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真実の解明は道半ば、3.11福島第一原発:山積する課題、見つけられない解決の糸口

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所要時間 約 12分

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増大する一方だった放射線の漏出、立入禁止区域を次々と拡大

国民の間に大きな怒りのうねりを生んだ福島第一原発の巨大災害

                  

東日本大震災の巨大津波に破壊された瓦礫の中で涙を流す女性 / 宮城県

                   

英国BBC 2021年3月11日

              

ちょうど10年前の2011年3月11日金曜日の午後、東北地方太平洋岸を襲った地震は日本における観測史上最も強力なものでした
マグニチュード9.0の地震は極めて強力なものであり、地球の主軸にズレを生じさせるほどのものでした。

                  

この地震は本州の太平洋岸を襲った津波を引き起こし、18,000人以上の人々を殺し、地図の上から町全体が一掃されてしまった場所もありました。

                 

福島第一原子力発電所では、巨大な津波が防潮堤を乗り越えて殺到し、原子炉を水没させ、巨大災害をなお一層悪化させました。
日本政府当局は、増大し続ける一方の放射線の漏出に合わせ、立入禁止区域を次々と拡大せざるをえなくなり、結果的に15万人以上が周辺地域からの避難を余儀なくされました。

                    

10年後、立入禁止区域は帰宅困難地区としてそのまま残り、多くの住民が戻らないままになっています。

                     

当局は、すでに日本数十兆円の費用がかかっている作業を完了するためには最大40年を要すると見積もっています。

                 

▽ 福島第一原子力発電所はどこにありますか?

                 

                     

立地するのは福島県大熊町です。
東京の北東約220km(137マイル)の太平洋沿岸に位置しています。
東日本大震災は2011年3月11日現地時間14時46分、東北地方太平洋沖地震が仙台市の東の海中、福島第一原子力発電所の北約97kmの場所を震源として発生したことにより始まりました。

                   

津波が沿岸一帯を襲うことを住民が知ったのは、わずか10分前に警告によってでした。
地震、津波、原発事故の結果、全体で50万人近くが自宅を捨てて避難することを余儀なくされたのです。

                    

▽ 福島では何が起きたのですか?

                    

原子力発電所のシステムが地震を検出、原子炉が自動的に停止しました。
非常用ディーゼル発電機が稼動し、原子炉炉心の周囲に冷却水を送り続けました。
原子炉炉心は停止により核反応も止まりましたが、温度は高温のままでした。

               

                   

しかし、14メートルを超える高さの波が福島県沿岸に到達、津波はあらゆる防御対策を圧倒し、福島第一原子力発電所の敷地内で海水が氾濫し、非常用発電装置も機能しなくなってしまいました。

                  

原子力発電所の職員は必死に電力供給装置の復旧作業を行いましたが、3基の原子炉内にあった核燃料が過熱して原子炉の炉心溶融が始まりました。
これが原子炉のメルトダウンです。
福島第一原発はさらに、原子炉建屋が崩壊する一連の化学爆発に見舞われました。

                   

                   

その結果、大気中、そして太平洋に向け放射性物質の漏出が始まり、避難を勧告される人の数が増大、周辺地区が次々と立入禁止区域に設定されました。

                 

▽ 死者・負傷者はいましたか?

               

原発事故による直接の死者はいませんでした。
しかし爆発で少なくとも16人の原子力発電所職員が負傷し、さらに数十人が原子炉の冷却と原子力発電所の安全確保のために作業をしている間に放射線にさらされました。
高レベルの放射線被曝により、3人が病院に搬送されたという情報もありました。

                  

福島第一原発が放出した放射線の長期的な影響については多くの議論があります。
世界保健機関(WHO)は、2013年、福島第一原発の事故によってこの地域のがん発生率が、目に見えるほど増加することはないと述べた報告書を発表しました。
国内外の科学者は、福島第一原発周辺の地域を除けば、放射線のリスクは比較的低いままであるという見解を示しています。

               

2021年3月9日、事故発生10周年の目前、国連は福島の住民の間に第一原発が放出した放射線に直接関係する「健康への悪影響はない」とする報告書を公表しました。
将来の放射線関連の健康へのいかなる影響についても「認識できる可能性は低い」、国連の報告書はこう述べています。

                    

                    

しかし多くの人は実際の危険ははるかに大きいと考えており、住民は警戒を続けています。
当局は多くの地域で立入禁止の制限を解除しましたが、ほとんどの住民は自宅に戻っていません。

                 

2018年、日本政府は放射線に被ばくした後に1人の労働者が死亡したと発表し、遺族に対する補償に同意しました。
しかし、放射線への被曝を防ぐため急いで移動しなければならなかった数十人の入院患者を含め、多くの人々が避難中に死亡したことが確認されています。

                     

福島第一原発事故は、国際原子力機関によってレベル7の災害に分類されており、チェルノブイリに次ぐ巨大原子力発電所災害となりました。

                

▽ 責任は誰にあるのか?

                      

福島第一原発の巨大災害は国民の間に大きな怒りのうねりを生み、日本の原子力発電所からの脱却を促しました。

                  

災害発生後、自然災害への備えが欠如していたことに加え、原子力発電所を所有運営していたの東京電力と日本政府の双方の対応に混乱があったことに非難が集まりました。

                    

日本の国会によって設立された独立した調査委員会は、福島は「深刻な人為的災害」であり、電力会社が必要な安全対策を怠った上、今回のような事故の可能性があることを想定もしていなかったと非難しました。
しかし2019年、日本の裁判所は福島第一原発の災害に関する唯一の刑事事件で、東京電力の元幹部3人に過失はなかったと無罪判決を下しました。

                 

                 

2012年、当時の日本の野田佳彦首相は国にも災害の責任があると語りました。
2017年の裁判では、日本政府にも責任の一端があり、避難者に補償を支払うべきであるとの判決が示されました。

                      

▽ 福島第一原発の事故収束・廃炉作業の現況は?

                       

10年が経った現在も、福島県内のいくつかの町や村は立ち入り禁止のままです。
当局は、住民が自宅に戻って生活出来るように地域の除染作業に取り組んでいます。

                  

しかし大きな課題が残っています。

                    

放射性核廃棄物、核燃料棒、および敷地内に保管されその量が増え続けている100万トンを超える放射能汚染水を安全に除去するには、今後30〜40年間で数万人の作業従事者が必要になります。

                

しかし、一部の住民は放射線の存在を警戒して他の地区で新しい生活を築いたり、あるいはあれほどの災害が発生した場所にはもう戻りたくないという理由から、二度と戻らないことに決めました。

                    

2021年2月、福島第一原発から2.5km離れた家族の墓地で防護服を着て祈る女性。

                    

2020年の日本の国内メディアは、日本政府は放射性物質を減らすためにろ過された放射能汚染水を早ければ2021年にも太平洋に放出し始める可能性があると伝えました。

                   

一部の科学者は放射能汚染水を海洋中に放出しても、巨大な海が水を希釈し、人間と動物の健康へのリスクは低いとの見解を示しています。

                  

しかし、環境保護団体のグリーンピースは、処理済みであっても福島第一原発の放射能汚染水には人間のDNAに損傷を与える可能性のある物質が含まれていると述べています。
日本政府当局は、放射能汚染水をどうするかについて最終的な決定はまだなされていないと述べました。

                     

https://www.bbc.com/news/world-asia-56252695

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国連の諸機関に対し疑念を持つようになったのも福島第一原子力発電所の災害がきっかけでした。

この記事中に出てくる世界保健機関(WHO)の3月9日の『見解』もそうした疑念を強めこそすれ、それが公平な科学的見解だとは到底思えません。

みなさんに対し申し訳なく思うのは、WHOの福島第一原発事故に関する『見解』は、自分たちが現地に足を運んで調査をしたわけではなく、ただ単に持ち込まれた『資料』をまとめあげただけのものだという事実を指摘した記事を翻訳した記憶があるのに、翻訳した記事が多すぎて自分で見つけられない、ということです。

であれば、自分たちの望むような『見解』を引き出すため、せっせとWHOに『資料』を持ち込んでいた人間たちがいるということです。

誰なのでしょう?

                     

それにしてもこの10年の歳月は、私にとっては自分では整理しきれないほどの量の英文記事の翻訳の日々でもありました。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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