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【 隠され続けるフクシマの現実、歪められる真実 】《1》

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所要時間 約 11分

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日本政府と原子力産業が原発被災者の人々と向かい合う姿勢は、ちょっと言葉では表現できないほど冷酷
原発事故被災地に人々が戻れば、かつての安全基準の上限の20倍という放射線を浴びることになる
日本政府や行政機関、それらに協力的な人間たちの『安全』という主張に、実測された放射線量の裏付けはない

 

フェアウィンズ 4月5日

ホストのマーガレット・ハリントンが、アーニー・ガンダーセン氏とともに、人間が作り出す災害の中で史上最大とも言うべき原子力発電所事故、すなわち福島第一原発の事故とその後の収束作業について、そして使用を止めたアメリカ国内のヴァーモント・ヤンキー原子力発電所の廃炉の問題について話し合います。
原子力発電所は建設時その所有者に対し、国民が納めた税金の中から助成金が交付されます。
そして原子力発電所は使用を停止した後も、その閉鎖・廃炉作業には60年から70年という期間が必要となる可能性があり、その間地方の住民は自治体から、そして国民は国から税金という形でそのための費用負担を求められることになります。

 

ハリントン:こちらは公正なメディアと民主主義を守るためのセンター、バーリントンのチャンネル17ニュース編集室です。
私は番組のホストのマーガレット・ハリントン、核・原子力の無い未来についてシリーズでお伝えしています。
そして今日はゲストにアーニー・ガンダーセン氏をお迎えしています。
ガンダーセン氏はフェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションのチーフ・エンジニアを勤めていらっしゃいますが、今度新たにヴァーモント大学のコミュニティ研究員にも就任されました。

 

ガンダーセン:マーガレット、またお会いできてうれしく思います。

アーニー・ガンダーセン
ハリントン:こちらこそ。ところでガンダーセンさん、あなたは事故発生から5年を迎えた福島第一原発を実際にご覧になり、故各地で講演会をされていますね。
今回私たちはガンダーセンさんの活動に合わせ、番組のタイトルを『事故発生から5年後の福島第一原発とヴァーモント・ヤンキー原発の廃炉』としました。
それぞれの現状はどうなっているのでしょうか?
今回は2つ同時に取り上げることになりますが、その前にガンダーセンさん自身の印象について語っていただけますか?

 

ガンダーセン:2、3お話したいことがあります。
まず申し上げたいのは日本の人々についてです。
そして福島県にいるのは、世界中どこにでもいる素晴らしい人々であるという事です。
しかしそれとは対照的に日本政府と原子力産業が人々と向かい合う姿勢の酷薄さは、ちょっと言葉では表現できません。

私は心底驚かされました。
日本政府と原子力産業は、原発事故の被災者を放射線量が未だに高い場所に戻そうとしています。
事故発生前、人間が許容できる放射線被ばく量は年間1ミリシーベルト以下というものでした。
しかし今、原発事故の被災者を元いた場所に戻すために、日本政府はその数値を20ミリシーベルト、すなわちそれまでの世界基準の20倍にまで引き上げたのです。

東京電力役員01
日本政府も原子力産業も、年間20ミリシーベルトの被ばくをしても安全だと主張しているのです。

事故が起きる前の日まで、1ミリシーベルト以下なら安全という基準だったのです。
そして今、被災地に人を戻すために安全基準が引き上げられました。
被災地に戻れば人々は、かつての安全基準の上限の20倍という放射線を浴びることになります。
まったく、本当にひどい話です。

 

ハリントン:実際に被災した人々は元いた場所に戻るように強制されているのですか?

 

ガンダーセン:強制されていると言って良いと思います。
被災した方々は現在避難先で、公的給付金に頼った暮らしをしていると言われています。
しかし今後は非位置に戻って暮らさなければ、給付金を受け取ることは出来ないと言われているのです。
避難先に留まるかどうかは自由に選択できますが、戻らないという決断をした場合には、日本政府はこれ以上は給付金を支給しないと言っているのです。
避難先で暮らしている人のほとんどは職を持っていません。
福島第一原発の事故により、収入源を失ってしまったのです。
彼らは生きていくためには汚染された故郷に戻る以外の選択肢は実質的にありません。
なぜなら収入を得るための手段を奪われたままだからです。
とても悲しいことです。

放射線
ハリントン:あなたは福島で実際にそうした人々の話を、直接聴く機会があったのですね。

 

ガンダーセン:そうです、避難場所のひとつで私は22人の女性たちと話をしました。
そこはいわゆる仮設住宅というもので、66世帯が入居していました。
どれ程小さいか想像できない方のために申し上げますと、仮設住宅の1戸はトレーラーハウス1戸分と考えていただくと良いと思います。
そこで暮らしていた住民の3分の1にあたる方々が、私と話すために3~4時間という時間を割いてくださいました。
この仮設住宅の自治会長を務めていたのは、素晴らしい行動力を持った女性でした。
彼女は福島第一原発が事故を起こした後、髪の毛が抜け落ち、鼻血が出て、皮膚に小さな斑点が出るという症状が出ました。
医師はストレスによるものであり、あまり気にしない方が良いと語りました。

それは、ストレスなどではありません。明らかに放射線障害です。
重ねて言いますが、これこそが私が直接見聞きした非人間的行為です。
日本政府や行政機関、そしてそれらに協力的な人々は同じような題目を唱えていますが、それは実際に測定された放射線量に裏付けられたものではありません。

ガンダーセン氏
私は自分の足で福島県内の被災地に近い丘を登り、谷に降りていきました。
私たちは被災地で野生の猿の後を追い、彼らの糞を採取し、それを線量計で分析しました。
高い放射線量が測定されました。
私たちはハンターに依頼して野生のイノシシを射殺しましたが、その体から高い放射線量を測定しました。
私たちはこうした調査をすべての山地山脈で行いましたが、同じ結果が出ました。

 

みなさんはカナダと国境を接するアメリカ東海岸のヴァーモント州にお住まいですが、州の中心のミドルバリーからカナダ国境まで、そして近くのシャンプレイン湖からマンスフィールド山に到る一連の地形とその周辺一帯が放射能によって汚染された状態を想像してみてください。
この汚染された場所を何カ所もの小さなエリアに細分化し、一か所ずつ環境中の放射性物質を取り除く除染作業を行うとします。
一か所の除染を終えても、山地から放射性物質がちりやほこりなどに乗って吹き降ろされ、再びその場所に降り積もり汚染されることになるのです。

 

ハリントン:まさにヴァーモントのような地形であれば、起こりうることですね。
ガンダーセン:おっしゃる通りです。私も2、3の代表的な都市を取り囲むようにたくさんの町村が存在する福島とヴァーモント州の類似点を感じていました。
福島では未だにバーリントンの倍の人口にあたる70,000の人々が、放射能汚染のため自宅に戻ることが出来ません。

Go04
私は無人のゴーストタウンのようになった町や村を車で通りぬけました。
バーリントン全体から人がいなくなった状態を想像してみてください。
福島の現実はその倍の規模なのです。

 

私はその現実の重さを痛感せずにはいられませんでした。

 

- 《2》へ続く -

http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education//arnie-gundersen-on-cctv-nuclear-free-future-fukushima-at-5-and-the-vermont-yankee-shutdown-what-do-they-mean
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東日本大震災を経験した際に私も味わった自分の存在がじわじわと脅かされるあの恐怖感ばかりは、実際に体験しないと解らないかもしれません。
今回の熊本地震については我が家でも郵便局、新聞社、生協などいくつかのルートから寄付を続けていますが、被災者の方にいち早く直接届くルートが判然としないことに、もどかしい思いをしています。
というのも東日本大震災では、寄せられた義捐金の扱いが宮城県内では市町村単位でそれぞれ違っていたからです。
直接被災者に分配した市町村もあれば、全部町の予算に繰り入れてしまった自治体もありました。
そうなってしまうと果たして適切妥当に使われたのかどうか、確認のしようがありません。
省益や自治体の予算消化といった負のイメージが頭をよぎります。
水や食料同様、義捐金の配布にも最大限の工夫を願うばかりです。

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【 激発する自然の猛威 – 熊本地震の現場から 】

ガーディアン 4月16日

熊本21
噴煙を上げる阿蘇山(写真上)

地滑り現場の奔流(写真下・以下同じ)
熊本22
犠牲者の遺体をストレッチャーに乗せ、ブルーシートで覆って搬送する救急隊員。熊本の現場では救出後もがれきをかき分け、道を確保しなければならない。
熊本23
熊本24
熊本25
熊本26
熊本27
http://www.theguardian.com/world/gallery/2016/apr/16/earthquake-on-kyushu-island-japan-in-pictures

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