ホーム » エッセイ » 「市民自らが立ち上がり、放射能汚染の真実を明らかにする」セイフキャストの活動
放射線からスモッグまで、市民のため数値を明らかにする
ディラン・ウォルシュ/ニューヨークタイムズ 10月19日
セイフキャストの取り組みは、昨年3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを起こし、たくさんの人々に放射線被ばくの危険性が迫った時に始められました。
「私には日本にたくさんの友人がいるのです。」
セイフキャストの共同設立者であるジョン・ボナー氏がこう語りました。
福島第一原発の事故後の混乱の中、
「人々は情報を手に行けることができなくなりました。電話回線は完全にパンクし、どんな事態が進行しているのか、全く分からないままにされてしまったのです。」
世界各国の選りすぐりのデザイナー、エンジニア、実業家、そしてハッカーたちが彼の下に参集し、ボナー氏は友人たちのネットワークを介して必要な情報を集め、これを誰もが簡単に確認することができるよう公開することを構想しました。
彼らはすぐに手分けして、関係機関の情報入手を次々試みましたが、必要とするデータは存在していませんでした。
「必要な情報が結局はどこにも存在しない、そのことが解る前から私たちは、各地の放射線量を計測するため、どこにでも持って行けるガイガーカウンターの制作に取り掛かっていました。」
こうしてセイフキャストは誕生しました。
ガイガーカウンターによる測定を続けるうちに、『放射能同様、実に様々な問題が』大気中、そして環境中には存在していることが明らかになってゆき、セイフキャストはこれらの問題にどう向き合うべきなのか、そのことについても考えざるを得なくなったと、ボナー氏が語りました。
セイフキャストによる測定が行われる以前に存在していたデータは、権利が存在し、誰もが利用できるようにはなっていませんでした。おまけに時間的にも、数値的にも、数回分が平均化されて1つのデータにされてしまい、結果的に不正確な、信頼性の乏しいものになっていました。
具体的にご説明しましょう。
ロス・アンジェルスの南部海岸大気観測地域では、1万平方マイル内に1,600万人が暮らす場所に35か所の観測地点が設けられ、遠隔操作により大気中の汚染物質の測定を1時間ごとに行っています。
しかし公表されるデータは、8時間ごとの平均値でしかありません。
設置されるセンサーの数と測定頻度は、アメリカ政府が一定の面積と時間について定めた運用基準に沿ったものです。
セイフキャストは測定すべきエリアを大幅に拡大し、1分ごとに観測データを公表するという、これまでとは比較にならない程充実した調査、発表を行おうとしているのです。
「私たちは測定装置を数多く持っています。そして得られたデータは、完全に公開するつもりです。」
ボナー氏はこう語り、次のようにつけ加えました。
「うまくいけば、そこで使われることになる測定装置の数は、我々自身が制作する数をはるかに上回ることになります。」
ナイト財団でジャーナリズムとメディア革新について研究を続けるジョン・ブラッケン氏( http://www.knightfoundation.org/staff/john-bracken/ )は、セイフキャストが手掛けている取り組みの底流には、コンピューターのハッキングとDIYの文化があると語りました。
「セイフキャスト内の多くのグループが、ソフトウェアが持つ機能を、ハードウェアの機能として実現させてしまっているのです。」
「見事な実績です。」
『最新の科学技術を市民運動の強力な武器として提供する』セイフキャストの取り組みについては、ブラッケン氏は感動すら覚えると語りました。
日本において、政府機関などが公表する放射線量などのデータに対し、多くの人々が疑いを解くことができませんでした。
そこに現れたセイフキャストは、今や日本国内に400万を上回る測定地点を設定しています。そして、ボランティアの人々が正確なデータを採取することにより、公表される著しく透明性の高いものとなり、人々の信頼を得ることになりました。
セイフキャストはナイト財団から資金提供を受けて、測定機器の開発研究を行っています。
このため完成した測定機器の設計・製作方法は、誰もが無償で利用できるようになっています。
このためこれから始まるロス・アンジェルスでの測定には、誰でも参加することができます。
最終的にボナー氏と彼のチームが望んでいるのは、ロス・アンジェルスでの取り組みがきっかけとなり、世界中で市民の手による環境監視、そして環境保全が実現することです。
ナイト財団はそのコンテストで、セイフキャスト以外の5つの団体にも資金援助を行う事を決定しましたが、得られた研究結果を市民が自由に利用できるよう、公開することを求めています。
ナイト財団によればこの結果881本のプログラムが提供され、そのほとんどがインターネットで入手可能になっています( http://www.knightfoundation.org/ )。
「今日、私たちが取り扱わなければならない情報の量は、実に膨大ですが…」
ブラッケン氏がこう語りました。
「しかしその一つ一つをきちんと検証することを、誰かがやらなければならないのです。」
http://green.blogs.nytimes.com/2012/10/19/from-radiation-to-smog-numbers-for-the-public/
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
【子供たちの手に可能性を運ぶ、オーケストラの指揮者】
[メイキング・ア・ディフエレンス / この世界を変えて行く!]
アメリカNBCニュース 10月17日
今夜も新しい[メイキング・ア・ディフエレンス]のストーリーをご紹介ことにしましょう。
新たな道を切り開く一人の女性のお話です。
彼女は次世代を担う子供たちに、クラシック音楽の素晴らしさを伝えたいという熱意を抱き、クラシック音楽などまるで頭に無かった子供たちに、チャンスを提供しています。
ロス・アンジェルスからダイアナ・アルバーがお伝えします。
リポーター: 初めてバイオリンに触れる、この小さな手をご覧ください。
ソニア・マリエ・デ・レオン・デ・ベガ(指揮者)「私も初めての時はこんな感じでした。」
リポーター:新たな始まりの瞬間です。
ソニア「こうして私は、クラシック音楽を心から愛するようになったのです。」
リポーター:彼女はここにいる子供たちも、生涯こうした情熱を失わないよう願っています。
ソニア「まるで魔法のような力を持っている、そして何より美しい、私は子供たちの人生の中に、クラシック音楽を導きいれる手伝いをすることに喜びを感じているのです。」
リポーター: かつては女性のオーケストラ指揮者などありえないと言われた時代がありました。しかし彼女はその常識を打ち破った、最初のラテン・アメリカ人女性です。
彼女が率いるオーケストラは、結成20周年を迎えました。
しかし彼女はこんなふうに考えているのです。
「一番大切なのはコンサートなの?」
彼女は毎年数千人のロス・アンジェルスの子供たちの目の前に、オーケストラのソロイストを連れてきて、クラシック音楽を演奏してもらっています。
そして子供たちが言葉を失う様子を見て、クラシック音楽が子供たちの中に根づく可能性があることを感じています。
公立の学校でもそうですが、ここ数年で音楽の授業への教育予算が大幅に削減されてしまいました。
今や彼女のこの取り組みだけが、ロス・アンジェルスの子供たちがクラシック音楽に触れる唯一の機会になってしまいました。
リポーター: そして、子供たちは聴くだけではなく、無料のバイオリンのレッスンが受けられます。
子どもたちは声楽のレッスンも受けていると話してくれました。
キンベリー・アルバラド(4年生)「むしゃくしゃすることがあるでしょう。そうしたらその気持ちをバイオリンで表現してみるといいわ。」
ミゲル・トレス(6年生)「たくさん演奏すればするほど上手に弾けるようになるし、そうすれば増々演奏することが楽しくなるんだ。」
ソニア「バイオリンやその他の楽器を手にして、自分を表現できるようになれば、代わりに銃や麻薬などを手に持つことが無くなるのです。音楽の美しさ、そして達成感が心を満たしてくれますから。」
リポーター: 達成感を得ることによって子供たちの心が満たされ、何に対しても前向きに取り組めるようになることを、彼女は望んでいるのです。
キンベリー「むしゃくしゃすることがあるでしょう。そうしたらその気持ちをヴァイオリンで表現するの。ソニアたちのおかげで、音楽の素晴らしさがわかったの。一生懸命練習を続けて、大人になったらソニアたちのオーケストラのメンバーになるわ。」
リポーター:少しだけ手を貸してあげることで、子供たちの未来が開けていきます。
ダイアナ・アルバー、NBCニュース、ロス・アンジェルスから。
http://www.msnbc.msn.com/id/3032619/#49455469
Visit NBCNews.com for breaking news, world news, and news about the economy