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もっと迅速に行動していれば、感染拡大を短期間に封じ込めることが可能だったし、そうすべきだった

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所要時間 約 9分

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本音は経済優先の安倍政権のメッセージに切実な危機感は感じられず、国民の感覚も似たり寄ったり
新型コロナ危機が発生する前から景気後退に向かっていた日本経済、さらに一層深刻な経済危機が襲ってきた

               

写真 : 東京南郊の川崎市にある聖マリアンナ医科大学病院の集中治療室

                  

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2020年5月4日

                  

ソーシャルディスタンス・キャンペーンの解除が早すぎると、すでに集中治療などに過剰な負担がかかっている病院に新型コロナウイルス患者が殺到する可能性があるという警告を受け、国の緊急事態宣言を月末まで延長する態勢の整備を進めています。

                  

安倍首相は4月7日に東京および他の6つの都府県で1か月にわたる緊急事態を宣言し、各自治体の知事が住民に対し不必要な外出を避け、重要でない事業を閉鎖するよう要求することを可能にしました。

               

その後この措置は全国に拡大されましたが、米国およびヨーロッパの一部で導入されたものよりもはるかに制限が少なく、違反した場合の罰金やその他の罰則はありません。

               

                   

各種の制限は5月7日木曜日のゴールデンウィーク明けと同時に解除される予定でしたが、安倍首相は5月4日月曜日に東京で記者会見を行い、感染拡大の第2波によって医療現場が崩壊する危険性があると専門家の委員会が警告したことを受け、期間を延長することにしたと発表しました。

                 

4日夕刻の記者会見で延長を決定した理由を説明した安倍首相は、日本が新型コロナウイルス対する戦いにおいて「ずるずる後退している」現実に直面していると警告しました。

              

一方で日本のメディアは限定された範囲で経済活動を再開する試みとして、日本政府は幾つかの分野の制限を緩和する動きがあると伝えました。
美術館、図書館、公園、その他の施設については、十分な予防措置が講じられていれば、東京など感染が拡大している地域でも再開できる可能性が高まっています。

                 

経済再生担当大臣の西村康敏氏は政府の専門家会議に対し、感染拡大の第2波を防ぎながら社会経済活動を再開できる「新しい生活様式」を提案するよう要請したと伝えられています。

                

               

しかし各地方自治体の首長たちは人々がソーシャルディスタンスを心がけることをやめ、再び自由に出歩くようになれば感染が拡大する可能性があることに懸念を表明しています。

                   

東京の毎日の発生件数はピーク時の4月17日の201件以降安定しているように見えますが、専門家は首都やその他の地域で発生件数が減少しているように見えても、それが直ちに規制緩和が実行可能であることを保証するものではないと考えています。

                 

NHKによれば、日本のコロナウイルス感染者数は5月3日日曜日に15,789人を記録し、うち549人が死亡しました。
この数字には2月に横浜港沖で隔離されたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス関連の712件の感染と13人の死亡が含まれます。

                  

Our World in Data(データで見る私たちの世界)が公表したデータによれば、日本の新型コロナウイルスの感染検査件数は1,000人あたり1.3人であり、韓国の12人、米国の18人と比較すると明らかに少なく、これまでもその点を批判されてきました。

                     

                  

日本は感染の疑いを持つ人が病院に殺到することを避けるため、ウイルス感染の疑いのある人について一定の条件を満たす人だけに検査を実施してきました。
しかしこうしたやり方は感染していても無症状あるいは軽度の症状しかない人々の感染経路を特定したり隔離したりすることを一層困難にしてしまいました。

               

東京新聞は最近の報道の中で、東京でも有数の人口密集地区である新宿区の人々を対象に抗体検査を行ったところ、すでにウイルスに感染した可能性がある人の割合は6%近くであることが明らかになったと伝えました。
首都の慶應義塾大学病院で患者を対象に行われた調査結果でも同様の結論が得られました。

                   

「日本はもっと迅速に行動し、ロックダウンを行っていれば感染拡大を短期間に封じ込めることが可能であったし、そうすべきでした。」
王立ロンドン大学の公衆衛生保険研究所所長で、かつて世界保健機関(WHO)の保健政策責任者を務めたことがある渋谷健二氏がこう語りました。
「ロックダウンをするより長い期間、現在の日本式非常事態が続けば、医療体制だけでなく経済も必要以上に悪化することになるでしょう。」

                   

                  

ゴールデンウィーク期間は、東京都民が自発的に他の人々との接触機会を減らすことをどの程度真剣に実行しているかを物語っています。
首都を代表する都心の繁華街はほとんど空になっていますが、郊外のショッピングエリア、公園、郊外の河川敷や海岸には多くの人出が認められます。
指示に従わない場合は地方自治体が企業名を公表すると強く警告しているにもかかわらず、一部のパチンコ店は営業を続けています。

                  

朝日新聞が最近行った調査によると、日本人の4分の3は通常よりも外出機会を減らしたと回答しましたが、他の人々との接触を80%減らすという目標を実現できたと感じている人は全体のわずか半分に過ぎません。

                 

「日本政府からのメッセージには切実な危機感は感じられず、自宅に留まる必要性を伝えようとしていながら、実際には経済優先という態度が垣間見えるようです。」
社会心理学とリスク・コミュニケーションを専門とする東京大学のせ関谷直也准教授がこう語りました。
「人々は共通の危機意識を持っていないため、自宅に留まって我慢する代わりにもっと楽しい機会を望み、根拠もなく自分だけは感染しないと考えて行動しています。」

                

               

世界で3番目に大きな規模をもつ日本経済は新型コロナ危機が発生する前から景気後退に向かっていましたが、現在はなお一層深刻な経済危機が訪れる懸念が高まっています。
安倍首相の経済政策の重要な柱の一つである外国人観光事業の実績は90%も急落し、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により東京2020オリンピックは延期を余儀なくされ、さらなる打撃が日本を襲うことになりました。

                  

https://www.theguardian.com/world/2020/may/04/japan-to-extend-state-of-emergency-covid-19-amid-fears-second-wave-could-cripple-tokyo-hospitals
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