ホーム » エッセイ » 2001年9月11日 – 2011年5月1日
5月2日のアメリカのABC、NBC、CNNなどのニュースはすべて、ウサマ・ビン・ラディン容疑者殺害のニュースで終始していました。街頭の様子を取材中のマイクには、群衆があげる歓声の凄まじい音圧がかかり、放送中の音声レベルが少しおかしくなってしまう程でした。
しかし、ビン・ラディンを公判の場に引き出す事ができたなら、世界中に散らばっている事と考えられるアルカイダの組織をあぶり出す事ができたかもしれません。
各局のニュースでは『アメリカ同時多発テロ事件によって、アメリカ人が受けた心の傷は容易に癒えるものではない』と論評していましたが、であればなおさら事件の結末は、ビン・ラディン個人の抹殺で終わるのではなく、国際テロ組織アルカイダの壊滅で終わって欲しいと思います。
ここ数年の間にも、アメリカ国内では何度か大規模なテロ事件が未然に摘発されていたようですが、そうした事件が発覚するという事は、事件を画策する人間がいるという事です。
もっと問題なのは実行犯に志願する人間がいる、という事でしょう。
アルカイダの『リクルーター』は貧困に喘ぐ人々の中からテロ実行犯を育て上げ、殺人機械を作り上げます。そして殺人機械となった彼・彼女は『自爆』に多数の人々を巻き込む、という手法でテロを実行します。
始めから終わりまで人間性のかけらも無い行為の繰り返しです。
彼らはこれを『ジハード(聖戦)』と呼びます。
しかし『世界宗教』のひとつであるイスラム教が「無差別大量殺人」を聖戦とするはずが無いのです。事実、イスラム教の骨子は「社会に公正を実現し、ムスリム同士が相互に扶助し、生活において品行を保ち、欲望を抑制して、イスラームの教えにのっとって、あるべき社会の秩序を実現させようとするもの」であるとされます。そして「イスラム教では、無実の者を殺害することは一切禁じられており、クルアーン(コーラン)にも厳しく書かれている」とさます - Wikipedia - 。
アルカイダはイスラムが生んだのではなく、犯罪指向者がイスラムを利用して生み出したものなのです。
いつもいわれる事ですが、こうした問題を解決する答えを、私たち自身が持つ必要があるのではないでしょうか。
イスラムに対する正しい知識、後進国における貧困や教育の問題に対する正しい理解。
そしてこれらを解決したいと願う気持ちを。