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【 憲法の書き換え、軍事力の強化、もはやはばかることなく明言する安倍首相 】

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日本全体を地獄の業火に叩き込んだ戦前の軍国主義、そこに通じるものに対する多くの国民の強い拒否反応
憲法を書き換えて日本の軍事力を強化する、それが国民全体・地域全体の平和と安定に本当に貢献するのか

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 2014年12月24日

憲法解釈変更 7
安倍首相は2014年末の衆議院議員総選挙での勝利を受け、新たな任期の内閣についてほぼ全員を留任させるとともに、国際紛争の解決手段として戦争放棄を規定する憲法を改定する、そのための準備に着手すると明言しました。
安倍首相は同時に数々の構造改革・規制緩和を実行し、日本を不況から脱出させるため『アベノミクス』の名で知られる成長方針を推進するとも語りました。
安倍首相は深夜行われたテレビ番組の中で今後4年間の任期中に上の方針を推進すると述べましたが、第二次安倍内閣は戦後最も長命の政権のひとつとなる可能性があります。

「私は全力で第二次世界大戦以降、最も大きな改革を成し遂げるつもりです。」
安倍首相は記者団にこう語りました。
「私たちが達成しなければならない大きな目標です。」

安倍首相は憲法の改定に対しては、国民の抵抗がまだ根強いものがあると認めた上で、まずはいかなる変更についても国民一般の支持を取りつける必要があると語りました。
現在の憲法はアメリカ占領下の日本で起草されたものですが、制定以来これまで一度も書き変えられたことはありません。

No War
しかし現在台頭を続ける中国の軍事力、そして戦後長く同盟関係を続けてきたアメリカの軍事的存在感の相対的減衰という事実を前に、憲法により日本の軍備に制限を加えることには意味が無いという感情が高まっています。

安倍首相を含む日本国内の右翼政治家は、敗戦国というプライドを傷つけられた状況から抜け出すために、これまでずっと日本独自の憲法を制定すべきであると主張してきました。

安倍首相の与党である自由民主党が手にした12月14日の圧勝は、憲法を書き変えるたことを発議するのに必要な衆議院の3分の2に近い議席をもたらしました。
しかし議会での発議が承認されても、憲法を書き変えるためには国民投票により国民の過半数の賛同を得る必要があり、安倍首相もそのハードルの高さは充分認識しています。

しかし安倍首相は憲法を変えてしまうことの必要性に対する国民の理解を深めるため「懸命の取り組みを行う」と明言する一方、条文の一部を改訂することをも同時に視野の中に入れています。
当然その中には第9条が含まれることになるでしょう。
第9条は紛争の解決手段としての戦争を放棄し、『戦力の保持』も禁止しています。
この条文に基づき日本はこれまでの数十年間、その戦力については純粋に国土防衛を目的とし、活動内容に様々な制限を加えた自衛隊のみが許されるとの解釈を行ってきました。

集団的自衛権04
安倍首相が目論む憲法の改定は、多くの日本人の激しい抵抗に遭遇することになるでしょう。
これらの人々は、日本全体を地獄の業火に叩き込んだ戦前の軍国主義に通じるものには、強い拒否反応を示します。
憲法を変えてしまおうとする動きは隣国の中国と韓国との関係を、さらに悪化させるかもしれません。
東アジアの広域に及んだ20世紀前半の大日本帝国の残虐な行為の記憶は、被害者にされた人々の中では未だに色あせてはいないのです。

「次なる目標は憲法を変えることです。私は歴史的に残る挑戦だと考えています。」
「しかしそれほど簡単なことではありません。」
選挙に勝利し議会内での絶対的優位を確定し、再び首相に指名された後に安倍首相はこう語りました。
この後安倍首相は政治資金問題でスキャンダルの渦中にある江渡防衛大臣を除く全閣僚を再任し、安倍内閣をスタートさせました。
江渡氏の後任には、自衛隊出身でその権限の拡大を政治信条とする中谷元氏を指名しました。
「日本を取り巻く安全保障環境は変わりました。我々は自力で日本の防衛力を強化する必要があります。」


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映画化された『史上最大の作戦』の著作があるアメリカのドキュメンタリー作家コーネリアス・ライアンに『ヒトラー最後の戦闘』という姉妹作があります。
この作品も映画化されているのですが、その中でソ連軍がなだれ込む直前のベルリンで、戦争に批判的、あるいは降伏について口にした一般人の自宅に数人の私服のゲシュタポがやって来て、人々を次々とその場で『絞首刑』にしていくシーンがあります。
私はこれが全体主義、軍国主義の本質を象徴するシーンだと思います。

同じ方向を向く人間は利用の対象
同じ方向を向こうとしない人間は徹底的に弾圧する

こんなものの復活を、私たちは許してはならないはずです。
憲法9条を書き変えてしまって直ちにそのような体制が復活する訳ではありませんが、少なくともその可能性が生まれることは確かだと思います。
戦前の軍国主義やナチスドイツのような体制が復活する可能性は、安倍首相やその周辺を見る限り絶無だと言いきれないものがあります。

今後第三世界の人口爆発、その影響に気候変動が絡んで発生する世界的な食糧供給の不安定化が、国家間の紛争原因のひとつを形成する可能性があります。
こうした状況を国家主義者が利用する可能性は充分にあります。
私たちは尚一層、監視の目を強めていかなければなりません。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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