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【 『積極的平和主義』という名の平和主義の放棄、日本の市民の足元に迫る脅威 】《前篇》

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所要時間 約 10分

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残忍な殺され方をした人質を悼む日本の人びと、海外紛争への積極的関与を主張してやまない安倍首相
日本人の心に息づく平和主義の文化、思うに任せぬ安倍氏のタカ派的外交実現への野心

リチャード・ジャバード・ヘイダリアン / アルジャジーラ 2月1日

人質事件ALJ
日本の安倍晋三首相が中東各国を歴訪し、イスラム国への対策を強化している各国を支援するため2億ドルを拠出すると宣言した直後、日本の市民はイスラム国に拘束された2人の日本人人質、後藤健二氏と戦場で捕虜になったもう一人の男性が戦闘員の両脇にひざまずかされているビデオの画面を、恐怖の思いで見つめなければならなくなりました。

イスラム国に対する国際社会が連携した対策の実施に日本が加わることを批難し、人道的問題は中東全域に渡る問題であるという趣旨の演説を行った後、戦闘員の男は72時間以内に身代金として、先に安倍首相が援助を約束したのと全く同額の2億ドルを支払うよう要求しました。

日本が1月23日の身代金の支払いの最終期限を逸した後、昨年8月に誘拐された私設軍事顧問の湯川遥奈氏が殺害されたものと見られています。

この後イスラム国側の要求は変化し、第2の日本人人質、著名なフリージャーナリストである後藤健二氏を無事に釈放する代わり、現在ヨルダン国内に拘留中のイスラム国戦闘員の釈放という『囚人交換』の取引を提示してきました。
この一連の動きはシリアで誘拐された日本人が人質にされ、取引の材料にされた初めての例になりました。

ISISヨルダンパイロット03
昨年末の選挙の完全勝利により首相に再任された安倍晋三氏は、日本国民の命の安全を確保するために「あらゆる外交ルート」を使う「全面的な努力」を行うと誓いました。
安倍氏は中東世界の実力者たち、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領、パレスチナ自治政府のマフムド・アッバス議長、エジプトのアブドル・ファタ・エル-シシ大統領、そしてヨルダンのアブドラ王の支援を取り付けました。

▽ テロリズムと日本

西側先進国の主だった国々、特に米国と足並みをそろえ、イスラム国側にどのような類いの身代金の支払いに対しても、安部首相は厳しい姿勢をとりました。
そして
「日本は、テロリズムに決して屈することは無い。」
と断言しました。
「日本は国際社会と手を携え、テロリズムとの戦いに一歩も引くことなく最善を尽くします。」

そして第2の日本人人質は、イスラム国によって頭部を切り落とされてしまいました。

人質事件01
事件の経過の中、イスラム国側の人質交換の提案に対し、イスラム国の空爆を行っていたヨルダン人パイロットを無事に生還させたいヨルダン当局が交換に応じる姿勢を見せた際、場面は劇的な転換を見せました。
これにより第2の日本人人質の後藤さんも無事生還できる可能性が出てきたのです

関係者の話では、日本とヨルダンの当局者は、イラク国内の部族的指導者や宗教的指導者を介して、イスラム国との交渉を続けてきました。

しかし結局は、後藤氏も湯川氏と同じ運命を辿らされることになり、これについて安倍首相は日本人人質の「身の毛がよだつような」「卑劣な」殺害を非難、
「日本がテロリズムに屈することは絶対に無い」と改めて誓うことになりました。

安倍政権の下で日本は、防衛方針を根本から変える野心的な計画の実施に乗り出しました。
各種の抵抗をものともせずに決断を繰り返す安倍流の政治手法は、日本国内ではそれなりの人気を得ています。

憲法第9条01
しかし今や日本人の心の奥底にはきわめて平和主義的な文化が息づいており、国際舞台において日本がこれまで以上に独自の、そして大きな外交的役割を担おうとする安倍氏の野心は思うに任せません。
そして今回の日本人人質を襲った悲劇は、こうした安倍首相のタカ派的外交路線に対する国内の反発を一層大きなものにする可能性があります。

〈 後篇に続く 〉

※リチャード・ジャバード・ヘイダリアンは、中東・アジア地区の地政学・経済問題の専門家であり「資本主義はどのようにアラブ社会を破壊したのか」「中東動乱の経済ルーツと不安定な未来」などの著作があります。
本稿で示される見解は著者個人のものであり、必ずしもアルジャジーラの編集方針を反映しているわけではありません。

http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2015/02/abe-vision-threat-150201060458999.html
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【 内戦という名の戦争、難民キャンプ、そしてずたずたにされた子供たちの心 】〈4・再掲載〉

アメリカNBCニュース 3月11日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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レバノンのベカー渓谷では約5,000人の国外脱出をしたシリア難民が、フェイダ・キャンプと呼ばれる場所で生活しています。
AP通信のニュース・カメラマン、ジェローム・ディレイとNBC放送の番組制作者である立花由香が2日間キャンプを訪問し、まだ成年に達していない戦争の生存者がどんな生活を強いられているか、取材と写真撮影を行いました。

8歳のイスラムは兄弟と一緒にシリアのバスラからこのキャンプに逃れてきましたが、それがいつだったのか正確な日付はもう覚えていません。
「ここよりもずっとシリアの暮らしの方が好きだったわ、学校も、友達も、そして自分の家も…」
(写真上)

レバノンの非政府組織の責任者に抱きしめられる12歳のファティマ。
ファティマは母親と一緒にシリアのイドリブから逃れてきましたが、父親はすでに亡くなっていました。
2ヵ月前、厳しい冬の嵐がキャンプのあるベカー渓谷に襲い、暖房設備の無い難民キャンプの環境は危険な程の低温状態に陥り、ファティマの母は命を奪われてしまいました。
ファティマは現在彼女の兄弟と一緒に暮らしていますが、できれば非政府組織の責任者である写真の女性、マリアと一緒に暮らしたいと願っています。
ファティマはマリアを『ママ』と呼ぶようになりました。(写真下・以下同じ)
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8歳のオラもシリアのイドリブから、2週間前に家族と一緒に逃れてきたばかりです。
シリア国内では食糧価格が暴騰し、満足に食事もできず、絶えず空腹だったと語ります。
戦争のため学校も開かれていませんでした。
自宅が爆破された時、幸いにも家には誰もいませんでした。
オラは絵を描くことが大好きです。
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8歳のアリヤムもシリアのイドリブから6ヵ月前、家族と一緒にバスに乗って逃れてきました。
12時間以上の逃避行の間、アリヤムが乗ったバスは何度も銃撃され、暴力も目撃しました。
戦争が始まる前、アリヤムは何の屈託もなく友達と遊んでいました。
しかし今は母親のそばから離れなくなりました。
母親のそばでなければ眠ることも無く、学校に行くこと拒否しています。
母親だけがアリヤムにとっての安らぎなのです。
アリヤムの兄は未だシリア国内に留まっています。
「お兄ちゃんがいなくて、とても寂しいです。」
アリヤムがそう話しました。
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キャンプで屋根の上によじ登って遊ぶ10歳のアドハム。妹のアリヤムとは異なり、アドハムは進んで学校に通います。
朝学校に行き、昼食時にいったん自宅のテントに戻りますが、夕方再び学校に戻っていきます。
彼は日中は家族のために働き、朝と夕方に大好きな学校に通っているのです。
イドリブの自宅で暮らしていた時、すでに学校は破壊されており、アドハムは通学することはできませんでした。
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14歳のバデルはシリア、ホムスの出身です。
彼は1年前のある日、家族のためにパンを買いに行く途中、足に狙撃兵が放った銃弾が命中しました。
彼は傷ついた足にまだ体重をのせることができずにいます。
「得意だったサッカーも出来なくなりました。今は友だちがサッカーをしているのを見ているだけになりました。」
彼は庭付きの大きな自宅に戻れる日を夢見ていましたが、その自宅は家族と一緒にレバノンに批難した一か月後、砲弾によって完全に破壊されてしまいました。
「もう今は何も残っていないそうです。」
バデルはさびしそうにこうつぶやきました。
彼は大人になったら弁護士になるつもりです。
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水を探しに来た10歳のラワン。シリア、イドリブから1年前に家族とともに避難してきました。
ラワンは戦争について忘れることのできない記憶があり、シリアにはもう戻りたくないと語ります。
「私は空を見上げた時、ヘリコプターから爆弾が投下される瞬間を見てしまいました。そして犬が人間の死体を食べているのを見たのです。」
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9歳のフィラス(中央左)と14歳のイド(中央右)は共に1年前シリアのホムスから逃れてきました。
9人兄弟のフィラスは、暴力が横行するシリアから逃れる事が出来、現在は安心して学校に通っています。
一方のイドはこう語りました。
「一日も早く自宅に戻り、テント生活から解放されたいです。」
イドにも8人の兄弟姉妹がいますが、現在は近くのザーレの町で働く、最年長の兄が頼りです。
syr12

http://www.nbcnews.com/storyline/syrias-children/tiny-survivors-faces-endless-conflict-n49401

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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