ホーム » エッセイ » 家計を直撃!新型コロナウイルス・パンデミック
前例がないため現状の分析も難しい、今後の消費動向がどう変わるのかも不透明
世界中で激減した消費支出、中でも日本の消費者物価下落率は著しく激しくなった
エコノミスト 2020年6月11日
新型コロナウイルス・パンデミックが世界に拡大した結果、ロックダウンの下で消費者は異常なほどの節約をすることができました。
アメリカでは4月、郵便受け連邦政府からの給付金の小切手が届き、家計収入の10.5%の増加に貢献しました。
しかしアメリカ人は収入の3分の1をそのまま銀行などに預け、史上最高の貯蓄率を記録しました。
同じく4月、英国でも人々は同様に財布の紐を一気に引き締め、銀行預金として溜め込まれた現金の額は162億ポンド(約2兆2,000億円)増加しました。
店舗もレストランも閉鎖されたため、消費者の中にはおそらく散財する機会がほとんどなかった人が多かったでしょう。
他の人たちは、一時解雇あるいは正式な解雇の後に出費を切り詰めざるを得なかった可能性があります。
消費需要の崩壊により当然ながらインフレ率は押し下げられました。
今年初めの石油価格の下落が主な原因となって指標となる数値は低下、その後連鎖的に原油価格の崩壊につながりました。
しかし、エネルギー価格と食品価格を除外しても尚、日本とアメリカでは消費者物価が下がっています。
景気回復の目安のひとつは、貯蓄率の上昇が続くかどうかということです。
多くの消費者は手持ちの現金をすぐにでも使い、生活のリズムを取り戻そうとするでしょう。
ロックダウンが終了すれば、お金の使い道を探す買い物客や食事客が路上に溢れ出てくるでしょう。
事実6月5日に発表された数値によれば、5月に入りアメリカの失業率は低下しました。
安定した職場を再び取り戻した労働者は、しっかり貯蓄を続けるという動機が弱まる可能性があります。
一方で失業者の数が多いのを見て、あるいは先行きの経済の見通しが依然として不透明であるという懸念から、安易な出費を思いとどまる消費者も少なくないでしょう。
こうした人々の存在は、今度しばらくは経済活動とインフレ率が新型コロナ流行前の状態に完全にはに戻らないことを象徴することになるかもしれません。
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今回の新型コロナ・パンデミックで安倍首相の危機管理能力というものが、いかに粗末で、無内容で、状況を的確に把握する能力にまるで欠けていることを私たちは目の当たりにさせられました。
その無能無内容によって多くの人が経済的に危機的状況に追い込まれ、中には人生そのものを壊されてしまった人すらいます。
そんな安倍首相の『有事の際に的確に対応するため、憲法の改正が必要だ』という趣旨の発言をまともに信じる人間もまた、『どうかしてる』ということにはなりませんか?