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【 福島の放射線量はもはや安全という幻想 】

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所要時間 約 10分

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日本で最大規模の事故現場、最も高額な費用を必要とする作業現場、その福島第一原発の状態はこれから何十年も続く

事故収束・廃炉作業が手順通り・計画通りに進行すると公言してはばからない日本政府当局、その楽観的な見解には深刻な疑念がある

 

マーティン・フリッツ / ドイチェ・ヴェレ 2017年3月11日

 

第一原子力発電所の3基の原子炉がメルトダウンし、言葉などでは表現しようがない程苦しめられた福島…

6年が過ぎた今、外見上は他の場所と変わらない日常を取り戻したように感じられるかもしれません。

しかし福島第一原発の事故収束・廃炉作業現場に目を移せば、そう簡単には進みそうもない長い道のりが残されています。

 

口と鼻を得覆うためのフィルター付きのマスク、ヘッドスカーフ、ヘルメット、そして2重になったソックス、これらは福島第一原発の敷地内に一般人が入る際、必ず身につけなければならないものです。

しかし現在は敷地内の地面が放射能の拡散を防ぐためにすべてコンクリートで覆われ、フェースマスクや放射線防護服を着用しなければならない作業員はごく一部だけという状況に変わりました。

 

「現在の放射線量は、東京銀座の商店街と同じくらいにまで下がっています。」

東京電力の原子力・立地本部長代理の岡村祐一氏が、福島第一原発を最近訪問した一団のジャーナリストにこう保証しました。

しかし訪問者たちが施設内を巡るバスからそばに原子炉が見える場所に降り立ち、線量計の針が安全と考えられる放射線量の2,000倍である160~170マイクロシーベルトを指すのを見ると、正常になったという錯覚はたちまち消えてなくなります。

「長時間ここにとどまることはできません。」

岡村氏がこう警告しました。

 

外見上、6年前地震、津波、原子力発電所事故の三重災害に襲われた当時と比較すると、福島の様子は著しく変わったように見えます。

事故収束作業は、明らかに前進しました。

 

しかし建物を支えていた鉄骨がむき出しになり、壁が裂けて何本もの配管が寸断されている光景は、6年前この施設を水没させ、原子炉の機能を完全に奪ってしまった高さ17メートルの津波の事を思い出させます。

マグニチュード9.0の地震とそれによって発生した巨大津波に襲われ、チェルノブイリ以来世界史上最悪の原子力発電所事故を引きおこした福島第一原発の事故収束・廃炉作業には、30年から40年かかるとされています。

日本政府の当局により作業全体で約21兆5,000億円の費用がかかると見積もられていますが、費用はさらに高額になる可能性があります。

6,000人の労働者が立ち働く福島第一原子力発電所の事故収束・廃炉作業現場は、日本国内で最大の規模、そして最も高額な費用を必要とする工事作業現場ですが、その状態はこれから何十年も続くことになるのです。

「私たちは今、4つの問題と戦っています」

東京電力の原子力・立地本部長代理の岡村祐一氏がこう語りました。

「福島第一原子力発電所内の放射線量を下げること、原子炉への地下水の流入を止めること、使用済み核燃料棒をすべて回収すること、そして溶け落ちてしまった核燃料を取り除くことです。」

 

▽ 原子炉格納容器内の黒いかたまり

 

しかしこうした分野における状況はゆっくりとしか進んでいません。

一例をあげると作業員は現在、原子炉1号機の原子炉建屋の周りに足場を組んでいますが、そこにあるがれきその他をすべて取り片づけるにはこれから4年がかかる見通しです。

その作業が終わらない限り、原子炉1号機の原子炉建屋内にまだ残っている約400本の使用済み核燃料棒を取り出すことはできないのです。

 

隣接する原子炉2号機の青い原子炉建屋の外部はまだ無傷のままです。
原子炉建屋の上で新たに設置された金属プラットホームの上を、防護服を着けた作業員たちが歩いているのを見ることができます。
しかし壁の後にあるものは原発の悪夢です。
1月に原子炉内に送り込まれたロボットは、原子炉の外殻である原子炉格納容器に高温で溶け漏れ出した核燃料が凝固したとみられる、きわめて危険な黒いかたまりを発見しました。

「現在その部分には致命的に高い放射線量があります。」
岡村本部長が語りました。

 

岡村氏はすぐに3号機に話題を転じました。

ここの進展具合はさらに明らかです。
水素爆発は原子炉建屋の屋根を、曲がりくねった金属がもつれあったスクラップに変えてしまいました。
この鋼鉄製のスクラップを解体し、がれきを取り除くことに何年もかかりました。
「現在私たちは、巻き上げ式のホイスト・クレーンを使って新しい屋根を造っています。」
岡村氏が誇らしげに語りました。
「来年以降、私たちは最終的に約600本の使用済み核燃料棒に近づくことができるようになります。」
岡村氏がこう解説しました。

 

しかし、原子炉が爆発しなかった4号機とは異なり、メルトダウンした1〜3号機の周囲は人が2、3分しかそこにとどまることができないほど放射線量が高く、すべての事故収束作業は遠隔作業で行う必要があります。
その結果、クレーン関係の装置を設備するだけのことで、すでに数年間のスケジュールの遅れが発生しています。

 

▽ すべては不明のまま

 

福島第一原発の原子炉の実際の状況を見る限り、事故収束・廃炉作業が手順通り・計画通りに進行すると公言してはばからない日本政府当局の楽観的な見解に対し、深刻な疑念を抱かざるを得ません。


引き続き東京電力の岡村氏は地下凍土壁のコントロール・センターについ説明しました。
凍土壁は原子炉の基礎部分にある、原子炉内を冷却した際に発生した高濃度の汚染水がある場所に地下水が流れ込まないようにするためのものです。
凍土壁が建設されて以来、原子炉基礎部分への地下水の流入量を減らすことができました。
しかし5つに区切られた凍土壁は、内部で水位が急激に上昇した場合に大量汚染水が氾濫する可能性があり、これを防ぐため開口部を作らざるを得ませんでした。

 

このように困難な問題が山積しているにもかかわらず、日本政府と東京電力は今年の夏という早過ぎる時期にケルトダウンした原子炉内からどうやって融け落ちた核燃料を取り出すべきか、決定する予定になっています。
福島第一廃炉推進カンパニー・バイスプレジデント兼福島第一原子力発電所長の内田俊志氏ですら、こうしたスケジュールが実現可能なのかどうか、この日訪問したジャーナリストたちの前で、自身が持つ疑念を隠すことはできませんでした。
「すでに私たちの手元にはロボットとカメラが提供してくれた、貴重な画像があります。」
内田氏がこう述べ、次のように続けました。
「しかし内部で本当に何が起きているか、いまだ不明のままです。」

 

http://www.dw.com/en/the-illusion-of-normality-at-fukushima/a-37885120

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【 メトロポリタン美術館375,000点の収蔵作品をデジタル化、無料提供 】《15》

ニューヨーク・メトロポリタン美術館

 


ニューヨークのメトロポリタン美術館はそのコレクションをデジタル化し、無料で375,000点に上る画像データを公開しました。
いずれも公有財産として、無料で制約なしで利用することが出来ます。

カミーユ・コロー(フランス: 1796–1875)作[荷船を漕ぐ男性](写真上)油彩、1865
Camille Corot (French, Paris 1796–1875 Paris)

1796年、パリの裕福な織物商人の子として生まれたコローは、画家になることを反対していた父親にしたがい、いったんは商人としての修業をしますが、1822年26歳の時、ようやく父の許しを得て画家を志すことになりました。
ありふれた風景を詩情ゆたかに描き出す手法により、のちの印象派の誕生を導き出すことになりました。

http://www.metmuseum.org/art/collection/search/435969

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