ホーム » エッセイ » 官僚、議員…政府中枢に多発していた日本のセクシャル・ハラスメント
女性報道関係者に対し新たに150件事件のセクハラ疑惑、加害者は政府関係者、警察官、議員…
あたかも女性の社会進出の擁護者であるかのように振舞っている安倍首相、セクハラ事件の深刻さには見向きもせず
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年5月22日
新たな調査により日本の新聞やテレビ・ネットワークで働く数十人の女性が、性的嫌がらせを繰り返し受け、多くの場合加害者は政府職員、警察官、議員でありその割合は3分の1に上っていることが明らかにされました。
女性ジャーナリストに対して性的に不適切な発言をしたと告発されて財務省のナンバー2である事務次官が辞任した直後、35人の女性報道関係者を対象として行われたこのアンケートでは、150件ものセクシャルハラスメント事件があったことが明らかにされました。
大阪国際大学の性差別問題研究の専門家である谷口真由美教授は、セクシャルハラスメント事件の40%が女性の職場内で発生し、残りは取材現場や第三者によって引き起こされたものだと語りました。
被害者の中には、全国紙の女性記者が含まれていました。
彼女たちは高い地位にある警察官僚が女性に対して不適切な発言を繰り返し行ったと主張しました。
被害者となった女性記者の同僚たちはセクシャルハラスメントが行われている事実を知っていましたが、それを止めるための行動をとることは一切なかったとも語りました。
最近結成された女性フリー・ジャーナリストと女性広報担当者のための組織であるウィメン・イン・メディア・ネットワーク・ジャパンの松本知恵さんは、今回の調査結果について驚くべきものではないと語りました。
「私たちのネットワークには90人のメンバーがいますが、うち19人が警察関係者、インタビューを行った相手、そして自身の上司などから性的嫌がらせを受けた経験を持っています。」
松本さんがガーディアンの取材にこう答えました。
「彼女たちは実際に起きたことを忘れるように言われました。セクシャルハラスメントの被害を受けることが、ジャーナリストとしての仕事の一部のような有様だったのです。」
「彼女たちは実際に起きたことを忘れるように言われました。セクシャルハラスメントの被害を受けることが、ジャーナリストとしての仕事の一部のような有様だったのです。」
世界的な広がりを見せているMeToo運動ですが、日本では被害者の職歴に傷がついたり、ひどい場合には逆に犯罪を誘発したなどと誹謗される場合があり、正直に告発することがためらわれる環境にあります。
しかし財務省の福田事務次官がテレビ朝日の女性記者に性的嫌がらせを行っていたという週刊誌の報道が大きく取り上げられて以来、これまでの政府関係者によるセクハラ案件の取り扱いの仕方に対する批判が高まっています。
福田氏自身は告発の具体的な内容について否定してしますが、女性記者にバーで飲んでいる間にキスを求め、こう語ったとされています。
「胸触っていい?」「手縛っていい?」
そして
「財務省の予算が承認されたら、不倫しようよ。」
この週刊誌は福田元事務次官が財務省を担当する他の女性ジャーナリストにも、同様に常習的に不適切な発言をしていたと主張しています。
この事件について麻生太郎財務相は、福田元事務次官は「はめられた」可能性があるとの見解を披露、国内外から広範な批判を浴びました。
しかし続けてセクシャルハラスメントは「犯罪ではない」とも発言し、一層の批判を浴びることになりました。
安倍晋三首相はあたかも女性の社会進出の擁護者であるかのように振舞っていますが、一連のセクシュアル・ハラスメント事件には一切触れようしていません。
さらには麻生氏の懲戒要求にも取り合おうとしていません。
https://www.theguardian.com/world/2018/may/22/japan-sexual-harassment-survey-reveals-150-allegations-by-women-in-media
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安倍政権になってからの官僚の劣化と腐敗には本当に目を覆いたくなる、鼻をつまみたくなってしまいます。
しかし官僚制度は私たちの生活に直結するもの。
給与明細を開くと公的負担金がどんどん増額されているのに、世の中を見れば貧富の格差は広がる一方。
経済的に困窮している子供たちの救済は常に後手回り食事すら満足に取れていないのに、自衛隊はどんどん最新装備を揃えていく。
日本の首相はアメリカの軍産複合体に対しまるで尻尾を振るようにして、「売ってくれるなら何でも買います!」という態度。
「正気か?」と思ってしまいます。
官僚が筋書きを書いて政治家が踊りを踊るのか、それとも逆なのか、正真正銘の庶民の自分としては分かりかねますが、今の官僚も政府の要人も日本史史上のボトムラインにall in a row、一列に並んでいるのは間違いなさそうです。
繰り返しますが、そのレベルの低さは間違いなく私たちの生活に跳ね返ってくるのです。
対岸の火事などではありません。
私たちの足元に火がついているのです。