ホーム » エッセイ » 出生率が史上最低レベルまで下がった日本、縮小し続ける社会
子供を産むよう奨励する安倍政権の取り組みは不成功、一連のデータが証明
人口減少に歯止めをかけようとする取り組みは極めて困難な状況にある
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年12月27日
日本の出生率は1.43人に低下し、現在の人口を安定的に維持するために必要な2.08人をはるかに下回りました。
最新の統計によると日本は2018年に記録が残っている中で最低の出生率を記録し、人口減少に歯止めをかけようとする取り組みが極めて困難な状況にあることを明らかにしました。
厚生労働省は100年以上前に記録が開始されて以来、出生数が最も少なくなったと述べ、その直後日本の国会はこの数十年間で最悪の労働力不足対処するべく、数十万人のブルーカラー労働者の受け入れに道を開く移民法案を可決しました。
厚生労働省は2018年末までに921,000人の赤ちゃんが生まれると予測していますが、この数は昨年よりの25,000人減少し、1899年に比較可能な記録が始まって以来最低になると推定しています。
結局出生数は3年連続で100万人を下回りました。
推定分を合わせた2018年の死亡者数は約137万人で、ここから出生数を引いた人口減少数は44万8000人となり、日本の一年間の人口減少数としては史上最大になりました。
一連のデータが示しているのは、出生数を引き上げるという安倍政権の取り組みがうまくいっていないという事実です。
安倍政権は2026年4月までに出生率 - 女性が一生の間に持つ子供の平均人数 - を1.8人に引き上げるという目標を掲げています。
現在の出生率は1.43人で、人口が増減なしの安定した状態になるためには2.07という出生率が必要です。
安倍晋三首相は日本の人口減少を国家的危機と表現し、保育所を増やすなど夫婦やカップルがより多くの子供を産むことを奨励するため、さらに多くの政策の実現を公約しました。
しかし国営の保育所の待機リストに載っている子供たちの数は、昨年まで3年連続で増加し、2020年4月までにすべての子供たちに適切な保育場所を提供するという安倍首相の計画が果たして実現できるのかどうか疑問を突きつけました。
日本人の平均寿命は、女性で87.2歳、男性で81.01歳です。
これについて専門家は定期健康診断が普及していること、国民のほぼ全員が医療保険に加入していること、そして日本の伝統的な低脂肪食が普及しているためだとしています。
しかし増加し続ける高齢者人口は今後数十年の間に、公共の保険・福祉サービスに前例のない負担をかけると予想されます。
これらの費用の一部は来年10月に消費税(売上税)が8%から10%に引き上げられることによってまかなわれる計画ですが、やり方については物議を醸しています。
今年初め、日本政府は総人口1億2,670万人、そのうちの20%超、2,610万人が70歳以上であることを公表しました。
さらに今年9月の時点で、100歳以上の人の数は69,785人に増え、そのうち女性の割合はの88%です。
日本は世界で65歳以上の高齢者の人口が最も多い国であり、次に続くのはイタリア、ポルトガル、そしてドイツです。
東京にある国立社会保障・人口問題研究所は、2040年までに日本人の35%以上が65歳以上になると推定しています。
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縮小していく社会はつまらない…
個人的な感想として最も強く思うことです。
社会の中には従来の価値観を守る人、変えていく人、その両方がいます。
唐突ですがベートーヴェンはそれまでの音楽の価値観をことごとく変えていきました。
その変革力の強さと大きさは後に続くシューベルトをして「これでは自分がやるべきことがなくなってしまう」と嘆かせたほどのものでした。
もしベートーヴェンが生まれなかったら、200年以上経った今日、ベートーヴェンだけでなくモーツァルトやハイドンの音楽をこれほど多くの人々が愛し、繰り返し再現することはあっただろうか?と思います。
新しい命が次々と誕生することによって新しい価値観が次々創造されていきます。そこには驚きがあり新しい喜びがあります。
日本はこれから縮小し、高齢化していく人口動態に上手に対処していかなければなりませんが、やはりその一方で次々と新しい命が誕生する機会が自然と増えるための対策に全力で取り組んでいくべきだと思います。