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【 究極のエネルギー安全保障とは?】

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所要時間 約 11分

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ヒア・カムズ・ザ・サン(陽の光が降り注ぐイスラエル)
[世界の再生可能エネルギー開発分野で、群を抜き始めたドイツ]

アレクサンダー・ヴァグ(アメリカ政府安全保障計画研究員)
/ アメリカAOLエナジー 2月22日

建物の屋上に、。太陽光エネルギー装置が所狭しと並ぶイスラエルの建物

建物の屋上に、太陽光エネルギー装置が所狭しと並ぶイスラエルの建物


私は最近イスラエル旅行から帰国したばかりです。
美しい風景を楽しみ、おいしい郷土料理に舌鼓をうつ一方、いつ何時爆風とともに吹き飛ばされるかもしれないという不安がつきまとっていました。
しかし何よりも私につきまとって離れなかったのは、その暑さでした。
ハマス(ひよこ豆をゆがいてペースト状にしたものに、ゴマのペーストやオリーブオイルなどを混ぜたペースト。レバノンが原産で、アラブ諸国ではパンなどに塗って食べたり、ディップに使う。中東全域でよく見かける食材。)のようにどこに行ってもあり、それから逃げ出すことは不可能で、寒いはずの冬でさえ暑さから解放されることはありませんでした。

「身が焦がされるような暑さ」
100年以上も前、少々引っ込み思案の新聞の特派員であったマーク・トウェイン(トム・ソーヤー、ハックルベリー・フィンの作者)がかつてこう表現したように、ネゲブ砂漠からテルアヴィヴの賑やかな通りまで、暑さだけはどこに行ってもついてまわりました。
しかしマーク・トウェインが訪れたころとは異なり、現代のイスラエルの建物の屋根という屋根、屋上という屋上は数えきれないほどの太陽光温水ヒーターで埋め尽くされています。
イスラエルは今、世界のトップを走る太陽光温水システムの先進国なのです。

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イスラエルの太陽光エネルギー開発への取り組みは、建国(1948年)されて数年後にはもう始まっていました。
国土の中に豊かな石油資源を持つ隣人たちとは異なり、ごく最近までその国土には化石燃料は無いものと思われており、1950年代にはイスラエルの技術者レヴィ・イッサールが、不足するエネルギーを補うため、太陽光温水機の開発を行いました。

1967年には、20世帯に1世帯の割合で太陽光温水機を利用するようになり、販売実績は50,000台に達していました。
そして1970年代のオイルショックの発生を受け、イスラエルの太陽光産業の礎を築いたハリー・ジヴィ・タボールは、現在イスラエル全体の屋根の90%に設置されている太陽光温水器のプロトタイプの開発に成功したのです。

2つの要因がイスラエルをして、国を挙げての太陽光エネルギーの開発に向かわせました。
ひとつはその調査研究、開発に費やされた膨大な努力。
もうひとつは、巨額の海外からの投資を呼び込んだ交渉能力です。

TIGIソーラー社が開発したハニカム式ソーラーパネル、太陽光エネルギー海水脱塩装置など、数々の太陽光エネルギー装置がイスラエルの科学者、技術者によって開発されました。
あらゆる方面の海外からの投資が行われました。
例えば中国はイスラエルの国土の3分の2を占めるネゲブ砂漠に、太陽光エネルギー開発のための研究所を設立し、アメリカ合衆国やその他の国々がイスラエルの技術を導入しています。

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ドイツの制度同様、イスラエル政府も2008年、1キロワットアワーあたり45セントでの固定価格買取制度を承認しました。
そして2020年までに全電力消費量の10%を再生可能エネルギーによって賄う事を目標にしています。
ちなみにEUは2020年までに、20%の達成目標を設定しています。
イスラエルの場合、その気候条件がこうした計画の背景にあります。
例えばネゲブネゲブ砂漠にあるケテュラ太陽光発電所は、一年の内330日好天に恵まれる場所にあるのです。

しかし、イスラエルの太陽光エネルギー業界の関係者の一部は、政府が過度の建設規制、そして過剰な工程管理を行っていると感じています。
ドイツとイタリアのこの分野における研究と製品開発は、荒天日数が少なく、太陽の照射量が劣るにもかかわらず、すでにイスラエルを凌駕してしまいました。

ドイツ、イスラエル両国政府が公表した数値を比較すると、太陽光発電分野におけるドイツの躍進は目覚ましいものがあります。
ドイツ人1人当たりの発電量は現在、イスラエルのほぼ12倍に達しているのです。

前出のペテュラ太陽光発電所を経営するアラバ・パワー社のCEO、ヨン・コーエンは、2011年6月以来、イスラエルでは大規模な太陽光発電プロジェクトが開始されていないと指摘しました。
同CEOはイスラエル政府が最近アシャリム太陽光発電会社と結んだ契約により、2015年新たに3か所で太陽光発電所の建設を開始するという契約が、現状を変えることを願っています。
いったんはイスラエルに投資することを決定した海外の投資資金が、ドイツを始めとするヨーロッパの競争相手に渡ってしまうことも懸念されています。

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ではイスラエルの現状を見て、太陽光発電の分野でやや遅れを取ってしまったアメリカ合衆国のような国々は、いったいどんなことを教訓として学び取ればいいのでしょうか?

まず第1。
アメリカはイスラエルを見習い太陽光発電分野への研究開発に力を注ぎ、この分野の企業への資金供給を十分にする必要があります。
第2にアメリカ政府は太陽光発電に関する規制を可能な限り取り払い、研究機関と企業の双方が家庭用、あるいは中小企業向けの太陽光発電装置の開発・販売に乗り出せるよう、環境整備を行うべきです。
第3は、アメリカの民間企業はこれまで通りイスラエルとの連携を続け、次世代型太陽光発電システム開発のために共同研究を行い、実用化の暁には販売契約を結ぶ際などに、少しでも有利な位置を占めることが出来るようにしておくことです。

太陽光発電分野の開発を推進し、発電手段の組み合わせの中、その構成比を拡大することこそが、アメリカ合衆国、イスラエル双方のエネルギー安全保障のために、最良の選択となるはずです。
アメリか合衆国にあっても、その他の先進国にあっても、経済界、軍関係者、そしてエネルギー産業の専門家はこれ以上化石燃料に依存を続けることは、国家にとって危険なことであるという点で認識が一致しています。

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気象条件、固有の文化、地理的条件その他によって、イスラエルは早くからこの問題の存在に気づいていました。
しかしアメリカはそうではありませんでした。

ここまでお話した通り、財政、環境、安全保障、いかなる観点からも、ここからの年月先進各国は太陽光エネルギー、そしてその他の再生可能エネルギー開発にこそ、あらゆる努力を傾けるべきなのです。

http://energy.aol.com/2013/02/22/here-comes-the-sun-israel-and-solar-energy/
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ドイツは2020年までに全原子力発電所の廃止を決定したことにより、様々な分野での技術革新が始まっていると、世界に向け最初の発信を行ったのは英国の新聞、ザ・ガーディアンでした( http://kobajun.biz/?p=2454 )。
ガーディアンの記事はドイツ国内では技術革新のみならず、「社会正義が実現された事」を実感する国民が生き生きと活動を行い、様々な分野の躍進が始まったと伝えていました。

それを今度は、アメリカAOLエナジーというエネルギー問題の専門誌が報じています。

ここまで書けば、続くセンテンスは決まっています。

「ひるがえって見て、わが日本はどうでしょうか?」

いかがですか?
その答えは、私たち自身が見つけなければなりません。
世界で行われている発電の実情を知り、日本のやりかた、在り方のどこが問題で、どう解決すべきなのか。
わたしたち自身がまず、そのことを知らなければならないと思います。

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【 拘留中に死亡した男性を巡り、緊張が高まるパレスチナ 】

アメリカNBCニュース 2月25日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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25日月曜日、パレスチナ警察が21発の礼砲を放つ中、数千人の市民が参列してイスラエル軍に拘留中に死亡したパレスチナ人の男性の葬儀が行われました。
男性の死亡原因については、様々に取りざたされています。

パレスチナ側は死亡した男性、アラファト・ジャラダトはイスラエル軍が尋問する際、拷問を加えたために死亡した、としています。
一方イスラエル側は、死亡原因を特定するためにはさらなる検証が必要だと主張しています。

終末2人の子供の父親である30歳のガソリンスタンドで働いていた男性が23日土曜日拘留中に死亡したことにより、パレスチナ西岸地区の緊張が高まり、イスラエル側はパレスチナ人による新たな反乱の発生に備えています。
パレスチナ西岸地区では、イスラエルの占領に抗議する4,000人から5,000人規模のデモが毎日繰り返されていました。

パレスチナ西岸地区の都市ラマラで、イスラエルの軍刑務所付近で衝突するパレスチナ人とイスラエルの警察車両。2月25日。(冒頭の写真)

パレスチナ西岸地区の町セイーアで行われたアラファト・ジャラダトの葬儀で、イスラエル軍兵士ともみあいになるパレスチナ人。2月25日。アラファト・ジャラダトの死亡に抗議し、同じ刑務所内の囚人4人がハンガーストライキを開始し、成り行きによっては一層の緊張状態に陥る可能性が出てきました。
投石を繰り返すパレスチナ人とイスラエル兵との衝突が連日繰り返されています。(写真下・以下同じ)
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アラファト・ジャラダトの葬儀で、嘆く親類たち。
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葬儀会場に運び込まれたアラファト・ジャラダトの遺体。
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催涙ガス弾やゴム弾を放つイスラエル軍兵士。
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イスラエル軍が放った催涙ガス弾を投げ返すために考案された吊り紐を使い、ガス弾頭を投げ返すパレスチナ人男性。2月25日。
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