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子どもたちの甲状腺の問題が多発するフクシマ【 心配で、戻れるような状況ではない 】《前篇》

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所要時間 約 6分

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「本当の被ばく線量への疑問、そして健康被害への懸念は一生続く」

デイヴィッド・マクニール / ザ・インデペンダント(英国) 6月2日

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他の多くの父親同様、藤本さんもまた幼い子供の健康が心配で避難をしました。

将来の影響を考え、子供が口にする食べ物、呼吸する大気の状態などに親は当然のこととして気を使います。
しかし、藤本さんはもう一つの問題を考えざるを得ない状況にあります。

福島第一原発が放出する放射性物質です。

福島第一原発で原子炉がメルトダウンをし始めた2011年3月11日、その3日後に藤本さんは幼い2人、当時3歳と4歳の娘を守るために、数百キロ離れた場所に避難しました。
しかし昨年12月、年長の娘が、多くの場合唾液腺にできるガンに発展する可能性の高い咽頭嚢胞(いんとうのうほう)と診断されました。
「私は医師に、きわめて稀な病気ですと告げられました。」

藤本さんの家族は福島第一原発から100キロメートル離れた千葉県、放射性物質が降り注いだ地域とは逆方向に居ましたが、娘さんの病気の発生原因は、福島第一原発が放出した放射性物質を吸い込んでしまったことだと考えています。
「私は娘の病気の原因を作ったのは、福島第一原発の事故だと確信しています。」

国連は5月末、福島においてガン発生率の顕著な上昇などは見られないが、今後も状況を注視することを推奨するとのコメントを発表しました。
国連の放射線の影響について検証する科学委員会による報告書は、迅速な避難が行われた結果、ほとんどの人の内部被ばく量が少ない値で済んだと述べています。

FR24 破壊された福島第一原発
福島第一原発を運営している東京電力は放出された放射性物質の量について、最終的に900,000ベクレルと試算し、その量はチェルノブイリの事故の際の5分の1に留まっていると発表しました。
そして放射性物質の放出は、始めの3週間に集中したとも述べています。

この放射線が人間の健康に与える確実な影響については、論争の絶え間がありません。
しかしチェルノブイリの事故調査によって、一点だけははっきりと解明されました。

子どもの甲状腺がんの発症率の増加です。

国連の主導の下に2003年から2005年にかけ行われた『チェルノブイリ・フォーラム』の調査によれば、事故の影響を最も強く受けた地域で、5,000例に近い18歳以下の甲状腺がんの発症を確認しました。
汚染された牛乳を飲んだ事が主な原因だと思われています。
多くの科学者が被ばくからガンの発症までの間に、4年~5年間の潜伏期間があるものとみています。

チェルノブイリでは事故発生から半世紀の間、ガン発症率の激増、先天性欠損症、そして奇形などについて取りざたされましたが、国連は甲状腺がん以外には、
「顕著なガンの発生率の上昇などは確認されていない。」
との見解を示しました。

しかしこの見解については、その正当性が疑われています。

「広範囲にわたる、詳細な記録が残されています。」
ノースカロライナ大学の伝染病理学者のスティーヴ・ウィング博士がこう語りました。

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一方でウィング博士はチェルノブイリの原発事故が原因の、ガン発生率の完全なデータが存在しないことも認めました。
「モニタリング調査の不備のため、当時風下に居た人々のガン発生率に関する資料が無く、データは完全ではありません。その上、これまでのところ、放射線被ばくとガン発生率の関連性については、原爆被爆者を調査してまとめられたものに頼らざるを得ないというのが現状なのです。」

しかし博士は藤本さんのように、日本の親たちが心配するのは当たり前だと語りました。

「日本も旧ソ連も、政府機関はその国の人々がどれだけの被ばくをしたのか、その数値を明らかにはしていません。当然ながら、被ばく線量が高かったということが疑われます。そして特に女性と子供たちが、被ばくによる健康被害を受けやすいという事が解っています。」

「したがって、福島第一原発の事故で被曝してしまった人々の、本当の被ばく線量への疑問、そして健康被害への懸念は一生続かざるを得ないのです。」

〈 後篇につづく 〉

http://www.independent.co.uk/news/world/asia/frightened-to-return-a-fukushima-fathers-story-8640818.html?origin=internalSearch
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2011年3月11日以降の私たち日本人の時間というものは、ここに登場する子供たちを守る、まずその事こそが一番大切なことでは無かったのか?
今、痛切にそのことを感じています。

しかし今、この問題は幾重にも向こうに追いやられ、経済や株価こそが日本の生命線だと声高に叫ぶ声が聞こえてきます。
子どもたちを大切にしない国の『成長』とは、いったいどんなものなのでしょうか?

私事で恐縮ですが4月に母親を亡くし、何種類もの株式を持たされる羽目になり少々閉口しています。
私にとってはあてにしていた訳でもなく、使う予定も無い株の値段の上がり下がりにはさほどの興味もありません。

しかし、福島の子供たちのこれからはものすごく気がかりであり、鋭い痛みを感じています。
私の感覚は、歪んでいるのでしょうか?

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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