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うつろに響く安倍自民党の参院選勝利宣言

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所要時間 約 11分

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日本国憲法第9条の平和主義をことさらに貶めてきた安部首相

               

飽くことなく戦争を繰り返す世界で、日本が平和主義をつらぬく立場を作り上げた憲法第9条

            

日本の民主主義と国民の基本的人権を葬り去るための設計図・アベ改憲との戦いが始まる

                 

                

ドイチェ・ヴェレ  2019年7月21日

             

7月21日に投票が行われた日本の参議院議員選挙参院で安倍首相率いる連立与党が勝利を宣言しましたが、平和憲法の改定に必要な3分の2以上の議席確保は難しい状況です。

                

日本の公共放送NHKの報道によれば、安倍首相が総裁を務める自由民主党と連立を組む公明党が、21日日曜日に投票が行われた参議院選挙で、改選124議席中少なくとも71議席を確保し過半数を制する見込みだとつたえました。

                    

安倍首相が宿願としている憲法改定を行うためには、安倍首相は参議院で全議席の3分の2以上、今回の選挙では77議席を必要としていました。
これにより安倍首相は、国内外に反対意見の多い憲法改定を実現させるためには与党以外の保守派の政党や無所属議員の支持を獲得しなければならなくなりました。

                    

安倍首相は選挙結果を歓迎するという意味の発言を行い、与党の勝利は有権者が彼の政策を支持していることの表れだと主張しました。

                 

「国民は政治的安定を選択し、我が党の政策を着実に実行し、日本の国益を守るための外交政策を推進するよう求めたものである。」
安倍首相はこう述べました。

                  

正式な結果は月曜日の朝が過ぎるまでは明らかになりません。

今回の選挙では約1億600万人の国民に投票資格がありましたが、投票率は50%を下回る可能性があります。

               

▽ 憲法改定

                

今回の選挙では370人の候補者が議席を巡って争いました。
参議は総議席数245議席で、その半数が3年ごとに改選されることになっていますが、立法府としての立場は衆議院の採決の方が優先されることになっています。

                 

安倍首相とその同盟国である日本維新の会と無所属の候補者は日本の憲法改定のための手続きを開始するため、全議席の3分の2の過半数、すなわち85議席を獲得することを目標としていました。

                  

                

主に米国によって起草された日本国憲法は、第二次世界大戦終結後の1947年に制定されて以来修正されていませんが、安倍首相はかねてから任期中に平和主義を掲げる第9条に変更を加えたいと語ってきました。
安倍首相の任期は2021年に終了します。

               

こうした姿勢に批判的な人々は、軍事行動を正当化することによって日本が米国が主導する海外紛争に巻き込まれる危険性があることを懸念しており、憲法改定問題は大衆を国論を分裂させています。

                

2012年12月に再度首相に就任した安倍氏は、公約として経済の復活と防衛力の強化を掲げていました。
64歳の安倍氏は今年11月まで首相の職にとどまり続ければ、日本最長の在職期間を持つ首相になることになります。

              

これに対し野党は、経済成長の鈍化、雇用条件の悪化、および公的年金制度の破綻寸前の状況に与党が対処していないと主張しています。
さらに今年10月に実施される消費税率引き上げによって日本経済が打撃を受けるとして警告しています。

                  

【 日本国憲法は今後どうなる?見通せない平和憲法の未来 】

                    

第二次世界大戦における日本の降伏をきっかけに起草された日本国憲法は、民主的プロセスを確立し、天皇の役割を明確に規定し、日本の平和主義的な性格を確保しました。
当時憲法の起草に関わった人々は徹底的に議論を戦わせましたが、それから数十年の歳月が過ぎました。
今また新たな動きが顕在化し、日本が正規軍を維持する権利を回復すべきだという認識の普及に励んでいます。

                     

日本国憲法第9条:「永久に戦争を放棄する」
日本国憲法第9条は日本の平和主義を明確に規定しています。
その第1項で「日本国民は,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。」と規定し、さらに第2項では「陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない」と規定しています。
これに対し安倍首相は現在、 国が常設の正規軍を保持することを禁じる憲法の一部を改正することを提案しています。

              

▽ 認識への疑問

                 

日本国憲法は常設の軍隊の保持を禁じていますが、実際には日本は世界で最も装備の充実した軍隊を整備し維持しています。
これについて日本政府は日本が攻撃を受けた場合に、国土を防衛する上で必要不可欠だとしてその存在を正当化してきました。
安倍首相はこうした現状を正当なものとして明文化するため、憲法を修正することによって実現させたいと考えています。

              

▽ チェック&バランス、そして国民投票

           

安倍首相が率いる与党は憲法改定を発議するために必要な衆参両院で過半数の議席を占めていますが、まだ機は熟していないと見ています。
成立以降一度も書き換えられたことがない日本国憲法を改定するには、衆参両院で3分の2の賛成票を得た上で国民投票にかけられることになります。
国民投票によって改定が承認されるためには単純多数決が必要です。

           

▽ 生き続ける平和主義の理念

             

憲法を改定すべきかどうかについて、日本の世論は二分されていますが、ほとんどの世論調査では、日本の有権者が憲法に記されている平和主義の理想を維持したいと望んでいることを示しています。
政権よりの読売新聞が行った世論調査でも回答者の35%だけが安倍首相が主唱する自衛隊の存在の明記を望んでいますが、42%は反対の意思を明らかにしました。

             

▽ 政治的分裂

          

安倍首相は自民党と同じ志向を持つ保守派の支持を受けながらも、ビジョンを実行する上で多くのハードルに直面しています。
憲法改定に前向きな議員の間からも安倍首相の提案に対しては異論が出ました。
しかしそうした事態に慌てる様子もなく、参院選挙後に自公連立政権の勝利が確定するとこう語りました。
「何があろうと自分は人々の生活と平和な暮らしを守るという決意を新たにした。」

                     

https://www.dw.com/en/pm-shinzo-abes-party-claims-victory-in-japans-upper-house/a-49678218

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最後のパラグラフの安倍首相の「何があろうと」というのは、どんな国難が降りかかろうと、という意味ではなく、どのような反対に会おうとも憲法を改定してみせるという決意表明なのでしょう。

安倍自民党の日本国憲法改定草案は、日本の自由主義と民主主義を葬り去るための設計図

こんなエコノミストの記事をご紹介したことがありました。(【 国家権力の一層の強化を狙う安倍政権 】https://kobajun.biz/?p=31070)

アベ改憲の目的を一言で表現するなら、まさにそういうことになるでしょう。

今朝、SNSを見ていたら現在の自民党の改憲案は極右団体に作らせたものだという書き込みをされている方がいらっしゃいました。

だとしたらこれほど国というものを馬鹿にした、国民を愚弄した、そして現在の政権の程度の悪さを象徴する話はありません。

そしてそのような政権が改憲を口にすることを当たり前のように捉える日本人にも問題はないでしょうか?

またエコノミストの引用になりますが、

「日本人は政治の在り方に対する考え方があまりにも安易」なのではないでしょうか?

(【 低迷する選挙の投票率、日本の政治を劣化させ、国の運命を衰退させる 】https://kobajun.biz/?p=36432)

そして日本人は「程度の悪い政治家を議会から排除したいという程度の願望」すら持ち合わせていない。

こんな指摘を私たちはどう受け止めるべきでしょうか。

今回の選挙では『れいわ新選組』という新な『民意の受け皿』を山本太郎氏が作り上げ、その主張には職業政治家が持ち合わせていない生活者の実感がにじみ出ていました。

こうした『芽』を立場を超えて大切に守り育てることもまた、日本の民主主義を守る戦いのひとつなのではないでしょうか?

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