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【 中国政府、自国の経済指標をねつ造か?】〈後篇〉

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所要時間 約 10分

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つじつまを合わせるため、常態化する『ねつ造』
隠される格差社会

ウィリアム・ワン / ワシントンポスト 2月5日

WP08
▽ 解釈に関する疑問

中国政府に対し、好意的な別の見方もあります。
長い間侮りを受けてきた中国の国家統計局ですが、少なくとも今は最善の努力を続けているというものです。
画一的な国営企業によって構成されていた社会主義の経済から、市場原理が支配する近代経済社会への移行期、その混沌とした状況の中、国際水準に近い数値の発表を行っていると評価する専門家もいます。

GDPの値を見てみましょう。
これまで長い間、その数値には政治的動機が隠されてきました。
何十年もの間、地方政府の役人たちは自分たちの立身出世のため、自分たちが良くやっているように見せるため、中央政府に対し非現実的な程高い「達成数値」を報告し続けて来ました。
しかしさすがに中国政府が公表してきた数値は、これら地方政府の数値を合算したものを下回っていました。

これは、地方政府が次々と送りつけてくる誇張に満ちた数値を整理し、正確な状況を明らかにしたいと考える人間が中央政府の中にいることを意味するのでしょうか?
もしくは事前に掲げられていた達成目標に届きさえすれば、それで十分だとする中国政府のGDPに対する考え方を表すものなのでしょうか?

同じような状況が、最近公表された所得格差に関するデータにも見て取れます。
1月半ばに公表された『ジニ係数』と呼ばれる値は、政府が新たな目標を掲げてから10年以上過ぎてから明らかにされましたが、多くの人がショックを受けました。
発表された数値は、ぜいたくな暮らしを手に入れた官僚たちと一般の人々との間の経済的格差に怒りを募らせている人々をこれ以上刺激しないよう、ねつ造されたとしか思えないものだったのです。

中国政府が公表した、ジニ係数のグラフ。

中国政府が公表した、ジニ係数のグラフ。


政府がここ数年で中国国内の所得格差は改善されたとして発表したジニ係数は、疑念や批判を招くのに充分な数値でした。

ジニ係数は、著しい不公平社会を表す1.0から、完全な公平社会をあらわす0までの間で表現されますが、昨年中国政府はこれを0.474と発表しました。
これに対しては直ちに批判が巻き起こり、政府発表の一か月前に大学研究センターが発表した、2010年の中国のジニ係数は0.61であるとした数値の方が正しいと指摘したのです。

「政府の統計局は統計処理の手順について一切明らかにしないので、いったいどうやったらそんな低い数値になるのか、皆目見当がつきません。」
南西金融経済大学の調査研究所の副所長である尹志朝氏が、こう語りました。

▽ 正確さに関する疑問

しかし中国政府内でも慎重な立場に立つ当局者も、中国国内の統計を取ることの難しさについて認めています。

所得格差について統計を取る場合を例にとってみましょう。
当然中国の超富裕層の所得について明らかにするため、その調査をしなければなりませんが、その仕事はひどく骨が折れる上に場合によっては無駄に終わることすらあります。
莫大な金額の『灰色の収入』は、目には見えない場所で手に入れたものか、あるいははっきりと違法な手段によるものであり、正直に申告するはずがありません。

WP 04
中国における数値の決定方法、そこには誰でも知っている妥協点を見出す方法が用いられています。
長年この方法を用いてきたため、中国の統計担当者の手法は洗練の度を増し、自分たちや国家にとって邪魔になる数値を闇に葬る手口などは、実に巧妙なものになりました。

「百歩譲って、中国政府が一年間の正確な統計データを作ろうとしたと仮定してみましよう。」
世界銀行で中国部門を担当していたユーコン・ホアン氏がこう語りました。
「ところが、昨年公表したデータを改めて検証すると、どこもかしこも不正確で、あちこち矛盾だらけである事が解りました。誰も責任を取らされることなど無いように、都合よく数字を改変してしまっていたためです。このまま今年の正確な数字を公表すれば、昨年との比較はめちゃくちゃなものになってしまいます。さて彼らはこの後どうするでしょうか?」
「もちろん、自分たちが面倒に巻き込まれないように、せっせと数字の書き換えを始めることになるのです。」

公表される数値はすべて中国に利益をもたらすものでなければならない、このような不文律に縛られ政府内で統計を取る作業を行っている経済の専門家たちにとって、状況は良くはありませんが、改善の兆しもあります。

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「彼らは今、必死の作業を行っているでしょう。」
ホアン氏はこう語りました。
「しかし世界中の専門家が中国が公表した数値について再検証を始めてしまった今となっては、いずれ彼らが公表する結果が、中国に不利益をもたらすことの無いよう祈る、彼らにできることはそれだけになってしまいました。」

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/chinas-economic-data-draw-sharp-scrutiny-from-experts-analyzing-global-trends/2013/02/04/f4de4b84-6ae0-11e2-af53-7b2b2a7510a8_story.html
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私には浙江省杭州市で外科医をしている、中国人の親友がいます。
彼のお兄さんは物理学者として、日本の研究機関で働いていますが、奥さんは内科医として瀋陽市で働き、娘さんは母親のもとにいます。
お兄さんは何度か中国に帰り家族とともに暮らそうとしましたが、結局は思いとどまりました。

お兄さんは穏やかで優しい、いかにも学級肌の人です。
「これでは中国では生きては行けません。」

必要な箇所にまんべんなく賄賂を配り、あっても無くても自分の功績を徹底的に売り込む。
同僚の過失を見つけたらここぞとばかりに蹴落とし、たった一段でも階段を上る。
そんな事が親友のお兄さんにできるはずが無い事は、私が見ても解ります。

別の中国人の友人も親が大学を経営し、自分自身は国内に留まれば医師として働ける「富裕層」であるにも関わらず、日本の民間企業で医療関係の技師として働き、奥さんと子供ふたりとつつましく暮らしています。
現在はアメリカに派遣され、家族を連れてテキサス州で研修を受けています。
彼もおとなしい、優しい人間です。
奥さんが
「あの性格では、中国では生きていけません。」
とあきらめたように語り、家族で日本国籍を取得しました。

この話を聞いただけで、中国の支配層、あるいは指導層と言われる人たちの「強靭な神経」が想像できようと言うものです。

相手が腕力に訴えるなら、こっちも!
短絡的な対応では、こちらの思うような結果にはならないでしょう。

そんな中、9日夜、沖縄県が尖鋭化する中国との関係に対応するため、中国問題に詳しい研究者を職員として採用するというニュースが伝わってきました。
誠に賢明な対応だと思います。

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スーパーのごみ箱から食卓へ
【ドイツの新たな市民運動、フード・シェアリング】

アメリカNBCニュース 2月8日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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ちょうど午前零時を回った頃、ベルリン市内のスーパーマーケットに2人の若者が現れました。
毛糸の帽子を目深にかぶり、懐中電灯でくず入れの中を確認しながら、野菜やパン、そして季節外れになったため捨てられたサンタクロースをあしらったチョコレートなど、まだ食べられる品物を選び出すと、乗って来た自転車のかごの中に詰め込み、次の量販店をめざして闇の中へと走り去っていきました。

彼らは貧しいからそうしているのではありません。

国連食糧農業機関の統計によれば、世界で生産されるうちの実に3分の1、金額にして約1兆ドル(約92兆円)分の食料品がそのまま捨てられています。
こうした事態に怒りを募らせ、ごみ箱からまだ充分に食べることのできる食品を『救い出す』、フードシェア活動を行うドイツの若者たちが増えています。
21歳の大学生ベンジャミン・シュミットもその一人です。

ベルリン市内のスーパーマーケットのごみ箱から、まだ食べられる食料品を選び出すベンジャミン・シュミットとヘレナ・ヤッハマン。2人はフードシェアリング運動に参加している。2月4日、ベルリン市内。(冒頭の写真)

フードシェアリング運動はインターネットを使い、個人、小売業者、生産者が余っている食料品を無料でやり取りしています。(写真下・以下同じ)
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フードシェアリング運動のラファエル・フェルマーがゴミとして捨てられた大量のクリスマス用のビスケットを整理しています。1月31日、ベルリン市内。
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有機野菜を取り扱うスーパーが捨てた野菜を調理し、パートナー・ニエベス・パーマー・ムンナーと昼食をとるラファエル・フェルマー。1月24日、ベルリン市内。
FS06

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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