ホーム » エッセイ » 覚えていますか?「今日、世界は終わりを迎える」マヤの黙示録
ステファニー・パッパス(ライヴサイエンス主筆)/ アメリカNBCニュース12月18日
UFOの熱烈支持者、そして福音の書の伝道者たちは、異口同音に世界に終わりが訪れる正確な日付を知っていると言います。
しかし、マヤの黙示録は、これまで明らかにされてきた最後の審判のどの日付とも大きく異なっています。
宗教学者によれば、マヤの地球最後の日付は、完全に民間信仰の中から生まれてきたものだと語ります。
これまで存在した黙示録は預言者によって編まれたものであり、しばしば未来についての予言を行い、それは神の啓示によって得られたものだと語るのが常でした。
これに対し、『世界は2012年12月21日に終わりを迎える』と言う予言はインターネット上に突如登場し、他のいかなる予測とも大きく異なっていました。
「世界の終末予測もまた、進化のプロセスをたどってきました。これらの確信に溢れた終末予測には、いずれも根拠とされるものがありましたが、いずれも現実のものとはなりませんでした。しかし、今年地球が終わりを迎えるとするマヤの予言もまた、こうした類いのものと言い切れるでしょうか?」
新興宗教の研究を専門とする社会学者、アルバータ大学のスティーブン・ケント氏がこう語りました。
いずれにしても、各種の黙示録に詳しい専門家の意見は、この世の中が失望に満ちた、救いがたい社会になってしまっている、そう見ている点で一致していると語ります。
▼ 世界の終わりの歴史、その概略
黙示録的な視点は、数千年の歴史を持っています。
西洋文明の中で最初に終末思想が現れたのは、古代ペルシャ文明においてである、こう語るのはフィラデルフィアにある聖ヨゼフ大学の宗教学者であるアレン・カークスレッガー教授です。
古代ペルシャを支配していたゾロアスター教の根底にあるものは、善と悪との壮絶な戦いによりこの世界が終わりを迎えるという考え方である、カークスレッガー教授がライヴサイエンスにそう解説しました。
紀元前539年、ペルシャ人は古代ユダヤ帝国を征服しまし、その後200年間ユダヤ人を支配下に置きました。
ペルシャの支配以前、ユダヤ人には終末思想にほとんど関心はありませんでした。
しかしペルシャ文化の影響が及び、ユダヤ人たちの著作に終末思想が現れ始めました。
『死海の書』にもこうした記述が見られます。
そして初期のキリスト教に、その影響が及ぶことになりました。
「キリスト教における終末思想はユダヤ教から直接取り入れられたものですが、もとはと言えばゾロアスター教が起源なのです。」
カークスレッガー教授がこう語りました。
しかし世界の終末が最初に予測されたのは西暦1,000年でしたが、結局何も起きませんでした。
驚く必要もないことですが、西暦500年、1,000年が近づいたころ、この終末思想は大きな関心を呼びました。
その後、終末思想はその視線を宇宙に転じることになりました。
一例としてあげられるのは、1524年、占星術師が惑星直列により世界の終わりをもたらすとの予言を行ったことです。
しかし一向に世界の終末が音ずる気配は無く、この予言は、1528年から1624年まで、何度もその日付が修正されることになりました。
▼ 現代の黙示録
現代にあって地球の終末がやって来ることを解き続けているのは、『審判の日』の到来と昇天を信じる一部のキリスト教徒です。
その典型的な例が放送宣教師のハロルド・キャンピングであり、彼は2011年5月21日に審判の日が訪れると解き、ビルボードの広告枠を買い切って警告を行い、全国の注目を集めました。
審判の日に続き、10月には世界の終わりがやって来ると予言した彼は、2012年現在、審判の日の予測からは足を洗っています。
他には西洋社会の終末予想と新興宗教が結びついたものもありました。
1954年、故人となったシカゴに住んでいた主婦のドロシー・マーティンと彼女の崇拝者の一団が、同年12月21日、大洪水によって世界が水没すると予言しました。
そして彼女と同じ信仰を持つ者だけが、飛来するUFOによって救われると解いたのです。
このケースはこの教団の中に居た社会学者が1956年に刊行し、その後の教団の動向について報じた『予言が外れた時』という著作により、全国的に有名になりました。
教団は彼ら自身が信仰を高めるという努力を重ねたことが神の決心を変え、世界の終わりを回避することに成功したと説明することにより、予言が外れたことを正当化したのです。
▼ マヤの黙示録
2012年12月21日は、紀元前3114年頃から始まって13バクトゥンが終了する日とされており、古代マヤ人が創造した、ひとつの人類が誕生しそして滅亡するサイクルとされているのです。
しかし他の文明、宗教においては、この日には特別の意味はありません。
マヤの黙示録の背景にあるものについて、カナダ・モントリオールにあるコンコーディア大学の宗教学者であるロレンツォ・ディトマッソ教授は、世界中にある黙示録と共通していると語ります。
「社会の不公正、退廃、そして権力者の腐敗などの問題は、人間の自助努力、そして技術の進歩によっては解決されるものでは無い、と言う考え方です。」
ディトマッソ教授がライヴサイエンスにこう語りました。
しかし、カリスマ的指導者によって行われたこれまでの終末予言とは異なり、世の中の人々はいろいろな異なった根拠をマヤの黙示録の中に見出していると語ります。
「ロールシャッハ・テスト(被験者にインクのしみを見せ、それから何を想像するかによって人格を分析しようとしたもの)と同じことです。マヤの黙示録から何を導き出すのか、それはすべてあなた次第なのです。」
「いちばん深刻なのは地球環境の問題だと思いますか?
そう、まさに2012年、これまでで最大の問題になりました。
異常気象、頻発する巨大地震、そして放射能。
この地球は人類に対し、今、何を語ろうとしているのでしょうか?」
http://www.msnbc.msn.com/id/50235996#.UNJk3qz0cnU
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そう言えば『2012』という、マヤの黙示録に基づくアメリカ映画のDVDが自宅にある事を思い出しました。
3.11の後に購入したので、家族は誰も見たがりませんでした。
3.11を思い出すたび考えるのは、原子力発電所の問題、活断層などの問題で、政府機関の委員や顧問を務め、根拠のない安全神話を吹聴してきた『専門家』たちのことです。
彼らは一般の人々はおろか、『地球の声』に対しても、聞く耳など持っていないようです。
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【 地球最後の日に備える人々 】
アメリカNBCニュース 12月18日
アメリカユタ州にある自宅で、空気清浄機能を持つ『Sケープ(エスケープとセイフティ・キャップの語呂合わせ)のデモンストレーションをしてみせる、フィル・バーンズ氏、12月14日。
多くの人々がマヤの黙示録の予言に戦々恐々とする中、核戦争、天災、飢饉あるいは経済崩壊のような事態に陥った際、自給自足できる準備をしている人が大勢存在します。
非常用バックパックの中身について説明するフィル・バーンズ氏。
ユタ州ソルトレークのユタ・シェルターシステムを建設中の作業員。
このシェルターの建設費用は一基当たり51,800ドル(約436万円)から64,900ドル(約546万円)。
自宅の食糧保管庫のチェックをするヒュー・ベイル氏。12月10日ユタ州バウンティフル。
いざとなったら電気もガスも…まき割りをするヒュー・ベイル氏。12月10日。
『全米非常事態に備える連絡協議会』の倉庫に、緊急用のキャンプ・ストーブを運び込む。12月10日ユタ州サンディ。