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【 無用の紛争を挑発する安倍政権 】ワシントンポスト社説

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所要時間 約 6分

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日中の衝突、日韓関係の冷え込みは、安倍首相が進めようとする憲法改正、そして軍備強化のための格好の口実
安倍首相は国際社会では、歴史すら書き換えてしまう歪曲主義者として悪名高い存在
戦前の軍国主義国家・大日本帝国への個人的ノスタルジーを直接政治の場に持ち込む事をすれば、安倍氏が首相である事の大義は失われる

 

論説委員会 / ワシントンポスト 12月28日

安倍靖国
2013年11月中国は東シナ海において、日本と韓国に一部重なる形で一方的に防空識別圏を宣言しました。
これに対しアメリカ合衆国は、中国政府に通告する事無くB-52戦略爆撃機2機にこの防空識別圏内を飛行させ、一方的な力の行使は認められないという無言の威圧を行いました。

そしてこの問題はアメリカと日本の間の、安全保障協力関係の強化を促すはずでした。
そして場合によっては、日本政府と韓国政府の関係改善にまでその影響が及ぶ可能性もありました。

 

12月末、日本の安倍晋三首相は日米の軍事同盟を強化するためには避けて通れない、長年の懸案となっていた駐留アメリカ軍の新しい基地の建設に向け、沖縄県において必要な措置をとりました。

しかしその一方、安倍首相はただでさえ日米に対し好戦的ともいえる態度を隠さない中国に対し、無用の挑発を行いました。
小泉氏以来、7年ぶりに東京にある靖国神社に参拝し、今後のアジア情勢をより混沌とさせてしまったのです。
靖国神社には一般戦没者だけではなく、第二次世界大戦後の裁判で戦争犯罪人とされた戦時指導者も合祀されています。

この行為は国際社会における安倍首相の評価をいっそう悪いものにし、日本の安全保障すら脅かす結果となりました。

第二次世界大戦03
靖国神社は戦争犯罪人だけではなく、戦争の犠牲者である数百万人の日本人を慰霊するための施設です。
アメリカ大統領が国際社会からの非難を避けるため、国立アーリントン墓地に墓参する事を取りやめる事は考えられません。
しかし戦後日本の歴代の指導者は、第二次世界大戦中の日本の侵略行為、そして植民地化した各国から女性を挑発し、『従軍慰安婦』として性的奴隷として使役したなどの戦争犯罪について、綿密な調査はもちろん、事実を明らかにすることもしませんでした。

 

こうした態度に対する中国や韓国、さらには他の侵略された国々の反感が、戦争犯罪人とされた戦時指導者をも合祀する靖国神社に向けられる事になったのです。

安倍首相は国際社会では、特に歴史を書き換えてしまおうとする歪曲主義者として、悪名高い存在です。

そして常に軍備強化を指向し、軍備について厳しい制約を課す現在の平和憲法を改定する事を最終目標としている事についても、各国は警戒しています。

 

中国と北朝鮮の軍事的脅威を口実に、安倍首相は日本の軍備拡張と憲法改定の地ならしを進め、アメリカとの軍事同盟強化のための道筋を探り続けてきました。

しかし靖国参拝に象徴されるように、戦前の軍国主義国家・大日本帝国への個人的ノスタルジーを直接政治の場に持ち込む事をすれば、安倍氏が首相である事の大義は失われる事になります。

反安倍 2
事前に予想はしていたはずですが、靖国参拝は中国と韓国から激烈な反発を引き出しました。
しかし安倍首相の行為は、両国のナショナリストを利するだけに終わりました。
中国が一方的に防空識別圏を設定した事に正当性を与え、韓国のパク・キョンヒ大統領が日本との首脳会談を拒否し、日韓の関係改善のため何も行わない事についても支持が強まると見られます。

もう一方の側ではアメリカのオバマ政権は、沖縄の米軍基地問題の進展を喜んだ直後に、安倍首相の行為を厳しく批判する公式声明を発する必要性を認識させられる事になりました。
声明はアメリカ大使館から発せられた後、国務省声明に引き上げられました。

「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している。」

日本国内には、中国と韓国との間には一定の緊張関係を維持する事の方が安倍首相にとっては有利だとの見方があります。
安倍首相が進めようとする憲法改正、そして軍備強化のための格好の口実となるからです。

反安倍 1
しかし安倍首相のやり方は中国・韓国の反感を買うだけでなく、アジア地区で日本を孤立させてしまいます。
そして日米の同盟関係の強化も難しいものになります。

安倍首相の政策は外交的に、日本にどのようなメリットももたらす事は出来ないのです。

 

http://www.washingtonpost.com/opinions/japanese-prime-ministers-visit-to-war-memorial-was-provocative

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