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【 人命軽視・人命への無関心 / 国民を守ることにまともに取り組もうとしない安倍政権 】

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所要時間 約 13分

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安倍政権の災害被害者への冷酷なまでの無関心さは、いまさら驚くには当たらない
世襲政治家系の第三世代と第四世代、そしてそれに阿諛追従する官僚たちに支配される日本の政治
資質を問われるべき日本の首相、その人命への感覚は無関心と無能に満ちている

                       

安倍政権の感染拡大対策の不適切さは、2月21日に撮影されたこの写真の横浜に停泊中のクルーズ船ダイアモンド・プリンセスへの対応が物語っています。
全く不適切な感染予防対策、そして事実を適切に伝えることもできなかったのです。

                   

中野滉一 / ニューヨークタイムズ 2020年2月26日

                      

新型コロナウイルスの感染拡大に対する安倍政権の対応は唖然とするほど無能なものでした。
この夏のオリンピックを開催する国として、日本ではなぜこれほど多くの人々が危険にさらされているのでしょうか?

                  

日本で新型コロナウイルスへの最初の感染が確認されたのは、1月28日の事でした。
世界保健機関(WHO)は1月30日、コロナウイルスの感染拡大について『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』を宣言しました。

                  

しかし日本の厚生労働省は2月17日まで実に2週間以上、感染の疑いがある場合に政府の医療センターにいつ、どこで、どのように連絡するかについて一般国民に周知することをしませんでした。
そして翌日の18日になってようやく、安倍政権は感染拡大に対応するための「基本方針」を採択したのです。
しかし19日の時点で、日本国内ではクルーズ船を含め847人の新型コロナウイルスCovid-19への感染患者が確認されました(死亡は6人)。

                  

日本の医療現場ではすでにフェイスマスク、消毒剤、検査薬が不足していました―さらには感染の有無について検査できる医療専門家が不足する事態に陥りました。
それにもかかわらず安倍首相は、現在国会で審議中の国家予算に新型コロナウイルスへの対策費を追加するよう求めた野党の提案を却下しました。
安倍首相はすでに計上されている補正予算では金額が不足するかどうかを判断するには、時期尚早だと語ったのです。

               

               

その結果日本国民は、症状が重篤化した状態が長く続かない限りは、感染の有無について検査を受けたり、医療機関を受診しないように要求されることになりました。
安倍首相は政府がやるべき封じ込めのための取り組みを国民が自分でやるよう丸投げし、行政はその限られた資源を重症患者に集中させることになりましたが、不足する資源を増やす努力はほとんどしていません。
安倍首相はこう考えたのかもしれません:検査をしなければ、感染が確認される患者数の上昇もありえない、と。

                 

事実を適切に伝えることをしない安倍政権の感染拡大対策の不適切さは、横浜に停泊中のクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスへの対応がすべて物語っています。
14日間の隔離された後、乗客と乗組員の合計3,645人のうち、少なくとも634人が船内で感染したことが確認されました。
「私たちはウィルスの培養容器の中にいます。」
ある乗客が船内の状況をこう表現しました。
「これは実験です。私たちは日本政府にモルモットにされているのです。」

                  

2月19日ダイヤモンド・プリンセスからの下船が開始されましした。
下船した人々の中から米国、オーストラリア、イスラエル、イギリスで感染者がいることがが報告されています。

                

                  

これらの国々では帰国した乗客をさらに14日間の隔離施設に収容しましたが、安倍政権はすべての日本人を下船後解放しただけでした。
このうちの少なくとも1人は後に検査で新型コロナウイルスCovid-19への感染が確認されました。
さらに23人の乗客 - そのほとんどが日本人です - が手違いにより、受けなければならないはずのウイルス検査を受けずそのまま帰宅を許可されました。

                 

驚くべきことに、安倍政権はすでに4人の感染が確認されていた状況の中、隔離されていたダイヤモンド・プリンセスに乗り込んだ90人以上の政府職員を検査もせずそのまま放置しました。
この件について一つの報告書は、職員の『感染が確認されてしまうと、全員が公務の遂行が不可能になる』ことを恐れたためだと指摘しました。
後になって厚生労働省は41人の職員の検査に同意しましたが、あらかじめ「十分な予防策を講じて胃た」ということを理由にダイヤモンド・プリンセスに乗船した医療専門家や検査官は未だに検査を受けていません。

                  

一部の外部関係者が指摘しているように、日本の官僚を支配するのは現実を見ようとしない態度と無気力です。
日本の官僚主義は「事なかれ主義」を信条とすることで悪名が高く、安定性と官僚同士の調整を優先し、組織自体を揺るがす可能性のあるものをすべて排除する土壌に成り立っています。
すぐに対処すべき危機について警鐘を鳴らしても、余計な面倒を引き起こしたと責められる可能性があります。

                    

安倍内閣は1月30日に新型コロナウイルス問題に対処するため関係閣僚からなるタスクフォースを設置しました。
しかし彼らは何日もの間主に中国国内で感染が拡大している状況に焦点を合わせ、具体的に行ったのは発生源となった武漢市にいた日本人の避難だけでした。
2月13日、加藤厚生労働大臣は国内で感染が拡大していると判断するにはもっと多くの情報が必要であり、「国内で蔓延しているエビデンスはない」と発言しました。

                    

                        

しかし結局その2日後には日本が感染拡大の「新たな段階」に入ったことを認め、感染が疑われる人々の検査と重症患者の治療の必要性を強調することになりました。
その翌日タスクフォースは専門家委員会を招集し、日本の現状についてどのような措置を講じるべきかについて助言を求めました。

                      

安倍首相は自ら進んで責任を取ってリーダーシップを発揮する姿勢とは無縁の人物であり、規則や慣習をためらいもなく無視し、特に憲法については自分にのみ都合よく利用しようとする人物です。
その安倍首相に関する疑問は、新型コロナウイルスについてなぜもっと多くのことを、そして決断をしないのかということです。

                 

その答えは単に、安倍首相はこの問題には個人的にも政治的にも関心がないということかもしれません。

                  

2月16日にようやく専門家パネルが会合を持った際、席上安倍首相はたった3分間話をするとあとは自宅に戻って過ごしました。
タスクフォースはこれまで13回会合を開きましたが、野党の調査によれば安倍首相の出席時間は平均でわずか12分間でしかありません。

                  

Covid-19で初めて日本人の死亡が報告された翌日、安倍首相は8分間だけタスクフォース会議に出席した後、メディア組織である日経新聞の会長ならびに社長との夕食には3時間近くを費やしました。
環境大臣であり与党自民党期待の新星である小泉進次郎環境大臣に至っては、自分の選挙区の支持者との新年会に出席するためタスクフォース会議を完全にスキップしました。

                    

                

深刻な災害の進行に直面しながら、安倍首相とその側近たちが冷酷で無関心な態度を見せたのはこれが初めてではありません。

               

2018年の夏、犠牲者の数が最終的に220人を超えた西日本での集中豪雨の際、安倍首相と与党自民党の同僚議員たちは東京で飲食接待を行い、批判が集中しました。

                       

2014年の山梨県全県が麻痺するほどの豪雪災害から2019年の東日本一帯に深刻な災害を引き起こした台風15号と19号に至るまで、安倍政権は国民を守るためにリーダーシップを発揮したことがほとんどないことについて度々批判されてきました。

                

                

繰り返しになりますが、日本は新型コロナウイルスへの対応に苦労してますがそこに安倍首相の姿はほとんど目に見えません。
安倍首相はおそらく習近平国家主席が中国でやっているのと同様、結果について責任を問われることを恐れ、今回の危機から距離を置きたいと思っているのでしょう。

                 

その原因を別の角度から説明することもできます。
原因はさらに単純でさらに構造的なものです。

                  

今日の日本政府は、長い間続いてきた世襲政治家系の第三世代と第四世代の子孫に支配されています。
彼らは一族の政治資産を相続し、名前の認識、専用の選挙マシーン、税金がかからない潤沢な政治資金、大規模な後援会組織や特別利益団体などを引き継ぎました。

                    

首相も副首相の麻生太郎氏も、首相経験者の孫にあたる人物です。
環境大臣の小泉氏は元首相の息子です。

防衛大臣の河野太郎は元副首相の息子です。

                 

                  

安倍首相は国民が願う民主主義の向上には責任を感じていません。
安倍首相が担おうとしているのは政治家一族に生まれた人間としての責任です。

                

安倍首相率いる自民党の議員の実に3分の1以上が世襲の政治家です。
2006年から2007年にかけて首相を務めた安倍氏は、2012年9月、自民党がその年末に選挙で勝利する直前に総裁の座を取り戻し、再び首相就任を果たすことになりました。

              

総裁選挙では一般党員投票では5人の候補者のうち2位にとどまりましたが、議員による投票結果が優先される制度により総裁選に勝利しました。
たとえ党派と党派のメンバーの選好により、彼は5人の候補者のうちの2番目の候補者を遠ざけました。

                

安倍政権の現在の閣僚19人の内5人がかつての国会議員の息子または孫です。
さらに他の3人の親戚は議員経験者です。
日本政府は世襲の政治家と彼らに阿諛追従する取り巻きによる特権的なクラブであり、批判の声など届かない心の安らぐ空間なのです。

                   

            

日本の世襲政治家と一般市民の生活レベルはかけ離れており、ほとんどの世襲政治家が一般市民の窮状に関心を持っていないことが透けて見えます。

                    

こうしたことから新型コロナウイルスの大流行のような危機の最中も、オリンピック開催がわずか数か月後に迫った今も、官僚制全体が現実を見ようともせずに何もしないでいることができるのです。

                   

*中野 晃一教授は上智大学国際教養学部国際教養学部長です

https://www.nytimes.com/2020/02/26/opinion/
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