ホーム » エッセイ » 【 安倍政権、共謀罪法案を強行成立 – 国民が監視対象に 】《後篇》
一般市民が絶えず監視され続ける暗黒世界が見えてきた
「もしあなたがはさみを2本買ったら、犯罪目的だとみなされる可能性があります。」
モトコ・リッチ / ニューヨークタイムズ 2017年5月23日
日本の法律では警察が電話機に盗聴装置を取り付ける場合、許可申請しなければなりませんが、裁判所はそうした申請をほとんどの場合は許可します。
その結果、多くの国民がテロを防止するためという名目でプライバシーの権利を剥奪される可能性がある、法案に反対する人々はこう主張しています。
カルト教団であるオウム真理教のメンバーが東京都内の地下鉄でサリンガス攻撃を行い、13人を殺害し5,800人以上に深刻な被害を与えた事件が発生した1995年以降、日本国内で大きなテロ事件は発生していません。
「この法律が成立すれば、私たちはどれだけプライバシーを侵害されることになるのか、今のところ解りません。」
専修大学でジャーナリズムを専攻する山田健太教授がこう語りました。
「私たちは小説『1984』の世界に入っていくのかもしれません。」
山田教授は一般市民が絶えず監視され続ける暗黒世界を描いた、ジョージ・オーウェルの小説を引き合いにしました。
安倍政権の金田法務大臣がどのような場合に個人やグループが犯罪を計画していると認定される可能性があるか実例を挙げて説明したことにより、この法案に対する懸念はなお一層かきたてられることになりました。
具体例のひとつとして金田法務大臣は、地図と双眼鏡を持って公園にやってきた人がテロを計画しているという嫌疑を受ける可能性があると語りました。
「警察がすることがすべて正当化されかねない程、この法律が規定する中身は漠然としています。」
京都大学の刑法を専門とする高山佳奈子教授がこう語りました。
「もしあなたがはさみを2本買ったら、犯罪目的だとみなされる可能性があります。」
しかし今回の法案を支持する人々は反対派の人びとやニュースメディアが、中身ではなく法務大臣の発言を大げさに解釈していると主張しています。
「彼らは適切な説明ができない法務大臣の誤った表現を、ことさらおかしく強調しています。」
この法案を支持する大阪の木村啓次郎弁護士がこう語りました。
5月22日火曜日国会で発言した平口洋衆議院議員はこの法律が対象とするのは『組織的犯罪グループ』に明確に限定されているとかたりました。
「普通の人々がこの法律に明記される罰則の対象とはならないことは、なおさら明白です。」
平口議員がこう語りました。
国連特別報告官のケナタッチ氏は電子メールの中でこの法案が
「不完全である」
と語っています。
https://www.nytimes.com/ Conspiracy Bill Advances in Japan Despite Surveillance Fears
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