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【 核燃料の取り出し、そこにはどれほどの危険が潜んでいるのか?! 】〈前篇〉

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福島の原子炉4号機からの核燃料の取り出し、広島型原爆14,000発分の放射性物質の脅威
これまで人類が経験した中で、最も危険で最も高度な技術、最も高度な管理が必要な作業

アンドレア・ジャーマノス / コモン・ドリームス / フェアウィンズ 10月24日

4号機建屋
早ければ11月にも、巨大事故を引き起こした福島第一原子力発電所を管理する東京電力は、作業中に事故が起きれば今度こそ日本に『壊滅的』被害をもたらすことになる、原子炉4号機の使用済み核燃料プールからの燃料とし出し作業に着手することになります。

取りださなければならない核燃料棒の数は1,300本、破壊された原子炉建屋の上層階にあり、その放射性物質の量は広島型原爆14,000発分に相当します。
原子炉4号機はメルトダウンこそ起こしませんでしたが、水素爆発による破壊により傾き、一方が沈み込んだ状態にあり、大型の地震に見舞われた際の耐震性はゼロという状態です。

ジャパン・タイムズは、状況について、以下のように解説しています。
燃料棒の取り出しを行うため、東京電力は荷重273トンの稼働式クレーンを建設、操作は離れた場所の別の部屋で、リモートコントロールによって行います。
[中略]
燃料棒は挿入されているラックから一本ずつ抜き取る作業を行い、重い鋼鉄製の容器に移し替えることになっています。
これらの作業はすべて水中に沈めたままの状態で行います。

4号基構造物
次に燃料棒の入った容器をプールから取り出して地上に降ろし、損傷を受けていない共用の核燃料プールの中に再び沈められることになります。
正常な状態なら3カ月ほどで終了する作業ですが、東京電力は2014会計年度の終了(2015年3月)までの1年と5カ月でこの作業を終わらせたいとしています。

しかしこれ程の事業を東京電力が行うということに対しては、各方面から疑問と懸念の声が上がっています。
福島第一原発の事故収束・廃炉作業を前に進める責任があるはずの東京電力は、実際の作業においては事故やトラブルを繰り返すばかりで、進行中の危機を収束させるには程遠い状況にあります。
その会社が400トンもの使用済み核燃料を、人間の手で無事に進めることが出来るのかどうか、その疑念には深刻なものがあります。

この点について、ベテランの原子力技術者で、フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションの責任者であるアーニー・ガンダーセン氏が、この夏以下のように警告しました。
「かなりの数の燃料棒が、取り出し困難な状況に陥ることになる可能性があります。」
「この作業が順調に進むだろうと考えるのは、事実を軽視することであり、論理的にかなりの飛躍があります。」

IND 福島第一原発
原子炉監視プロジェクトのポール・ガンター博士は、ビヨンド・ニュークリアー(原子力)のタコマ・パーク博士とともに10月下旬、コモン・ドリームスに以下のような声明文を寄せ、事態について警告しました。

「全体の状況が安定していない中で、数百トンに上る高い放射性物質を含む核燃料の取り出しに着手することは、今日の事態を一層危険なものにする恐れがあります。」

ガンダーセン氏は核燃料を取り出す作業の危険性について、以下のたとえを用いました。
「核燃料棒をタバコに、燃料棒が挿入されたラックをタバコのパッケージに見立てて考えてみましょう。
たばこのパッケージが新しいままなら、タバコは一本ずつ簡単に引き抜くことが可能です。
しかし、4号機の核燃料ラックは変形していると考えなければなりません。
ひしゃげたパッケージから乱暴に引き抜けば、タバコは引きちぎられてしまうでしょう。
同じようなことが、4号機の核燃料プール内で発生する可能性があるのです。

111006
核燃料の収納ユニットはすでに変形しており、万が一にも核燃料を力任せに引き抜くようなことをすれば、核燃料が破損してしまう恐れがあり、そうなればセシウムやその他の放射性物質、キセノンやクリプトンが環境中に放出されてしまいます。」
「11月、12月、あるいは1月、作業中に核燃料棒が損傷する事態が発生し、作業員が緊急避難を強いられる事態の発生を、私は恐れています。
私は燃料棒を引き抜く際の事故により、さらなる放射性物質が環境中に放出される事態を恐れているのです。燃料棒は一度オーバーヒートしたのではないでしょうか?核燃料プールは一度沸騰して、水がほとんど無くなったのではありませんでしたか?そうしたことを考え合わせると、最早取り出すことが不可能になっている燃料棒が存在する可能性があるのです。」
(詳しくは『進行中の福島の危機』、本当は何が起きているのか《第4回》http://kobajun.biz/?p=14455 をご参照ください)。

ジャパン・タイムズは以下のように付け加えました。
正常な状態で行われる燃料棒の取り出し作業は、燃料棒の位置をミリメートルの単位で正確に記録しているコンピュータを使いながら行われます。

111002
しかし放射線量がきわめて高い環境で盲目に近い状態で作業を行なえば、クレーンから燃料棒を落下させたり損傷させたりといった事故が発生する可能性があります。
そんなことになれば、3.11によって厳しい状況に追い込まれた東北地方が受けるダメージは、言葉などでは表現できない程悲惨なものになります。

〈 後篇に続く 〉

http://www.commondreams.org/headline/2013/10/24-3
http://fairewinds.org/media/in-the-news/fuel-removal-potential-apocalyptic-scenario-says-commondreams-org
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

ひとつ気がかりなのは、世界が注視しているこの危険な作業が始まるという事を、いったいどれだけの『日本国民』が認識しているか、という事です。
例によって日本国内の報道では、4号機の使用済み核燃料の取り出し作業は、廃炉作業の中の一段階に過ぎないかのように扱われています。

万が一東京電力が作業中に事故を起こしたら、これまで翻訳してきた海外の報道を見る限り、少なくとも100キロ圏内にいる人々は直ちに避難しなければならないはずなのに。
『その場合』考えられる状況について、海外の報道は『カタストロフィ』や『黙示録』といった表現を使っています。
ところが、国も県も市町村も、この問題については沈黙したまま。

さらにはこの記事にあるように、これまで事故収束・廃炉作業についてはほとんど前進させることが出来なかった東京電力に、まかり間違えば東北、北関東という単位で国土を滅ぼす可能性のある作業をやらせるのか?
という疑問を、憤りとともに感じます。

この国では原子力災害については、やはり自分の身は自分で守るしかないのでしょうか?
この有り様だからこそ、日本国内での原子力発電は許してはならない。
違いますか?

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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