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【 政治権力の闇の力を強化した安倍政権 : 後退を重ねる日本の平和主義、失われていく国民の権利 】〈前篇〉

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所要時間 約 6分

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路上での怒りに満ちた抗議活動もどこ吹く風、安倍政権の異常な熱意
日本は中国や北朝鮮などの独裁国家と、本質的に何ら変わらない国になってしまう
近代史が証明 : 日本には言論の自由に関する根強い伝統はない

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 11月28日

秘密保護法01
路上での怒りに満ちた抗議活動、主要な新聞の社説の軍国主義国家回帰への懸念、そんなことには一顧だにする事無く、日本の保守派を代表する一人、安倍首相は第二次世界大戦後長く続いた日本の平和主義を追憶の彼方に押しやるべく、その立法上の課題のひとつをもうすぐ達成できそうな所までたどり着きました。
特定秘密保護法の制定です。

特定秘密保護法案は衆議院を、それこそ『あっという間に』通過し、今年中に参議院で可決・成立する見込みです。
安倍首相はアジア地区における集団自衛行動に積極的に参加し、自衛的軍事行動に対する制限を最低限にする事こそ国家としての『当たり前の姿』だと規定、それを実現するための取り組みを続けていますが、今回の法案成立はそのための第一歩を印すことになります。

11月最後の週に可決成立したアメリカ合衆国と同内容の国家安全保障会議の創設に加え、特定秘密保護法が議会を通過することになれば、いわゆる『有事』の際の首相の権限が一層強化されることになります。

防空識別01
安倍首相は日米間で軍事面での高度の機密情報を共有できるようにするためには、日本の高度の機密に属する情報管理体制の『穴』を塞ぐ必要があり、そのために今回の特定秘密保護法案の成立が必要なのだと力説しました。

台頭する中国と強まる自己主張に対し、安倍首相は日本をより強力なアメリカの軍事同盟国とすべく、取り組みを続けてきたのです。

しかし特定秘密保護法案はたちまちにして、報道機関の多く、そして大学関係者など反対派に対する避雷針と化しました。
これら法案に反対する人々は、一握りの高級官僚によって国家機密が何であるかが裁量され、さらには現在でさえ情報の開示については後ろ向きな日本政府が、国民に対する情報提供を増々避けるようになる事態を恐れているのです。

数多くの人々が今回の法律が施行されれば、政府による権力の濫用が常態化してしまうと警告しています。
さらには昭和初期、軍部の台頭とともに報道に対して厳しい制限を課す法律が次々と施行され、結果的には真実を知らされないまま国民が第二次世界大戦へと引きずり込まれて行った時代を例に挙げ、今回の法律の危険性に警鐘を鳴らす人々もいます。
「近代史が証明するように、日本には言論の自由に関する根強い伝統というものはありません。」
こう語るのは上智大学の言論関係の法律を専門とする田島泰彦教授です。

秘密保護法07
「官僚が国家機密の定義を自由に決められるようになってしまえば、日本は中国や北朝鮮などの独裁国家と、本質的に何ら変わらない国になってしまいます。」

この法案に対する批判の中で最も大きなものは、特定秘密の定義があまりにも漠然としすぎていて、どのようにも解釈可能であるという点です。
現在の条文では各省庁のトップが外交、防衛、あるいはテロ対策などの国家の政策に関わる重要な情報であると定義してしまえば、公開不可の国家機密として一般国民には知らされないことになります。

さらにはこれらの秘密を漏らしたことで有罪の判決を受ければ、日本の現行の法律の規定よりはるかに長い、最高で10年の懲役刑を科せられる可能性すらあるのです。

この特定秘密法案は、国家安全保障会議の創設案とともに、11月の最終週に国会での審議が始まりました。
日本国内の政治評論家は、この二つの法案は安倍首相の宿念の政治課題である、防衛目的の軍備しか許さない現行憲法の改正、そして日本が完全な形での近代的軍隊の保有を実現するための第一歩になるだろうと語っています。

安倍首相が党首を務める自民党の代弁者として、長年日本の保守政界のために世論作りを行ってきた読売新聞は、10月に次のような社説を掲載しました。
「国家の安全保障戦略のための指令塔として新たに設立される国家安全保障会議が、正常に機能するために必要な法的枠組みが、今回の特定秘密保護法なのである。」

秘密保護法02
安倍首相は衆議院、参議院でともに与党で過半数の議席を占めていることを武器に、決められない政治に終止符を打つと宣言し、衆議院における特定秘密保護法案の審議を3週間で切り上げ、直ちに参議院に送りました。

〈 後篇に続く 〉

http://www.nytimes.com/2013/11/29/world/asia/secrecy-bill-could-distance-japan-from-its-postwar-pacifism
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『近代史が証明 : 日本には言論の自由に関する根強い伝統はない』という部分にドキッとしました。
確かにそうなんだ、戦後生まれの私は現行憲法が与えてくれた平和で自由な社会を当たり前だと思っている部分がありました。
しかし日本史を紐解けば、それ以前の日本には新聞条例、讒謗律、治安維持法など、国民の自由な言論を圧伏させようとばかりしていたことが解ります。
もっともっと危機感を持つべきだった、そう悔やまれてなりません。

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