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年金制度崩壊!なぜ?

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所要時間 約 9分

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国民の年金を預かる年金積立金管理運用独立行政法人が、直近の四半期に記録的な金額の損失を計上
安倍首相は5年前、普通株式に投資するよう年金積立金管理運用独立行政法人に圧力をかけていた

                 

                

エコノミスト  2019年7月4日

              

今年2019年6月日本の金融業界の規制当局である金融庁(FSA)は、世界で最も高齢化している日本人の年金生活者の生活をどのように支援すべきかという一触即発の議論の場で、爆弾を投げ入れるに等しい見解を公表しました。
それによれば日本の一般的な年金生活者世帯は、公的年金の他に何と2,000万円もの貯蓄が必要です。

           

麻生太郎財務大臣はその後に巻き起こった騒ぎで、日本の年金制度は「決して崩壊することはない。」と主張しました。

             

しかし事態を何とか沈静化させようとする麻生財務相のこの発言は幅広い分野から嘲られることになりました。
週刊誌に掲載された漫画は、金を持っているかいないかで魂を天国や地獄に送り込む手伝いをする麻生財務相の姿が描かれていました。
日本でもトップクラスの金持ち政治家である麻生氏は、個人的には決して貧乏に陥るリスクがないことを揶揄したものです。

             

しかし日本の年金生活者の悲惨な未来の姿は、来るべくして来たものであり驚くには値しません。
真面目な経済新聞の日経新聞は、昨年は改革が行われない限り日本の年金制度は「災害級」の事態に陥ると警告していました。

                               

日本の年金制度は日本人の平均寿命が70歳~80歳の間に留まるという前提のもとに作り上げられたものである、こう指摘するのはシンクタンクのアジア開発銀行研究所の吉野直之氏です。
しかし現時点で赤ちゃんでいる日本人の半数以上が100歳以上の寿命を得ることになると予想されています。
そして現在60代の人々のうち4分の1は35年後も健在でいるだろうと日本政府は推定しています。

                   

20歳から59歳までのすべての労働者は国民年金基金に毎月一律16,410円の保険料を支払わなければなりません。この支払いを40年間続けると現在の基準で1年あたり780,100円の年金を満額受け取ることができます。
企業の労働者や公務員は同時に厚生年金制度への支払いを行います。

                      

しかしいずれの制度も今やバランスを失い、人口減少とともに支払いを続けている人数が減少する一方、支払いを完了した人数が増え続けています。
日本は既に65歳以上の人口が全体の28%を超える3,500万人以上に達しており、2050年までに3分の1にまで増えると予測されています。

               

日本の年金は比較的しみったれたものであり、日本よりも老齢人口の構成比が少ないにもかかわらず、年金行政へもっと多くの予算をつぎ込んでいる国も数カ国あります。

                 

金融庁によれば60代の夫婦一世帯あたりの国民年金の受給額は、平均的家計支出額と比べ一ヶ月あたり50,000円不足しています。
7月2日に厚生労働省が発表した統計によれば、年金生活者世帯の約半数が年金以外に収入源を持っていないことを明らかにしました。

               

さらに日本の年金制度はGDPに対する比率が一定に保たれているため、経済成長が止まり人口の高齢化だけが進んでいる現在、必然的になお一層不十分なものになっていかざるをえません。
金融庁の試算結果は、楽な年金生活を送りたいと考える人々に対し自助努力を促すものです。
シンクタンクである年金シニアプラン総合研究機構の高山憲之氏は、リスク回避志向が非常に強い日本人にもっと大きなリスクを負う投資を求めることになると語っています。

                 

現在日本の1兆8,300億円の家計資産は、郵便局や銀行などの金利ゼロの口座に預金として保管されています。
こうした預金の保有者は1世代前に起きた金融バブル崩壊をまざまざと記憶しています。

                   

高齢世帯の実質資産額がこの20年間ほぼ横ばいという状況の中で資産の運用方法が多様化するということは、難しさもある一方ビジネスチャンスでもあると語るのは金融庁の遠藤俊英長官です。

            

アジア開発銀行研究所の吉野氏は嘘偽りのない日本とアメリカの比較について説明してくれました。
アメリカでは主要な資産クラス(投資対象となる株式、債券、不動産、貴金属などの資産の種類や分類のこと )の価値が日本よりもはるかに速いスピードで上昇していますが、一方で損失のリスクも大きく、その点が日本の多くの投資家を悩ませています。

世界最大の投資ファンドである日本の年金積立金管理運用独立行政法人が、直近の四半期に記録的な金額の損失を出したことにより、リスク負担に対する不安は今や爆発寸前です。

                 

5年前、日本の安倍首相は年金積立金管理運用独立行政法人の責任者たちに対し、日本の国債を処分して総資産の半分を普通株式に投資するよう圧力をかけました。

               

日本はこの後続いて高齢化に見舞われる他の国々の先例となるでしょう。
世界銀行は、2050年までに世界の主要国の老後の資金が合わせて400兆ドル不足することになると予測しています。
前例のない思い切った投資が解決策の一つになるかもしれません。

             

日本政府は65歳から70歳まで定年年齢を引き上げようとしています。
「最も安易な解決方法は、すべての国民が可能な限り長く働き続けなければならない状況をつくることです。」
と、吉野氏が指摘しました。

              

しかし参議院議員選挙の投票日を目前に控え、安倍首相はこの問題には触れるべきではないと感じたことでしょう。

https://www.economist.com/finance-and-economics/2019/07/04/japanese-people-need-to-put-more-aside-for-retirement

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この問題もアベ政治というものには明らかに『良心が欠如している』、その事を証明しているのではないでしょうか?

年金積立金管理運用独立行政法人は本来長い間延々と少なからぬ金額の年金をかけ続けてきた(当然ながら私自身もそうですが)人間に対し、老後の生活資金の保証をすることが第一であるはずなのに、現在の政権が自分たちへの支持率を浮揚させるために本来なら許されない危険にさらしていた。

そして記事中にあるように

『年金積立金管理運用独立行政法人が、直近の四半期に記録的な金額の損失を出した』

こんな事を繰り返していれば、人口の高齢化が年金崩壊の最大の原因でないことはもはや明らかです。

           

                

私たちは日本の政治に良心を取り戻させるために今すぐ、最大限できることをしなければなりません。

何もかも失ってしまってからでは遅すぎるのです。

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