星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » 【 福島の終わらない危機、そして東京電力の年次株主総会 】

【 福島の終わらない危機、そして東京電力の年次株主総会 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 7分

広告
広告

「常に放射線の恐怖がつきまとい、未来が全く見通せない、私たちの苦しみを考えてみてください。」
東京電力を救済し、東電と一緒になって原発再稼働の途を探る日本政府

AP通信 / ワシントンポスト 6月26日

東電株主総会
26日水曜日に開催された年次株主総会で、株主たちは放射能汚染水の漏出の問題や原子力発電の段階的廃止を求めて役員たちを質問攻めにし、東京電力に対する怒りをあらわにしました。
彼らが提案した15件の動議、東京電力は再生可能エネルギーへの転換を進めること、2011年3月に発生した福島第一原発の事故の被災者に対し役員は報酬の中から寄付を行うこと、などは年次株主総会の席上、否決されました。

日本はいま、福島第一原発で津波によって冷却装置が動作不能に陥ったため、3基の原子炉がメルトダウンを起こし、環境中に放出した放射性物質を取り除く作業、すなわち除染作業と、周辺の市町村を再建するという極めて困難な作業を行うという、難しい状況にあります。

「常に放射線の恐怖がつきまとい、未来が全く見通せない、私たちの苦しみを考えてみてください。」

事故後避難区域に指定された福島県浪江町からやってきた株主の立花りゅう子さんがこう訴えました。
「物質的な豊かさは、人間を幸福にはしてくれません。」

福島第一原発では放射性物質に加え汚染水も漏れ出し、敷地内にはいまだに汚染された大量のがれきが散乱し、その上度々停電トラブルを起こすなど、きわめて不安定な状態にあります。
日本政府は福島第一原発の事故収束・廃炉作業完了までを、約40年と見積もっています。
東京電力の株価は事故後の暴落からはいくらか値を戻してはいますが、急落したままであり、配当金も支払われません。

東電株主総会2
グリーンピース・ジャパンの活動家たちは、株主総会の会場入り口付近にカジノの賭けテーブルの模型を置き、カジノ従業員の服装をして現れました。

「原子力発電は、ものすごく危険なキャンブルなのです。」

グリーンピース・ジャパンの広報担当、関本ゆきさんがこう語りました。

東京電力は日本政府によって救済のため、国営化されました。
日本政府はその筆頭株主として、東京電力の政策を支持し、新しい安全基準の下で停止中の原子炉をどうすれば再稼働させられるか、その方途を探っています。

集まった株主の間からは東京電力やその経営陣を非難するヤジが飛び交いましたが、東京電力と連携する株主も数多く集まっていました。
至る所で警備員が目を光らせ、ひとりの原子力発電反対派の株主は手にしたマイクのスイッチを切るように言われ、立ち上がらないよう注意されました。

東京電力・広瀬
東京電力側は何度も頭を下げ、事故後の『数々のトラブルと懸念』について謝罪を繰り返しました。
一方で放射能汚染水の漏出の問題については、メルトダウンしている原子炉を冷却するためには水をかけ続けるしかなく、汚染水漏れをいつになったら完全に封じることができるか、そして水が漏れ出している場所を正確に特定することが技術的に難しいことを認めました。

さらに福島第一原発の事故収束・廃炉作業と周辺地域の除染を続けるため、これから長期間公的資金に頼らざるを得ないとも認めました。
東京電力の広瀬直美社長は株主に対し、こう謝罪しました。
「我々は機構改革を行い、活力のある民間企業としての再生を図ります。」

しかし株主の一部からは不満の声が上がりました。
藤井さんと自ら名乗った株主の一人は、こう発言しました。
「雛壇の上に居並ぶ役員の皆さん、あなた方全員は、本来なら職業安定所で職探しをするか、公園であても無くぶらぶらしていなければならないはずです。」

100株を持つ浅田まり子さんが、AP通信の取材に次のように答えました。
彼女は福島第一原発周辺で農場を経営し、自ら作物の栽培を行っていましたが、事故の発生により避難生活を強いられています。
「東京電力は原子力発電を止めるべきです。」

「もう一度福島第一原発のような事故を引き起こしたら、日本人はもう生き残ることはできないのですから。」

http://www.washingtonpost.com/business/japan-utility-behind-nuclear-crisis-faces-angry-shareholders-at-annual-meeting/2013/06/26/9c33de68-de30-11e2-bc84-8049224b33e1_story.html
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

国家というものは本来、そこで暮らす人々が自分たちを守るために考え出した組織体のはずでした。
ところが組織というものはいったん出来上がると、本来の目的を忘れ、まずは自分たちの組織そのものを守ることを目的としたがるようです。

アメリカなどは、政府機関などについて時代が変わって機能性や役割に疑問が生じるとドラスティックに改変するようですが、日本はそうは行きません。

福島第一原発の事故の原因を作ったのは何も原子力安全・保安院と東京電力だけではないはずですが、他の関連政府機関などは事故について痛烈に反省することも無く、まずは自分たちの組織を保全するために蠢動しています。

そして刈羽崎柏原発再稼働への東京電力・広瀬社長の『決意表明』などを聞いていると、同社も事故について痛烈に反省し、どうすれば自分たちが社会と共生できるのか悩み抜こう、などと言う考えはさらさらないことが解ります。
あれだけの事故を起こしたのだから、たとえ会社が半分の規模になっても社会ときちんと共生できる企業を目指す。

理想論ですが、理想を持たない社会がどうなるか、私たちは68年ぶりに目の当たりにしているのではないでしょうか?

広告
広告

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事に関連する記事一覧

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
広告
広告
カテゴリー
メタ情報