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【 信じられますか?安全!ニッポンのゲンパツ : 避難区域への帰還2015 】《前編》

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所要時間 約 6分

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もう故郷には戻りたくない…その最大の理由は日本の政府当局への不信
福島第一原発が吹き上げた放射性物質は、北西方向の市町村を何十年も人が住めない場所にしてしまった
除染作業に注ぎ込まれた巨額の国家予算、被災者の生活再建に充て方がはるかに有効だったのではないか?

 

エコノミスト 2015年10月24日

楢葉町帰還住民
腐敗物とネズミの排泄物から漂い出す悪臭が、猪狩良衛さんの自宅の居間にたちこめていました。
猪狩さんは2011年3月11日に襲った巨大地震と巨大津波が重要な設備である原子炉冷却システムを破壊し、福島第一原発の3基の原子炉でメルトダウンが発生した事故により、翌12日に楢葉町から避難した住民のひとりです。

2015年9月5日、楢葉町の避難命令が解除され、猪狩さんは実際の様子を確認するため町内の自宅へと急ぎました。
無住にせざるを得なかった間、野生のイノシシが手入れが行き届いていたはずの庭園にあった、背の高い見事な庭石を破壊して行きました。
それでもあちこちが腐ってしまった内装の中にあって、仏壇につい最近供えられたばかりのヒナギクの花は、猪狩さんが先祖代々暮してきたこの家に戻る決心をするかもしれないという事を示唆しています。

掲載した地図にもある通り、日本政府は福島第一原発の周囲に設定されていた避難指定区域を徐々に縮小し、今年ついに避難区域内の全市町村の中で初めて楢葉町全域の安全が宣言され、避難指定が解除されました。

避難区域地図
「2011年3月以来停止していた楢葉町の時計が、今また時を刻み始めました。」
松本幸英町長がこう語りました。

事故発生時、福島第一原発が放出した放射性物質は北西方向に向かいました。
日本政府は年間20ミリシーベルト未満に下がればその場所を安全とみなすという方針を示していますが、福島第一原発の北西方向に位置する町の放射線量は、未だに年間50ミリシーベルト(mSv)以上計測されており、今後も数十年間は人が暮らすことができないままの状態が続くと見られています。

しかし4年半前の事故発生当時の風向きと続けられてきた除染作業のおかげで、楢葉町に加え、北西方向に向かった放射性物質からかろうじて逃れることが出来た2つの町村について、日本政府は安全宣言を行うものと見られています。

これに先行して、昨年4月田村町の都路地区(旧都路村)で初めて避難住民の帰還・永住が認められました。
この後10月には川内村も続きました。
この二つの地区については、非難する必要が無い場所にあった店舗、病院、学校などが帰還区域を支えられる状態にあります。

請戸09
これに対し楢葉町はどうでしょうか?
避難した飼い主に捨てられた牛たちがついこの間まで通りをさまよっていたこの町には、地域での生活を支えるためのこうした基盤はありません。
地域社会を復活させるためには、まずは生活のための基本サービスから再度整備していく必要があります。
楢葉町の駅は昨年業務を再開しましたが、改札口の上に取り付けられた放射線を測定するためのデジタル線量計がいやでも目につきます。
来年には中学校が再開される予定ですが、かつて約8,000人いたこの町帰還したのは、たったの300人です。
心配の種は尽きることがありません。

日本政府は日本人なら誰でも持っている共通の感情、故郷への愛着、望郷の思いに惹かれて住民の帰還が進むことを願っています。
さらに2020年の東京オリンピックの開催時には、福島第一原発周辺地区の『復活』を世界に向け喧伝できるようになることを切望しています。

01ドイツ・反原発
そして何より福島第一原発の事故により全国で停止している原子力発電所を再稼働させられるために、政府としての事故処理能能力をアピールしたいのです。
福島県内の放射性物質によって汚染された農地や住宅地の除染作業を終えるまでには、およそ6兆円の国家予算がつぎ込まれるものと見られています。
これ程巨額の国家予算をつぎ込むのであれば、どこかほかの土地で被災者の生活再建を図った方がはるかに賢明であったという指摘もなされています。

〈 後篇に続く 〉
http://www.economist.com/news/asia/21676828-lack-trust-authorities-hindering-resettlement-near-fukushima-back-nuclear-zone?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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【 深まりゆく秋 】

アメリカNBCニュース 11月10日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
Fall01
10月27日、オーストリア、グナーデンヴァルト。(写真上)

10月31日、ドイツ、レックリングハウゼン。(写真下・以下同じ)
Fall03
10月4日、ドイツ、ホプフェラウ、テゲルベルク山。
Fall04
10月15日、ドイツ、ケルハイムのドナウ川。
Fall05
10月15日、スペイン、パンプローナのタルガ川。
Fall02
10月24日、ポーランド、グディニャ、オルウォボ。
Fall06
http://www.nbcnews.com/news/photo/falling-foliage-autumns-colors-pop-n456756

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