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【 心をこわされてしまった人々 : 福島の放射線 】〈前篇〉

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所要時間 約 9分

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心因症疾病、あるいは心理的障害者とも言うべき深刻な状況

ベン・ブラムフィールド / アメリカCNNニュース 2月28日

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マグニチュード9.0の地震が発生し、東北地方の太平洋岸の景色を一変させてしまってから2年という月日が流れました。
そしてこの場所にあった福島第一原発もまた、その様相は全く別のものになりました

福島第一原発は世界がかたずをのんで見守る中、火災、そして爆発を繰り返し、数週間にわたって大量の放射性物質を巻き上げました。
付近で暮らしていた人々は放射線被曝をされられただけでなく、心にも深い傷を負わされることになったのです。

2月28日、世界保健機構は『東日本大震災と津波』という報告書の中で、任的被害の中で最もひどいものは精神的外傷である、と伝えています。
福島第一原発が放出した放射線により、一生の間に特定の種類のガンを発症する確率については、一部の人々についてのみ、わずかな上昇が見られるにとどまるだろうと、WHOは報告しています。
ただ福島第一原発内部で働いた若年層の緊急作業員については、著しい例外として扱っています。高線量の放射性ヨウ素を被ばくした場合には、甲状腺がんを発症する確率がたくなるだろうとしています。
しかし甲状腺は本来は比較的ガンを発症しにくい場所であり、このために全体としてのガンの発症確率は低いものにとどまるだろうという結論を出しました。

また、3.11の津波が原因となって発生した福島第一原発の原子炉3基がメルトダウンして以降の、ガン以外の各種の疾病については、WHOは「その発症原因の特定が難しい程低い」ものに留まるだろうとしています。

福島第一原発付近で暮らし、今回被ばくしてしまった子供たちについては、白血病、甲状腺がん、乳がんの発症確率が一般の人と比べ、若干発症確率が高くなると、WHOの報告書には書かれています。

福島第一原発の事故は国際原子力機関(IAEA)が定めた原子力事故の分類において、福島第一原発の事故は最悪のレベル『7』に分類されました。
これは1986年にウクライナで発生したチェルノブイリの事故以来、最悪となるレベルです。

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しかし福島第一原発の場合、事態は段階的に悪化していったという特徴があり、このため日本の当局は周辺住民を避難させるため、チェルノブイリと比べ時間的余裕を与えられました。
結果から見れば津波が一帯を破壊してしまったことも、事態が最悪になる以前に福島第一原発周辺から人々を避難させるのに役立ったという側面があります。

▽心に受けた深い傷

WHO報告は、大災害が与えた心理的影響の部分にハイライトを当てたものになりました。
恐怖、不安、そして絶望です。
その程度は深刻であり、心因症疾病、あるいは心理的障害者とも言うべき状況を呈しています。

WHOによれば原子力事故による非常事態が、一層その症状を深刻なものにしている可能性があります。

なぜなら放射線は目に見えず、その特徴を理解し、線量の大きさによる影響の程度を理解するまでには非常な困難が伴うからです。
そしてさらにこう述べています。

全国の人々から、被災地の人々が差別を受けたり中傷されたりする事態が発生する可能性がある。
被災者が他の場所で生きようとするとき、そのことが大きな障害になる可能性がある。

▽立ちはだかる障害

この地方で暮らす80代後半の女性は、調査機関による聞き取りを受けましたが、心配なことは放射線被ばくではありませんでした。
「何世代にも渡って、私たちはこの場所で暮らしてきました。先祖代々のこの土地を失ってしまったら、ご先祖様に顔向けができなくなってしまいます。」

福島県飯舘村には、かつて6,000の人々が住み暮らしていました。
福島第一原発から約40kmの場所にあるこの村は、事故の後ほとんど無住の、ゴーストタウンと化してしまいました。

高齢の中野幸雄さんと昌代さん夫妻にとって、人生はこれまで楽なものではありませんでした。幸男さんは第二次世界大戦(太平洋戦争)の終了とともにこの村に移り住んでから、かれこれ60年以上暮らしています。

仮設住宅01
「口ではとても説明できません。仮設住宅での暮らしは本当にひどいものです。精神的にもストレスだらけです。」
幸男さんがこう語りました。
仮設の暮らしの被害者である点、妻の昌代さんもまったく同じです。
「私は孤独なのです。それに年を取っています。こんな暮らしをしていたら、いったいいつまで生きていられるだろうか、毎日そんなことばかり考えています。」
この地が日本の中でも経済的には恵まれない地方だなどという事はてんでお構いなく、巨大地震、巨大津波、そして原子力発電所の大事故、この3つが一緒になって人々に襲いかかりました。
WHOはこの重なり合った悪条件により、発生が予想される健康問題は深刻化する可能性があると警告しています。
〈後編に続く〉

http://edition.cnn.com/2013/02/28/world/asia/japan-who-radiation/index.html?iref=allsearch
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【 JAPAN、2年が過ぎても… 】

ザ・ニューヨーカー 3月11日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

岩手県大槌町

岩手県大槌町


2年前の今日、1万5000以上の人命を奪い、何十万もの人々を被災者にした巨大地震と津波が発生、東日本を荒廃に追い込みました。

地震の規模はマグニチュード9.03、史上最も強力な地震のひとつと考えられます。
災害は別の巨大災害を引き起こしました。
福島第一原発事故です。
こちらは世界史上最悪の事故のひとつとなりました

福島第一原発から放出された大量の放射物質は人が暮らす街々を汚染し、その影響は何年続くか解りません。

日本のカメラマンQ. サカマキは、2011年以降、この災害の写真を撮り続けています。
「放射能漏れは未だに続いています。避難している人々は、もう一生故郷には戻れないのではないかと、心配しています。」
「苦しい生活、将来への不安、こうしたことから避難して人々の60%以上がP.T.S.D.(心的外傷後ストレス障害)を発症してしまいました。中には自殺してしまう人もいるのです。」

福島県南相馬市小高地区

福島県南相馬市小高地区


福島県楢葉町

福島県楢葉町


宮城県気仙沼市

宮城県気仙沼市

家族の遺影の前で

家族の遺影の前で


宮城県女川町

宮城県女川町


http://www.newyorker.com/online/blogs/photobooth/2013/03/japan-two-years-after.html#ixzz2NwSqTECy

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