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日本とロシア・互いの軍事力拡充を非難

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所要時間 約 11分

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東京開催の日露両国の外務・防衛大臣の会合、互いの軍事力増強に対する非難の応酬の場に
安倍首相とプーチン大統領の北方4島交渉のスピードアップの合意、現実にはいかなる進展も無し
子供達や青年への教育予算を削り、弱者のための福祉予算を削り、高齢者の年金支給額を削り、それでも私たち日本人はF35を始めとする大量の米国製兵器が必要なのか

               

                 

東京で開催された日露両国の外務大臣・防衛大臣の会合は、互いの軍事力増強に対する非難の応酬の場となりました。
焦点となった問題は両国が自国の領土だと主張する日本の北方にある島々、そして新しく導入されるアメリカのミサイル防衛システムです。

              

                    

ドイチェ・ヴェレ 2019年5月30日

                    

5月30日木曜日に東京で開催された日露両国の外相および防衛大臣による協議は、この地域における一方的な軍事的増強は容認できないとする非難の応酬の場と化しました。

              

ロシア側は、日本が米国製のイージスアショア・ミサイル防衛システムの導入計画は「潜在的な脅威」をもたらすと主張、一方日本側はその帰属を巡って両国間で紛争中のクリル諸島(千島列島)におけるロシアの軍事的プレゼンスの増強は「容認できない」と主張しています。

                

日本の河野外相はロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相に対し、次のように語りました。
「わが国の法的立場は北方4島におけるミサイル訓練、戦闘機の配備及び軍事的プレゼンスの強化を認められないというものである。」
これに対しラヴロフ外相は自国の行動は正当なものであると、次のように語りました。
「ロシア軍は自国の領土で活動しているのであり、国際法の下これらを行う当然の権利がある。」

写真《1》ロシアのヴォストーク2018(East-2018)軍事訓練は、1981年ソビエト連邦時代にこうした訓練が開始されて以降、史上最大規模の演習となりました。
ロシア国防省によると約30万人の兵員、1,000機の航空機、ヘリコプター、無人偵察機、そして36,000両の戦闘車両、さらには80隻の軍艦が参加しました。

                   

▽ ロシア人を苛立たせる日米の軍事的同盟強化

             

一方、ラヴロフ外相は、日本が配備を計画しているイージス・ミサイル防衛システム、および日本とアメリカとの軍事協力の強化に反発しました。
これに対し日本の岩屋毅防衛大臣はこのシステムが「純粋に防衛を目的としたものであり、ロシアはもちろん他国を脅かす目的のために計画されているものではない。」と語りました。

                

▽ 第二次世界大戦以来の敵対関係の正式な終結を阻む北方4島の問題

               

ロシア側の呼称クリル諸島は日本側は北方領土と呼ばれる紛争の渦中にある島々は、第二次世界大戦の終了の前後にソビエト連邦によって大日本帝国から押収されました。
これらの島々はオホーツク海と太平洋の中間地点、北海道とは目と鼻の先にあり、この島々をめぐる争いは両国が太平洋戦争を正式に終結させることを妨げてきました。

                

安倍首相は石油、ガス、その他の天然資源の存在と開発を期待し、島々を取り戻すべきだと熱心に主張してきました。

                

昨年11月、安倍首相とプーチン・ロシア大統領は1956年のソビエト提案に基づき、4島のうち2島を日本に返還する交渉をスピードアップすることに合意しました。
しかしその後どのような進展も確認されていません。

            

5月30日木曜日に開催された会議は、6月下旬に大阪で開催されるG20サミットで安倍首相とプーチン大統領が正式に会談する前に、北方4島に関する両国の合意についてその詳細な中身を検討するため、両国からの2人づつ閣僚が参加する「2プラス2」形式で開催されました。

                

写真《2》上
ウラジオストク近くのプリモルスキーでの軍事訓練に参加したロシアの戦車兵。
以前に行われたヴォストーク2014の軍事訓練は2018年の約半分の規模で行われ、参加した兵士は155,000人でした。
ロシア東部では西部と比べ大規模な軍事訓練かせ行われますが、その理由は軍事訓練の規模を制限するOSCEのウィーン議定書の規制を受けないからです。

               

写真《3》
ロシアは最近、地上兵力の援護を目的とするロシア製SU-25戦闘攻撃機が量産体制に入ったと公表しました。

                 

写真《4》
演習の様子を見守るロシアのウラジミール・プーチン大統領。
対アメリカ、対EU関係の緊張が高まる中、演習を見ながら軍事力を「一層強化」するために「最新世代の武器と技術装備」を供給することを約束した。

                   

写真《5》中国、モンゴル兵士も参加
プーチン大統領はヴォストーク2018(East-2018)軍事訓練に先駆けて中国の習近平国家主席と会談し、ロシアと中国の親密な関係を強調しました。
訓練には中国軍兵士3,500人に加え、モンゴル軍兵士も参加しました。
中極軍兵士の参加は2003年以降約30回続いていますが、戦略的レベルでの参加は今回が初めてです。

             

写真《6》着陸訓練
1週間にわたる訓練の主な目的は、部隊の長距離移動、歩兵部隊と海軍部隊の協働訓練、指揮命令系統の確立、ヘリコプターを使った地上軍兵士の上陸訓練でした。
NATOはこうした訓練について、「大規模紛争」のリハーサルだとして強く非難しました。

             

写真《7》Zapad(ザパッド)2017
ロシアとベラルーシは昨年Zapad(ザパッド)2017軍事訓練という名の1週間の合同訓練を実施、かつての東欧諸国の国境沿いに部隊を展開しました。
NATOは懸念を表明していました。
Zapad(ザパッド)2017は約12,700人の兵士が参加して行われましたが、これはウィーン議定書による制限の最大13,000人をわずかに下回るものでした。

                 

https://www.dw.com/en/japan-and-russia-accuse-one-another-of-dangerous-military-buildup/a-48980407
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安倍政権の下で国家間の競争の中で最も愚劣な競争、軍拡競争が本格化しようとしています。
軍拡競争ほど国力を消耗するものはありません。

            

それに加え、対ロシア、対中国、対北朝鮮という地理的環境を考えた場合、アメリカの同盟国として万が一にでも戦争を始めてしまったら、戦略上日本と韓国は捨て石として消滅まではいかなくとも、国民の半数が殺されるほどの戦争被害に遭う危険性すらあると、私は考えています。

             

それを裏付けるのが以下の5月末の訪日の際のトランプの発言です。
「日本にとって危険でも、アメリカに影響が及ばない限り、北朝鮮の兵器実験は気にしていない」( https://kobajun.biz/?p=36113 )
オバマ大統領やケネディ駐日大使には私たち日本人を同胞として見る目があったかもしれませんが、トランプにそんなものがあるとは考えられません。

             

アメリカが日本の軍事力を強大にしたいのは、以下のような戦略が基本にあると考えることが可能です。
対ロシア、対中国、対北朝鮮という戦争が勃発した場合、強力な軍事力によって敵の主力を日本に釘付けにする。
対ロシア、対中国については、アメリカ軍主力をインド、あるいはアフガニスタン経由で進行させる(この場合邪魔なのがイランであり、なぜここにきてアメリカが対イラン姿勢を強めているかを考えるべきでしょう)。
さらに対中国については、沖縄、グアム、フィリピン、ベトナムも利用するかもしれません。
対北朝鮮については沖縄、グアムの米軍基地を拠点に反撃することが可能です。

          

いずれにせよアメリカが日本の軍事力の増大を求めるのは、日本国民の安全を考えているわけではなく、対ロシア、対中国、対北朝鮮戦において『玉砕』するほどの消耗戦を演じて欲しいからなのではないでしょうか?
日本の損害が大きければ大きいほど敵のダメージも大きくなり、その分アメリカの損害が減る可能性が高いからです。

           

もしそうだとしたら、私たち日本人は多いに怒らなければなりませんが、こうしたアメリカの『戦略』を変えさせるほどの力を持つ日本人などはいません。
変えなければならないのは、その使い走りをしている日本の政治家たちによる日本の支配体制です。
彼らを政権の座につかせているのは、私たち日本人自身です。
私たちに投票の権利がある選挙によって権力を得て、彼らは日本を軍拡競争に引きずり込もうとしているのです。

            

子供達や青年への教育予算を削り、弱者のための福祉予算を削り、高齢者の年金支給額を削り、福島第一原発事故の被災者への支援を打ち切り、それでも私たち日本人はF35を始めとする大量の米国製兵器が必要なのかどうか、今、本気になって考えるべきです

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