ホーム » エッセイ » 【 核兵器を振り回す無法者、キム一家に振り回される世界 】
核兵器はキム一族による北朝鮮支配を正当化し、生き残るために大切な道具
問題を根本的に解決するには、他の問題をとりあえず後回しにし、アメリカと中国が連携することが不可欠
エコノミスト 9月9日
北朝鮮は何であっても世界的ルールに束縛されることを拒否しています。
世襲制に基づき独裁者の地位に就いたキム・ジョング・ウンは、何十万もの自国民に強制労働を強いながら、韓国の首都を火の海にしてやると脅迫を繰り返しています。
核兵器は金一家が支配する意義を証明し、生き残るための大切な道具です。
アメリカや周辺諸国にとって、たとえ北朝鮮との交渉がうまくいったところで何か利益が得られるわけでもなく、多くの国で自然とこの問題は後回しになってきました。
北朝鮮の核開発計画への対応の失敗はジョング・ウンの父親、キム・ジョン・イルが1993年に核拡散防止条約(NPT)から脱退すると脅迫したことが始まりでした。
これに対し2010年、米国のオバマ大統領が世界に向け『核兵器の無い世界』の実現を訴える演説を行い、一時は世界を楽観的ムードが支配しました。
オバマ大統領が始めたキャンペーンはロシアとイランを拡散防止協定に加盟させ、さらには核安全保障国際サミットを開催するなど他の場所では成功しましたが、唯一北朝鮮を屈服させる事だけは失敗に終わったことが明らかです。
オバマ大統領の任期が終わろうとしている現在、北朝鮮の核兵器・弾道ミサイル開発問題の危機的状況は日々深刻さを増しています。
現在北朝鮮は20基の核爆弾を保有していると見られていますが、6週ごとに1個ずつ増えています。
2016年に入り北朝鮮は前例のないペースで、立て続けに弾道ミサイルのテストを実施しました。
1月には4回目となる核実験を行い、北朝鮮は『水爆実験に成功した』と宣言しました。
しかしその実態はより威力を増した原子爆弾だと見られています。
その後何回か弾道ミサイルの発射実験を繰り返した後、9月9日に5回目の核爆発を実行しました。
北朝鮮は自国のノドン・ミサイルへの装着が可能になる程核弾頭の小型化に成功したと誇らしげに宣言しましたが、アメリカと韓国、両国の当局もその可能性を否定しませんでした。
そして9月5日には改良型の3種のミサイルが日本海西方に着弾しました。
北朝鮮が保有するミサイルは韓国と日本を射程内に収め、沖縄やグアムの米軍基地への攻撃を可能にしました。
そして今、北朝鮮のミサイル技術が射程距離を伸ばし、射程を拡大している兆候が見られ懸念が大きくなっています。
北朝鮮は今年4月、4,000キロメートルを射程圏内に収める中距離弾道ミサイル、ムスダン3発の発射実験に失敗しました。
しかし北朝鮮のエンジニアは自らの失敗について学習しました。
そして早くも6月には追加実験が行なわれ、部分的に成功していました。
そしていよいよKN-08大陸間弾道ミサイルの発射テストが始まる可能性があります。
その技術開発のスピードから考えると、オバマ氏の後継大統領が2期目を勤める頃には、ミサイルをニューヨークに着弾させる技術をものにすることになるでしょう。
アメリカはそうした技術が実用化される前に北朝鮮の核ミサイルを押収するか、破壊する計画を立案する必要に迫られることになります。
その場合中国の協力、最低でも黙認が重要な要素として浮上することになります。
北朝鮮の脅威は増々大きくなり、緊急性も増しています。
アジア各地で角を突き合わせているライバル同士であるアメリカと中国が、まずはこの問題を解決するための新たな連携の道を見つけなければならないことは明白です。
★図表や地図をクリックしても大きな画像が表示されない場合は、下記のオリジナルサイトでご覧ください。
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
【 アメリカの核爆弾搭載爆撃機、朝鮮半島上空へ 】
アメリカNBCニュース 9月14日
北朝鮮は米国がB-1爆撃機に朝鮮半島上空を飛行させたこととについて『無謀な脅しだ』と激しく非難しました。
2機の核弾頭搭載可能な米国B-1B爆撃機は9月12日夜間、朝鮮半島を横断しました。
この飛行には米国のF-16戦闘機と韓国のジェット戦闘機が護衛としてついてしました。
この飛行は、先週北朝鮮政府が行なって世界中から非難を浴びた核実験に対する、アメリカ側の示威行動であることははっきりしていました。
北朝鮮は直ちに国営メディアを通じて次のように述べました。
「米国の帝国主義者は、我が国の核実験の成功に慌てふためき、見境が無くなっている。B-1B爆撃機によって全面核戦争を行う準備が出来ていると脅迫している。」
また朝鮮中央通信によって発表された公式声明は、アメリカが北朝鮮による核実験を「挑発」と決めつけ、「先制核攻撃を開始する機会」を作るための「口実」としていると非難しました。
そしてアメリカが、「刻一刻、挑戦半島を危機的状況に追い込み、暴発させる『きわめて無謀な』行動をおこなっている」と伝え、「北朝鮮は厳しく状況を見極めるであろう。」と続けました。
「アメリカは、軽率な行動は止めた方がよい。」
声明はこう警告しました。
http://www.nbcnews.com/news/north-korea/north-korea-blasts-u-s-b-1-bomber-flyover-bluffing-n648026