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【 日本と韓国、その本当の関係 】《後編》

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所要時間 約 9分

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安全保障関連法案の成立により、日本の軍事力が韓国の防衛のために使われることは必然的状況になった

大言壮語を連発する安部首相のタカ派的国家主義政策は、韓国の防衛政策の国益にことのほか貢献している

 

道下徳成 / ニューヨークタイムズ[公募社説]2018年2月9日

 

韓国の産業基盤整備に一定の役割を担ってきた日本は、今日再び挑戦は当有事の際には韓国の防衛を担うことになる米軍を支援することによって、間接的に韓国の安全保障に貢献しています。

 

日本には現在約4万人の米軍が駐屯しています。

1950〜53年の朝鮮戦争では、第2次世界大戦後に日本に駐留していた米軍兵士がそのまま朝鮮半島に送りこまれ、米軍の戦艦、航空輸送機、戦闘機、爆撃機などが日本を拠点として出撃を繰り返しました。そして今日、朝鮮半島で武力紛争が起きれば米国は空軍の拠点として横田基地を、海軍の拠点として佐世保の基地を、そして海兵隊の拠点として沖縄の普天間基地など日本各地の主要な基地を再び使用し、韓国軍を支援する戦闘をいつでも開始できます。

 

さらに日本政府は、紛争の際に実行されるアメリカの軍事作戦を支援する用意がある

1997年米国と日本は、日本の自衛隊が、「日本周辺地域の状況に応じて、米軍に非軍事的な支援を提供する」ことに同意しました。

『状況』という言葉には当然朝鮮半島での武力紛争が含まれます。

長年にわたり韓国防衛のための日米協力は密接に行われてきており、一部の専門家はこうした関係について「バーチャル軍事同盟」が実質的に成立していると指摘しています。

そして北朝鮮が核兵器開発と軍事力の強化に狂奔し2003年初頭と2009年には危機的状況に陥ったにも関わらず、最終的に戦争に至らなかったのは、この仮想軍事同盟の存在によるものだと分析しています。

 

安倍首相が2012年に首相に復帰したことにより、日本の韓国への軍事的関与の強化は一方的なものになりました。

大言壮語を連発する安部首相のタカ派的国家主義政策は、韓国の防衛政策の国益にことのほか貢献しています。

安倍政権は2014年日本国憲法の制約の下で自国や米国や韓国を含む同盟国を守るために、軍事的行動の幅を広げられるように憲法を再解釈しました。

そして2015年には、朝鮮半島周辺の水域や空域で戦闘を行う可能性のある米軍に日本の自衛隊が援軍として戦闘に参加することを認可する安全保障関連法案を国会で可決成立させました。

この法案の成立により、例えばグアムやハワイを攻撃目標とする北朝鮮の弾道ミサイルを撃墜したり、朝鮮半島で水陸両用作戦を行う米軍を掩護するために掃海活動を行なったり対潜水艦作戦を実行できるようになりました。

言い換えれば、日本の軍事力が韓国の防衛のために使われることは必然的状況になりました。

もし意図的に無視されているのでないとしたら、こうした現実は実用的な理由から、概ねそのほとんどが過小評価されています。

韓国を守るという考え方は日本ではあまり一般的ではありません。

特にリベラルな平和主義者であるとされている人々の間では、ほとんど意識されていません。

さらに一部の日本人は自分たちの国が他国の戦争に引きずりこまれることを懸念しており、まして長年日本を批判し続けてきた韓国のために日本が犠牲を払わなければならないことの意義を測り兼ねています。

 

韓国人の一部にもかつて自分たちを植民地化した日本政府から安全保障上の援助を受けていることに不快感を感じています。

私が長年にわたり話してきた多くの韓国のジャーナリストや学者たちも、米国の安全保障へのコミットメントの重要性は喜んで認めていますが、日本がそのような貢献をする場合には真意を疑われるか、あるいは中の1人が語ったように『どうせ東アジア地区における覇権の確立が本当の狙いだろう。』と疑われてしまいます。

しかし、ムン・ジェィン氏が2017年5月に大統領に就任して以来、公式ルートの最高レベルでは状況が違ってきました。

当初ムン大統領は慰安婦問題を解決するために2015年に当時の韓国政府と安倍政権が合意したことを批判し、前政権よりも日本に対してより厳しい立場を取ると見られていました。

しかしムン政権はその後、慰安婦問題に関する条約の再交渉は要求しないと発表しました。

再び現実的な政治路線が採択され、新たな段階に入ったと言われる北朝鮮の脅威を前に過去の反目の記憶は遠くに追いやられることになりました。

 

それを裏付けるように平昌オリンピックの開会式の後、韓国のムン大統領と会談した安倍首相は

「北朝鮮は、日米韓の強い絆がいささかも揺るがないということを認識しなければならない。」

と語りました。

 

東京にある国立政策研究大学院大学の教授である道下氏は、国際安全保障研究プログラムの責任者を務めています。

 

https://www.nytimes.com/2018/02/09/opinion/japan-south-korea-friendly

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この記事を読んでいて、北朝鮮危機というものが誰が何のために『作り出したもの』なのかわからなくなってきました。

北朝鮮のキム一家が世襲による国家支配を続けようとする無理が歪みを生んでいるのか?

それとも世界から戦争の火種が消えしまうと不都合だと考える軍産複合体が仕組んでいるのか?

 

「増殖を続けるテロ集団と終わらない戦争、それを始めさせたのは大国の官制暴力」

というアルジャジーラの記事をご紹介したことがあります。( http://kobajun.biz/?p=29078 )

 

時代遅れの国家主義を煽り、世界最悪の隣国関係に陥る中国/北朝鮮/韓国/日本「世界規模では『終わった』はずの核兵器開発競争が、東アジアで再燃する恐れ」

同じアルジャジーラがこう指摘したこともありました。

( http://kobajun.biz/?p=28265 )

 

「平和と外交による紛争解決の実現にこだわらなければ、私たちは想像もできない規模の大量破壊の恐怖を繰り返す」

これはガーディアンに掲載された一文です。

( http://kobajun.biz/?p=28113 )

 

そして気になるのはニューヨークタイムズのこの指摘です。( http://kobajun.biz/?p=30012 )

「沖縄に駐留するアメリカ軍の主な任務は日本の国土の防衛だけではなく、アジア全域におけるアメリカの権益を護ること」

 

安倍政権が声高に主唱している自衛隊の軍事能力の強化について、その本当の目的が何なのかということに深刻な疑念が湧いてきました。

 

 

暴力によっては何も解決しません。

もっと厳密に言えば、20世紀後半以降の歴史は暴力によって何かが根本的に解決した事実が存在しないということを証明しています。

しかし暴力を正当化しようとする勢力がカネと権力、そして大勢の人間の血を欲しているという現実を、私たちは常に意識していなければなりません。

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