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【 なぜ彼らは戦争を欲するのか?! 】《5》[GRD]

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所要時間 約 9分

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世界の重要市場、豊富なエネルギー資源、重要資源にアメリカは自由にアクセスする権利を持ち、妨害する者に対しては一方的に軍事力を行使する権限を持っている
国益が犯されれそうになった時には、アメリカ合衆国は不合理でしかも報復的になることは充分にありうる
日本を焼け野原にするための徹底空襲作戦、アメリカは開戦前にすでに準備を進めていた

 

ノーム・チョムスキー / ガーディアン 2014年8月6日

fallout
冷戦後にアメリカ歴代の政権が採った行動と基本外交政策はいずれも地球上の市民たちを安心させられるようなものではありませんでした。
大きな自尊心を持った歴代の大統領たちは、見栄えのする基本外交政策が必要だと考えました。
第42代クリントン大統領の外交政策はひとつのスローガンに要約されていました。

multilateral when we can, unilateral when we must
出来ることをするときは多角的であるべきであり、しなければならないことをするときは一方的であるべきである

議会においてクリントン大統領は『しなければならないとき』という言葉の定義についてより詳しく証言しました。
世界の中の重要な市場、豊富なエネルギー資源が存在する地域、そして国家戦略上重要な資源がある場所に、アメリカ合衆国は誰にも邪魔される事無く自由にアクセスする権限を持っている。
そのために、一方的かつ圧倒的軍事力を行使する権利を持っている。

防空識別01
クリントン政権時代に創設されたアメリカ戦略軍(STRATCOM)はソビエト連邦崩壊後に冷戦後の抑止力、すなわち兵力増強による戦争抑止政策に関する重要な研究結果を公表しました。
そしてクリントン政権は前代のブッシュ大統領(父)がソ連のミハイル・ゴルバチョフとの間に交わした東ヨーロッパの旧共産圏諸国をNATOには加盟させないという約束を破り、加盟国を東へと拡大して行きました。
その影響は現在にまで及んでいます。

このアメリカ戦略軍の研究は「冷戦後の時代の核兵器の役割」についても分析・研究を行いました。
中心となる結論はこうです。

非核保有国に対してすら、米国は核ミサイルによる先制攻撃を行う権利を維持し続けなければならない。

そして地球上のいかなる危機あるいは紛争に対しても、アメリカはいつでも核攻撃できるという事を認識させるべきである。
この考え方について、ダニエル・エルズバーグは次のような例を用いて繰り返し強調しました。
怪しい人間を見つけたら銃口をその男に向け続ける。
ただしその男が実際に店に押し入るまでは、引き金を引いてはいけない。

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そしてアメリカ戦略軍の論文はこうもアドバイスしています。
「敵が最も重要だと考えているものを見つけ出す際、作戦立案者はさほど理性的である必要はない。」

あらゆるものが標的とされ得るのです。

「合理的であろう、冷静であろうとするあまり、自分自身を見失うことは有害である。
我が国の重要な国益となるべきものが攻撃されている状況の下では、アメリカ合衆国は不合理でしかも報復的になることは充分にありうることなのである。」
「もし何事かが制御不能の事態に陥る危険性が認識されれば、」つまりは明らかな国連憲章違反となる核攻撃の絶え間ない脅威を誰かが認識することになれば、むしろそれは「アメリカが採るべき戦略的体制を築き上げることに貢献する」ことになるのです。

ここに述べられていることに、人類が達成すべき崇高な目標などはほとんどありません。
あるいは地球上の災いを取り除くために、拡散防止条約の下での欲得づくでは無い「誠実」な取り組みをつづけるという要素もありません。

HUF12
代わりにあるのは、ヒレア・ベロックの有名なマキシム砲に関する言葉のようです。
「たとえ何が起きても、勝利するのは我々である。原爆、そして敗者となるのは彼らの方である。」

クリントンの次の大統領はご存知の通り、ジョージWブッシュです。
ブッシュ大統領は『できるだけ強力な抑止力を整備する』という第二次世界大戦以前からのアメリカ軍の方針を引き継ぎました。

第二次世界大戦(太平洋戦争)では日本は宣戦布告と同時に太平洋にある2か所のアメリカ軍の基地(ハワイ真珠湾とフィリピン)に対し、大規模な攻撃を行いました。
当時のアメリカ軍がB-17爆撃機フライング・フォートレス(空の要塞)を急ピッチで生産・配備を進めていたことをつかんでいた日本は、できるだけ多くこの爆撃機を破壊することをこの攻撃の主目的のひとつにしていました。
B-17は大日本帝国の産業集積地である本州と九州にある人口密集地の、『竹と紙でできた』設備を焼き払う焼夷弾を雨のように降らせる能力を持っていたのです。

空襲後の北九州
この計画はすでに開戦前にアメリカ空軍クレア・シェンノート将軍の手によってまとめられ、フランクリン・ルーズベルト大統領、コーデル・ハル国務長官、軍参謀長ジョージ・マーシャル将軍から強い支持を受けていました。

-《6・最終回》へ続く -
http://www.theguardian.com/commentisfree/2014/aug/06/hiroshima-day-nuclear-weapons-cold-war-usa-bomb
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まさに今、日本の国会で強引に成立が図られている安全保障関連法案、その成立を強力に後押ししているアメリカの意図を懇切に解説してくれているような記事です。
少し前に日本の民主党政権を崩壊させるための工作を米国オバマ政権が行っていたというエコノミストの記事をご紹介しましたが、安全保障関連法案を成立させることで、安倍首相はアメリカ側からどのようなギャランティを引き出そうとしているのでしょうか?

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【 追いつめられていく難民たち 】

アメリカNBCニュース 9月15日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

DAY01
9月15日ハンガリー南部のレーツケで、オーストリア国境行の列車を待つ間、仮眠をとるシリア、アフガニスタンからの難民。(写真上)
ハンガリー警察は流入し続ける難民に対する取り締まりの強化を続けており、身動きが取れなくなる前に何とかしたいという難民の焦りがりれ募り続けています。

9月15日ハンガリー国境近くのセルビア、ホルゴスの地面の上で休むシリア難民の少年。
セルビアとハンガリーを結ぶ幹線高速道路では、越境を求める難民たちとハンガリー警察との間で押し問答が続いています。(写真下・以下同じ)
DAY02
ハンガリー南部のレーツケで、オーストリア国境行の列車を待つ間、ひまわり畑の中を歩く少年。
DAY03
9月15日セルビア、ホルゴスのハンガリーとの国境。
ハンガリーはセルビアと国境を接する2つの郡で難民危機に関する非常事態宣言を発し、警察その他の行政機関にこの問題に対応するための特別権限を与えました。
day04
9月15日セルビアからハンガリーに越境した後、警察によって身柄を拘留された難民と話す警官。
ハンガリーの保守政権は、際限もなく流入を続ける難民をEU各国がどう引き受けるか合意が出来ないのを受け、これ以上の難民が入り込まないように主な陸路を封鎖しました。
DAY05
http://www.nbcnews.com/news/world/europe-closes-borders-stranding-migrants-crossings-n427846

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