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世上言われる「円安の進行」、果たして現実になるのか?

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[イギリス・アメリカ側からの分析]

ベン・マックラナハン / ファイナンシャル・タイムズ / アメリカCNNニュース 11月8日


リーマン・ショック以降円高が続いていますが、日本の政策担当者は実態以上の円高が続いているとして、投機筋を非難しました。

その指摘が正しいかどうかはとりあえず措(お)いておき、夏以来円が対ドルレートで78円50銭前後での値動きを抜け出し、80円前後にまで円安が進んだことを見て、日本の中央官庁街である霞が関の官僚たちは、少しばかり胸をなでおろしていることでしょう。
しかしこの動きに投機筋は関わってはいません。
世界の核経済指標に改善の兆しが見え始めたことを受け、この3週間、ヘッジファンドが円安の進行に一定の役割を果たしたことは事実です。
世界の外国為替市場において、様々な投資機関が各代表的通貨の方向性を見極めようと悪戦苦闘する中、円安が進んでいることだけは確実な事実だと、外為市場の複数のトレーダーが証言しています。

実際、アメリカの先物商品取引市場が公表した数値は、先週になって円安の兆候が現れると、今年5月以降初めて投資家による円売りの動きが倍加したことを伝えています。
これに対し、ヘッジファンドの動きはそれほどはっきりしたものでは無く、錯綜した短期的取引が繰り返されていると、モルガン・スタンレーは分析しています。


「これまで、ドル対円の値動きは穏やかに推移してきました。」
ロンドンにあるモルガン・スタンレー欧州外貨戦略部門の責任者であるイアン・スタナード氏がこう語りました。
「もし円安ドル高の動きが本格化しないとしたら、それはドル高になるための材料がきわめて限られたものであることを示唆するものです。」

目下のところ、国内でデフレによる不況が進行する日本で、シャープやパナソニックのような輸出企業に打撃を与えた円高の時代が終わる、という観測について、多くの取引関係者は慎重な見方をしています。
たとえば、安定した価格とインフレ調整後の高い利回りにより、外国の機関投資家が日本の国債を買い続けていることで、資金が円市場に留まり、実質的に円を買い支えている点などに、取引関係者は留意しているのです。

しかしこの10月に見られたドルの対円レートで3%の値上がりは、2月に起きた円安ドル高とは様相を異にしていると、多くの関係者が認めています。
2月の円安ドル高は、日本銀行の『1%のインフレ目標』に基づく金融緩和策と、世界経済で表面化した新たな懸念に対し、すぐには打つ手が無かったことが影響したものでした。


最新の円安ドル高の傾向には、3つの際立った特徴があると、アナリストが語っています。

特徴の第1、それは世界最大規模と世界で3番目に大きい経済の、成長状況の違いです。
最新の資料によれば、米国経済の回復が確実なものになる一方、日本経済は逆の様相を見せています。

今週日本政府が公表したデータでは、日本の主要な11の経済指標が、今年9月の国内の工業生産高が著しく悪化し、日本の景気が後退期に入った可能性があることを示唆しました。
日本政府がこのような表現を行うのは、1986年以来、7度目になります。
実際、過去6期の経済期間の内4期で、日本経済が不況の中にあることを数値が明らかにしています。

もし景気の後退が事実なら「日銀のインフレ目標はさらに一層、より遠のくことになるでしょう。」こう語るのは、東京のバークレイズのFX取引部門の責任者である、山本まさふみ氏です。
「さらなる金融緩和策が求められることになるでしょう。」


特徴の第2、それは日銀による景気刺激策への関与度合いがより一層高まったと、投資家たちが見ていることです。
日銀は最新の政策委員会で、独自の資産買収計画を追加し、市中の銀行に対し無制限で低金利の融資を行う計画も明らかにしました。

これら一連の金融緩和策における重要な特徴としてあげられるのは、日銀の白川総裁が日本政府の2名の経済閣僚と連携し、日本経済にインフレを起こさせるための施策だという事です。
この数年、日本の政治家たちは束になって日銀がデフレの克服のために、何ら有効な手を打ってこなかったとして日銀を繰り返し攻めたててきました。
今回の日銀の施策でカギになるのは「日本政府による日銀支配が公になったこと」だと、東京のゴールドマン・サックスのチーフ・エコノミストである馬場なおひこさんが指摘しました。

特徴の第3、それは目前に迫っている日銀の首脳陣の交代です。
現在の白川総裁の任期は来年4月末まで、投資家たちは後継者がどのような施策をとることになるか、もうすでに憶測を始めました。
法の定めるところでは、日銀総裁と副総裁は政府によって任命され、衆参両院の承認を必要とします。
この時点で民主党が政権を維持しているか、または自民党を中心とする勢力が取って代わっているか、いずれにしても白川総裁の後継者はハト派の色合いが強い人になるのではないか?
こう語るのはUBS(Universal Bank of Switzerland)シンガポールの外貨戦略担当チーフのマンスール・モイ・ウッディン氏です。
総裁の後継者候補には武藤東四郎元日銀副総裁、経済官僚を歴任してきた岩田一政氏、そして現在は研究機関を運営しているもう一人の元日銀副総裁などがあげられています。


いずれが就任しても、現在次期首相に最も近い位置にいると言われ、2%から3%のインフレ目標を掲げるべきであると主張している自民党の阿部総裁にとっては、受け入れやすい人材であることは明らかです。

共和党の大統領候補者、ミット・ロムニーは連邦準備制度理事会がこれ以上金融緩和策を続けることに対し疑問を呈していましたが、大統領選挙に敗れたため、アメリカ側によるドル高への誘因は当面無くなり、したがって円相場に直接の影響は及ばないと思われています。
これと同時に、アメリカ国債の利息が高い率で安定する可能性も低くなりました。
ドイツバンクでFXを担当する田中たいすけ氏は、今後の円の対ドルレートの動きがどうなるか、その最良の指標となるのが2年もののアメリカ国債と日本国債の間のギャップだと語りました。
現在17ポイントあるギャップは、過去12カ月間と比較してもほとんど変わりがありません。
このことは、これ以上円が値下がりする可能性が、低いだろうということを示唆しています。

しかし目下のところは、ゆっくりとした円の下落傾向が続いており、前出のモルガン・スタンレーのスタナード氏をして「落ち着いた」動きではあるが、「しばらくの間こうした傾向が続く」だろうと言わせています。

http://edition.cnn.com/2012/11/07/business/japan-yen-slide/index.html?hpt=ias_c2
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神谷秀樹氏の著書『強欲資本主義 ウォール街の自滅』(文芸春秋新書)の中に興味深い話がでてきます。
ゴールドマンサックスの不動産部門にいた、「保守的」銀行家が、今日行われているマネーゲームにこれ以上自分の財産や立場を賭け続けるつもりは無い、もう降りる、といって引退したエピソードです。
この話を読んで、ああ本当の保守というのは、過去の事例によって証明された手堅い手法を良しとする立場の事なのだな、と改めて感じ増した。
やられたからやり返す、何が何でも国の腕力を強くして周辺諸国に目にもの見せてやる、という考えを露わにする自称保守が日本では目立っています。

東京都知事だったそうした人物の中のひとりは「都民銀行」構想をぶち上げ、実際にスタートさせました。
同行は暗礁に乗り上げてしまった様子ですが、当の本人は責任を取らず、いなくなってしまいました。
そんな『保守』は、世界にはありません。

私はイギリスのディズレーリやマーガレット・サッチャーが(好きか嫌いかは別にして)、本当の意味での『保守』派の政治家だと思っています。
なぜなら彼らは、きちんとした議論を重ねながら物事を進めていったからです。

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【世界最大規模のカーレース】

アメリカCBSニュース 11月
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

2012年11月3日、首都ロンドンから英国南部のブライトンまで60マイル(約100km)の区間で争われる王立自動車クラブ『ロンドン・ブライトン間クラシック・カーレース』は
世界最大規模のクラシック・カーレースです。
世界中のファンを惹きつけるこのレースの歴史は125年、今回の参加車両は300台に上りました。
レース前、ロンドンのリージェント・ストリートで、参加する車両のお目見えが行われました。






http://www.cbsnews.com/2300-504784_162-10014445.html?tag=recommended;galleryLiRecommended

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