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新聞紙とおがくず

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所要時間 約 3分

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4月4日朝のニュースを見て、ア然としました。
福島第一原発の事故で計測できないくらい高濃度の汚染水の流出を食い止めるため、東京電力が行った『対策』の一つに、新聞紙とオガ屑(木にカンナをかけたときに出る、非常に薄い削りかす)で穴を塞ぐ試みをした、というものでした。
そして、失敗した、と。
EUの原子力委員会の委員長が、福島第一原発の事故後の日本の対応を『信じられない程場当たり的』と評価したそうですが、これなどその最たるものではないでしょうか。

NHKで一昨年から『坂の上の雲』の放映が始まり、今年の年末にはいよいよ「旅順」「奉天会戦」「日本海海戦」などのクライマックスシーンが目白押しの予定です。
司馬遼太郎さんの原作の中、「旅順」の項にこんなシーンがあります。
ロシアが重火器を大量に配置して築き上げた近代要塞に対し、兵に全身露出の肉弾攻撃を強いて膨大な数の犠牲者を出し続ける、日本軍の旅順攻撃担当司令部。犠牲者の数は北方で野戦をしている日本陸軍本体とは、比較にならないペースで増え続けます。
その作戦参謀長が改めて旅順要塞に対し総攻撃を行うにあたり、何も新たな攻略方法を考えることなく、ただ攻撃の日を「偶数日とする。偶数は2で割ることができる。したがって要塞を割ることができる。」と言い放つシーンが出てきます。
作者は書きます、「この程度の知能が日本の命運をかけた作戦を立案している。(これでは)兵も死ぬであろう...」と。
日本人が旅順攻略で見せた『民族的欠陥』(作者の表現)というものが、100年を経てもなお改善されてはいない、ということが、今度の福島第一原発の事故で証明されないように、ひたすら祈るばかりです。
このたびの事故で、何が根拠で高濃度の放射能汚染水に対して「新聞紙とおがくず」なのかは解りませんが、バケツ一杯の水を処理するのにいったいどれだけの新聞紙が必要か。それが写真や映像で見る限り、一分間に何リットルもの高濃度の汚染水が流れ出ているのです。

【フランス・ランスの潮力発電所完成】1966年発行

【フランス・ランスの潮力発電所完成】1966年発行

バキュームカーで休み無く吸い続けて対応できるレベルだと思うのですが、新聞紙とおがくずを言い出した人に話を聞かなければなりません。
でも、聞いた後にこう言わなければならないのではないでしょうか。
「福島沿岸の市も、町も、滅びるであろう...」と。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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