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東京2021 – メガイベントの商品価値が大切か?それとも地球規模で人の命を守ることが大切か?

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日本医師会「ワクチンと治療薬が未開発のままでは東京オリンピック2021大会開催は難しい…」
新型コロナウイルスは巨大イベントの在り方を見直すよう、人類社会に迫ることになった

                    

                 

スティーヴン・ウェイド / AP通信 2020年4月28日

                 

日本の医学界は、来年の東京オリンピックを開催できるかどうかは新型コロナウイルス・ワクチンの開発次第だというコンセンサスに向かって動いています。

                

日本医師会の横倉芳武会長は4月28日のビデオメディア会議で、オリンピックは新型コロナウイルスの感染症拡大が日本だけでなく全世界的に制圧された場合にのみ可能であると述べました。
「効果が明らかなワクチンが開発されない限り、オリンピックを開催することは難しいだろうと私は考えています。」
横倉会長はこのように語りました。
ただしワクチンが開発されなかった場合、オリンピック開催に反対するかどうかは明言しませんでした。

                 

日本は今年初め横浜港沖で検疫されたクルーズ船の乗客乗員712人に加え、5月3日時点で14,877人が新型コロナウイルスCOVID-19に感染、517人が死亡したことが報告されています。

               

日本と国際オリンピック委員会(IOC)は新型コロナウイルスの感染が世界に広がったことを受け、2021年7月23日まで東京大会を延期することに合意しました。
日本では全国で感染が急速に増加しており、現時点で1ヶ月に及ぶ緊急事態が宣言されています。

                   

感染症に詳しい大学教授は先週、オリンピックが15ヶ月が経過した後でも開催が可能かどうかについて、予断を許さない状況だと語りました。
神戸大学の感染症を専門とする岩田健太郎教授は、次のように語りました。
「来年の夏、オリンピックを開催できるかどうかについて私は非常に悲観的だと考えています。すなわち無観客で試合を行う、参加人数を最小限に限定するなど、従来と全く異なる形式で開催しかないからです。」

                

               

元首相で現在大会組織委員会の委員長を務めている森喜朗氏は日経新聞の取材に対し、2021年の開催が不可能になった場合、それ以上延期されることはもう無いと語りました。
「新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況では、中止されるでしょう。」

「過去にも戦争中という理由で中止されたことがありました。私たちは現在、目に見えない敵と戦っています。」

                  

森元首相はさらに次のように付け加えました、
「これは人類にとっての賭けです。世界がウイルスに打ち勝ち、オリンピックを開催他なら、私たちの大会は過去のオリンピックより何倍も価値が高いものになります。」

                

英国のエジンバラ大学で世界規模の健康問題を専門にするグローバルヘルスであるデビ・スリダール教授も、オリンピック開催はワクチンを発見できるかどうかにかかっている可能性があると語りました。
これは新型コロナウイルスが最初に確認された中国で開催予定の2022年冬季オリンピックにも当てはまる可能性があります。

                

                 

スリダール教授はワクチンについて「うまくいけば、12~18か月先には開発されるでしょう。」と語りました。
「戦いの中で科学が果たすべき役割は半分に過ぎません。」と
スリダール教授はAP通信あてのメールの中でこう語りました。
「残りの半分は必要なだけのワクチンを製造できるかどうか、そしてそれを世界中の人々にくまなく届けられるかどうかということです。けれども優先順位を付けることはできるでしょうか?」

                      

誰が最初にワクチンを手に入れるべきか、医療従事者なのか、弱者や高齢者をケアするために働いている人々なのか、それとも高齢者自身なのか、スリダール教授は答えを出せずにいます。
スリダール教授はさらに、若く健康な肉体を持つオリンピック選手が「優先プロセス」にどのように「適合する」のかは不明確だと語りました。
「スポーツが世界の中で経済的側面だけではなく社会的にも重要な役割を果たすという認識のもと、アスリート、コーチ、チームの安全性を確保することが優先されるべきなのかどうか、いずれ革新的な考え方が成立するものと確信しています。」

                   

東京オリンピックのスポークスマンである高谷雅氏は、日本医師会の会長の発言については把握していると語りました。
「来年に大会を開催することについては、さまざまな考察や意見があることは理解しています。」
高谷氏はこう語りました。
「一部の医療専門家は判断を下すにはまだ時期尚早であると表明しています。」

                      

2020年にオリンピックを開催することについては、四半期ごとにさまざまな圧力がかかることになるでしょう。
ワクチン開発成功、ワクチン未開発、観客動員可能、無観客開催など。

                   

                   

南カリフォルニア大学でスポーツ・ビジネスの教鞭をとるデイヴィッド・カーター氏はAP通信にメールでこう伝えてきました。
「新型コロナウイルスは大会関係者全員に、理想的な開催条件を整えることはもはや不可能であり、最低どのような条件が整えば開催が可能になるのか、それを考えるように強い圧力をかけています。」
「これに加えIOCにとってのオリンピック・ブランドの商品価値の重要性、公衆衛生の面での不確実性に加え、国際スポーツ界の足並みを揃えるためにルービックキューブ並に難しい問題に直面しているとに気づかされることになるでしょう。」

                    

国際オリンピック委員会は放送権を販売することよって収入の73%を得ています。
次に18%を公式スポンサーから得ています。
IOCにはオリンピックとパラリンピックの2つの商品しかなく、放送局は実際に放送されるまで放映料金はほとんど支払いません。

                 

日本はオリンピックを組織するためにすでに1兆3,500億円を支出したと公式に報告していますが、昨年12月に実施された会計監査報告書は実際に支出されたのがその2倍であると指摘しました。
そして日本国内の報道によると、新型コロナウイルスのパンデミックによって延期が決まったことにより必要になる追加費用は、20億ドル(約2,150億円)から60億ドル(約6,460億円)に上ると見積もられています。

                     

東京大会には11,000人のオリンピック選手、4,400人のパラリンピック選手が参加する予定ですが、ほとんどの選手の出番は大会開催期間を通じて1回だけです。

                  

そしてスポンサーの問題もあります。

                    

日本の大会組織委員会は60社以上を公式スポンサーとして登録していますが、これらの企業はすでに約3,500億円を支払っています。
IOCにはコカコーラや半導体メーカーのインテルのような14社の長期スポンサーもいて、すでに100億円以上をIOCに支払ったと言われています。

                      

                  

日本の大会組織委員会はすでに数百万枚のチケットを販売していますが、もし無観客でオリンピックが開催さる場合に販売済みチケットがどうなるかは不明です。チケットには不可抗力条項が記載されているため、今回の新型コロナウイルスが原因の場合、主催者側は払い戻しをする義務はありません。

                   

日本の大会組織委員会はチケット販売から約855億円の収入を見込んでいます。

「パンデミックは世界中のスポーツ界を変えようとしています。」
8度の大会で上級スタッフまたは上級顧問の職を歴任したダグ・アーノット氏がこう語りました。
彼はロサンゼルスを拠点とし、指名獲得の際は日本に協力していましたが、現在は東京大会の開催には関与していません。

                 

「新型コロナウイルスのパンデミックは大会の開催手法と配信方法に大きな影響を与えることになるでしょう。それは東京だけに限ったことではありません。」
アーノット氏がこう述べました。
「これは巨大イベントの在り方についての問題です。新型コロナウイルスはこうしたイベントの存在意義を見直すよう迫ることになりました。スポーツは人類社会というコミュニティの中で責任ある立場を築きたいと願っているはずです。」

                    

https://apnews.com/cae4ce17ce524a211ccd5b1944372491

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この記事を翻訳し、自分の中でもモヤモヤしていたものがすっきりしました。

オリンピックはアスリートにとっての夢舞台であると同時に、IOCを含めた『利害関係者』にとっては巨額の現金が動く『取引商品』なのだということがわかりました。

現在の状況で東京2021の開催を推進することは、とりもなおさず生命の危機、生活の危機におびえる人々に対する人間的裏切りであるということも確信しました。

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