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広島、長崎の被爆者が警告する、原子力発電の危険[フランス24]

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所要時間 約 12分

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福島は広島、長崎に次ぐ第3の核=原子力の犠牲者

フランス24 8月7日

坪井直さんが第二次世界大戦終了間際、広島の原子爆弾投下によってひどい放射線熱傷を負ったとき、彼は20歳という若さでした。2011年3月25日に西日本にある彼のオフィスで、福島第一原発の事故について話す坪井さんの顔に未だに残る傷跡は、原爆の被害のむごたらしさの一端を物語ります


当時広島市内にいた多数の人々が、原子爆弾が放つ凄まじい熱線により一瞬のうちに死に絶え、その後数日、数ヶ月のうちに放射線障害によりさらに多くの人々が死に追いやられ、結局アメリカの爆撃機が投下した原爆による犠牲者は140,000人という数に上りました。

原爆投下からもうすぐ70年を迎えますが、日本は未だに2011年3月に襲った津波が引き起こした数々の惨禍に苦しんでいる中、減少を続ける生存する被爆者の一人として、坪井さんは原子力発電への反対の声を挙げ始めました。
「核の犠牲者であるという点から見れば、私たちは同じなのです。」
87歳になった坪井さんは、福島第一原発事故の被災者についてこう語りました。
原爆が投下され、閃光が走り辺り一面何も見えなくなり、折からの暑熱を地獄の業火へと変えた8月6日、坪井さんは大学への通学途上にありました。

重度の火傷を負った上、放射線被ばくの影響と考えられる大腸がんも発症した坪井さんは、核兵器と原子力発電による被ばくとの危険性について、ほとんど差は見られないと語ります。
「核 = 原子力技術というものは、人知の及ばない場所にあります…。私は自分が生きている間に、核 = 原子力の無くなった世界の実現を見届けたいと思っています。」

現在50基ある日本の原子炉を今後どうするかという点については、激しい議論が巻き起こっています。これらは日本の電力需要の約3割を賄ってきましたが、福島第一原発の事故の後、いったんすべて停止しました。
かつて見られなかった大きな規模で、人々が原子力発電への反対の声を挙げているにもかかわらず、
電力不足への懸念を理由に、日本政府は2基の原子炉の再稼働を強行しました。

第二次世界大戦の最中、広島や長崎で原爆投下の被害にあった人々は、テレビで見る福島の惨状は、自分たちの忌まわしい体験を思い起こさせるものだ、と語っています。
「テレビに映し出された福島の様子を見て、あの日の広島と長崎のことを思い出してしまいました。」
広島と長崎で、2度被ばくして生き残るという稀有な体験をした、82歳の佳谷みさこさんが涙を流しながらこう語りました。

佳谷みさこさんは、2010年8月1日に広島の市役所で、原爆投下の恐怖、むごたらしさを伝えるため描いた絵画を展示しました。広島、長崎、両方の原子爆弾の投下を乗り切った恐怖体験と、福島第一原発の事故の印象には重なり合うものがある、と佳谷さんは語ります。


公式には福島第一原発の事故によって、死亡した人はいません。
しかしこの場所を避難したたくさんの人々、そして発電所施設に残って復旧作業にあたる作業員の人々に、長期的にどのような影響が現れるかはわかっていません。

巨大地震によって引き起こされた津波が福島第一原発の冷却システムを破壊し、その結果三基の原子炉でメルトダウンが発生、大量の放射性物質を環境中に放出し、何万人もの人々が避難を強いられることになりました。

科学者たちは、一部の人々が自宅に戻れるようになるまでには、何十年もの時間がかかるだろう、と警告しています。


6日月曜日の式典に参加した数万人の人々の中に、福島から避難してきた佐藤さちこさんの姿がありました。
「私たち福島の避難民は、広島や長崎の人々と悲しみを共にすることができると思います。」
「私の心の中では、福島は広島、長崎に次ぐ第3の核=原子力の犠牲者です。」

原爆生存者の一人、70歳の三巻としゆきさんはこう付け加えました。
「私たち被爆者は、今回の福島の被災者と連携し、核の無い世界の実現に向けともに努力していきたいと願っています。」

しかし一部の年老いた被爆者にとって、1945年と2011年には類似するところはほとんどありません。
「私が体験したことは、他に比較のしようがありません。」
広島で被爆した79歳の米倉しげじさんはこう語りました。
「戦争中に原爆の被害に遭った我々を、助けてくれる者はいませんでした。しかし福島の事故は平和な時代に発生し、たくさんの援助の手が差し伸べられました。」

原爆投下を正当化する人々は、当時の日本政府に降伏の決心を早めさせたことにより、多数の人々の命が救われた、と主張します。
この年の後半、連合軍の日本本土上陸により、双方に数百万の犠牲が出るものと予想されていました。

自身の経験にもかかわらず、資源に乏しい国である日本が原子力を捨てることができない可能性について、米倉氏はあきらめを持っています。
「原子力は、必要悪なのかもしれません…。」と、彼が語りました。


70,000人が犠牲になった長崎原爆の生存者である城代みやこさんは、福島の事故は原子力発電に対する彼女の考え方を変えた、と語ります。
事故を検証したたくさんの報告が、事故の対応にあたった日本政府と東京電力に対し、厳しい批判を行いました。
国会事故調査委員会の報告書は、福島第一原発の事故が「人間の手によって作られたものだ」と結論しました。
「私は日本の原子炉は安全だという説明を信じ、原子力の平和利用は受け入れなければならない、と思っていました。」
城代さんがこう語りました。
「けれども福島第一原発の事故処理を見て、そうした私の思いが完全に裏切られたことが解ったのです。」

http://www.france24.com/en/20120807-japan-bomb-survivors-warn-against-nuclear-power
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以下の記事については、すでにアメリカCNNの記事をご紹介しましたが、ニューヨークタイムズ、英国のガーディアン、その他世界中のメディアが取り上げており、今日はフランス24の記事をご紹介します。
この研究結果については日本国内に批判があるのに、なぜ掲載するのか、とのご指摘をツイッターでいただきました。
こうした新たな研究に対しては、批判があるのはいつもの事であり、それに応えるためさらに研究の精度が高められていく。
その繰り返しによって学問は進化していく訳ですから、お知らせしない方が問題があると思っています。

【星の金貨】は世界中の信頼されるメディアが大きく取り上げているのに、日本の大手メディアは取り上げない、そうした話題を中心に翻訳し、ご紹介しています。
不都合な真実を封殺させない。
そのためのささやかな取り組みなのです。

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【フクシマ - 3世代にわたる蝶の、遺伝上の突然変異種の発生を確認】

フランス24 8月24日

破壊された福島第一原発周辺で、3世代にわたる蝶の遺伝上の突然変異種の発生を確認した、と科学者たちが発表し、他の生き物たちへの放射線の影響が懸念されています。
福島第一原発が放出した放射性廃棄物に、幼虫のときに被ばくしたヤマトシジミチョウの約12パーセントに、正常よりも小さな羽、障害を持つ目などの突然変異による奇形が認められました。
これらの昆虫は放射性物質が降り注いだ地区の、外側にある研究施設で飼育されましたが、第二世代では18パーセントに同様の突然変異が認められた、と研究者の大滝譲二琉球大学准教授が語りました。

これが第三世代になると、つがいのうち片方の親は放射性物質による影響を受けていない個体であるにも関わらず、突然変異の発現率は34パーセントにまで上昇しました。
研究者たちは事故から半年後の昨年の9月、さらに240匹の蝶を採集しました。
この時の突然変異の発現率は52パーという効率に上り、「著しく高い比率が記録される事になった。」と大滝准教授がAFP通信に語りました。
この研究結果は、科学雑誌ネイチャーのオンライン・ジャーナルである『サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports – 科学的報告)』に発表されました。
大滝准教授は比較のため、放射線の影響を受けていない蝶に、長期間の低線量の被ばくをさせたところ、同じような突然変異の発現が見られた、と語りました。
「ここに到り、福島第一原発から放出された放射線がこの種に対し、生理的ダメージ、遺伝子的ダメージを与えたという結論を、私たちは確信することになりました。」

福島では2011年3月、地震によって引き起こされた津波が発電所内の原子炉の冷却装置の機能を完全に奪い去り、3基の原子炉がメルトダウンし、この四半世紀で最悪の原発事故になりました。
今回の研究結果は福島第一原発の事故後、放出された放射性物質が広い地域を汚染し、数万人の人々が非難を余儀なくされただけに、数週間にわたり福島第一原発が放出した放射性物質に被ばくしてしまった人々に、大きな不安を与える事になります。

第二次世界大戦でアメリカが原爆を投下した広島と長崎では、被ばくによる障害が世代間で遺伝していく、という観察結果がある、という主張があります。
しかし大滝准教授は今回の研究結果が直ちに人間を含む他の生物にも当てはまる、と結論するのは性急に過ぎる、と警告しています。
大滝准教授と彼の研究チームは今後、他の生物についても同様の追跡調査・研究を行う予定である、とつけ加えました。

福島第一原発の事故が直接の原因となって、死亡したという公式記録は1例もありません。
しかしこの場所から避難していった人々も、そして福島第一原発の作業員も含めこの場所に留まり続けている人々も、長期間の被ばくの結果、自分や家族がどうなってしまうのか、心配は消えません。

科学者たちが、福島では場所によってはこれから数十年の間、人間が暮らすのには危険である、と警告しています。

http://www.france24.com/en/20120814-fukushima-caused-mutant-butterflies-scientists

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