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【 あきらめるな!よみがえれ!日本の反原発運動 抗議者たちの声はどこへ行った? 】

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所要時間 約 9分

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日本の脱原発運動は構造改革を行い、戦略的政策の実現を可能にせよ!
日本の脱原発原発運動に必要なのは、小異を捨て大同につき、テクノロジーを一新すること
日本の政治家は、国民の心にくすぶる原子力発電への怒りを政治的な力に昇華させる能力に欠けている

エコノミスト 8月3日

川内原発エコノミスト
日本列島を形成する4つの大きな島のうちの一番南の九州の最南端で、鳥原良子さんは田んぼの向こうに見える九州電力・川内原発の2基の原子炉の再稼働を食い止めるべく、戦いを続けています。

現在60代の鳥原さんは自宅の居間を、地元の反原発運動の拠点として提供しています。
これは日本の市民運動ではよく見られるやり方です。
日本では1960年代に入り、自発的な市民運動が各所で見られるようになりました。

しかし鳥原さんは自分たちの運動が、九州電力・川内原発の再稼働を実際に止める程の力は持っていなかった、そう認めました。

九州電力・川内原発は、巨大津波に襲われたことにより無数の深刻な問題を抱え込んでしまった北日本とはどういう関係もありません。
昨年秋、日本国内のすべての原子力発電所が稼働を停止して以来、その川内原発は日本で初めて本格的な再稼働を行うための準備が整いました。

関係する自治体の各担当者の下には、川内原発を運営する九州電力からは約80名の広報担当者が駆けつけました。

もう一人の年季の入った運動家は2012年、鹿児島県知事選挙で原子力発電の継続を支持する伊藤祐一郎現知事に敗北した、鹿児島や奄美に関する本の出版を手がける株式会社南方新社の創業者であり代表取締役を務める向原祥隆氏です。
鹿児島県知事選挙における向原さんの得票数は、伊藤氏の約半分でした。

鹿児島県知事選挙は2011年の福島第一発電所において3基の原子炉がメルトダウンする世界始まって以来という巨大事故が発生してすぐ後に実施されましたが、行政に対しまずは生活を豊かにする経済政策を何より優先する日本国民が有権者である以上、向原さんの敗北は脱原発だけでは選挙に勝つことは出来ないという現実を証明することになりました。

鹿児島県、そして日本各地の脱原発運動が期待されるほど結果を出すことが出来ない理由の大きなものは、運動を支えている人々がそれぞれ空いている時間を利用するしかないパートタイマーである事だと、向原さんが説明してくれました。

01ドイツ・反原発
2011年3月に福島第一原子力発電所の事後が発生すると、ドイツを始めとする世界各国では原子力発電に反対する大規模なデモ行進が次々に行われましたが、肝心の日本国内で大規模な抗議行動が行われるまでには15ヶ月かかりました。
日本の大規模な抗議行動の多くは東京で行われましたが、路上に現れたのは路上での抗議活動について未経験の人びとであり、その多くが若い母親たち、そして非正規雇用の若者たちでした。
しかしその集会やデモの規模、そして参加者の熱意はその後まもなく、徐々に減少して行きました。
以来、日本では脱原発運動が政治的に大きな力を発揮することはできませんでした。

首相時代カリスマ的な人気を誇った小泉純一郎氏が支援を行った東京都知事選挙でも、脱原発を訴える候補が選挙に勝つことができなかった2014年2月、日本の脱原発運動はどん底の時期を迎えました。

「日本の脱原発の抗議行動は、驚くほど政治的に影響力を発揮しませんでした。」
東京のテンプル大学のジェフ・キングストン教授がこう語りました。

京都に拠点を置くNGO組織『グリーン・アクション』( http://www.greenaction-japan.org/modules/jptop1/ )は常勤のスタッフを確保していますが、こうした組織は少なく、特筆すべき例外と言わなければなりません。
代表を務めるアイリーン・美緒子・スミスさんは、この数年間日本の脱原発運動は一定の成果を挙げてきたと語りました。

地方における脱原発運動が新たな原子力発電所の建設計画を撤回させたこともありました。
2000年には三重県の芦浜町における原発建設計画が白紙に戻されました。

脱原発デモ 1
しかしアイリーンさんによれば、日本で脱原発に取り組んでいる各団体は政策に直接する関与する政治家の支持を得ることも無く、国のエネルギー政策立案に関わる業界のトップからは無視され、そして一般国民を運動に参加するため腰を上げさせることにも成功しませんでした。

成功しないのは、日本の脱原発運動の構造そのものに問題がある可能性があります。

ジャパン・タイムズのジャーナリストであるエリック・ジョンストンは、日本の市民運動の比較的年齢の高いメンバーが、現在のNGOが活用する新しいメディア技術に触れようともしないと指摘しました。
さらに各地方の組織は地方色が強すぎて互いに孤立し、部外者や新参者に対する猜疑心も強いと語ります。
これらの組織の人々が斬新な考えを持ちこむ若い人々を歓迎しないわけではありません。
しかし運動に参加しようと心を動かされた若い人々を、日本社会特有の年功序列制度が締め出してしまっているのです。
そして互いに連結すべき場面で、ことさらに小異を言い立てて大同につけずにいます。

広島と長崎において毎年核兵器に反対するデモを行っている組織は、原子力発電については発言しようとしません。

しかし福島第一原発の事故によって触発された原子力発電に反対する感情は、福島県以外のあるひとつの県で大きな力を発揮することになりました。
2014年7月、民主党を離党して立候補した三日月泰三氏は、原子力発電に反対する強力なキャンペーンを展開した結果、滋賀県知事選挙に勝利することが出来たのです。

東京03
一度は原子力発電からの脱却を決めた日本のエネルギー安全保障政策において、いとも簡単にそれをひっくり返した安倍首相に対する一般市民の怒りは、この勝利の重要な鍵となりました。
そして県境の向こうにある福井県内の1ダース以上の原子炉の存在も、今回の選挙において重要な役割を果たしました。

繰り返された世論調査により、日本人の原子力発電に対する意見は明らかにされています。
大多数の日本人は尋ねられればこう答えるでしょう、原子力発電は段階的に完全に廃止すべきである、と。

より最新の、そして専門的な知識と技術を取り入れることにより、日本の脱原発原発運動はこれまで以上の成果を成し遂げられる可能性があります。

http://www.economist.com/blogs/banyan/2014/08/japan-s-anti-nuclear-movement?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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この記事が指摘しているように、福島第一原発の事故後の国民の声が日本の政治に反映されることのあまりの少なさに、私たち国民はほんとうに大きなフラストレーションを貯めこんでいます。
脱原発を訴える政治勢力がそれぞれ孤立し、機能的連携を実現できないことがその最大の理由だと考えてきましたが、この記事ではさらに『最新のテクノロジーの欠如』を指摘しています。
それに比べ、原子力ムラとそれに連なる政府側の大手マスコミなどを使った宣伝戦術は巧妙を極めています。

政府側は国民の意向を無視することにより国民を裏切り、野党側はビジョンとテクノロジーの欠如により国民が望む選択を実現できずに国民を裏切り続けているのです。

『猛省』は、いずれの側にも求められていることだと思います。

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