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【 天皇陛下の生前退位の希望をつぶしたいのは、血も涙も無いあの人物 】《前篇》

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所要時間 約 7分

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日本の平和の実現と維持に多大な貢献をした明仁天皇には、静謐な引退生活を贈るべき
日本の人々の平和でおだやかで幸福な暮らしの実現に、生涯を捧げて取り組んできた明仁天皇

 

ジェイク・アデルスタイン / ガーディアン 8月11日

明仁天皇
もしも神様が引退したいと望んだら、いったい何が起きるでしょうか?
日本の天皇はもはや神でありませんが、かつて、そんなに遠くない昔の大日本帝国において、天皇は現人神として天地のことごとくを支配する存在であると規定されていました。

これに対し現在の明仁天皇はとても人間的であり、自らが神でありたいという願望は持っていません。

しかし日本の政権与党、安倍晋三首相が率いる自民党は違います。
日本の戦前の憲法を復活させ、天皇を再び神に近い存在として人民の上に君臨させたいものだと考えています。
しかしそれは現在82歳を迎えられた天皇ご自身が望んではいないものであり、その後継者もそうあるべきでは無いと願っています。

かつてなかったできごと、天皇ご自身が国民に直接語りかけられたお話の中で、明仁天皇は遠回しな表現を用いて生前退位のご希望を明らかにされ、少なくとも7回以上自分自身を『国家の象徴』であると規定する発言を繰り返されました。

安倍靖国
日本を戦前の軍国主義国家に戻すことに明確に反対の立場をとる平和主義者である明仁天皇は、1989年に即位されました。
彼の最愛の妻である美智子皇后同様、1947年に第二次世界大戦(太平洋戦争)の連合国側によって課され、国家間の紛争を解決する手段として戦争を放棄する憲法を全面的に信頼する立場をとっています。

2013年に行われた誕生日の記者会見の席上、明仁天皇はその考えを明確に示しました。
「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました。 戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の 米国人の協力も忘れてはならないことと思います。」、
それは現在台頭を続ける日本の右翼的思想を不快に思っているという、明確なメッセージでした。

さらに明仁天皇は国家神道の復活という考えも、はっきりと退けています。
1945年までの日本の国教と定められた国家神道は、当時の政府により天皇の存在を神格化するとともに、1930年代に日本が行なった他国への侵略を正当化する道具として用いられました。
天皇の言葉は絶対的なものでした。
そして大和民族は他を超越する優秀民族だと規定されました。
そして数百万の日本人の兵士や市民たちが、裕仁天皇の名の下に死んでいき、殺されて行ったのです。

軍国主義 1
しかし裕仁天皇自身はこうした強制的愛国心とは関係が無かったと見られています。
日本で最大の発行部数を持つ右派の読売新聞に雇用されていた英国スコットランドのジャーナリストであるマーク・オースティンはソーシャルメディアに次のようなコメントを書きこみました。
「2001年68歳を迎えて行われた記者会見の席上、長い間のタブーを破って明仁天皇は自らの祖先が朝鮮半島から渡来した可能性に言及しました。さらに春の園遊会では地方官僚である東京都教育委員会のメンバーの一人に穏やかに、しかし圧倒的に影響力のある注意を行いました。
この委員は東京都内の学校を巡回し、主要な行事が行われる際にすべての教師が起立して国家を斉唱するよう指導して回ったことを誇らしげに語りました。
これに対し明仁天皇は
『もし強制したのであれば、それは良いことではありませんね。』
と答えられたのです。
おべっか使いの地方官僚は、深々とお辞儀をしたまま返す言葉がありませんでした。」
「この遭遇は、後に物議をかもすことになりました。」

明仁天皇01
一方で辛い思いをしなければならなかった人々への明仁天皇の思いやりと、それを形にした実際の行動は国民が彼を慕う気持ちを強いものにしました。
2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の後、明仁天皇は学校の体育館などの一時避難場所に避難した被災者のもとを訪ねました。
明仁天皇は被災者と同じ目線で話をしようと、体育館の床に直接座り話をしました。
その後明仁天皇は国民全員に、力を合わせてこの悲劇を克服するよう呼びかけました。
天皇が直接国民に対し公式に演説を行ったのは、1945年8月15日前任の裕仁天皇が無条件降伏の受諾を告げて以来のことでした。

 

〈 後篇に続く 〉
https://www.theguardian.com/commentisfree/2016/aug/11/japanese-emperor-akihito-has-feelings-too
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この記事を読んでいて、明仁天皇の生前退位の意向をどう扱うかが日本の報道にとって『踏み絵』となることに気がつきました。
このガーディアンの論説のように、日本の平和の実現に生涯を捧げて取り組んできた明仁天皇には静かで穏やかな引退生活を贈られてしかるべきと主張するのか、それとも「後難を恐れて」天皇陛下に死ぬまで働けと要求するのか…

 

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【 フランス、マルセイユに迫る山林火災 】

 

アメリカNBCニュース 8月11日

火事 1
8月11日燃え上がるマルセイユの北西のレ・ペンヌ・ミラボーの山林。(写真上)
フランス南部に発生した山林火災は強風にあおられ勢いを増し、地中海のマルセイユに迫っています。

8月10日マルセイユ・プロヴァンス空港近くのヴィトロル上空で消火活動にあたる航空機。(写真下・以下同じ)
火事 2
8月11日燃え上がるヴィトロルの道路脇の立木。フランス南西部では冬から春、極端な少雨が続き一帯が乾燥しきっていました。
火事 3
すっかり太陽の光を遮るほど火災による煙が立ち込める中、マルセイユ北郊の道路を封鎖するフランスの警官。
火事 4
http://www.nbcnews.com/slideshow/fires-ravage-southern-france-threatening-marseilles-n628206

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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