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経済産業省・福島の放射能汚染水は海洋投棄が最良の選択

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所要時間 約 8分

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汚染水の貯蔵スペースがどんどん無くなる東京電力、汚染水の投棄には一般市民や近隣諸国からの猛反発

海洋投棄による健康被害や地域のイメージの低下、水産業と農業に壊滅的被害の恐れ

                

山口真理 / AP通信 2020年1月31日

               

2017年10月12日、破壊された福島第一原子力発電所の敷地内に立ち並ぶ放射能汚染水を貯蔵する約900基の巨大なタンク。中身の汚染水は放射性物質を取り除く処理がされていますが、完全には除去されていません。
東京の北東部、福島県大熊町にある福島第一原子力発電所が報道関係者に公開された際に撮影されました。

                

経済産業省は31日、東京電力福島第一原発敷地内に溜まり続けている処理済み放射能汚染水の処分方法を検討してきた小委員会に、希釈した上で海洋投棄する案が最も現実的とするとりまとめ案を提示し、委員会側もこれを了承しました。

               

経済産業省の提案では1979年のスリーマイル島事故後に行われた蒸発・大気中放出という方法も取りうる選択肢の一つであるとしながら、汚染水を段階的に海に投棄する方がより安全であり、実行可能な方法であると述べています。
提案は今後数週間のうちにいつ、どのように汚染水を放出すべきかを詳細に議論するため政府に提出されます。

                  

                

福島第一原子力発電所で2011年に発生した3基の原子炉炉心のメルトダウンからすでに9年近くが経過しましたが、専門家の勧告に従って汚染水をどう処分するかを決定する道筋がやっと具体化してきました。

                  

これは汚染水を貯蔵できる空間がどんどん無くなってきていること、そして汚染水の投棄により切迫した状況に追い込まれる可能性がある一般市民や近隣諸国からの反発との間で立ち往生している東京電力が、抱え込んでいる問題をこれ以上大きくしないための解決策です。
漁業関係者と近隣住民は、放射能汚染水を海洋投棄することによって生じる健康被害や地域のイメージの低下、水産業と農業への壊滅的被害を恐れています。

                       

処理済み放射能汚染水は放射性物質を取り除く処理がされており、福島第一原発の運営者である東京電力はそこに含まれる62種類の放射性物質はトリチウムを除くすべてが、人体に有害でないレベルまで除去できると述べています。
専門家によると、トリチウムを水から完全に分離する方法は確立されていませんが、少量なら深刻な問題はありません。
さらに日本政府関係者は、トリチウムは世界中の既存の原子力発電所から日常的に放出されていると述べています。

                

          

31日の提案で経済産業省は計画的な海洋投棄を行えば、投棄された汚染水の移動ルートは予測可能であり、サンプリングと監視が容易であるため、処理方法として優れていると述べました。
しかし海洋投棄を行えば、未だに本当の意味での復興が果たせず苦労している福島の水産業に著しい悪影響を与える可能性があります。

                 

一部の委員からは、汚染水の投棄を急ぐべきではない、急げば福島の復興が損なわれることになると語りました。
「私たちは、福島の復興を何よりも優先すべきです。」
中央水産研究所の森田貴美氏がこう語りました。
「地元の漁業関係者と住民は、福島の復興がさらに進まない限り、放射能汚染水の放出を受け入れることはできません。」
森田氏は福島産の水産物のほぼすべてが残留放射能の安全基準をクリアしているにもかかわらず、福島産の魚介類の需要は、事故前の5分の1未満にまでしか回復していないと語りました。

                   

経済産業省の報告書は放射能汚染水の放出が、入念な安全チェックにもかかわらず、依然として福島産品の購入に消極的な消費行動に直面している産業に損害を与える可能性があることを認めています。
こうした消費者の懸念に対処するため、経済産業省はトリチウムレベルの監視と食品の安全性チェック体制を強化することを約束しました。

                      

                 

名古屋大学の原子力工学教授である山本一郎委員長は、福島の復興には福島第一原発の廃炉止措置の着実な進展が不可欠であると語りました。
「こうしたタンクと放射能汚染水の存在が、廃炉作業の最も重要な部分である溶融燃料デブリの除去作業計画を妨げたり、遅らせたりしてはならないのです。」
「廃炉作業を確実に進展させるためには、福島第一原発の敷地を自由につかえるようにすることが不可欠です。」

                  

東京電力は現在、約120万トンの放射能汚染水を貯蔵していますが、最大で137万トン、あるいは2022年の夏の分までしか保管を続けるためのスペースがありません。
事故発生以来、溶け落ちた核燃料の冷却を続けるために使われた水が地下水と混じり合った汚染水が溜まり続けています。
この汚染水は常時ポンプで汲み上げられ、処理された後タンクに保管されますが、その一部は冷却用水としてリサイクルされます。

                     

しかしタンク内の汚染水は、溶け落ちて高濃度に汚染された原子炉の内部および周辺にある非常に放射性の高い大量の放射能汚染水と比べればさほど重要ではありません。
この極めて危険な汚染水は海や地下水に漏れ続けていると考えられており、もし大規模な地震や災害が発生した場合にははるかに大きなリスクをもたらすと一部の専門家が指摘しています。

               

                    

経済産業省の報告書は多くの福島県民が支持している方法 - 福島第一原発以外の場所での長期保管という方法を排除しました。
土地所有者の許可を得ることが困難であり、輸送上の課題に加え、腐食、津波、またはその他の災害や事故による漏出のリスクがあると述べています。

https://apnews.com/b5b31dbbd2bc756b1f5f6770c31dbfa0

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福島第一原発事故の被災者は、いったい何回生活を根こそぎ破壊されなければならないのか?

そう考えるとあまりの理不尽さに、全身に力が入らなくなる感覚に襲われます。

70キロ近く離れた場所で暮らす私ですらそうなら、当事者の方々の思いというのは一体どのようなものなのでしょうか?

                 

現在の為政者たちはその点を思いやることができない。

それは放射能汚染水の存在以上に深刻な問題のように私は感じています。

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