『飢えているが故の闘争』、それを逃れるためにできることなどほとんど無い、それが現実なのです。
そして現時点では、未だに(アメリカで)進行中の大干ばつが何をもたらすのか?そのことが差し迫った問題です。
死にかけている大量の作物、激減する収穫量、そして高騰する食料品価格。
しかしその社会的・政治的影響ががはっきりと見えてくるのは、ここアメリカでも世界的にも今年の暮れから2013年にかけてになるはずです。
その時まで、注意深く事態の推移を観察する必要があります。
この時目にすることは、どんな学問・研究よりも、将来必ず訪れる『飢えているが故の闘争』を極力避けるためのヒントを与えてくれるはずです。
気温が上昇し、干ばつが延々と続き、毎年のように食料品が不足し、何億人もが飢えて自暴自棄になる、そんな未来を避けるための。
▽ 執筆者について
マイケル・クレアはハンプシャー・カレッジの教授で、専門は世界平和と世界の安全保障です。
作家でもあり、最新の著作は『生き残るためのレース』(メトロポリタン出版)です。
彼の著作を基に作られた映画『血と燃料』は www.bloodandoilmovie.com. で入手可能です。
ここに示された見解は、飽くまで彼個人のものです。
http://www.cbsnews.com/8301-215_162-57489345/the-hunger-wars-in-our-future/?tag=contentMain;contentBody
【飢えによる凄惨な争い、それは避けられない未来】
マイケル・T・クレア / アメリカCBSニュース 2012年8月8日
2012年、今年襲った大干ばつは結末を迎えたわけではありません。
しかし、結果が非常に深刻なものになるだろうという事は解っています。
アメリカ国内の郡の実に半分以上が干ばつ被害地区に指定され、トウモロコシ、大豆、その他の作物の収穫量は、年度初めの予想をはるかに下回ることになります。
この結果として、国内でも国外でも食料品価格は上昇することになり、国内の農家にとっての打撃が加速されるうえ、アメリカ国内の収入の低い人々、そしてアメリカからの穀物輸出に頼っている世界の貧困層の人々にとって、容易ならざる事態が訪れようとしています。
しかしこれはまだ、予想される結果の始まりにすぎません。
歴史に学ぶなら、このような食糧危機はやがて広い地域での社会不安につながり、各地で暴動などを引き起こすことになります。
食物、人間が生きていく上で手にすべき食物は、命をつなぎ身体を成り立たせる上で不可欠のものです。
それを奪われてしまっては、人々は不安になり、自暴自棄になり、そして怒り出して当然です。
アメリカ国内においては、人々の家計費の中の食糧品に対する支出割合は13%で、比較的割合が小さく、2013年に食料品価格が高騰しても、中間層から高額所得者にかけての人々にとってさほどの影響は無いと思われます。
これに対し失業者や貧困層など限られた収入しか無い人々に対しては、見過ごせない影響を与えることになるでしょう。
「この問題は家計に対し、深刻な打撃を与えることになるでしょう。」
クレイトン大学の農業経済学者で、オバマ政権の顧問を務めるアーニー・グロス教授がこう語りました。
すでに失業率が高く、人々の間に不満が蓄積している地域では、一層不穏な動きにつながる可能性があり、現職の政治家に対する反発が高まり、人々の不満や不安が別の形で表面化する可能性もあります。
しかし今回の干ばつにより、さらに悲惨な影響を受けるのは国際社会の方です。
なぜなら数多くの国々が、国民に食料を生き渡させるためにはアメリカからの穀物輸入に頼らざるを得ない上、世界各地で干ばつや洪水の被害により穀物生産量が減少しており、今回の穀物不足と価格高騰は、地球的規模で発生することになるからです。
「現在アメリカで起きていることが、想像を超える影響を世界中に与えています。」
こう語るのは食糧問題の専門家である、シカゴ国際問題研究所のロバート・トンプソン氏です。
今回の干ばつの被害が最もひどいトウモロコシと大豆が、国際穀物取引市場から姿を消し、小麦も含めて穀物価格が上昇傾向をたどっています。このため、ただでさえ生きていくための十分な食料を手にできない人々が、これから先深刻な事態と向き合わなければならない状況へと追いつめられています。
▽ 飢えとの戦い 2007 - 2011
これから起きることを言い当てることは簡単ではありませんが、最近起きたことを考えれば、先行きは明るいものではありません。
2007年から2008年にかけ、米、トウモロコシ、そして小麦が倍、あるいはそれ以上急激に値上がりし、それが特にパンの価格に跳ね返った時、世界24か国以上で食糧暴動が発生しました。バングラデシュ、カメルーン、エジプト、ハイチ、インドネシア、セネガル、イエメンなどです。
ハイチでは暴動が過激化する一方、議会での投票によって問題の処理に失敗した首相のジャック・エドゥアール・アレクシスが退任に追い込まれるほど、国家に対する信用は低下しました。
他の国々では暴徒と軍隊、警察との衝突が繰り返され、多数の死者を生みました。
2007年から2008年にかけて穀物価格が上昇した原因は、主に燃料価格の上昇によるものでしたが、食料品価格は燃料の値上がり分以上に高騰したのです。
(燃料は一連の農作業の中の種まきから収穫まで、すべての段階で利用されています。さらには灌漑設備の稼働、農薬の製造、そして収穫された穀物の輸送からまで、燃料を必要とします。
これにバイオ燃料製造のため、食料品生産から燃料の原料植物の生産に、世界中の耕地が転用されてしまっていたことが追い打ちをかけました。
しかしその次の2010年から2011年にかけての食糧危機は、気候変動と密接にかかわったものでした。
2010年夏、ロシア東部のほとんどの場所が大干ばつに見舞われ、穀倉地帯の小麦生産量は5分の1に減少するという大打撃を受け、ロシア政府は穀物輸出の禁止措置を採りました。
同時期に中国も干ばつに見舞われる一方、オーストラリアでは洪水により大量の小麦畑が被害を受けていました。
異常気象によるその他の災害も加わり、この時小麦価格は5割も上昇し、主要食料品の価格が32%急騰することとなりました。
この食糧危機もまた、社会不安を引き起こしましたが、特徴的だったのは北アフリカと中東に動乱が集中したことでした。
まずアルジェリアで主要生活財の価格高騰が引き金となって抗議行動が発生し、それがすぐチュニジアに飛び火しました。
チュニジアでの事の起こりは、失業中だった若い男性モハメド・ブアジジが街頭で食品販売を行っていたところ、販売許可を持っていないとする警察の取り締まりによって商品をすべて没収されたことに抗議し、焼身自殺を図ったことでした。
高騰する食品価格と燃料価格に対するいらだち、これに長年続いている政府の強権体制と腐敗に対する怒りが加わって国民の怒りが爆発、『アラブの春』の到来となったのです。
主要な生活物資、特に主食となるパンの価格高騰はエジプト、スーダン、ヨルダンの社会情勢を不穏なものにしました。
その他の要因、長期独裁政権に対する民衆の怒りは、これらの国々では特に目立ちました。
『カオスの行き着くところ』の著者であるクリスチャン・パレンティの一文を引用しましよう。
「ある意味で、今回の動乱の始まりは、ひとかたまりのパンの価格だったのだ。」
現在起きている干ばつについては、各国の分析機関などはトウモロコシを主食とするアフリカの政情不安、そして民衆の間に不満が蓄積し続けている中国について警告を発しています。中国はすでに大量の季節労働者と零細農民の中に不満が渦巻いている中で、今度は食料品の価格が高騰することになります。
アメリカ合衆国と中国と言う2大消費地における食品価格高騰は、他の物資に対する消費支出を減少させる可能性があり、そうなれば世界の経済情勢の回復が遠のくばかりか、貧困地区が拡大する恐れもあり、その影響の広がりは予断を許しません。
〈つづく〉
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もう察しの良い方ならお分かりだと思いますが、この稿をご紹介して私が言いたいのは、世界の危機意識と日本の政治の危機意識のあまりに大きなずれについててです。
世界はグレート・リセッション(世界的経済危機)と気候変動による食糧危機から、どうやって自国と国民を守るか、必死に出口を探している。
名うての食糧輸入国である日本は、そこに原発事故による環境破壊が加わり、先行きは極めて不安定な状況にあるのに、日本の政治が危機感を持っているは、自らの「立場」についてなのではないでしょうか?
3.11の直後もそうでした。
日本の政治の欠陥による機能不全を、すべて菅前首相一人のせいにして、まずは自分たちの立場を守ろうとしていました。
世界経済のグローバル化が進む中、高齢化が進み、そこに人口減少が追い打ちをかける日本において、『経済成長』などは夢のまた夢なのです。
経済に関してはソフト・ランディング、つまりは経済的充足はそこそこに、人間として別の「幸福」「充足」を求めて、健全な社会を作ることこそ目標とすべきはずでしょう。
なのに、「経済成長勉強会」などと銘打って、自分たちに権力を預ければ、再び日本を中国並みの経済成長路線に乗せられるかのように思わせるなど、政治家としての誠意の無さが透けて見えます。
中国がこれほど尖閣問題を煽り立てるのも、【2013年・食糧危機は必ずやって来る】〈 http://kobajun.biz/?p=4481 〉でご紹介したように、食糧問題が直ちに政情不安につながる危険性が、世界の中でもっとも高いと見られているからだと思われます。
日常の中に不満が鬱積し、はけ口を求めている中、
「反日なら許す」
と言われて、不満の矛先を国内問題に向けないように「操作」されている人々が、騒いでいるとしか思えません。
日清戦争以来の尖閣諸島の帰属問題についてきちんと考証した人が、その解決のためだとして、街に出て行って日本人観光客に嫌がらせをしたり、日系企業の看板を壊したりするでしょうか?
話がまとまりませんが、日本の人々に原子力危機の上に、食糧危機の追い討ちがかからないよう、そのための政治の「立て直し」に真剣に取り組んでいただきたいものです。
『有機農法』作物は本当に体に良いのか?
アメリカNBCニュース 9月4日
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ブライアン・ウィリアムズ :
健康にかかわる話題は、いくつもの示唆に富んでいます。今回は有機農法の食品に関する話題です。
有機農法によって作られた食品を購入する人々は概ね比較的高い代金を支払うことになりますが、その動機は?と言えば、その方が健康に良い、と考えているからでしょう。
でも、それは正しいのでしょうか?
ナンシー・スナイダーマン博士にリポートしてもらいましょう。
ナンシー・スナイダーマン医学博士 :
アメリカ全土のスーパーマーケットで、西海岸から東海岸まで、有機野菜などの有機食品を購入するアメリカ人が増え続けています。
1997年、有機食品の売り上げは36億ドルでした。
それが2010年には260億ドルにまで増加しました。
理由は何でしょうか?
女性消費者「食卓に並べるなら、健康に良いものを、と思うでしょう?だったら、農場から直接家に届くのが、一番良い方法だと思うわ。」
男性消費者「健康に良いかどうかはわからないけど…。でも食事がこれまでとは違ったものになると思うよ。」
スナイダーマン博士 : 確かにこれまでとは違っています。しかし、スタンフォード大学の最新の研究は、有機農法によって栽培された作物と従来の農法によって作られた作物との間に、栄養価の上での違いは無い、と結論づけました。
スタンフォード大学医学部クリスタル・スミス・スパングラー博士
「私たちの研究において、有機農法による作物の方が栄養価が高い、とする決定的な証拠を見つけることはできませんでした。確認できたのは、残留農薬による危険性の違いだけでした。」
スナイダーマン博士 : 公表された研究結果によれば、有機農法による作物は、残留農薬の量が、一般の作物と比較し、30%程度低いことが確認されました。そしてオーガニック飼育による鶏肉と豚肉に含まれる残留抗生物質の量は、60%程度低いことが確認されました。
こうした残留農薬や残留抗生物質などが、長期的に人間の健康にどのような影響を与えるのか明らかになるまでには、まだ数年の月日がかかりそうです。
しかし、有機農法による食品を選択すべきか否か、という問題については、できるだけ早い結論が求められるでしょう。
タフト大学栄養学ミリアム・E・ネルソン
「大切なことは、購入する食品の産地がどこであり、どのような栽培方法が採られているかを知ることだと思います。そうすることによって、ふさわしい値段がつけられているか、産地の環境はどうなっているのか、判断ができるはずです。」
スナイダーマン博士 : 消費動向調査によれば、有機食品などに関する消費トレンドを作り出している中心は、30代以下の人々のようです。
ジェフリーズ&カンパニー、スコット・マシュキン
「何を食べるかという時の判断基準になるのは、より不純物が少ない、有機栽培による、という点のようです。」
スナイダーマン博士 : 有機栽培農家や牧場主は、彼らの生産するものの方が栄養価が高いとは、表だって主張していませんが、聞き取り調査によれば、半数以上は有機食品の方が栄養価が高い、と考えています。
では、何が最良の選択なのでしょうか?
栄養面を考えるなら、地元のものを消費することです。
産地と消費地が近ければ近い程、食品の栄養価は高くなります。
ブライアン・ウィリアムズ :人々もいろいろ考えなければなりませんね。
http://www.msnbc.msn.com/id/3032619/ns/NBCNightlyNews/#48902655
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生きていく上での『前提』を破壊した、原子力発電所の事故
このNBCの記事を読んでいて考え込んでしまいました。
記事の内容そのものは、有機農法については、残留農薬、残留抗生物質が少ない、と言うのがその商品特性であり、栄養価が高い・低いは別問題である、というだけのもののようです。
結論は『地産地消』の薦めでした。
大量の野菜・海草などを原料とするある健康食品メーカーの工場見学に行った際、
「露地物の季節季節の野菜は、その季節に人間の体が必要とする『解毒作用』を持っている。だから旬の野菜を口にすることは、とても体に良い。」
と教えていただいたことがあります。
しかし…
福島第一原発から100キロ離れていない場所で暮らす私も含め、福島県とその隣県、宮城、栃木、茨城などの人々は、地産地消や露地もの野菜などという言葉について、これまでとは全く違う反応をせざるを得なくなってしまいました。
「大丈夫なのだろうか?」
たとえば福島第一原発の事故以前、大規模環境汚染については、アメリカ大陸・メキシコ湾のBP社による海底油田からの原油漏れ事故がありました。
しかし、この汚染ははっきりと目で確認することができます、臭いもあります。
従ってこの類の事故で、汚染された食品が市場に出回り、口に入ることはまず無いはずです。
ところが原子力発電所事故が引き起こす放射性物質による汚染には、色も臭いもありません。
大気中の放射性物質の量を図るのと違い、食品中の放射性物質の量を計測するには、高価な機械と時間が必要です。
だからこそ的確・正確な情報提供が大切なのですが、福島第一原発の事故の場合、日本政府が先頭に立って大切なものをずたずたにしてしまいました。
以降福島第一原発事故の影響を受けた地区では、生産者には信用してもらえない、というフラストレーションがつきまとい、私たち消費者には信用しても大丈夫なのか、というフラストレーションがつきまとうことになりました。
野菜を買うにしても、栄養価がどうのこうの以前に、『大丈夫なのか』という事の方が、判断基準として優先されることになりました。
つまりは生活していく上での、判断基準、価値基準を変えられてしまった訳です。
事故が起きればその影響がどこまで及ぶかわからない、そんな物を当たり前のように使ってきた報いが来た、そう考えざるを得ません。
そして今、原子力発電所が排出する放射性廃棄物を処分するための場所が、日本国内で見つけられない事態になっていることが明らかになってきました。
『毒性が無くなるまで』何万年も、何百万年もかかる高レベル放射性廃棄物を、目と鼻の先に埋められて、平気な人間がいるでしょうか?
しかし原子力発電を止めても、廃炉、そして貯まりに貯まって原子力発電所の施設から外に運び出せなくなっている、高レベル放射性廃棄物の処理の道筋を立てるため、原子力技術は必要です。
原爆の投下と原子力発電所の建設により、放射能の恐怖に支配されてしまったこの日本を、恐怖から解放するために、今後原子力技術を活用してもらいたい、そう考えます。
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【90年ぶりに発見!行方不明のルノアールの真作、購入価格は560円!】
アメリカCBSニュース 9月13日
メリーランド州の女性が、アンティーク・コレクターなら誰もが願う夢をかなえました。
彼女はウェスト・ヴァージニアのフリーマーケットで、箱に押し込まれたルノアールの真作に出くわし、夢を手に入れたのでした。
電話での取材に対し、彼女は匿名を条件にCBS系列会社WJZ-テレビにこう答えました。
「私が支払った金額はたったの7ドル(560円)よ。」
この絵は1879年にフランスの印象派の代表的画家であるルノワールが描いた連作の中の1点で、1920年以来その行方が分からなくなっていました。
現在の価値は最低でも600万円です。
「私の目にとまったのは実は額の方だったのです。素敵な額ね、7ドルなら買ってもいいわよ、というわけで、いろいろなものが詰まった箱を7ドルで買ったのです。」
このメリーランドの女性は額から絵を取り外したとき、自分が手にしている物の本当の価値に気がつきました。
彼女の母親が絵の隅っこにルノワールのサインを見つけ、続いてフランスにある美術館の所蔵ラベルと所蔵番号に気がついたのです。
女性は昨年の8月後半、この絵をポトマック・カンパニー・オークションハウスに持ち込み、鑑定を依頼しました。
鑑定の結果、この絵はピエール・オーギュスト・ルノワールの真作に間違いが無く、フランス語で『セーヌ川が湾曲している場所の風景』という意味の題名がついていることもわかったのです。
この絵の価値は最低でも600万円から800万円という事でしたが、この絵が再び世に現れた、その意義の方がはるかに大きいと、専門家は語っています。
ポトマック・カンパニーは、この絵が最後に確認されたのは1926年、以来行方不明になっていたため、今や世界中から問い合わせが相次いでいると語りました。
ポトマック・カンパニーのオーナー、エリザベス・ウェインスタインさんがこう語りました。
「干し草の山から銀の針が見つかったようなものです。このような作品かそんな場所にあったなんて、長い間専門家がその行方を探し求めていた作品なのですから。」
いったいどのような経緯をたどり、この絵はフリーマーケットに出品されたのでしょうか?
それはまだわかっていません。
しかしメリーランドの女性は、こんな幸運が訪れたのは生まれて初めてだと語っています。
「買って手にするまでは箱の中身は解らない、私はその生きた見本てとこね。誰かさんののごみ箱が、わたしにとっては宝箱だったわけ。」
この絵は9月29日に競売にかけられることになっています。
メリーランドの女性はお金の使い道について、こう語りました。
「パリに旅行に行くわ!」
http://www.cbsnews.com/8301-201_162-57511508/md-womans-$7-flea-market-find-actually-lost-renoir/?tag=cbsnewsSectionContent.11
アメリカCBSニュース 9月10日
新たに発表された二つの研究結果により、少なくとも技術的には、地球には全世界の電力需要を賄って余りある風力発電資源が存在することが明らかになりました。
このうちのひとつはカーネギー科学研究所によって率いられ、著作[自然の気候変動]の中、地球の風力発電能力について述べた章で明らかにされました。
この章の最初の行にすべてが語られています。
「21世を通し世界経済が成長を続けたとしても、地球上には全世界が必要とする電力を、十分に賄えるだけの風力発電能力がある。そして風力発電は、二酸化炭素排出ゼロの発電手段として最初に選択すべきものである。」
いずれの研究も、風力発電の物理的能力だけを見ています。
この地球上には本当に風力発電だけで、全電力を賄えるくらいの風は吹いているのでしょうか?
繰り返しますが、それは本当です。
しかしいずれの研究は物理的側面についてのみ語ったものであり、財政面に関する考察はありません。別の専門家は、それだけの風力発電設備と全消費地に電力を送るための送電網を整備するためには、莫大なコストがかかる、と指摘しています。
この点について、カーネギー科学財団の研究はこう述べています。
「風力発電の限界は、物理的条件によってではなく、経済的理由、環境条件によってもたらされるであろう。」
アメリカにおける異なる2つのチームによる研究結果は、それぞれ3日月曜日、4日火曜日、別の科学雑誌で発表されました。
いずれの研究結果においても、現在の風力発電技術を使っても、数百兆ワットの発電を可能にする風が地球には吹いていることが明らかにされています。
その発電能力は現在の全世界の消費電力の10倍以上になります。
http://www.cbsnews.com/8301-205_162-57509848/studies-find-earth-has-enough-wind-to-power-the-world/?tag=cbsnewsSectionContent.10
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【 25,800ベクレル・記録的値の汚染魚、福島第一原発近くで 】
アメリカCNNニュース 8月21日
日本政府が定めた安全基準の258倍の放射能に汚染された魚が、福島第一原発近くの海で捕獲されたと、8月21日火曜日、共同通信が伝えました。
東京電力は8月1日、福島第一原発から20km以内の海域で捕獲した2匹のアイナメから1キログラム当たり25,800ベクレルという高濃度のセシウムを検出しました。3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こして以来、東京電力はこれまで数千匹の魚を捕獲し、放射線量を測定してきました。
日本政府は放射線量が1キログラム当たり100ベクレルを超える魚について、消費に適さないとしています。
ベクレルは放射線量の毒性の強さを表す単位です。
東京電力は7月中旬から8月初旬にかけて福島県沖合で行われた調査により、この他にも基準値を超えるセシウムが数種類の魚類と甲殻類から検出されたことを発表したと、NHKが伝えました。
大量の放射性物質を環境中に放出し、数万人の人々に避難を余儀なくさせた福島第一原発の事故から、17カ月過ぎてから今回の調査結果が明らかになったことになります。
福島第一原発の事故は1986年ウクライナで発生したチェルノブイリ原発事故以降、最悪の原子力発電所事故です。
今回の報告は科学者が福島県内で、蝶類の突然変異を確認した後にもたらされました。
事故後数か月たった福島県内で、蝶類には脚部、触覚や腹部の奇形、目がへこむなどの異常が認められました。
福島第一原発の事故後、これまで確認されていた魚類の最大の汚染量は、川を遡上したサケの18,700ベクレルで、これは今年3月18日に福島県内陸部の飯舘村で捕獲されました。この調査は水産庁が地元自治体の協力を得て、独自に行ったものです。
日本政府は福島第一原発の事故以降、付近一帯での漁獲を制限しています。
しかし福島第一原発から50キロ圏外の海域で今年5月、試験的に捕獲された2種類のタコと1種類の甲殻類からは、基準を超える放射性物質は検出されなかったと、NHKが伝えました。
水産庁によれば、これ以外にも数千種に上る魚介類のほとんどで、セシウムの量は政府の制限値内に留まっています。
東京電力は8月9月にも、アイナメに関する調査を継続し、アイナメがエサにしている小魚、甲殻類や多毛類、そして同海域内の海底の泥などに関する調査も行うとしています。
次々に明らかになる、危険な場所に巨額の投資を行い、原発を建設した日本の電力会社の事歴
ヒロコ・タブチ / ニューヨークタイムズ 8月29日
福島第一原発の事故の後、日本は原子力発電を減らすために動いていますが、厳しい経済的現実と向き合っています。
原子力発電を直ちに廃止した場合、電力会社のうちの数社はその負担に耐え切れなくなる可能性があります。
仮に今年2012年のうちに国内にあるすべての原子炉を廃炉にしたとしましょう。
国内の電力会社は併せて4兆4,000億円の損失を計上しなければならなくなります。
そして少なくとも4社が債務不履行に陥る可能性が出てきます。
この結果は国の機関である資源エネルギー庁が試算しました。
ただちに原子力発電を止めた場合のこの巨額の損失は、日本政府に大きな懸念を抱かせることになりました。政府は厳格化された原子力発電の安全基準の実施への要求と、巨大電力会社によって運営される原子力発電所の実態とのバランスを取ることに苦労してきました。
日本の原子力発電は国内電力需要の約3割を供給してきましたが、現在はそのほとんどが停止しています。
「人々は原子力発電の廃止について比較的簡単に口にしますが、それに伴う経済的、財政的処理は大変厳しいものになります。」
東京国際大学のエネルギー・資源経済学、環境経済学を専門とする武石礼司教授がこう語りました。
日本政府は現在、原子力発電のへの依存を減らすための3つの選択肢を検討していますが、いずれの選択肢においても2030年までに各電力会社に対し、その償却を容易にするための方策を取りながら、原子炉を廃炉にすることが求められることになります。
そして使用期間を40年とする日本の規則により、2030年までには大部分の原子炉が、いかなる理由があっても廃炉にすることを求められることになります。
しかし、原子力発電所の付近の地殻で、次々に断層の存在が確認されるなど、新たな安全面での懸念も認識されるようになり、はたして原子炉の再稼働が最終的に可能なのかどうかという疑念も浮上してきました。
さらには廃炉まで18年という年限の設定も、怒りを募らせる国民に対し、政府の前提条件の置き方はおかしい、という不満を抱かせることになっています。
「どうしたら国民の生命、安全よりも経済を優先させることができるのですか?」
現代アートの芸術家で脱原発抗議運動のリーダーの一人である小田まさのり氏が、先週行われた野田首相との直接会談の後、こう問いかけました。
政府によって提示されている選択肢のうちのひとつは、2030年時点での原子力発電への依存割合を20%から25%としています。
もう一つは15%、そして残る最後の選択肢がゼロです。
政府は15%の原子力発電を続ける選択を望んでいましたが、湧き上がる世論は圧倒的に原子力発電の完全廃止を求めました。
ただ、いずれを選んでも、原子炉を順次再稼働していくことは必要だとされていたのです。
ここ数カ月の間に全国規模の総選挙が実施される可能性が高くなり、ここに到り、日本の各政党、そして現政権の閣僚までが原子力発電の廃止への支持を表明するようになりました。
原子炉の運命は、原子力発電とそれ以外の発電方法に関する、広範囲な白熱した議論の行方に左右されることになります。
原子力発電を廃止するために必要となる費用、経済的側面に議論は集中しました。日本最大の経営者団体、経団連は経済的に危機的状況に陥る、と警告しました。数万の雇用が失われると主張し、返す刀で再生可能エネルギーの実現には数多くの問題がつきまとう、と切り捨てました。
「福島第一原発の事故以降、化石燃料の輸入額は増え続け、日本の貿易赤字額は記録的に膨んでしまった。
この夏停電が起きるような事態は起きませんでしたが、電力不足は企業にとって負担になっている。
日本の温室効果ガスの排出も増え、再生可能エネルギーは風力も太陽光も小規模で不安定な割には、コストが高い。」
政治の場に影響力を発揮すべく結成された経団連は、このように主張しています。
「経済的に安価な電力が安定的に供給されなければ、日本の経済成長は不可能である。」
9月初旬、経団連は改めてこのように表明しました。
電力会社にとって、短期的な経済的苦境はより鮮明です。
今年政府による専門家の委員会は、京都の北約270キロにある志賀原子力発電所の下に活断層が存在する可能性があると、指摘しました。それが事実とすれば、原子力発電所の設置そのものが許されない可能性があります。
政府の試算によると、志賀原子力発電所の廃止が決定すれば、運営する北陸電力は3,130億円の損失を被ることになり、会社そのものが立ち行かなくなる可能性があります。
損失を構成するのは、廃炉が早まることによって発生する追加費用、核関連施設の評価減、そして核廃棄物と核燃料の処理によって発生する費用などです。
もう一社、窮地に陥る可能性があるのは中部電力です。
浜岡原発5号機は同発電所で最新、そして国内で最大規模の原子炉ですが、同社はこの原子炉を何とか救済しようと熱望しています。
この原子炉は2005年に稼働を開始しましたが、浜岡原発は津波による被害が非常に発生しやすい場所にあることから、昨年5月、当時の菅前首相の指示により停止したままになっています。
しかしこの原子炉は停止中に発生した配管の断裂により、約5トンに上る海水が原子炉内部に入り込んだため、炉心が損傷してしまっている可能性があります。
経営規模の小さい2社、北海道電力と東北電力の場合、事態はさらに悪い可能性があります。
原子力関連施設の評価損により、債務超過に陥る可能性があると政府が試算しました。
2社が所有している原子力発電所の巨大地震に対する危険性は、これまで考えられていたよりも一層高い可能性が出てきました。
そして東京電力。
日本最大の電力会社であり、事故を起こした福島第一原発の所有者。
同社は所有する稼働可能な(福島第一原発の5号機、6号機の2基と、16キロ離れた場所にある福島第二原発の4基を含む)13基の原子炉の再稼働ができない場合は、1兆1,500億円の追加の欠損を計上しなければなりません。
福島第一原発、福島第二原発が立地する福島県は、県内の全原子炉の廃炉を求めています。
ただでさえ福島第一原発の事故処理と賠償のため巨額の債務を抱え、実質的に国有化された東京電力にとって、福島第一原発、福島第二原発ともに廃止の決定は、致命的事態となり得る可能性があります。
CLSAキャピタルパートナーズ・ジャパン株式会社で、日本の電力会社を担当するアナリスト、ベン・バワーズ氏は次のように語りました。
「私は数年のうちに、日本の各電力会社が原子力発電所をゼロにするよう迫られることにはならない、そう考えています。」
「そんなことをすれば、電力会社数社が債務超過に陥ってしまいます。」
「そのような選択をすべきではありません、だって他に電力会社は存在しないのですから。既存の電力会社が営業を続けられるような、選択をすべきだと思います。」
原子力発電所の廃止に前向きな人々は、事故が起きた場合には、その経費がたちまち巨額に上ることを考慮すべきだと語ります。
彼らは再生可能エネルギーの開発について楽観的であり、とりわけ国の重点的な支援により開発が加速するものと見ています。そして新たな技術の開発により、二酸化炭素の排出も削減され、新たな雇用創出も可能であると考えています。
「経済面における原子力発電の仮定は、もはや成り立たなくなりました。」
東京の青山学院大学の本間照光経済学部教授が、このように語りました。
「原子力発電についての最大の前提条件、それは事故は起きない、という事だったのです。」
たとえ危険であることが解っていても、電力会社は政府に対し原子炉の再稼働を働きかけるべき、強い動機があります。
しかし、いったん事故が起きてしまえば、その処理費用は電力会社の資産価値をはるかに超えるものになる可能性が高く、いかなる災害が発生しても政府ともども解決にあたると説得を試みましたが、民間の保険会社は電力会社の保険加入に応じようとはしませんでした。
そうとなれば、日本国内の原子炉を再稼働する場合、その金銭的リスクを負うのも、安全上のリスクを負うのも一般国民、一般の納税者という事になります。
しかしもし利益が得られたとしても、それはすべて、電力会社とその株主の手に渡ることになります。
この点について、ハーバード大学法学部のJ.マーク・ラムザイヤー教授は学術誌に今月掲載した、日本の原子力産業界をテーマにした論文『論理的な疑問』の中でこう述べています。
「彼らは利益については総取りにしますが、一方の義務はと言うと、それを引き受けるつもりは無いのです。」
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ところでもう何度もご紹介したのですが、この記事こそは広瀬隆さんの著作「原子炉時限爆弾」(ダイヤモンド社)との読み比べをお薦めしたものです。
と言うのも、この著作の中で広瀬さんは、3.11発生以前すでに、日本で一番危ないのが中部電力の浜岡原発、次に危ないひとつが東京電力の柏崎刈羽原発である、と指摘されていたからです。
どちらも極めて軟弱な地盤の上に建設されているにもかかわらず、指摘を受けると学問上は明らかにおかしい言い逃れを重ね、今日に至っている、とそう指摘をされています。
日本全国、どの原子力発電所の建設においても、こうしたごまかしや危険な事実の隠ぺいが繰り返された。
そしてそれを『むしろ進んで』追認していた原子力安全・保安院や原子力委員会などの国家機関。
さらには国内の全原子炉の廃炉費用に4兆4千億円の費用が必要とありますが、国は高速増殖炉もんじゅに対してだけですでに5兆円をつぎ込んでいるはずです。
そしていろいろな名目をつけ、様々な形の『補助金』が、支出されているはずなのです。
記事中の電力会社のコメントなどを見ていると
「原子力発電所はもうこれだけ作ってしまったんだ!これをどうしろと言うのだ?」
と、私たち国民に向かって開き直られているような気がしますが、
▽できたものをどうするのかの責任
ではなく、
▽危険とわかっていて、なぜそんな巨額投資を行い、原発建設を進めたのか、その責任
これをまず、事実の検証と議論を重ねながら明らかにしていく必要があると思います。
そうでなければ、ゼロも、15も、25も、単なる数字いじりに終わってしまいます。
「国がどう考えようと、国民がどう思っていようと…」
米国フォックス・ニュース / AP通信 9月6日
9月6日、事故を起こした福島第一原発の所有者である東京電力の社長は、国がどう考えようと、国民がどう思っていようと、原子力発電は国のエネルギー政策の一端を担うべきものである、と信じている、と語りました。
広瀬直美東京電力社長は、昨年発生した地震と津波が福島第一原発を襲い、大事故が発生し数か月もの間制御不能となり、環境中に大量の放射性物質を放出したメルトダウンを引き起こした後であっても、東京電力は再生可能エネルギー等への開発投資はできない、とも語りました。
東京電力(TEPCO)は福島第一原発の事故の後、莫大な金額の賠償責任と事故の処理費用の支払い責任を負うことになりました。
このため7月に約1兆円に上る国からの公的資金援助を受けた後、実質的に国有化されました。
東京電力は2011年3月11日の三重災害(地震、津波、原発事故)以前に、発電手段の多様化に取り組んだことがありました。
系列会社のユーラス・エナジーグループとともに、3か所のメガソーラー発電施設、そして12か所以上の風力発電施設の建設を行いました。
しかし窮迫する財政事情により、東京電力にはもはやこうした事業に投資を行う余力は残っていない、と広瀬社長は東京電力本社でAP通信に語りました。
「我々はこうした再生可能エネルギーの開発に取り組んできましたが、不幸にも3.11の発生により、そのための資金を確保できなくなってしまったのです。」
広瀬社長は今年6月、東京電力の業績回復を担うべく社長就任を引き受けました。
広瀬社長は北日本にある原子力発電所を再稼働できれば、東京電力の業績回復に目鼻をつけることができるでしょうが、地元の了解を取り付けることは非常に難しいであろうことも理解しています。
「東京電力の財政事情の健全化に、原子力発電所の再稼働が貢献することは間違いありません。」
彼はこう語り、新潟県にある7基の原子炉を持ち、現在点検のため停止中の柏崎刈羽原発に言及しました。
「しかし、再稼働への日程が具体化されているわけではありません。」
原子力発電を含めた多様な発電手段を持つことには、エネルギー安全保障面だけではなく、経済的メリットもある、と広瀬社長は語ります。
昨年の大災害の後、日本政府は新しいエネルギー政策の策定にあたり、原子力発電を減少させる、あるいは廃止する、いずれかの選択を迫られています。
調査により、日本国民は原子力発電の段階的廃止を圧倒的に支持していることが明らかになりました。
3.11の以前、日本は無国内電力需要の約30%を供給できる原子力発電所を持ち、2030年にはその割合を50%にまで高める計画を持っていました。
チェルノブイリ以来世界史上最悪の原子力発電所事故を引き起こした事で、原子力発電事業の縮小が避けられない選択ではあっても
「正直言って、50%への拡大路線から、廃止路線への転換は、東京電力にとって非常な打撃でした。」
と広瀬社長は語ります。
しかし国が定めるエネルギー政策による発電手段の決定割合に、東京電力は従わざるを得ないと広瀬社長は語ります。
福島第一原発の事故は、国民の原子力発電の安全性に対する大きな不信を呼び覚まし、事故以降点検のため次々と停止した国内50基の原子炉の再稼働を難しいものにしました。
最後の原子炉が停止したのは今年5月のことでした。
夏場の需要期の電力不足を回避するためだとして、7月二基の原子炉が再稼働されましたが、その結果首相官邸前に毎週数万人の人々が集まり、抗議集会が開かれる結果になりました。
広瀬社長は福島第一原発の事故の全容と発生原因を、明らかにすると誓いました。
福島第一原発は一時に比べれば安定した状態を保っていますが、充分と言えるレベルの事故処理を行い完全に廃炉にするまでに、いったいどれだけの作業を行い、何十年かかるのか。
調査はもちろん、新たな技術を開発することが求められています。
http://www.foxnews.com/world/2012/09/06/japan-utility-says-there-no-money-to-develop-renewables/#ixzz261PV9Ec1
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国民の意思を曲げてでも、東京電力という会社は存続させなければならないのか?!
その議論がまだ本格に行われていないように思います。
発電会社、送電・電気販売会社、事故処理新技術開発研究所、事故処理会社等々、分割「民営化」についての検討も必要ではないでしょうか?
東京電力の国有化は、オバマ政権が経営危機に陥ったゼネラル・モータースを一時国有化し、立ち直らせた成功例を真似ようとしているのでしょう。
しかしGMの、退職者等の年金が高すぎた、エコカーの開発・販売に立ち遅れた、などの「問題」と比較し、東京電力が抱える問題は比較になりません。
それにいったん国有化された以上、その処置は国民にとって最良の選択であるべきですが、そのようなことは望むべくもないのが現状です。
日曜日、テレビのニュースを見ていて、民主党が「2030年の原子力発電の廃止を目指す」との目標を掲げたことについて、
幹部が「2030年までに原子力発電を止めるとは言っていない」と語りました。
またか、と思う一方で、日本の政党の公約と言うものはかほどに軽いものなのか、否、「空文」を掲げて国民をその気にさせてその場をしのぐこと、それが現在の日本の政治なのか、と改めて思い知らされました。
この発言は、こう言っているのと同じではないでしょうか?
「2030年に原子力発電を廃止する、という目標を掲げはしたが、諸般の事情によりそれが実現不可能なことが判明した。その結果、2030年以降も原子力発電を継続せざるを得ない結果となった。」というシナリオで事態を推移させる。
英国の学者が「現在の日本の政治家は近視眼的過ぎる」と語ったことをご紹介したことがありますが、こうなってはその指摘も優しすぎる表現だと言わざるを得ません。
要するに「その場しのぎばかり」…
そう言えば総選挙実施の気配が強まるにつれ、『にわか脱原発もどき』の政党・政治家が目立つようになったと、お思いになりませんか?
脱原発の国民の意思が固まりつつある今を「しのいで」議席を手に入れ、後は野となれ山となれ。
そんな人間ではないのかどうか、しっかり見極めていかなければなりません。
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アメリカNBCニュース【今日のベスト・ショット集】 9月10日
(写真をクリックして拡大画像をご覧ください)
持って行き場の無い核廃棄物【米国原子力規制委員会「もうこれ以上、原子力発電所の操業許可は出せない!」】
「事態は1960年代と比べ、何も改善していない。それはつまり、核廃棄物に関しては、都合の良い解決方法など存在しない、という事なのだ」- 米国下院議員
「処理の目処も立たないのに、原子力発電を行うことにより、無限に核廃棄物が生み出されている」
IPSニュース 9月4日(8月6日)
アメリカの商業用原子炉の管理・監督を行っている原子力規制委員会(NRC)は8月9日、当面新たな原子炉の操業許可を行わないことを決定しました。
核廃棄物の長期保管の問題について、産業界と連邦政府のいずれも、合理的な解決策を見いだせずにいる、とする裁判所の判決を受けた措置です。
この措置により、19か所に上る原子炉が影響を受けることになりました。
この中には、9か所の原子炉建設とその操業許可、8か所の操業許可の更新、1か所の操業許可、そして1か所の施設使用延長が含まれます。
多数の個人に加え、数多くの環境団体からの嘆願書に応え、NRCは7日この命令を出しました。
6月8日付で、NRCが取り扱っている核廃棄物問題を検証する限り、新規の原子力発電所はもちろん、現存する原子力発電所からのこれ以上の核廃棄物の排出は容認できないとする、米国連邦巡回控訴裁判所の決定により、こうした嘆願書が多数寄せられることになりました。
「私たちが信頼性し得る核廃棄物保管と呼んでいる課題は、原子力規制委員会において、環境に関する全般的な問題、利用可能なあらゆる手段を検討しなければならない、そしてあらゆる面からの検証が必要な問題だったのです。
なぜなら高レベル放射性核廃棄物、使用済み核燃料は、原子炉の耐用年数などとは比較にならない程長い間、何十年もの間、放出する熱量が低下し最終処分が可能になるまで、安全に保管し続けなければならないからなのです。」
NRCのスポークスマン、デイヴ・マッキンタイアはIPSに対し、このように説明しました。
「米国連邦巡回控訴裁判所は請願を行った人々の主張を容れ、NRCが認めていた廃棄物処分方法に疑問を呈したのです。すなわち、もはや高レベル放射性廃棄物を安全に保管する方法など、基本的には存在しない可能性があるのではないか、その点をNRCは検討する必要がある、そう指摘したことになります。」
「ネバダ州の核廃棄物の中間貯蔵施設である、ユッカ・マウンテンは閉鎖されたままであり、アメリカには現在その他の選択肢はありません。上下院での議論がこのまま平行線をたどり、他に中間貯蔵施設が確保できなければ、高レベル放射性核廃棄物はいったいどこに持って行けばいいのでしょう?」
マッキンタイアはこう語りました。
NRCにおいても結論が出ないこの問題について
「このまま原子力発電所が稼働によって、高レベル放射性廃棄物の排出を続ければ、その保管場所は原子力発電所の施設内しかなくなります。発電所内での安全保管、それ以外に道は残されていないのです。」
環境保護団体が、記者会見でこのような共同声明を発表しました。
「これは見過ごせない問題です。」
ブルーリッジ環境保護連盟の世話人の一人、ルイス・ゼラー氏がIPSに語りました。
こんな問題が発生するとは、NRCも原子力産業界も、原子力発電を始めたときには考えても見なかったはずであり、周章狼狽の一歩手前まで追いつめられています。
「業界は環境団体がジョージア、アラバマ、サウス・キャロライナ、ヴァージニア各州における原子炉の新規建設に異議の申し立てを行うと予想し、その対応を準備していたようです。まあ、実際私たちはそのほとんどで申し立てをしましたが。しかし、まさか自分たちが行っている基本的な枠組みに対し、根本的な問題提起が行われるとは予想していなかったでしょう。彼らにとってこれは衝撃的であったと同時に、驚きであったと思います。」
ゼラー氏が続けます。
「この件について、私は楽観的になって良いようです。米国連邦巡回控訴裁判所が核廃棄物の問題の重要性と、原子力規制員会の対応が遅きに失した点について、基本的に同意してくれたことは、非常に重要なことだと考えざるを得ません。」
核廃棄物の放射性は非常に高く、人体に危険を及ぼし、致命的事態に陥る場合もある、とゼラー氏が警告しました。
それぞれの原子力発電所では、運営会社が同じ核燃料をどれだけの期間使用し続けるかによって、貯まっている使用済み核燃料の量と構成が異なってきます。
「それは燃焼と呼ばれ、同じウラン燃料をどれだけの期間原子炉の中に入れておくかによって、作られる放射性廃棄物も違ってくるのです。」
放射性ヨウ素やストロンチウムなどの放射性核種について、ゼラー氏がこう説明しました。
ゼラー氏はNRCが今回の判決を不服として控訴するかどうかはわからないが、少なくとも判決によって生じるNRC側の懸念を隠そうとはしていない、と語りました。
「裁判所の決定により、NRCとして行ってきた廃棄物処理手順が否定され、NRCは改めて採用可能なあらゆる方法について検討を行っています。その中には全原子力発電所共通の方法、あるいは発電所ごとに異なる処理方法を行う、あるいはその両方を組み合わせる方法などが含まれています。」
8月7日、原子力規制員会(NRC)はこのように声明を出しました。
数週間以内に5人の理事に処理方法のリストを提出すべく、NRC職員は現在、多忙を極めていると、マッキンタイア氏が語りました。
「私たちはまだ、全体の方針を決めるには至っていません。しかし法の下での我々の役割に対する認識の下、今回の判決が覆されない限り、現行の放射性廃棄物処理基準と一時保管基準に基づく原子力発電所の操業許可は、当面行わないことになります。」
マッキンタイアは今回のNRCの決定、裁判所の判決、そのいずれによっても、すでに出されている原子力発電所の操業許可が取り消されることは無い、と語りました。
同氏はその例としてジョージア州のヴォグタイル原子力発電所を例に挙げましたが、しかし同発電所は福島第一原発の事故後見直された安全基準に抵触しているとして、操業停止を求める訴訟を起こされています。
オハイオ州選出の民主党のデニス・クシニッチ下院議員は8月上旬、有権者に電子メールを送りました。
「私たちはいままさに、原子力発電の終わりを目撃しているのでしょうか?」
「私たちは約半世紀もの間、核廃棄物の合理的処分方法を探し求めてきました。そして結局、事態は1960年代と比べ、何も改善していないのです。それはつまり、核廃棄物に関しては、都合の良い解決方法など存在しない、という事なのです。」
「放射性核廃棄物を安全に保管し続ける方法など、決して見つけ出すことはできないのです。」
ゼラー氏はたとえ新たな処分場を確保できても、その場所まで核廃棄物を輸送すること自体危険が伴う事であり、核廃棄物をどこで処分しようとしても、必ず危険がついて回る、と語りました。その危険は決して小さなものでは無い、と。
ゼラー氏は続けて、アメリカ国内では核廃棄物処分場を目の色を変えて探し続けている今この瞬間も、原子力発電を行うことにより、核廃棄物が作られ続けており、そのことに問題の根深さがあると語りました。
「その上、最終的にいったいどれだけの量の核廃棄物を処分しなければならないのか、明確では無く、原子力発電が続く以上、核廃棄物は無限に生み出されてくるのです。」
今回のNRCの決定により、操業停止になる可能性のある原子力発電所
メリーランド州カルバートクリフ、ミシガン州フェルミ、サウスキャロライナ州ウィリアムステート・リーⅢ、ミシシッピ州グランドガルフ、テキサス州ヴィクトリア・カントリー、フロリダ州ターキーポイント、テキサス州コマンチピーク、同南テキサス、ペンシルバニア州ベルベンド、ノースキャロライナ州シャーロン・ハリス、フロリダ州レヴィー・カウンティ、アラバマ州ベルフォンテ、テネシー州ワッツバー、ヴァージニア州ノースアンナ
http://www.ipsnews.net/2012/08/waste-issue-halts-u-s-nuclear-reactor-licensing/
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[米国原子力規制委員会、原子力発電の操業認可業務を停止]
ニューヨークタイムズ 8月8日
今年6月の連邦裁判所が、高レベル放射性廃棄物処分方法について不備があると判決を下したのを受け、原子力規制委員会は原子力発電所の操業認可業務を停止しました。
申請の受け付け業務は継続するものの、操業を許可するかどうかの決定は、年内は行わない、とスポークスマンが発表しました。
(ブルームバーグ・ニュース)
http://green.blogs.nytimes.com/2012/08/08/on-our-radar-n-r-c-puts-off-licensing-decisions/
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米国原子力規制委員会、原子力発電の操業認可業務を停止
ブルームバーグニュース 2012年8月8日
6月の連邦裁判所の判決が命じた、使用済核燃料の保管に関わる危険性を検証する一連の作業が完了するまで、米国原子力規制委員会(NRC)は原子力発電所の操業許可を与える認可業務を停止しました。
5人の理事によって構成されるNRCは、操業許可申請の受付と審査業務は継続して行います。ただし、操業を許可するかどうかの、決定は行いません。
ここ数カ月間はこうした申請が出される予定はありませんが、出された場合には決定は保留になります。
NRCのスポークスマン、スコット・バーネルが電子メールで伝えてきました。
ニューヨーク市の北方にあるインディアン・ポイント原子力発電所を運営するエンタジー社は、同原発の更新手続きを次に予定しています。
デューク・エナジー社はフロリダ州レヴィー郡の原子炉建設と許可申請を目前に控えています。
「2013年までは、操業許可の承認業務を行う予定はありません。」
と、バーネルの電子メールに記されています。
ワシントンの連邦裁判所は6月8日、判決を行い、核廃棄物の永久処分方法について、NRCはその危険性について充分な検証を行っておらず、新たな基準を整備する必要がある、と指摘しました。
NRCの今回の決定により、9件の原子力発電の建設許可業務、そして8件の操業の許可業務が凍結されます。
NRCに対し国内での核廃棄物処理を止めるよう求めている、24の環境保護団体からなるテネシー州ノックスヴィルにあるクリーン・エネルギー南部連盟とブルーリッジ環境保護連盟が確認しました。
http://www.bloomberg.com/news/2012-08-07/nrc-suspends-final-licenses-to-reassess-risks-of-storing-waste.html
日本で社会正義を実現するためには、市民運動こそ、市民が自ら声をあげることこそが最も有効な手段
スヴェンドリーニ・カクチ / IPSニュース 8月9日
昨年発生した福島第一原発の事故が引き金となり、これまでにない広がりを見せてこの夏日本で盛り上がる脱原発抗議行動には、日本の将来のエネルギー政策について、もはや政府の勝手にはさせない、と言う気迫が感じられるようになってきました。
人々の活動が社会を動かした顕著な例の一つが、8月3日、何カ月にも及ぶ検討を経て、検察庁が福島第一原発を運営している日本最大の電力会社、東京電力への刑事告発を受理したことでした。
「検察庁の新たな動きは、東京電力の刑事責任を明らかにするための、長く苦しい戦いの一里塚とも言うべきものです。これまでの日本の市民運動が無しえなかった、ひとつの到達点です。」
福島のベテランの運動家のひとりで、刑事告発を行ったグループのリーダーの一人である恵比寿和ひろみさんがIPSの取材にこう答えました。
昨年3月11日に発生した巨大地震と津波が引き金となって引き起こされた福島第一原発の事故の後、子供たちや幼児を含む数万人に上る周辺住民は、放射能に被爆することから免れるため、避難を余儀なくされました。
今年6月以降、福島県の住民1,300人が福島地方検察庁に、刑事告発の申し立てを行ってきました。
東京電力の役員と原子力安全・保安院の幹部職員合せて33名を特定し、原子炉が津波によって被害を受けないようにするための対策を怠り、今回の危機を招いた張本人として告発したのです。
告発理由は業務上過失致死傷と公害犯罪処罰法違反の疑いです。
日本での反原子力発電運動の広がりを感じさせるのが、市民グループが石川県の金沢地方検察庁に提出した北陸電力の複数の元役員に対する刑事告発です。
北陸電力は北陸地方にある石川県の志賀原発の再稼働を検討しています。
グリーン・アクションの代表を務め、地方の環境組織リーダーであるアイリーン・美緒子・スミスさんは、最新の脱原発運動は今後の日本のエネルギー政策の決定に重要な影響を与えることになる、と語ります。
「福島の原発事故後の市民運動へのひたむきな取り組み方は、ここ数十年間日本では見られなかったものであり、その影響が日本の政治にも、社会にも表れてきました。」
アイリーン・美緒子さんがIPSに語りました。
福島第一原子力発電所の事故の深刻さが、悲劇に対する人々の怒りと相まって、国内にある50基の原子炉の稼働を呈させたのだと、アイリーン・美緒子さんは他の専門家同様、信じています。
国のエネルギー安全保障
現在日本は、夏の酷暑の中、持てる能力の3%以下の原子力発電しか行っていません。
日本では、原子力発電こそは経済発展の要になるものである、として長い間大規模な宣伝工作が行われてきました。
しかし沿岸部の自治体は、ここに来てもなお、その態度を明らかにしていません。
7月には、国内で大規模な抗議行動が見られたにもかかわらず、国内の電力不足の危険性を指摘する日本国政府と、原発が停止したままでは自治体としての予算獲得に支障をきたすおおい町により、この地区の4基の原子炉のうち、2基の再稼働が強行されました
世界で3番目に大きな経済規模を持つ日本は、現在石油・石炭を100%輸入に頼っています。
原子力発電は福島第一原発の事故発生以前、国内で必要とされる電力の約3割を供給していました。
原子力発電を廃止に向かわせることと、経済発展を優先することと、どちらを優先すべきかという問題は、日本社会にとってほんとうに重要な争点なのでしょうか?
日本持続可能エネルギー研究所が7月に行った調査では、日本国民の8割以上が原子力発電の継続に反対していることが明らかになりました。
しかしながら5割以上の国民が、全原子力発電所の廃止の期限を2050年とすることに賛同しています。これは新たな発電手段の確保に関する懸念が、直ちに原子力発電を廃止することをためらわせているという事実を表すものです。
しかし、脱原発抗議行動の広がりは記念碑的なものとなりました。
大飯原子力発電所の原子炉を再稼働させるというおおい町の決定は、数カ月間にわたる日本政府との苦痛に満ちた交渉の上、引き出されたものでした。
大飯原発付近で新たに発見された活断層について調査している独立調査機関の、高い安全性が確保されているという結論だけで最終的な決定が下されました。
今やノーベル賞受賞者の大江健三郎や前菅直人首相のような著名な知識人も、毎週首相官邸前で行われる抗議行動に参加するようになりました。
運動が勢いを増した結果、野田首相は毎週金曜日に官邸を取り巻く抗議活動を行っている人々の代表との会談を、約束せざるを得なくなりました。これは多くの週刊誌などで取り上げられたように、首相が官邸前の抗議行動について、単に「騒々しいだけだ」と切り捨てていたこれまでの態度と比べ、著しく姿勢が変化したというべきでしょう。
この2カ月間、原子力発電の廃止を求めて、官庁街を曲がりくねりながら人々が列をなし、時には100,000人以上の人々が集まった毎週の抗議行動において、みさおレッドウルフさんは主要なリーダーの一人としての活動を続けてきました。
耐えがたい程の暑さの中を集まって来た人々に向かい、みさおレッドウルフさんは最近再稼働されたばかりの大飯原発の2基の原子炉の即時停止と、日本国内のすべての原子炉の廃炉を求めました。
「今や市民運動こそが、物事を前に進めるための手段となりました。福島の事故によってとてつもない苦しみにあえぐ人々の声を無視し続けてきた政府に対し、私たちは長い間誠実な回答を求めてきました。」
社会学者の草分け的存在である慶応大学の小熊英二教授は、この抗議行動は福島第一原発の事故に対する日本の政治的、官僚的リーダーシップと、人々の意思を顧みようとしない日本の政治に対する国民の不満を象徴するものだと語りました。
「この20年間、経済的な苦境が続く中で、人々の政治に対する不満は鬱積し続けて来ました。福島第一原発の事故と大飯原発の再稼働は、そうした流れの中で、重要な転換点になりました。」
アジア・パシフィック・ジャーナル7月号の寄稿記事の中で小熊教授はこう述べています。
既存の政治家と有権者とのかい離がますます進む中、7月には緑の党が結党されました。緑の党は反核・反原子力を基本方針とし、高齢者のための福祉の充実を訴えています。
同党の広報担当の宮部あきら氏はIPSの取材に対し、来年予定されている参議院議員選挙の比例代表区において独自候補を擁立し、政党としてのスタートを切るつもりであると語りました。
「新たな政党の誕生は、日本に新風を吹き込むことになります。」
「緑の党は東京電力に対する刑事告発に関わることにより、日本の原子力発電の背景にある政権と産業界の癒着を正していく役割を果たしていきます。」
※原文中、北陸電力志賀原発の運営者をTokyo Electric Company (TEC)としている箇所があり、翻訳の際、北陸電力に訂正しました。
http://www.ipsnews.net/2012/08/activists-score-in-fight-against-nuclear-power/