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スキャンダルだらけの史上最長政権

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改憲という極めて重要な課題を扱えるだけの能力と資質が安倍首相にはあるのか?

安倍政権の実績、女性の社会的地位向上も含めほとんど成果なし
いくつもの重要な外交課題について評価に値する進展なし 

                

                  

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2019年11月19日

               

安倍晋三は日本で最も長い就任期間を持つ首相になりましたが、その達成は政治的スキャンダルの真っ最中のことであり、戦後の日本を支えてきた「平和主義」の理念を掲げる憲法を改定するという安倍氏の宿願を実現する能力が疑われています。

          

安倍氏は2度にわたる首相在職期間が合計2,887日に達し、1世紀以上前の桂太郎の過去の記録を更新しました。

               

安倍は2006年52歳の時、史上最年少の首相に就任しましたが、1年も経たないうちにスキャンダルと自身の健康問題が深刻になったために辞任しました。

                 

安倍氏は停滞期間が20年に及ぶ日本経済を復活させ、日本の軍事力を強化し、米国の占領下で成文化された日本国憲法の改定を公約に掲げて、2012年末に2度目の首相に就任しました。

             

                

安倍首相やその周辺の保守派は、日本が国際紛争を解決する目的で武力を行使したり威嚇することを禁じている日本国憲法について、核武装した北朝鮮や武力の強化を進める中国から日本の国土を防衛するための能力強化に対する時代遅れの制約とみなしています。

                     

しかし安倍政権の実情はと言えば、社会における女性の地位を向上させ、公的機関においても一般企業においても役員や管理職の女性の数を増やすことも含め、最重要課題の構造改革を実現できていません。
さらにはこれまで何度もスキャンダルを暴かれながらもそこから逃げ切ってきました。

                       

これについて専門家は、分裂したままへの野党への不安と安定を望む多くの有権者の共通意識に恩恵を受けていると分析しています。

               

              

ワシントンに拠点を置くコンサルタント会社テネオ・インテリジェンスの副社長であり日本の専門家でもあるトビアス・ハリス氏は、次のように述べています。
「他の先進各国がこの10年ほど、弱体化した政権、不人気な政権、あるいは短命な政権が続くという状況の中で、安倍政権は日本を政治的に安定した島国に保ってきました。」

                  

最近の世論調査は、安倍首相が率いる自由民主党の立場が極めて安定しており、少なくとも2021年9月までは安倍氏が首相の座に留まり続ける可能性が高いことを示唆しています。
NHKが11月に行った世論調査では、自民党の支持率は36.8%と、野党第一党である立憲民主党の6.3%を大きく上回っています。

                      

安倍首相は、アメリカ大統領ドナルド・トランプと親密な個人的関係を築いたと主張していますが、重要な外交課題についてはいくつもの分野で評価に値する進展はありませんでした。

                

            

北朝鮮の実質的支配者キム・ジョンウンは、冷戦中に北朝鮮に拉致誘拐された日本人の問題について話し合うため前提条件なしで会うという安倍首相の提案を拒絶しました。

                 

ロシアとの北方領土返還交渉は、安倍氏が首相に就任して以来、解決どころか何の進展もみられません。

                 

さらにはここ数ヶ月、日本と韓国の外交関係は、国交が正常化されて以降最悪のレベルに沈んだままになっています。
日韓両国は太平洋戦争(第二次世界大戦太平洋戦線)中の負の遺産を巡り対立し続けていることが理由です。

                 

2019年11月韓国ソウル市内で開催された『反アベ集会』

                

再び不況局面へと沈み始めた日本経済、そして自分自身と自民党に新たな政治スキャンダルへの懸念が拡大する中、史上最長政権を達成した19日当日も『桜を見る会』をめぐるスキャンダルの追求を受けた安倍首相は、長期政権達成への祝福にほとんど反応を見せませんでした。

                   

『桜を見る会』をめぐるスキャンダルでは、安倍首相は日本政府の公金を使って自分の支持者をパーティーに招待したという非難に直面しており、安倍氏の事務所は前日に開催された宴会で公職選挙法を犯して出席者の飲食代の一部を支払った疑いが持たれています。

                        

安倍首相は不正行為を否定していますが、朝日新聞の世論調査では回答者の68%が首相の説明に納得していないことが明らかにされました。

                

安倍首相が今回のスキャンダルもまたやり過ごすことになれば、日本の自衛隊の存在に法的根拠を与えるため、憲法の改定に力を注ぐことになるとみられています。

               

             

しかし衆参の両院議会で3分の2の「圧倒的」過半数、投票での単純過半数を必要とする要件により有権者の判断が二分されるうえ、失敗すれば自身の政治生命も揺らぎかねない憲法改定という重い課題について、安倍首相にはそれだけの改革を実現できる能力が欠けているのではないかと疑問を抱く人々もいます。

                

「どのような形であれ安倍首相の名は間違いなく歴史に残るでしょう。」
明治大学で政治学を専攻する西川慎一教授がこう語りました。
「しかしその野心的な目標が達成される可能性は非常にわずかでしかありません。」

                

https://www.theguardian.com/world/2019/nov/20/shinzo-abe-weathers-scandals-to-become-japans-longest-serving-prime-minist

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ちょっと振り返ってみましょう。

                

2014年11月17日
生活必需品の価格は上昇、賃金は実質的に目減り、結果的に国民生活はより貧しいものになってしまった【 不況転落、日本経済予想外の悪化 - アベノミクスを検証する 】ニューヨークタイムズ - https://kobajun.biz/?p=20856
2014年11月22日
アベノミクスの最大の特徴は、考え得る限りの美辞麗句と実情を糊塗する宣伝能力【 個人的打算による解散総選挙を強行、日本人は尚もこの首相に国の命運を賭ける鍵を預けるのか 】エコノミスト - https://kobajun.biz/?p=20969
2015年9月26日
日本にとって正しい的(まと)を設定し、そこに向かって正確に矢を射る能力が安倍首相にはあるのか、その疑いは大きくなるばかり【『新たな』3本の矢?それこそさらなる的(まと)外れ 】エコノミスト - http://kobajun.chips.jp/?p=25274
2015年11月16日
大企業とそこに連なっている投資家と、中小企業や一般庶民との間にはっきりと溝を作ったアベノミクス【 中国経済の減速と日本経済の不況転落 】《後編》ニューヨークタイムズ - https://kobajun.biz/?p=25809
2016年11月12日
国民を救済するために必要な政策は手つかずのまま、緊急性の低い安全保障・外交政策にばかり国力を浪費するアベ政治【 アベ支配 】《後篇》エコノミスト - https://kobajun.biz/?p=29762
2016年11月17日
アベノミクスの巨額の財政出動は長期的な効果が一切無いまま、日本の財政状況をなお一層悪化させただけに終わった【 アベノミクスは失敗だったのか? 】《後篇》ドイチェ・ヴェレ - https://kobajun.biz/?p=29825
2017年3月6日
成果に乏しいアベノミクスへの不満が国民の間で大きく、森友学園・加計学園スキャンダルへの疑念が拡大を続けるにも関わらず【 安倍首相の最長任期実現に向け道を開いた自民党 】アルジャジーラ - https://kobajun.biz/?p=30721
2017年7月14日
深まる一方!安倍首相の個人的な利益誘導・便宜供与にまつわる疑惑【 疑惑とスキャンダルにまみれる安部首相の政権運営 】ロイター - https://kobajun.biz/?p=31545

                     

ご覧いただいて分かるのは、安倍政権復活後2年足らずの間にニューヨークタイムズ、エコノミストという米英の2大紙がアベ政治とアベノミクスのマヤカシを指摘していたという事実です。

                 

しかしその後5年間、私たち日本人はその安倍政権の存続を許し続け、そして『桜を見る会』のスキャンダルが暴露された現在もさほどの危機感を抱いていないように見えます。

               

『疑惑とスキャンダルにまみれる安部政権』の存続をこれ以上容認し続けたら、自分たちの暮らしがどこまで破壊されるのか、私たち日本人は右派も左派も関係なく、危機感を共有すべきです。

                  

なおこの記事のオリジナルのビジュアルはここに掲載されたものとは異なりますが、もうこの人の写真をストックするのは No Thank You! なので、過去のものを再利用しました。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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