ホーム » エッセイ » 【 アメリカ、ついにサイバー攻撃の発信拠点を特定!】
「中国が行ってきたサイバー攻撃の脅威、その実態を解明すべき時がやって来た」
ザ・インデペンダント(英国) 2月19日
この数年にわたる米国および他の国のコンピュータ・ネットワークに対する、悪意に満ちたサイバー攻撃の集中砲火は、上海の周辺のとあるビルディングが発信源であることを、アメリカの民間のセキュリティ会社が特定することに成功しました。
このビルを占有していたのは中国軍でした。
アメリカ、ヴァージニア州に本社を置き、サイバー・スパイ活動を専門とするマンディアント社(Mandiant)は60ページの報告書を作成しました。
報告書は上海の浦東地区にある12階建ての、ビル名の表記が無い、通称『ユニット61398』と呼ばれている数百人、あるいは数千人の英語を話すことが出来る中国人が、中国人民解放軍(PLA)の依頼により、世界各国の主要なコンピュータ・ネットワークへのハッキングを日夜行っていると断言しています。
「『ユニット61398』の実態は中国にとっては国家機密であると考えられます。しかしそこで行われているのは、最も忌むべきコンピューター・ネットワークへの侵入であると考えられます。」
報告書の中でマンディアント社はこのように述べていますが、この見解に対し中国政府は直ちに反発しています。
「いよいよ中国が行ってきたサイバー攻撃の脅威、その実態を解明すべき時がやって来ました。そしてこうした攻撃に対し、セキュリティの専門家による効果的な防御体制を構築するための一端を担う事を私たちは願っています。」
マンディアント社はこの上海に本拠を置く集団は、中国国内にいくつもあるハッキング集団のひとつで、「早ければ2006年ごろから世界中のネットワークシステムに侵入し、141に上る多種多様な組織から、数百テラバイトものデータを盗み出していた。」と断罪しました。
その攻撃目標となった組織のほとんどはアメリカ国内にあり、これに少しの数のカナダ、英国の組織が加わっていました。
サイバー・スパイ活動は、アメリカ政府にとって緊急に対応しなければならない、大きな問題となっています。
中国によるサイバー・スパイ活動に関する懸念は、他の敵対する国々同様、企業統廃合の計画、新製品の成型書類、価格設定に関する内部文書や交渉中の大きなビジネスの気密などをまんまと盗み出されるだけではありません。
物理的な破壊能力を持つようになれば、ガスのパイプラインや送電網に対する攻撃にも備えなければならなくなるのです。
「かつての冷戦時代、わたしたちはモスクワ周辺にある核兵器施設の指令センターの動きを24時間監視し続けていました。」
マンディアント社の報告書について最初の報道を行ったニューヨークタイムズの取材に、同社の幹部がこう語りました。
「今日、この上海のコンピュータ・システムについては、ソ連の核兵器同様の脅威を持っていると言って良いでしょう。」
バラク・オバマ大統領は、先週の一般教書演説の中で、サイバー攻撃の脅威に立ち向かうための備えを強化するよう求めました。
「我々は我が国の企業秘密を盗み出している国家、そして組織をすでに把握しています。」
「そして現在私たちの敵はこの国の送電網、金融システム、広告運行システムなどを混乱に陥れるための方法を探っています。私たちはなぜあの時ちゃんと備えをしなかったのだと、数年後に公開するわけにはいきません。」
これに対し中国政府はそのような活動を行っていたことについて、一切を否定しています。
「ハッキングによる攻撃は多国籍であり、正体不明です。」
外務省の洪磊報道官がこう述べました。
「その発信源を特定するのは極めて困難です。この報告書がどうやって発信源の特定を行うことに成功したと言えるのか、検証に耐えられるだけの根拠はあるのでしょうか?」
問題のビルに近づこうとした英国BBC放送の記者は直ちにその場で拘留され、取材した一切を放棄するよう求められました。
アメリカ政府の情報機関も、民間のセキュリティ会社も『ユニット61398』の存在についてはしばらく前から把握していました。
しばしばオンライン・フォーラムに侵入し、コメントを残すことで知られ、アメリカ国内では『コメント・クルー』として、その存在が知られていました。
マンディアント社は被害を受けた企業名を公開していませんが、侵入を受けた企業は20の主力産業の141社に上ります。
コカ・コーラ社が、中国のジュース会社の買収を図った際、そしてRSA(アメリカ政府の国家機密扱いの情報管理を行っていたテクノロジー企業)も『コメント・クルー』の攻撃対象となった事がありました。
アメリカでは、天然ガスと石油のパイプラインのバルブやスイッチの遠隔操作・管理を行うための設備を国内の発電所などに供給している、テルベント社のネットワークが正体不明のサイバー・スパイによる侵入を受けた昨年9月、国内に警報が鳴り響くことになりました。
今回の報告書について、ホワイトハウス報道官ケイトリン・ヘイデンは以下のコメントを繰り返しただけでした。
「企業情報を盗み出い行為を含め、アメリカ経済、そして国家の安全に対する脅威となるサイバー侵入について、アメリカ政府は重大な懸念を持ち、なおかつそれが大きなものとなっている。」
マンディアント社の報告書は、どちらかといえば荒れ果てた浦東地区にある『ユニット61398』の中にサイバー攻撃を行うためのサーバーがある事は間違いないが、その活動に従事している人間たちもすべてその中にいるかどうかまでは把握できないとしています。
しかしながら、サイバー攻撃に従事していると一目でわかる人間など、居るはずも無いとも述べています。
[問題のビルを撮影しようとするCNNニュース・スタッフに走り寄る中国の公安]
[この件について伝えるアメリカCNNニュース]
[この件について伝えるアメリカNBCニュース]
Visit NBCNews.com for breaking news, world news, and news about the economy
http://www.independent.co.uk/news/world/asia/cyberassault-hq-how-us-is-under-attack-from-this-office-in-shanghai-8501686.html
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中国によるサイバー攻撃、予想はされていたことですが、どうやってそれを突き止めるか?という事が世界の関心事でした。
それが今回の指摘により、世界の関心は今後アメリカがどう出るか、というところですが、今のところ中国をやんわりとけん制するという「大人の対応」、オバマ政権の『対話による解決を目指す』路線に沿った対応をしています。
もちろんそこには「それでも態度を改めるつもりが無いなら、次の対応はもっと厳しくするぞ。」という含みがあります。
日本も対中国の問題で、急ぎ戦略を見直すべきかもしれません。
NBCニュースは『WARFARE(「特別な戦い方を必要とする」戦争)』という表現を使っていますが、中国のサイバー攻撃に対しては西側諸国が結束して対応して文字通りの情報戦を制し、本格的な破壊活動や人間の血が流れる武力行使をあきらめさせるのが最良の『戦い方』ではないでしょうか。
今回の件に関しては【星の金貨】で取り上げてきた世界の主要メディアが一斉に取り上げていますが、解りやすく適度な長さであること、そして報道他社の動きにも言及していることから、ザ・インデペンダント(英国)の記事を選んで翻訳しました。
下にすべての報道の口火を切ったニューヨークタイムズの記事のURLを掲載します。
インデペンダントの記事の、5倍ほどの長さがあります。
私も関心がありますので、機会があれば翻訳し、ご紹介したいと考えています。
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【 さびしい女性 】
アメリカNBCニュース 2月17日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
自由の女神はもはやニューヨークにおいて、抜きんでた存在ではなくなってしまいました。
いま彼女の足元にあるのは、かつては観光客が歩いたリバティ・アイランドの舗道が破壊されてできた残骸や破片、そして積み上がった泥の山です。
ハリケーン・サンディがニューヨークとニュージャージー州の一部を破壊しつくしてから3カ月以上が過ぎました。
世界に冠たるアメリカの象徴の足元には、未だにその時の残骸が散乱しています。
女神像そのものには被害はありませんでしたが、多くの被災者同様、彼女の自宅は破壊されてしまいました。
自由の女神像が立つリバティ・アイランドはその75%が水没してしまいました。
島のあちこちが1.5メートル以上水没し、島内の施設はそのほとんどが破壊されてしまったのです。
破壊されたリバティ・アイランドの舗道を行くデヴィッド・ラッシュジンガー警察本部長。サンディが来襲した当時、彼とその妻はこの島で暮らしていました。(写真下・以下同じ)
島の施設は閉鎖されたままのため、毎日多額の観光収入が失われています。
破壊されたままの桟橋。
今は博物館となっているエリス島出入国管理事務所の登録室。 建物は無傷でしたが、地階の機械設備は大きな損害を被りました。
訪れる人の姿の無い博物館の回廊。
今は遠くからしかその姿を見ることは出来ない。