強まる首都圏での感染爆発への懸念
初動段階の安倍首相の消極的態度は、事態を重く受け止めていた専門家などから批判を受けていた
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2020年4月6日
日本の安倍首相は首都東京や他の主要都市での新型コロナウイルス感染者の急増を食い止めるため、早ければ4月7日にも早く東京と他の6つの都府県で緊急事態を宣言する態勢を準備しています。
この措置は約1か月間継続される見込みであり、地方自治体が食料の購入調達、医療機関での受診、仕事上必要な外出、日課としての運動をする以外は、自宅にとどまるよう人々に要請するができます。
安倍首相は6日月曜日の夜に記者団に対し、次のように語りました。
「政府諮問委員会の意見を聞いた後、早ければ明日にでも緊急事態を宣言したい」
「特に東京や大阪などの大都市圏で新しい感染事例が急速に増加しています。」
「医療機関が危機的な状況にあることに鑑み、私は日本政府が緊急事態を宣言するため準備を進めるべきだという意見を聞いています。」
安倍首相は今回の危機について、初動段階ではより厳しい対策を実施することに消極的な態度をとり、日本医師会や先週になって感染者が急増した東京都の小池百合子知事から批判を受けていました。
世界各国で都市の封鎖という事態を引き起こした新型コロナウイルスCovid-19による感染者と死亡者の多発を、日本は回避してきましたが、首都東京で特に若者の間での感染者数が増加し、警戒を強めなければならない状況になってきました。
NHKの報道によると東京では5日日曜日に148件の新しい感染例を記録し、翌日の月曜日にはさらに83件の感染が確認され、これまでの合計が1,000件を超えたと報道しています。
週末に確認された感染例の大部分は50歳未満の人々であり、その多くは20代と30代の人々でした。
NHKによると日本では3,500人以上がウイルス検査で陽性と診断され、これまで85人が死亡しました。
米国、中国、ヨーロッパの一部に比べるとその数値はまだ低いと言えますが、感染者の急増により日本国内の病院には支えきれないほどの負担がかかる可能性があると当局は懸念しています。
緊急事態宣言により、日本の47都道府県の知事は人々に対し自宅にとどまり、企業には業務の停止を呼びかけることができますが、他の国で実施されているような封鎖を課とたり、要請を無視する住民に罰金を科す法的権限はありません。
安倍首相は3月末、国会で「フランスのようにロックダウンを実施できるかと質問されれば、答えはノーだ。」と語っていました。
新型コロナウイルス対策についてまとめた文書によれば、世界経済が第二次世界大戦以来となる「最大の危機」に直面させられていることに対応するため、「前例のない規模の」刺激策を発表すると予想されています。
まだ詳細な内容が決まっていない108兆円のパッケージは、2009年の金融危機の際の日本の対応よりもはるかに大きな規模になります。
小池東京都知事は、感染経路が特定できないケースが多数あることに加え都内の病院への圧力の高まりに懸念を表明し、1,400万人の都民を保護するため「ソフト」ロックダウンの実施を支持すると表明しました。
先月可決された法改正により、新型コロナウイルスの感染が公衆衛生に「重大な危険」をもたらし、現在不況の瀬戸際にある世界第3位の規模を持つ経済に深刻な被害を与える脅威があると判断された場合、安倍首相は緊急事態を宣言することが可能になりました。
関係当局の担当者は、人々が自宅に留まり、外出するときには他人との間に一定の距離を保つようにする行動規範が生まれてくることを願っています。
企業が協力を拒否した場合には、社名が公表され社会的批判の的になる事態に直面することになります。
さらに各自治体の首長は一時的な医療施設として使用するために所有者の同意なく施設などを 借り上げられるようになり、学校や劇場、コンサート会場、スタジアムなどの他の集会場所の閉鎖を命じることができるようになります。
現在国内のほとんどの学校は安倍首相の要請により、1か月以上休校している。
安倍首相の緊急事態宣言は当初、大阪と他の5つの都府県と併せ首都圏(人口3,600万人以上)を主なターゲットとする予定です。
国内報道によれば、宣言が行われれば病院はより症状の重い患者の治療に集中するため、症状の軽い患者を特別に指定されたホテルに移送することができるようになります。
新型コロナウイルスに対する対応については、今年夏に東京で開催されることになっていたオリンピックの延期が避けられないことが明らかになった後、安倍首相と担当する当局がやっと真剣な取り組みを始めたと非難されています。
学校や他の多くの公共施設閉鎖されてから約1カ月が経ちましたが、一部の企業は従業員の在宅ワークを許可していますが、バーやレストランでの会合などは行わないようにとの呼びかけに対する人々の反応は鈍いものでした。
小池都知事は娯楽施設が集中する地区で感染クラスターが発生した証拠に言及し、2週間の間自宅にとどまり、4月12日まで混雑した場所を避けることを住民に強く求めてきました。
小池都知事の呼びかけに対しては4月に入ってやっといくつかのレストランチェーンやショップ、都内の至る所にあるパチンコ店やカラオケ店が対応することを表明し、休業を決めました。
鉄道や地下鉄の運営会社も乗客数の劇的な減少を報告しています。
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すでに旧聞に属する記事になってしまいましたが、直前の状況を確認していただく意味で掲載しました。
現在、緊急事態宣言の意味について詳しく解説しているニューヨークタイムズの7日付の記事を翻訳中です。