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【 フクシマが世界にもたらしたもの 】〈後編〉

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所要時間 約 12分

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[ドイツに原発放棄を決心させたのは、25万人が参加した反原発デモ]
[ 原発とは人類にとって何なのか、何だったのか?! 〈第4回〉]

ガーディアン(英国) 2011年12月26日

「福島が意味するもの : 原発はもういらない、という事だ!」

膨れ上がる懸念はいち早くドイツに伝播しました。
福島のわずか2、3週間後にドイツ政府は1981年(福島第一原発は1971年操業開始)以前に建設された8基の国の原子炉のすべてについて、安全を確保し、安全性チェックのための十分な時間を確保するため、一時的な措置として操業を停止することを発表しました。
3月26日には25万の人々が『福島の教訓にしたがう』ことを要求するデモ行進を行い、ドイツは史上最大規模の反原発デモを目撃することになりました。
そして5月末、メルケル首相はついにドイツが原子力発電からの撤退スピードを早め、2022年までに国内の原子炉すべてを廃止することを確約したのです。
原子力発電の減少分を補うため、ドイツは再生可能エネルギーからの電療供給を17%から35%に増加させることになります。

この決断は、世界中から驚きと賞賛をもって迎えられました。なぜならこの決定により、ドイツは電力の輸入に踏み切らなければならなくなるからです。
特に両隣、『原子力のフランス』と『石炭火力のポーランド』から。
来年早々、ドイツは電力の輸入国になることが予想されています。
しかし、この問題については世界的にも発展した経済を持つこの国が、再生可能エネルギー志向を明らかにしたものとして、世界の国々から好感と共感を得ることになりました。

「私は本当に驚きました。」
とグライムズ教授が語りました。
「ドイツはすでに決めた方向に進みはじめましたが、この決定はすべての問題の根底にある政治的背景を明らかにしました。すなわち、連立政権内の緑の党の意向を酌んだものと言えるでしょう。」
そして福島第一原発の事故が際立たせることになったある状況について、付け加えました。
「もう一つ驚いたことは、アメリカとイギリスが福島の事故後もその影響を受けなかったことです。何か変化があったとすれば、ここ英国ではむしろ原子力発電への支持が強まったという事なのです。」

環境問題を専門にするライターのジョージ・モンビオットやマーク・ライナスは、福島の事故を見て改めて安心することがあった、と論評します。
「もはや私は原子力問題に関し、中立ではない。」
モンビオットは事故から10日目にこう書きました。
「私は今や原子力技術を支持する。…原子力技術は今、考え得る限りもっとも厳しい試練にさらされている。そして人々や地球に対する影響は少なくなっている。」

グライムズ教授は、こうした反応は福島が英国の原子力についての議論を一歩深めたことを証明している、と語ります。
「リスクを認識することと、その中身を理解することは、似ていますが全く違う事なのです。 私たちはこの社会におけるリスクについてもっとよく理解しなければなりませんが、福島第一原発の事故は原子力発電に関する議論を始める良いきっかけを与えてくれました。結果的に英国にとって良かったと思っています。これからはここ英国では、声を荒げて罵り合う必要はありません。もっと冷静に話し合いができるはずです。」

しかし同時に私たちには、安全性に関する再評価を行う必要性が生じました。
グライムズ教授はこう語ります。
「たとえば私たちは福島の事故により、洪水が原子力発電にとって危険であることを学びました。しかし私たちの新型原子炉は、福島で使われていたような古い原子炉とは根本的に違います。あえて比較するなら、それは車でいうなら初 期型フォードと現代の車と比較するようなものです。インドと中国は福島の事故を見て原発計画の推進を一時見合わせていますが、計画そのものを中止してはいません。」

ドイツと日本は別にして、反原発の動きが具体化したのはイタリア(同国はドイツ同様、原子力に対し政治的に強く反対の立場をとっている)、イスラエル、インドネシアに限られています。
「原子力発電について検討してきたいくつかの国々は撤退を決めました。」
「インドネシアの場合、『リング・オブ・ファイア(環太平洋地震火山活動活発区域)』の上に位置し、自身の津波の経験から、今や原子力発電は危険すぎる、と判断したものと思われます。」

しかし全体を見ると、世界の原子力産業は、当初予想されたほどは福島の余震を経験していないように見えます。

ドイツはさておき、結論は原子力発電は本質的には危険が隠された手段だということです。
我々は本能的に、このような危険が伴う手段は避けるべきだと感じています。
しかし、これから訪れる化石エネルギー源の枯渇と気候変動前にしてもなお、我々が福島の厳しい教訓を本気で学ぼうとする限り、私たちに残された選択肢はそれほど多くはないのです。
〈完〉

http://www.guardian.co.uk/environment/2011/dec/26/fukushima-disaster-nuclear-japan

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – +

本文中に出てくるジョージ・モンビオットの論評( http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/mar/21/pro-nuclear-japan-fukushima )とは
「福島第一原子力発電所の事故を見て、自分は今の原子力技術の支持者になった。なぜなら福島第一原発のようなきわめて古い型の原子炉で、しかもその安全設備はきわめて不適切な状態であったにもかかわらず、あれほどの事故を起こしても、放射能漏れによって死んだ人はいなかった。」
という論説のことです。
彼の自説は英国の国土の緯度が高すぎて、太陽光など再生可能エネルギー発電に向かない。またイギリスは産業革命の時期、国内に建設した水力発電のためのダムが生態系を破壊した、という経験から来ているようですが、福島の現状をよくご存じないようです。

しかし、「福島を見てむしろ安心した」という発言に対しては、現在福島第一原発の放射能漏れに直面させられ、しかもこの狭い国土で16万人もの人々が、故郷を追われて暮らしている状況を見ている私たちが読めば、思わず
「なんだ、それは?!」
と、 声を荒げたくなります。

一方で参考になったこともあります。
『福島第一原発は世界水準からみれば、お話にならない程古く、粗末な原子力発電所だった』とする指摘です。
まるで私たち日本人に対し、こう言っているかのようです。
「そんなことも知らず、福島第一原発の操業を許してきたのだから、日本人は官民ともに自業自得…」
やっぱり、「知らなかった」では済まされなかったのです。

「福島並み」に古い原発の再稼働など、世界の常識から見れば「論外」なのではないでしょうか?

もうひとつが
『もしイギリスの電力産業界と政府が、日本と同じような大ウソつきなら、私は反原発運動の先頭に立つ』
と書いている点です。
「世界標準の」原子力発電産業からも、「日本は別物」と見られ始めていることがわかります。
2日前に掲載したニューヨークタイムズの記事中、米国原子力規制委員会の前委員長もこれと似た指摘を行っていました。

モンビオットの評論はきっちり翻訳したわけではなく、原文を読み飛ばしただけですから、読み違いがあったらお許しください。

それと下の記事、アメリカでは灯油の方がガソリンより高いんですね。
そう言えばアメリカはガソリンの税金が安く、日本のガソリンは5割程が税金でした。

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 どうなる石油価格 - アメリカはガソリン価格上昇の気配 - アジア市場の原油価格は99ドル付近で欧州市場を横睨み 】

マレーシア / アメリカABCニュース 1月16日

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1バレルあたり99ドル付近に張り付いている原油価格は、中東の緊張により原油供給が不安定さを増す見込みですが、欧州各国の格下げに対する懸念から値上がり幅は小さくなっています。
クアラルンプール時間の正午、ニューヨークマーカンタイル取引所の電子取引で2月調達の指標となる原油価格は18セント高の98ドル88セントの値をつけました。
取引価格は金曜日、ニューヨーク市場で40セント下落し、98ドル70セ ントで終了しました。

メルボルンのANZ銀行グループの商品取引アナリスト、ナタリー・ロバートソンは、進行中のイランの核開発疑惑に関する緊張やナイジェリアでの壊滅的な全国的なストライキの中で、供給途絶の懸念が原油価格を下支えしているが、ヨーロッパでの債務危機からの逆風によって世界の貿易取引額が減少する懸念から、値上がりが抑えられている、と分析しています。
「石油市場は中東地域の不安定な情勢に関する懸念だけでなく、同時に欧州の債務危機の問題の深刻化により、小幅な値動きに留まっています。」

スタンダード&プアーズはフランス、オーストリア、イタリア、スペインを含むユーロ圏9か国の国債の格付けを引き下げましたが、これによりEUが巨額の負債を克服するための資金調達をより一層困難なものにしました。
ドイツの格付けだけが、購入・保持に問題ないとされるAAAレベルで推移しました。

ヨーロッパで景気後退が発生する恐れがあり、多額の歳出削減により、今年ヨーロッパではエネルギー需要が減少することが考えられます。

ロバートソンはヨーロッパでの需要の鈍化と価格下落に対する警戒感から価格は下落傾向にあったが、今年下半期にヨーロッパで弱含みの展開に何らかの変化が起きなければ、1バレルあたり95ドルで底を打つ、と予測しています。

ガソリン先物は1ガロン当たり2.7496ドルで1.83%上昇したものの、他のエネルギー取引では、灯油が1ガロン当たり0.75セント安の3.0466ドル。天然ガスは1,000立方フィートあたり13.3セント安の2.5647ドルで、先週の取り引きを終えました。

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