ホーム » エッセイ » 再生可能エネルギーは、経済苦境に喘ぐEUの中で唯一といって良い成長分野・ 2012年、原発39基分の発電量を実現
【ヨーロッパの風力発電事業の最新事情】
風力発電はEU全体のエネルギー安全保障と環境保護に大きく貢献、緑の産業界の雇用を創出、技術輸出も実現
次々と再生可能エネルギー発展のための、法整備を進めるEU
ポール・ホッケノス / アメリカAOLエナジー 10月23日
欧州連合(EU)の官僚機構の評判は、その官僚主義的なやり方により形無しです。
しかし事、風力発電事業となると、特に洋上発電については、この10年間順調に成果を上げ、域内で行われている事業の中でほぼ唯一予想を上回る成長を続けており、急成長の観すらあります。
欧州では経済危機が進行中ですが、その中のわずかな例外として、風力発電事業が発展を続けています。発展の背景にはEUでは二酸化炭素排出規制などの、国家的規模での環境規制が行われていることも挙げられるでしょう。
EUの風力発電事業の躍進を表すものとして、まず挙げられるのが発電量の増大です。
今年、EUの風力発電事業は、100ギガワット発電を実現するという、ひとつの節目を迎えました。
この発電規模は39の原子力発電所の発電量、あるいは7,200万トンの石炭による火力発電量に等しいものです。
ブリュッセルに本部を置くヨーロッパ風力発電協会(EWEA)によれば、これによりEU全域の電力総需要の7%を供給できるようになりました。
「最初の10ギガワットをEUの送電網に送り込むまでに、20年の歳月を要しました。」
ヨーロッパ風力発電協会(EWEA)のCEOクリスチャン・ケーアがこう語りました。
「しかし、さらに90ギガワットを追加するのには、13年しかかかりませんでした。そしてEUの風力発電能力の半分は、この6年間で達成されたのです。」
同協会の試算によれば、欧州域内の5,700万世帯が一年間に消費する電力を、風力発電だけで賄っていることになります。
欧州の風力発電事業のけん引役はドイツ、スペイン、そしてイギリスです。
ドイツの風力発電は陸上に設置された風力タービンが主体で、その総発電量は30ギガワット、これを上回る規模で風力発電を世界で行っているのは、アメリカと中国だけです。
この発電量はドイツの総需要電力の11%を賄います。
これに対し、デンマークでは総需要の17%が、スペインでは26%が風力発電によりまかなわれています。
デンマークとイギリスは、洋上発電の潜在能力の効率的活用に成功した数か国間中の代表的存在です。
「風力発電は欧州内にたくさんある再生可能エネルギー資源の、一部を活用したに過ぎませんが、それだけでEU全体のエネルギー安全保障と環境保護に大きな貢献をしているのです。それに加えて、緑の産業界の雇用を創出し、技術輸出も実現しました。」
ケーア氏はこのように語りました。
▽ 達成までの道のり、困難が伴うのは当たり前
欧州の風力発電事業が成功するまでの道のりは、決して容易なものではありませんでした。
10年前までは石油石炭による火力発電、そして原子力発電に特化した大企業が欧州市場を独占していました。
そして風力発電や太陽光発電のような再生可能エネルギー事業の新規参入に対しては、執拗に妨害を繰り返していました。
多くの欧州市場では、ドイツのような国でも、国策会社やひとにぎりの大企業が市場を独占していたのです。
こうした状況が変わり始めたのは1998年のことで、旧弊な大企業独占市場が自由市場へと少しずつ形を変えて行きました。
こうしてEUは京都議定書を始めとする、地球的規模の環境保護を経済社会の中で実現する動きをリードすることになり、温室効果ガスの排出問題などについても、世界の世論の主流を創り出しているのです。
その中で重要な役割を演じたのが2001年と2009年のEUの議決でした。
2001年の議決は、環境への負荷が少なく、エネルギー安全保障にも貢献できる再生可能エネルギー発電設備建設に対し、資金援助を行うための仕組みを作りました。
さらに8年後の2009年には、2020年の排出規制の実現を法的に規定したのです。
加盟国再生可能エネルギー行動計画は、加盟各国の達成状況について、2年ごとの検証を行う事を定めました。
2020年の目標は、EU加盟各国が以下の条件をクリアすることを求めています。
▼ 再生可能エネルギーの発電割合を20%にまで高める
▼ 電力使用量の20%削減
▼ 二酸化炭素排出の20%の縮小
加盟国再生可能エネルギー行動計画は、欧州全体では2020年には再生可能エネルギーによる発電割合は34%に達し、うち風力発電は14%を担うことになっています。
再生可能エネルギーに対する様々な支援、そしてEU市場を統合したことも、こうした取り組みを可能にするため、重要な役割を演じたものと考えられます。
「今や再生可能エネルギーに関する野心的な目標が、EUの政治機構の中心に据えられています。」
ヨーロッパ風力発電協会(EWEA)が昨年公表した報告書は、このように結論づけました。
「EUが加盟国、そして域内全体で野心的な目標をいち早く採用したおかげで、欧州の企業は風力発電技術において世界をリードし、また世界市場において最大のシェアを獲得することになるでしょう。」
▽ 加盟各国のさまざまな取り組み
この方針決定について、加盟各国のそれぞれの受け止め方は、もちろん異なっていました。
たとえばドイツでは、EUの方針は風力発電や太陽光発電以上に、開発について国の政策に大きく依存していたバイオ燃料の分野にも、大きな影響を与えました。
「EUが採用した行動指針は、バイオ燃料に相当な影響を及ぼしました」
と、ドイツ最大の研究機関であるマックス・プランク研究所のフェルディ・シュース博士が説明しました。
「しかしドイツにおける主流は、2000年に施行された国内の再生可能エネルギー法により、やはり風力発電と太陽光発電になるでしょう。」
それでも尚、EUの首脳陣と風力発電に重きを置く加盟各国は、2030年の達成を目指す野心的な目標の達成について、心配しています。
ドイツ、デンマーク、スウェーデンなどの国々は、すでに国内電力需要の20%以上を再生可能エネルギーによって賄っています。
「2020年以降の成長を確実なものにするため、さらに法整備を進める必要があります。」
2012年の初頭、EUがこう表明しました。
「再生可能エネルギーの発展を、しっかりと支えていく必要があります。」
欧州のこうした意気込みは、初期投資を必要とする野心的な目標を達成しようという、一時的なムードに終わることは無いでしょう。
なぜなら欧州の再生可能エネルギー事業は、今やしっかりと基礎固めをし、前進を続けているからです。
http://energy.aol.com/2012/10/23/the-business-of-wind-energy-in-europe
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あれだけの事故を引き起こしておきながら、尚も原子力発電にしがみつく勢力が大手を振ってまかり通っている日本を、世界はどう評価しているのか、そして私たちはこの現実にどう向かい合うべきなのか?
日本と違い、地震などまず起きるはずの無いドイツはなぜ、あのように決然と原子力発電所の廃止を決めたのでしょうか?
それはこれまでドイツ国民が、福島第一原発の事故が発生するはるか以前から、反原発、脱原発運動に取り組んできたからだという事が、各国の報道を見て理解できました。
そしてこうした運動を支えたのが、事実を包み隠さず国民の前に明らかにする報道や政府機関の広報でした。
これとは対照的に、私は日本の権力機構(政府機関、政治家、マスコミ権力など)は国民が自ら考え、自ら決断を下すことを、極度に恐れているのではないか、と考えています。
そのことが先月、自民党の幹事長が「原子力発電を止める、止めないなどと言うことは、国民に決めさせていい問題では無い」と発言したことに、端的に表現されていると思います。
そんな大切なことは、オレたちの『専決事項』だという事でしょうか?
自分たちの国の方針を自ら「決めさせてもらえない」ような国民は、民主主義国家の国民ではありません。
利用され、使われるだけなら、民主主義国家の国民では無いと思います。
面倒でも考える、億劫でも機論する、今日本の人々に求められているのは、そういう事ではないでしょうか?
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【 勝利の瞬間、世界のウェブサイトはどう伝えたか?】
アメリカNBCニュース 11月7日
アメリカNBCニュース『勝利を得たオバマ大統領「最高の時代はこれからやってくる!」』
バラク・オバマ米大統領の再選は、7日、多くのニュース・ウェブサイトのホームページのトップを飾りました。
各社から派遣された多数の記者たちが、シカゴで行われたオバマ大統領の就任演説を伝えましたが、その報道の仕方は実にさまざまでした。
ロシア・タイムズとCNNは同じ写真を選びましたが、それ以外のサイトはすべて異なる写真をメインに据えています。
あなたのお気に入りは、どのホームページでしょう?
ニューヨークタイムズ『オバマ大統領のための夜・選挙戦の優勢を保つ、得票数は拮抗』
アメリカABCニュース『アメリカ合衆国大統領。オバマ氏が勝利』
アメリカCNNニュース『まだまだ、やらなければならないことがある。新たな任期、変わらぬ課題』
ザ・ガーディアン(英国)『最高の時代はこれからやってくる!』