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CNNも日本語版と英語版では、こんなに違う!
8月2日『 福島第一原発で過去最高の放射線量を測定 』の報道
今日はそもそも、私がこのブログを始めるきっかけとなった、東日本大震災と福島第一原発事故に関する報道が、日本国内と海外では異なっているのではないか?!という疑問についてです。
CNNはアメリカのサイトとは別に、Web上に日本語サイトを開設しています。
8月2日、福島第一原発で異常に高い放射能が検出されたニュースについてCNNは、英語版・日本語版の両方に『同内容』のニュースを掲載しました。
私はCNNとBBCは日本語サイトがある事から、英文のページの記事が日本のサイトでも紹介されているときは、翻訳しない事にしています。
この記事も同じように通り過ぎるところでしたが、英文の記事量に比べ、日本文の方のそれが異常に短い事に気づきました。
「なぜだ?!」
そこで、英文を自分で訳してみたのですが、結果はご紹介の通りです。
比較のため、日本語記事の『全文』も最後に添付しました。
あらためて私たち日本人は福島第一原発の事故について、『必要なだけの情報』を与えられているのかどうか、疑問に思ってしまいました。
そして、この記事(英文の方)を読む限り、今が『計画的避難区域の解除』のタイミングだなどとは、とても思えないのです。
福島県内の放射能計測値が「劇的に減少した」のならともかく、食品の汚染が次々に明らかになり、記事にもある通り福島第一原発に難問が山積している今、なぜ『計画的避難区域の解除』なのでしょうか?
英文を添付したところがあるのは、私の翻訳が原文のニュアンスを誇張していないかどうか、みなさんにチェックしていただくためです。
尚記事中に担当者レベルの日本人の実名が出てくる部分があり、そこだけ割愛させていただきました。
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【 福島第一原発で致死量の放射線量を検出 】
米国CNNニュース(英文)8月2日
制御不能に陥っている福島第一原発で働く作業員が、これまで発電所内で計測された中で、放射線量が最高の値となる地点を発見した、と月曜日、東京電力が報告しました。
報告書によれば、月曜日の午後の原子炉1号機と2号機の間の換気塔の基礎部分で毎時1万ミリシーベルトを計測した、とあります。
この値は男性・女性を問わず、1時間の被曝で数週間以内に死亡する高さです。
米国の専門家は、発電所の技術者たちが災害の始めの数日間、破損している原子炉に通気(ベント)しようとしため、放射性粒子がその辺りに集中したのであろう、とCNNに語りました。
(参考のため)比較してみると、先進工業国の一般的住民の年間被爆量は3ミリシーベルトですが、事故以降福島第一原発の周辺で報告された放射線量の最大値は400ミリシーベルトでした。
東京電力は、すぐにこのエリアを外部から遮断し、高い放射線量発生の原因と、それがどのように復旧作業に影響を与えるか、の両方を調査しています。同社スポークスマンは「発見をした作業員のうち、負傷している者はいない」と語りました。
東京の240km北に位置する福島第一原発は、3月11日の東北太平洋沖地震によって引き起こされた津波に襲われました。その結果は1986年のチェルノブイリ原発事故以来最悪のものとなり、3基の稼働中の原子炉のメルトダウンは膨大な量の放射性物質を、周囲一帯にまき散らしました(spewed vast quantities of radioactive particles across the surrounding area)。
この災害は日本に、原子力発電について再考を求める事となりました。
ドイツはすでに、2022年までに原子力発電を永遠に放棄する事を表明しています。
ミシガン大学で原子力工学の教授ゲイリー・ウォスは、ホットスポットが存在する位置は、放射性物質が、メルトダウンの最中に原子炉内の圧力を下げるためフィルターを通して排出された、炉内の空気と水蒸気によって運ばれたことを示唆するものだと語っています。
「彼らがベントを行っていた際、意図的であると無いとに関わらず、原子炉内の空気がフィルターに送られていました。」
「このフィルターは結果的に一カ所に向け、放射性物質を集中させた可能性があります。」と教授は語りました。
ウォス教授は、ガンマ線カメラが、この放射性物質の排出原因が、原子炉廃棄物、核燃料棒の破片または両方であるかどうかを、識別するのに役立つ可能性があると語っています。
東京電力は月曜日のホットスポットの画像を捉えるために、高さ3メートルのポールに、ガンマ線カメラを取り付けました。
東京電力は、10月から1月の間に福島第一原発の事故を、完全に沈静化させる見通しであるとしています。
しかし現場の技術者たちは、緊急時に原子炉を冷却するために使用した推定10万トンの高濃度汚染水の処理に苦慮しています。
そしてウォス教授は、現場の作業員がこの汚染水を浄化しようとすれば、月曜日の発見に似た問題に直面する可能性があると語ります。
「汚染水の処理も困難な問題ですが、これらのフィルターも悲鳴を上げたい程に放射能の濃度が高く、この問題はさらに厄介なのです。」
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【福島第一原発で過去最高の放射線量を測定】
CNN.co.jp・日本語版報道(全文)
東京電力は2日までに、福島第一原子力発電所の敷地内で事故後最も高い放射線量が測定されたことを明らかにした。
東電の報道担当者によると、1号機と2号機の原子炉建屋の間にある排気筒の底部付近で1日午後、毎時10シーベルト(1万ミリシーベルト)以上の高線量が計測された。
これは一度の被ばくで死に至る量。東電は直ちに周辺を立ち入り禁止とし、原因と復旧作業への影響を調べている。
政府と東電が発表した事故収束の工程表では、10月から来年1月にかけて原子炉を冷温停止状態とすることが目標となっている。事故を受けて日本では原子力政策が再検討され、ドイツは2022年までに国内の原子炉をすべて停止すると発表した。
以上、http://www.cnn.co.jp/special/eq2011/30003558.html