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【 トランプ・ショックとニッポン 】

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世界中の首脳が急ぎトランプ氏との接触を図る中、いち早く会談をセットした安部首相の真意は?

大統領への長い道のりを制したトランプ氏、対する世界の首脳にはこれから長い道程が待っている

 

モトコ・リッチ / ニューヨークタイムズ 2016年11月10日

 

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日本の安倍晋三首相はドナルド・J・トランプ勝利の衝撃から素早く立ち直り、10日木曜日の朝には(現地時間アメリカ合衆国は9日水曜日夜)安倍首相は次期大統領に電話を入れ、翌週のニューヨークにおける会談を手配しました。

選挙の結果が明らかになり、世界中の首脳が急ぎトランプ氏との接触を図る中、いち早く会談をセットした安部首相は、トランプ氏が選挙期間中に展開した日本に対する外交政策の転換について、その真意を量ろうとしています。

 

選挙期間中、トランプ氏は世界各国に展開するアメリカ軍の駐留経費について、他の同盟国同様日本は応分の負担をしていないと、繰り返し痛烈に批判しました。

そして日本が今以上の経費の負担に応じなければ、駐留しているアメリカ軍を引き上げる可能性に言及しました。

さらに安倍首相は現在アメリカ合衆国と日本を始め複数のアジア諸国も参加する貿易協定である環太平洋パートナーシップ(TPP)についても、選挙期間中これを廃棄すると主張してきたトランプと改めて協議したい意向を持っていると見られます。

 

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安倍政権は経済政策の要としてこの協定の成立を重要視しており、10日の日本の衆議院で承認に続き参議院においても成立が予想されており、批准目前にあります。

大統領選挙におけるトランプ氏の勝利は日本の権力層を唖然とさせました。

彼らはアメリカ国内、そして世界各国の統治機構同様、次期アメリカ大統領に就任するのはヒラリー・クリントン氏に間違いないと考えていました。

11月初旬には日本政府の官僚が、安倍首相が来年2月、ワシントンを訪問する予定であることを日本の報道機関に漏らしました。

目的はヒラリー・クリントン氏との会談でした。

 

しかし予想外の結果は、首相の顧問たちがこれまで積み上げてきたヒラリー・クリントン大統領誕生後のシナリオを狂わせ、新たな展開について安倍首相に提言を行うため、夜通し激しい議論を続けることにつながりました。

日本ではアメリカと友好関係にあることが長年の経験から当たり前の事実としての感覚が広く一般化しており、トランプ氏が選挙中に行った痛烈な批判は日本の当局者をして、これまで同様に最も重要な同盟国としての協調関係を続けていくことが可能なのかどうか不安にさせるものでした。

 

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10日トランプ氏に電話で会談を呼びかけた際、萩生田光一副官房長官によれば安倍首相はこう話しました。

「強固な日米同盟は、アジア太平洋地域で平和と安定を維持していく上で欠くことのできない存在です。」萩生田氏はこの際、トランプ氏が選挙中に明らかにした、日本はアメリカ軍の駐留費用についてもっと多くを負担すべきであるとする主張や貿易協定について話をすることは無かったと語りました。

 

ペルーで開催されるアジア太平洋地域経済協力フォーラムに参加する途中、安部首相は11月24日にニューヨークに立ち寄り、この際トランプ氏との会談が予定されています。

この会談で両氏がアメリカ軍の駐留費用やTPP貿易協定に関する詳細な議論にまで踏み込むかどうか、それは明らかではありません。

しかし安倍首相にとってはこの会談が、トランプ氏が選挙期間中に行った最も辛辣なスタンスから立場を変えるよう説得する一連の作業の着手点となる事だけは明らかです。

 

(写真上)2016年10月、朝霞市で閲兵式に臨む安倍首相。

(写真下)2016年7月、韓国のソウル南東郊外で韓国軍と共同訓練を行う沖縄に拠点を置く米国海兵隊。

アジア各国の首脳は、アメリカの軍事的圧力が弱まればその分中国の台頭を招くとし懸念しています。

 

http://www.nytimes.com/

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みなさんは日米の軍事同盟について、最近NHKがニュース番組でこれまでと違う表現をしていることにお気づきでしょうか?

「アメリカの核の傘に守られている日本としては……」

という言い回しです。

この表現は日本の安全のためにはアメリカは核兵器を常備する必要がある、という結論に行きつきます。

では核の傘はいったい何から日本を『守って』いるのでしょうか?

ロシアはもはや鉄のカーテンの向こうにいる訳ではありません。

北朝鮮の核攻撃?

中国?

この両国が核ミサイルを発射した場合、核兵器で日本を守ることはできません。

近すぎて、迎撃することは不可能だからです。

北朝鮮がアメリカを攻撃する場合、ミサイルをいったん大気圏外に出す必要があり、アメリカが進める『スターウォーズ計画』はこのタイミングでミサイルを迎撃します。

しかし北朝鮮が日本向けにミサイルを発射した場合は数分以内に着弾するため、発射の事実を確認したらそれが向かう方向を確認し、数十秒以内に迎撃ミサイルを発射しなければなりません。

そんなことは事実上不可能であり、しかも迎撃ミサイルの命中精度は100%ではありません。

軍事的抑止力というのは、きわめてもろく、不確実なものだという事を常に認識しておく必要があります。

 

要は軍事的解決が必要になるような事態を決して作らないという事が大切なのです。

ベトナム戦争以降、アメリカの『軍事介入』が成功した事など一例も無いのですから。

 

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【 11月13日までの報道写真から 】

アメリカNBCニュース 2016年11月13日

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11月13日アフガニスタン、カブール市内。自宅を追われ、避難所に収容されている5歳の少女。(写真上)

11月13日イラク東部のモスル郊外の野戦病院。イスラム国(ISIS)と政府軍の戦闘に巻き込まれて負傷し、治療の後シートの上に寝かされている少女。(写真下・以下同じ)
day0211月12日、イラク、デバガの食糧配給センターで順番を待つ少女。

day04
http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-november-13-n683266

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