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【 安倍首相の『新国家主義』、それは時代錯誤の帝国主義、国民を不幸にする国粋主義 】《第2回》

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所要時間 約 7分

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「日本を軍事大国化し、世界平和の実現に貢献する!」
どんな事例でも解釈次第で、内部告発者やジャーナリストを懲役刑に

サイモン・ティズダル / ザ・ガーディアン 2013年11月27日

安倍国連
2013年9月、安倍首相は国連総会で演説し、国際社会にはそのあまりにタカ派的な姿勢に対する危惧があるにも関わらず、日本が軍事面を含めた広範囲な分野で国際貢献を進めていくという方針を断固とした口調で、一切悪びれる事無く表明しました。

シリアの内戦、核兵器の拡散、国連の平和維持活動、ソマリアの海賊、開発援助、果ては女性の権利まで問題がなんであるかに関わらず、日本政府として積極的に関わっていく事を表明しました。
「日本を世界の平和と安定実現のための力としていきます。」
安倍首相はこう述べ、持ち前のスローガンを絡めて次のように続けました。
「日本は新たに、世界平和への積極的貢献の旗を打ち立てる事になるでしょう。」

長く続いた停滞期から日本経済を立ち直らせるための政策「アベノミクス」の緒戦の成功をふまえ、安倍首相はこう主張します。
「復活した強さと能力により、周囲に苦痛を与える事無く、日本は現在の世界が直面する課題に歴史的な挑戦を行う事になります。
日本の成長は世界に恩恵をもたらす事になるでしょう。日本の停滞は世界中の人々の損失なのです。」 

中国海軍
中国政府が彼の真意を理解し損ねた場合に備え、安倍首相は貿易立国日本の国益は、尖閣諸島周辺はもちろん、日本周辺の公海上の自由な航行を確保する事に直結する事を強調しました。

「どのような状況下でも、力や一方的な要求による海上秩序の変更は許されるべきではありません。」

国際関係論・国際法を専門とする東京大学の高原昭男教授は、この声明を明らかにした事で、日本同様中国と海上の島々の領有権を争うベトナムやフィリピンなどに対し、中国とは決定的に対立するしかないという先例を暗に示してしまう事になると危惧します。 

「尖閣諸島については二国間の紛争としてではなく、国際問題として理解し、解決を図らなければなりません。二国間紛争として対立を深めていく事は非常に、非常に危険な事です。まずは中国が徴発行為をやめるべきです。」
高原教授がこう語り、次のように続けました。
「日本が屈服してもいけません。そんな事をすれば中国の強硬派に誤ったメッセージを送る事になり、彼らを勢いづかせる事になります。そして中国国内の良識派、改革派の人々が取り残されることになります。」

日中紛争 2
ある高級官僚はもっと簡潔に表現しました。
「私たちは東シナ海や南シナ海を、中国の艦船が我が物顔に監視して回る状況など、決して見たくはありません。」

安倍首相の強硬姿勢は、強硬な反発を招く事になりました。
韓国の中央日報は最近掲載した社説で、安倍首相を「この数十年間で最右翼の政治家の一人」だとして厳しく非難し、次のように続けました。
「日本が平和主義国家として運営されていた時代から、安倍首相は右翼の国家主義者に支えられて来た政治家であり、近年日本社会が右傾化するとともに安倍首相の姿勢は軍国主義的なものにエスカレートしている。その結果、アジア情勢が不安定化してしまっている。」
その指摘は誇張が過ぎる、安倍首相の擁護者が次のように語りました。

繰り返された緊迫した状況は、中国側が力づくで東アジア地区における覇権を確立しようとした事が、最大の理由であると日本外務省の高官が語りました。
そして事あるごとに対立姿勢を強める韓国の指導部については、「感情的」であり、真意を測りかねるところがあると語りました。

外務省の女性報道官の佐藤地(くに)氏は、安倍首相が前提としているのは、長年平和憲法の下で制限されてきた「世界のどの国もしているような事を、今や日本も国際法の下で行う」という事だと語りました。

秘密保護法07
安倍首相が行っている事は、急速に軍備増強を進める中国の挑戦的な姿勢に直面している現在、「必要かつ妥当な事だ」と語るのは、前中国大使の宮本祐二氏です。

「わずか3カ国だけが、この政策を理解していません。 中国、韓国そして北朝鮮です。」
こう語るのは安倍首相の実弟で外務副大臣の岸信夫氏です。

これとは対照的に、アセアン(東南アジア諸国連合)の加盟国のほとんどはそれほど対立姿勢をあらわにしている訳ではありません。

安倍首相が進める日本の安全保障政策は就任2年目に入り、手がつけられないほど騒々しいものになりそうです。
まず挙げられるのが、アメリカ、そして英国に倣って作られた国家安全保障会議です。
英国の首相デイビッド・キャメロンとウィリアム・ヘイグ外務大臣(いずれも保守党)が助言を行い、その成立とともに日本の防衛大綱には大幅な変更が加わり、一般市民にことのほか厳しい刑罰を科す可能性のある特定秘密保護法が成立しました。

国内の主な野党、そして国連からも批判される特定秘密保護法は曖昧な表現に終始、どんな事例にも解釈次第で内部告発者やジャーナリストを懲役刑を課す事が可能になります。

自衛隊
安倍首相は就任するとすぐ、この数年で初めて防衛予算を増額、総トン数ではすでにアジア地区第2位の海上自衛隊、海上保安庁の艦船と装備の拡大増強に踏み切りました。
そしてこれまでの日本国憲法9条を改定して日本の軍備を増強する事に賛成の立場を取る学者・有識者を周囲に集め、「集団的自衛」を可能にしようとしています。
それはアメリカその他の同盟国が攻撃された場合、日本が直ちに参戦する事を意味します。

《第3回に続く》

http://www.theguardian.com/world/2013/nov/27/japan-new-nationalism-imperialism-shinzo-abe
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中国に対する経済的『貢献度』は各国中、おそらくはかなりの上位であるにもかかわらず、最大限の言辞を用いて罵倒される日本。
日本は大量のMade in Chinaの製品を消費し、莫大な対価を支払っているはずです。

その点にはあえて触れず、武装強化だけを声高に叫ぶその真意とは何なのでしょうか?

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